浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かったです
不遇な少年時代を過ごした主人公が
コンプレックスと戦いながら
ひたむきな努力を仕事に向けて
みごとなサラリーマン人生を
定年退職まで勤めます
しかしその送別会の帰り
電車の中で倒れ意識不明に陥ります
物語はその主人公を見舞う
友人や家族との関わりとそれぞれの感情
そして意識不明中の主人公が
不思議で魅力的な人物達との夢現の
素敵でちょっとセピア色の体験で
ストーリーが進みます
まず主人公の人徳でしょうか
友人や家族が良い人ばかりで
多くの場合皆どこか主人公のように
人生に足りない部分があったりするのですが
それを克服する努力と前を向く姿勢が
素晴らしいと思いました
ベテラン看護師の存在が面白くて
浅田次郎さんはよくこのような設定を
思いつくものですね
人と人がどこでどう繋がり
関係が生まれるのか
おちおち油断も出来ませんね
そして意識不明中の主人公が体験する
夢か幻か走馬灯ってやつか幽体離脱なのか
現代と過去を不思議な人物達と
電車が行き来します
自分の死がちらつく中
主人公の不思議な徘徊を謎の人物達に
誘われます
そして涙のラストまで主人公に
深く感情移入したまま進めます
自分の人生を振り返ってみて
自分の人生中に掛けた努力と
手に入れた幸せの損得を考えたり
例えば年齢とか満足度がどれくらいなら
死を受け入れられるのか
なんてテーマもあるような -
Posted by ブクログ
浅田次郎氏の小説を読むのは数年ぶりだが、本書は最近の作品でベストセラーのようだ。大人にとってのふるさとがテーマか。
ネタバレをしたくないので詳しいストーリーは書けないが、社会的に成功はして経済的には恵まれているものの家族の縁が薄い人たちが、ふるさとを体験するサービスに申し込む。完璧に用意された田舎のふるさとで自分の人生を振り返る。
さすがの浅田次郎だな~(←生意気ですみません)と感心して読んだ。構成も文章力も素晴らしく、安心感がすばらしい。お涙頂戴かと身構えて読んだが、本書はそうでもなかった。出てくる人々がいい。母ってこういうもんだよな、と思い出させてくれた。
じんわりと温かい読後感。仕事に疲れた人にお勧めしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ浅田次郎『兵諫』は、歴史の大きなうねりの中に生きた人間たちの「決断の重さ」を、静かで揺るぎない筆致で描き切った作品である。西安事件という一見すると政治史の一頁に過ぎない出来事を、単なる史実の再現に終わらせず、「なぜ人は武器を手にしてまで諫めようとしたのか」という根源的な問いへと昇華させている点に、本作の深い魅力がある。
登場人物たちは、英雄でも単なる悪でもない。祖国への忠誠、個人の信念、守るべき民への思いが複雑に絡み合い、それぞれが苦悩の末に選び取る行動には、容易に裁けない重みが宿っている。とりわけ「兵諫」という行為そのものが、暴力と理想の狭間で引き裂かれた選択であることを、読者に強く意識させる描写が印象的だ。
浅田次郎ならではの端正で骨太な文章は、歴史の空気を濃密に再現しつつも、決して読者を突き放さない。国家や思想が前面に出る場面であっても、常に人間の息遣いが感じられ、冷たい史観に陥らない温度を保っている。その抑制の効いた語り口が、物語全体に深い説得力を与えている。
『兵諫』は、過去を描きながら、同時に現代を生きる読者へと問いを投げかける作品でもある。正義とは何か、忠誠とは誰に向けられるべきものなのか──その答えを安易に示さず、読後に静かな思索の余韻を残す点に、本作の真価がある。歴史小説でありながら、人間の本質に迫る重厚な一冊として、長く心に刻まれる作品だと言えるだろう。 -
Posted by ブクログ
参勤交代で中山道を江戸に向け80余人で出立。御供頭として一路と側役の慎吾はともに父親を同時に亡くしており、それは放火による殺害と毒殺という噂もあった。そんな中で後見役の蒔坂将監と国家老由衣帯刀らの謀反計画を知るが、道中では易者と髪結が共をしており、宿、山道、峠などの情報を逐次一路に伝達して無難にこなしていく、その困難と苦労に一路の姿(一生懸命)を読み解くのは楽しい。参道での出来事に謀反を見抜く為に「殿様はうつけ」なのかどうか、そんな噂が舞う中、宿、農民、関所などでの対応は「見せ掛け」とも取れる仕草などが伺える。面白いのは、馬同士の気持ちの想像の会話、お姫様の初恋行動、葱の特効薬など、参道後、大出世するのはその「馬」なのだ。本文で見つけた気になる言葉:「武士の面目は他聞他目にあらず。常に自聞自目に恥じる事なきよう生きよ」「武士たるもの一心大切にすべきは、先祖代々の勤めに他ならぬ。己が分限をわきまえ、過ぎたるも、及ばざるも、罪と心得ねばならぬ」「武士はたとい義理を欠いても職分をまっとうせねばならぬ」