浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ浅田次郎さん「日輪の遺産」
読み進める中で徐々にわかってくる「日輪の遺産」の意味。
なんて大切なテーマなんだろうと背筋が伸びる思い。
太平洋戦争敗戦直前の日本とバブル崩壊後の日本。
二つの時代のお話が、徐々に重なっていく。
敗戦間近の日本。ポツダム宣言受諾が決定し詔勅が発せられる直前の8月10日。3人の軍人(真柴少佐、小泉中尉、曹長)が近衛師団から呼び出され密命を受ける。マッカーサーから盗んだ時価二千億の金塊を隠し、敗戦後の日本復興の為に必要なこの財宝を守ってほしいと。
バブル崩壊後の日本。不動産経営の丹羽とボランティアの海老沢は老人から古い手帳を譲りうける。2人は手帳の内容をも -
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中国清朝末期を描いた歴史小説の最終巻。貧しい少年と、誰からも期待されていなかった名家の青年。それぞれの個人の成り上がりの物語から始まり、そこから少しずつ世界を揺るがす歴史のうねりの物語へと変わっていく。
スケールの大きさにも引き込まれたし、国内外の様々な思惑が入り乱れる政治ドラマ、権力闘争の模様にも引き込まれました。当時の歴史的背景についての予備知識はまったくなかったけど、それでもどんどん読み進めていけたのは、歴史の流れだけでなく登場人物の行動や言動、思惑でストーリーを引っ張っていく語り口のうまさがあったように思います。
時の大帝、西太后に仕え女王個人の立場や王宮内部の人々をおもんばかりな -
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第三巻に入り物語のスケールがかなり大きくなりました。
これまで主に清国内から語られてきたストーリーですが、この巻あたりから日本人やアメリカ人ジャーナリストが登場します。それによってアヘン戦争以降、列強の脅威にさらされる清の姿というものが、外の視点からも描かれていきます。
海外の脅威にさらされる一方、宮中内の政争もより苛烈さを増していく。これまでの中心人物だった春児や文秀の出番が減ってしまったのが少し寂しくはあったのですが、陰謀渦巻く国内・国外政治のドラマはまた違った読み応えを与えてくれました。
歴史のうねりの中で、登場人物たちが時には自分たちの立場や勢力拡大、あるいは保身のために、あるいは -
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蒼穹の昴の第二巻。
この巻では西太后の姿が印象的だった。前巻でちらっと出た感じでは、権威ある強大な女帝という感じ。さらに歴史上のイメージも相まってとんでもない悪女という印象があったのだけど、蒼穹の昴での人前で見せない彼女の姿はその印象ががらりと変わる。
話し言葉が普通に女の子っぽかったというのもあると思うけど、国を背負う重圧に押しつぶされそうになる弱さや、混沌とした状態のままで国を愛しい甥に任せたくない、という情愛の思いであるとか、そうした部分が等身大に描かれていて、女帝の人間らしさが描かれます。
表の強い女帝の姿と、裏の普通の女性っぽさ。その相反する二面性が、彼女を魅力的に描きます。
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ネタバレ列強諸国に蹂躙される間際の斜陽の清朝時代の中国で、抗いがたい大きな時代の流れになすがままにはされるまいと踏ん張った人々の物語。糞拾いの春児は万に一つも裕福になる可能性のない運命を自らの手で掴みとった。文秀は皇帝を、ひいては中国という国全体を正しい道に導くために全力で奔走した。結果として2人が迎えた結末は、2人が目指した白太太のお告げのそのままとはいかなかったかもしれない。しかしそこには天命なんてものを凌駕する人間の力というものが働いていたと思う。また、個人的にもう一人の主人公だと思っていたジュゼッペ・カスティリオーネが偉大なるヴェネチアンという身分を捨て、郎世寧として西洋のバロックの芸術家も到