今野敏のレビュー一覧
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被害者となった小西律子は相手によってあからさまに態度を変える人間だった。
権力を持っているものには愛想よく媚び、スタッフなどには見下した態度を隠そうともしなかった。
何がそれほどまでに彼女を強気にさせていたのか。
単に性格の問題なのか、それとも人気に後押しされて天狗になってしまっていたのか。
STの面々が現地に捜査に向かう展開は目新しかった。
小型飛行機に乗らなくてはならなくなった翠の動揺など、ちょっとした息抜き場面もあり面白かった。
でも、捜査そのものはすでに事故死と判断がされていたからなのか。
後追いで確認作業に追われるばかりの展開で、STでなければ!!という場面がない。
STシリーズの楽しみは、やはり個性的なメンバーがそれぞれの特性をいかした調査をするところにある。
フル稼働で活躍しているのは菊川ばかり。
まったくSTのメンバーが目立っていない。
補助的な助言をするためにたまに登場してくるだけだ。
かろうじて存在感を示したのは青山だろうか。
せっかくのSTシリーズ。
彼らが自由に大胆に調査をする姿を見てみたいものだ。 -
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「色」シリーズはST特捜班のそれぞれのメンバーを中心に据えたシリーズである。
青の調査ファイル→青山翔
赤の調査ファイル→赤城左門
黄の調査ファイル→山吹才蔵
緑の調査ファイル→結城翠
黒の調査ファイル→黒崎勇治
「緑のファイル」は絶対音感と超人的な聴覚を持つ結城翠が中心となって展開する物語だ。
個々のヴァイオリンによる音の違い。
弾き手による音の違い。
翠の能力が事件を解く大きな力となっている。
聞こえ過ぎてしまうためにしなければならなかった辛い思い。
初めて出会った同じ能力を持つ人間。
事件の解明だけでなく、音楽にまつわる場面も楽しめた。
このシリーズは事件解明も楽しめるけれど、何よりも人間性が浮き彫りになる場面が多いのがうれしい。 -
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元は2002年の作品である。
その頃のインターネット事情と現在では大きく違う。
たぶん、この物語が発表されたときはインターネットの経験者はあまりいなかったのでは?と思う。
逆に今では未経験者を探す方が難しいだろう。
ネット上に突然現れる「殺人ライセンス」というゲーム。
ターゲットを殺害することを想定して進めていくゲームである。
たとえばターゲットに接触するのに「自宅を訪ねる」と「呼び出す」の二択がある。
「自宅を訪ねる」を選ぶと第三者に目撃されたことにより逮捕されました…とメッセージが出てゲームオーバーとなる。
「呼び出す」を選んだ場合は、次に呼び出す方法を選ぶ…という感じだ。
ほとんどの捜査官がインターネットの知識がないため、このサイトのことを知らされてもどう受け止めていいのかわからない。
インターネットで殺人…というシチュエーションが理解できないのだ。
結局、人が人を殺すのであって、基本的なことは何も変わらないと気づくのだが。
ミステリー部分よりも、相沢の変化、相沢家の雰囲気、キュウの成長など、他の部分のほうが楽しめた。
とくに祥子が麻理に違和感を感じ始めるところが印象に残った。
ほんの少しだけ自分の方が先に大人になっただけ・・・そんなふうに思えるようになった祥子の成長が見える場面は好きだ。
うっとうしいけれど感謝すべき存在でもある。
それが親だと思う。高校生で親のありがたみがわかるなんてすごいな…と単純に思ってしまった。
そんな簡単なことに気づいたのはもっと大人になってからだったので。
時間的な古さもあり、今野さんの作品のわりには書き込み不足というか浅い感じがした。
もったいないなと思う。 -
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ニュース番組の遊軍記者である布施は、これまでにも数々のスクープをものにしていた。
自然体にふるまう布施を、いつの間にか取材のターゲットは受け入れてしまうようなのだ。
何も考えずに行動しているように見える布施だったが、実はしっかりと考えたうえで動くべきときに動いている。
だからこそ、何度もスクープを手にすることができたのだ。
管理職である鳩村は、布施の実績を認めながらも何かと口うるさく注意をしてしまう。
キャスターの香山は、お飾りではないキャスターへの道を欲していた。
刑事である黒田は、布施の協力を受けつつ事件解決のために布施を利用することも厭わなかった。
スクープを手にすることが布施の目的ではない。
事件の影で苦しんでいる人に手を差しのべるため、少しでも力になるため。
彼なりの正義はそこにある。 -
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う~ん。悪くはない。
悪くはないけれど、今野さんに対する期待度がいつも高いせいか、ちょっとだけ残念感も。
碓氷にしてもアルトマン教授にしても、個性的ではあるけれどいまひとつパッとしない。
印象が薄いというか、あっさりしすぎていて後々まで印象に残るようなキャラクターではないような気がした。
碓氷のシリーズは「エチュード」しか読んでいない。
警察外部の人間と協力体制のもと捜査をしていくのがシリーズの特徴なのだろうか?
「エチュード」ではプロファイリングの専門家が協力者として捜査に参加していた。
珍しいせっかくの考古学もの。
ペトログリフを題材に選んだのだから、もっとそこを中心に物語が展開してほしかった。
なのに題材を料理しきれずに、適当に「〇〇らしさ」を盛り付けて完成品にしてしまった感じがどうしてもしてしまう。
もったいないなと思う。
今野さんならここからいくらでも物語を深く拡げていけただろうにと。
肝心の結末部分も消化不良のようなスッキリとしない感じが残った。
事件現場に残されたペトログリフも、それを残した理由も、いまひとつしっくりと来るものではなかったし、何よりも「この教授である必要がある?」という疑問も。
「エチュード」では視覚と死角という題材が上手く活かされていて面白かった。
一般にはあまり馴染みのない考古学をもっと題材に取りあげたのは珍しかったけれど、それだけにやはり「もったいないな」と思ってしまった。