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片岡の一人息子・譲は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。譲は疎開先を抜け出し、同じ国民学校六年の静代とともに、東京を目指してただひたすらに歩き始めた。一方、片岡ら補充要員は、千島列島最東端の占守(シュムシュ)島へと向かう。美しい花々の咲き乱れるその孤島に残されていたのは、無傷の帝国陸軍、最精鋭部隊だった。――否応なく戦争に巻き込まれていく人々の姿を描く著者渾身の戦争文学、中編。
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Posted by ブクログ
上巻よりも内容が理解できた 昭和20年8月、広島と長崎に新型爆弾が投下された どうしても原爆の悲惨さに目を向けてしまうけど、そのとき北の前線ではどのような動きがあったか しぃちゃん、ジョー、頑張って
各登場人物の視点で捉えられた戦争は理不尽で残酷で、大切なものを根こそぎ奪い去るものでしかない。唯一齎すものは、愛する者を失う悲しみや死への恐怖。 この状況はいつか終わるという微かな希望も見え隠れしているけれど、運命の瞬間が刻一刻と迫り、読むのがつらかった。
シュムシュ島に動員された女子400名。終戦に向けた動き。学童疎開からの脱走。同時に起こる1日1日に、早く15日を迎えないかと祈るばかり。
「浅田次郎」の戦争小説『終わらざる夏』を読みました。 「半藤一利」の『新装版 太平洋戦争 日本軍艦戦記』に続き、第二次世界大戦関連の作品です。 -----story------------- 〈上〉 1945年、夏。 すでに沖縄は陥落し、本土決戦用の大規模な動員計画に、国民は疲弊していた。 東京...続きを読むの出版社に勤める翻訳書編集者「片岡直哉」は、45歳の兵役年限直前に赤紙を受け取る。 何も分からぬまま、同じく召集された医師の「菊池」、歴戦の軍曹「鬼熊」と、「片岡」は北の地へと向かった。 ―終戦直後の“知られざる戦い”を舞台に「戦争」の理不尽を描く歴史的大作、待望の文庫化。 第64回毎日出版文化賞受賞作。 〈中〉 「片岡」の一人息子「譲」は、信州の集団疎開先で父親の召集を知る。 「譲」は疎開先を抜け出し、同じ国民学校六年の「静代」とともに、東京を目指してただひたすらに歩き始めた。 一方、「片岡」ら補充要員は、千島列島最東端の占守島へと向かう。 美しい花々の咲き乱れるその孤島に残されていたのは、無傷の帝国陸軍、最精鋭部隊だった。 ―否応なく戦争に巻き込まれていく人々の姿を描く著者渾身の戦争文学、中編。 〈下〉 1945年8月15日、玉音放送。 国民はそれぞれの思いを抱えながら、日本の無条件降伏を知る。 国境の島・占守島では、通訳要員である「片岡」らが、終戦交渉にやって来るであろう米軍の軍使を待ち受けていた。 だが、島に残された日本軍が目にしたのは、中立条約を破棄して上陸してくるソ連軍の姿だった。 ―美しい北の孤島で、再び始まった「戦争」の真実とは。 戦争文学の新たなる金字塔、堂々の完結。 (解説/「梯久美子」) ----------------------- 集英社が出版している月刊小説誌『小説すばる』の2008年(平成20年)6月号から2009年(平成21年)10月号に連載された作品で、第64回毎日出版文化賞受賞作です… 歴史の闇の中になかば隠れつつあった太平洋戦争終戦後(もしくは終戦準備・戦闘停止 期間中)における占守(シュムシュ)島での戦いにスポットをあてた物語、、、 1945年(昭和20年)8月9日、ソ連は日ソ不可侵条約を一方的に破棄して対日参戦… ポツダム宣言受諾により太平洋戦争が停戦した後の8月18日未明、ソ連軍は占守島も奇襲攻撃し、ポツダム宣言受諾に伴い武装解除中であった日本軍守備隊と戦闘となり、戦闘は日本軍優勢に推移するものの、軍命により21日に日本軍が降伏して停戦が成立、23日に日本軍は武装解除されたが、捕虜となった日本兵はその後大勢が法的根拠無く拉致され、シベリアへ抑留された という史実を忠実に辿りながら、アメリカとの和平交渉の通訳要員として兵役年限直前の45歳で招集された翻訳書編集者「片岡直哉」、岩手医専卒・東京帝大医学部の医学生で軍医として招集された「菊池忠彦」、大陸でたてた手柄で金鵄勲章を授与された鬼軍曹で4回目の招集で占守島に送られた「富永熊男(鬼熊)」の三人の登場人物を軸に、過酷な状況下での人間の本質を照射しつつ、それぞれの場所で、立場で、未来への希望を求める人々を描いた巨編(上・中・下で約1,050ページ)です。 重層的で物語の奥行が深く、人物造形にも優れている作品だったので、読んでいるうちに、どんどん作品の中に引き込まれていき、登場人物の目線で物語が展開していく感覚で読み進めていくことができました… 『終章』では、辛いとか、哀しいというよりは、胸が苦しくなるような気持になり、「鬼熊」の母親に宛てた手紙や、少年兵「中村末松」の遺した押花帖が出てくる場面では、涙が止まりませんでした、、、 戦争は終わったのに、戦闘が始まる… この大いなる矛盾の中で、戦う兵、死にゆく兵、戦争の禍々しさと非情さ、そして愚かさに胸を打たれましたね。 終盤の戦闘シーンは、その少し前から登場していたソ連の現場第一線の兵からの目線で描かれているのですが、彼らもまた、終わったと思っていた戦争で、再び命を賭して闘わなければならないという矛盾を抱えながら行動しており、戦争というものの非情さや非人間的な部分が、巧く描かれていたと感じました、、、 この戦闘の矛盾を訴えた「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」の報告書には共感する部分が多かったですね… 略奪を目的とした大義なき作戦行為は、現場では誰も望んでいないんですよね。 不条理な戦争(戦闘)に、国土とそこに暮らす人々を守るために誇り高く戦った人たち… 軍人も民間人もそれぞれの誇りと愛するものを守るために戦ったんですよねぇ、、、 久しぶりに読書しながら泣いちゃいました… 涙が止まらないほど感動した、忘れられない作品でした。 以下、主な登場人物です。 「小松少佐」 大本営参謀。参謀本部編制課動員班の動員担当者 「甲斐中佐」 陸軍省軍事課員。参謀本部編制課に合流 「佐々木曹長」 盛岡聯隊区司令部第三課動員班長 「蓮見百合子」 盛岡聯隊区司令部の庶務係。岩手高女の女学生 「遠山敬一郎大佐」 盛岡聯隊区司令部司令官。地元の名士 「佐藤金次」 滝沢村役場の戸籍係兼兵事係 「勇」 滝沢村役場の給仕の少年 「片岡直哉二等兵」 東京外国語学校卒の翻訳書編集者。岩手県の寒村出身。 英語通訳として招集され占守島に向かう 「片岡久子」 片岡の妻。女子高等師範卒の文学書編集者 「片岡譲」 片岡の息子。国民学校四年生。信州に集団疎開しているが疎開先を抜け出す 「吉岡静代」 譲と同じ国民学校の六年生。信州に集団疎開している。譲とともに疎開先から東京を目指す 「小山雄一」 国民学校の教師。四年男子学級の担任 「朝井マキ子」 国民学校の教師。六年女子学級の担任 「岩井萬助」 渡世人。懲役に服していたが、召集のため放免される 「尾形貞夫」 片岡と同じ出版社に勤める、翻訳書出版部の部員。 警視庁で洋書や英文記事の検閲を行う 「尾形佐江」 尾形の妻。夫妻で久子の住まいに引っ越す 「野中良一」 久子の異父弟。フィリピンで戦死 「野中きぬ」 久子の母。久子の父親との離婚後、良一の父親と暮す 「安藤仁吉」 東京で岩手県出身者たちの面倒をみる篤志家 「菊池忠彦軍医少尉」 岩手医専卒の医師。東京帝大医学部に在籍。 招集されて占守島の軍医となる 「富永熊男軍曹」 盛岡のタクシー運転手。金鵄勲章を授与された軍曹。 四回目の招集で占守島へ向かう 「吉江恒三少佐」 第五方面軍司令部参謀。敗戦処理の任務を負う 「大屋与次郎准尉」 戦車第十一聯隊第二中隊段列長。旭川出身 「中村末松兵長」 戦車第十一聯隊第二中隊段列の少年兵。東京出身 「池田大佐」 戦車第十一聯隊長 「岸純四郎上等兵」 南方帰りの船舶兵。三陸の宮古出身 「工藤軍医大尉」 野戦病院の軍医。菊池の岩手医専での先輩 「渡辺中尉」 第九十一師団副官。札幌出身 「森本健一」 日魯漁業社員。占守・幌筵島の漁場と缶詰工場の責任者 「石橋キク」 缶詰工場で働く女子挺身隊員。函館高女の卒業生総代 「沢田夏子」 缶詰工場で働く女子挺身隊員。キクの同級生 「ヤーコフ」 占守島出身のアイヌ。色丹島の診療所で助手を務める 「池田大佐」 戦車第十一聯隊長 「アレクサンドル・ミハイトヴィッチ・オルローフ中尉(サーシャ)」 ソ連軍の将校。シベリアに住むコサックの子孫 「ボクダン・ミハイトヴィッチ・コスチューク兵長(ボーガ)」 ウクライナ出身のソ連兵
終戦間近の北の涯の島で起こったこと、初めて知った。戦争についてまだまだ知らないことが沢山あると気付く。 是非ではなく、少なくとも祖国の歴史を知ることが、未来に続く事だと思いたい。
戦争に巻き込まれた人たちの哀しい物語。 たくさんの登場人物の視点から、戦争の悲惨さ、理不尽さをあらわした物語です。 中巻では、集団疎開していた片岡の息子が同じく疎開していた年上の女の子と二人で、疎開先から脱走し、東京目指して歩いていくところが語られています。 その旅でのいくつかの出会いが語られてい...続きを読むます。 このトピックスを通して、疎開先での子供たちの苦悩が感じられます。 また、占守島の缶詰工場で働く女学生たちの話も出てきます。 当時の女学生達も含めて、当時の若者がある意味こんなにもしっかりした考え方をもっていたのかと感じさせられます。 いよいよ終戦に向けて、片岡が通訳者であること、菊池と鬼熊はそれを隠すためのダミーであること、終戦に向けて片岡を守る必要がることが段列長に明かされます。 また、ここでは、上巻の中でも語られていましたが、鬼熊の考え方がある意味ストレートで腹にしみます。 歴戦の勲章をもつ鬼軍曹でありながら、実はとても温かい人物であることが明かされます。 片岡、菊池、鬼熊、段列長、少年兵、女学生達がどうなるのか.. 下巻に続くです..
「戦争とは、生と死との、ありうべからざる親和だった。ただ生きるか死ぬかではなく、本来は死と対峙しなければならぬ生が、あろうことか握手を交わしてしまう異常な事態が戦争というものだった。」
上巻より濃い内容の中巻。驚くほど過激な浅田次郎節炸裂の、登場人物の言葉選び。 凄まじい戦時中の普通に生きている一般人と軍人の なんちゅーかもどかしいというか、どうにも出来ない現実の描写。 引き込まれていくように読むにつれ、眉間にシワが寄っていくような。 一億総玉砕というより全滅という言葉が何ともリア...続きを読むル。 やっとバラバラだった登場人物がパズルの様に繋がったかなぁーと。
終戦間際のギリギリ感を、疎開児童の目線、その後に及んで前線に召された兵士の目線などを通じて描かれる中巻。終戦を把握し、それに向けて静かに動き出した中枢陣。何も知らされないけど、希望とともに終戦を願う民間人の様子が、それぞれの本音・建前を通して見事に浮き彫りにされている。終戦をはっきり知らされたとき、...続きを読む件の人々はどうなるのか。北方領土では、引き続き終わらざる夏が戦われたのか。下巻に対する期待は膨らむ。
A 戦争を題材にした小説や手記を読むといつも思うことがある。誰が戦争をしたがっていたんだろうかと。上層部ほどこの戦争の大義がまやかしでしかないことはわかっていたであろうに。
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