浅田次郎のレビュー一覧
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上巻が色鮮やかな料理が小さな器に盛りつけられて寿司詰めのように飾られた籠膳であるならば、下巻はうな重のように大きな器にでーんと大物を盛りつけたような感じ。下巻は道のりがあとわずかでありながら、これまでの問題点が一気に噴き出してくる、それを解決せねばならないため一つ一つがじっくりこってり書き込まれているので上巻のようなテンポよさはない、しかしながらこれまで垣間見せていた御殿様の本来の姿が顕現し、あれやこれやが一気に大団円。これぞ時代小説の粋である。
タイトルの一路という名を背負った御供頭の名の由来も明かされすべてがきれいに、それでいてまったくの爽快感でもなくしんみりとした御殿様の幕引き口上、星4ではあるものの、上下巻通しては間違いなしの星5である。
あとがきの参勤交代とは行軍である、がまったくの作り物というこの発想がなにより秀でていた。浅田さん、流石! -
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太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。
「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版社勤務の45歳の老兵、缶詰工場に送られた女工達、上陸作戦に駆り出されたソ連兵、その後のシベリア強制労働など、さまざまな人の織り成すドラマ。
第11戦車連隊の兵士の目線と上陸部隊のソ連兵の目線と、両方から語られる。
心に響いたのはヤクザ者の萬吉が45歳老兵の子供(集団疎開中だが脱走)を助けるシーン。
浅田次郎は戦争の悲惨さを伝える事に人生を賭けていると感じる。
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太平洋戦争末期にアリューシャン列島の最先端部である根室から1000キロ、ソ連のカムチャッカ半島先端と目と鼻の先の占守島(シムシュとう)に取り残された戦車部隊の奮闘を描いた作品。ぜひ実写化して欲しい。
「終わらざる夏」は第11戦車連隊の顛末だけを描いた作品ではない。徴兵された元出版社勤務の45歳の老兵、缶詰工場に送られた女工達、上陸作戦に駆り出されたソ連兵、その後のシベリア強制労働など、さまざまな人の織り成すドラマ。
第11戦車連隊の兵士の目線と上陸部隊のソ連兵の目線と、両方から語られる。
心に響いたのはヤクザ者の萬吉が45歳老兵の子供(集団疎開中だが脱走)を助けるシーン。
浅田次郎は戦争の悲惨さを伝える事に人生を賭けていると感じる。
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旗本の流人と見習与力の押送人の道中記。
玄蕃の犯した罪はなかなか語られない。
道中に出会う色々な事情を抱えた人々への深慮と筋の通った振る舞いを見れば見るほど、聡明さと信念、透ける孤独に魅かれていく。
これだけの人が切腹を拒否した理由は単純ではないとわかりつつ、後半につれて語られる正体と罪をどこか知ってしまいたくない。知れば罪を撤回したくなるから。
信念を貫くのは簡単ではない。でもそれを玄蕃は選んだ。旅の中で玄蕃の生き様を見て生まれた乙次郎にとっての礼が新しい道の導になっていくのだろう。
歴史小説が苦手な私が浅田次郎さんの小説を好きな理由は人物が本当に魅力的な所。存分に味わいました。 -
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3巻。新たな登場人物がたくさん出てきて物語を追うのに必死です。
蒼穹ではただの面白キャラかなと思ってた戴沢殿下が案外真面目に国の行く末を案じている人で意外だった。ミセスチャンこと寿安との対話が物悲しくて、印象的だった。
日本で暮らす文秀のもとへやってきた蒋介石。教科書で見た名前だ。何した人なのかは覚えてないけど。きっと小説オリジナルのキャラクターと史実の人物をうまく混ぜて物語を作ってるんだろうなぁ。
アヘン窟にて珍妃の井戸に出てきたプージュンが登場。順番に読んでてよかった。
張作霖はただの暴君にしか思えなくてで好きじゃなかったけど、子供と動物に優しいところはちょっと見直しました。
時代遅れの人物や物を「ロートル」というけど、それの語源が中国語の老人を表す「老頭児」という言葉だったのを初めて知った。勉強になります。
4巻に続く。 -
Posted by ブクログ
マイケルサンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」the tyranny of meritの小説版と言えなくもない。
人は生まれる時代も場所も親も何も選べず生まれてくる。
容貌も頭脳も身体能力も。
遺伝要因と環境要因以外に、意思など自由になる要因はあるのだろうか。
最初の起点である、生まれ出る要因のどこにも、主体としての意思がない以上、論理的には、木に竹を継ぐように、意思や自由が立ち上がるのは、やはり筋悪の議論と言わざるをえないのではないか。
また、社会に目を向けると、法、というものも社会、組織など集団に、一定の秩序をもたらすため、必要になることも分かる。
しかし、法など、それが議会制民主主義の下で定められようが、封建領主の下で定められようが、不完全、あるいはある局面においては有害なものにならざるをえない。
統治機構も、どれだけの頻度で最適化するのが適当かは分からないが、状況により見直すことが不可欠である。しかし、その機構の構成員は、どんな状況にあっても、機構の存続のため懸命の努力を行う。
結果、相当程度大きな不都合により、転覆されるまで、軋みを増しつつ続くことになる。
しかし、人が生きていくためには、意思や自由という虚構が必要であるとは思う。
礼、もその軸の一つであろう。
一人ひとりが、礼、美しさを希求し、軋みで損なわれてしまうものを、なんとか救い出そうとすることによって、人の世は住むに値するものになるのではないか、ということが著された作品だと思う。
論説文で積み上げる論理の力も重要だが、難しいことを書き連ねることなく、エッセンスを伝える、小説の力に改めて感じ入った。
解説に杏さんの文章があった。
なんだか若い子だけどいろいろ苦労があったように報じられた子だったか。
年号など気にせず読んだが、江戸幕府最後の数年が舞台だと解説。
杏さんが指摘する通り、そうしたことも踏まえると、登場人物のこれからが少しでも明るさを増すのではと期待できて、一層よい読後感を得ることができた。