浅田次郎のレビュー一覧
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本作はJALグループ機内誌「SKYWARD」に「つばさよつばさ」題して2020年から2023年に掲載されたものを加筆、修正し構成されたエッセイです。
2020年から2023年というと新型コロナの影響で、旅はおろか外出もままならない期間ですが、そこは直木賞作家、自身が作中で繰り返し述べられているとおり、これまでの経験も豊富なので、ネタに尽きることがないまさに旅しているかのような作品もあれば、自身の生活からすくとったお題も多く収められたエッセイです。
表題作の『アジフライの正しい食べ方』は、揚げ物といってもフライ、唐揚げ、天ぷらと種類も多く、それぞれにかけるものも年齢や揚げ物との出会いも大きく -
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10年ほど前に出版されたものを私は読んだのだが、今回は新たな書き下ろしの短編を加えて完本として出版された。
東京都の奥多摩の霊山・御嶽山の上にある神官屋敷は、浅田氏の母親の実家なのだそうだ。
浅田氏が少年だった頃、従兄弟やはとこ達と夏休みのほとんどをこちらの屋敷で過ごしたとのことだ。
就寝前、布団に横になった子供の枕元で、美しい伯母から怪談めいた夜語りを聞かされるのが常だった。
怖い話なのだが、少年少女達は不思議な世界へ引き込まれていた。
これらの話は、太古から神主に語り継がれたもので、浅田氏はこれに脚色を加えて短編集としたとある。
浅田氏のおじさん、おばさんから聞いた話の時代は、明治の頃 -
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小説だと思って手を伸ばしたら、エッセイでした。笑
久々に浅田さんの本を読んだら、文章がなんとなく小難しい感じがして。
歴史の話が出るとさらに小難しい感じがしてしまい、途中までは「今の自分には合わなかったかも」と思いました。
しかし、短編の中にクスッとしてしまうエピーソードが盛り込まれていたり、昔の記憶に思いを馳せる浅田さんに共感して、一緒になって昔の記憶に想いを馳せたりしていると、そんな思いはどこかへ行ってしまいました。笑
浅田さんが、昔から読書や活字が好きということが、この本のあちこちから感じ取れて、恐れ多くも同じ読書好きとしてなんだか嬉しくなりました。 -
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オーディブルにて
連休だったこともあり、1~4巻まで一気に聴き終えた。おなじみの上手いナレーターさんで耳障りもよく、四六時中聴いていた。久々に小説らしい小説に出会った。
時代は世紀末の動乱の中国。西太后の清の時代で、第4巻になると袁世凱やら、少年の毛沢東やらが出てくる。1巻、2巻、3巻、4巻で、まんま起承転結だった。
ただ歴史を動かすような主な登場人物が全員架空の人物で、乾隆帝の亡霊が頻繁に現れたり、老婆の歩き巫女からのご託宣があったりして、ファンタジーに寄りすぎてて、全体的に軽くなった気がするなぁ。
19世紀末中国の、おどろおどろしい雰囲気はいいなあ。
日中合作でドラマ化されてるのだけ -
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談話室で「笑えるエッセイを教えてください!」と投稿したところ、おススメしていただいたものです。(おススメいただいたものは順番に読んでいこうと思っています。)
浅田次郎さん・・・こんなにも著名な方なのに、ほとんど読んだことないです!今、いそいそとWikipediaを調べましたが、たぶん「椿山課長の七日間」くらいか・・・あと「鉄道員」は映画で見たような・・・と書いたとたん、急に記憶が蘇ってきましたが、なぜか高校時代、我々女子バレー部のうら若き乙女が数人集まって、映画「鉄道員」の鑑賞会をした記憶があります。あれはなんだったんだ・・・。と、おそらく原作を読んでいないのに浅田次郎さんといえば「鉄道員」 -
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流人道中記・下巻。
青山玄蕃という人間の思想の高潔さ、というものに打ちのめされる下巻。ただ彼のそれは、武士道への反感や格差社会への諦念、といった鬱屈した部分が大きく作用したように思えます。その暗い気質を抱えながら、その上であの境地に至ったということが、高潔であると思うのも事実。
その一方で、理想を貫くことを選び、世間への反骨を示すことで、失わなくてもよいものを失ってしまうことになった、という一面もあるのが一滴の染みになってしまっているのか、とも思う。家族・家臣たちへ残したものが、それ。
玄蕃の生き様を見た乙次郎。彼がこの先の人生において、どんな行状を取るのか。怒涛の幕末、これまでの幕藩体