浅田次郎のレビュー一覧

  • 月のしずく

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    浅田次郎さんの作品らしい7つの短編集。
    ヤクザ、中国人、不器用な男や女が登場し、男と女の関係がまずある。

    帯の題にもなっている「月のしずく」が一番だったかな。
    美人で次々と男を替えるような女性リエが、金持ちで妻帯者の男性と関係を結び、赤ん坊が出来る。
    当然の展開で、結局ケンカ別れになるが、たまたまその場面に出くわしたのが、中年の労務者辰夫。
    女性を介抱し小汚ない自分の家に泊めてあげるが、それまで彼女と関係を持った男とは異なり、女性のことを考えて手を出さない。
    彼女にとっては新鮮で、心が通うようにもなるが……。
    不器用な男の辰夫は、実にいい味を出している。
    彼女と関係を結ぶ男性とは真逆だ。

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    2023年07月20日
  • オー・マイ・ガアッ!

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    面白いです。現実にこんな事が起きたら、大変な事態ですが、これこそ小説という感じがしました、あり得ないけどあり得そうなストーリー。様々な登場人物が、全員キャラが濃い。さらに各々の事情が重なっているんですが、ごちゃごちゃせずにスッキリ読めます。最後の結末がとても気持ちの良い終わり方でした。

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    2023年07月16日
  • 蒼穹の昴(4)

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    蒼穹の昴①~④を読んで

     時代は他国から侵略され続け、過酷な状況を抱えた清国。西太后が実質の政権を握っていた。

    「春児、汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう。」
    「文秀、汝は学問をみがき知をひろめ、もって天下の政を司ることになろう。」

     占い師(白太太)のお告げを信じ、その道へ向かってひた走る文秀と春児。その真っすぐな気持ちと勇敢な姿に応援したくなる気持ちがこみ上げてきた。 

     春児は健気で愛くるしく、様々な人々から愛され、ついには西太后の目に留まる。
    しかし、そのお告げは真実ではなく、夢であると本人は分かっていた。

     文秀は、試験に合格し皇上にお仕えする立場まで上り

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    2023年07月15日
  • 鉄道員(ぽっぽや)

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    万感胸に迫る良作短編集。浅田次郎の旬は1990年代なのかも。
    「鉄道員」★★★★
    「ラブ・レター」★★★★
    「悪魔」★★
    「角筈にて」★★★★
    「伽羅」★★★★
    「うらぼんえ」★★★★
    「ろくでなしのサンタ」★★★★
    「「オリヲン座」からの招待状」★★★★

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    2023年07月15日
  • 鉄道員(ぽっぽや)

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    思えばはじめて読んだかもしれない、浅田次郎。
    もちろん「鉄道員」もいいのだけど、「うらぼんえ」と「ラブ・レター」が良かった。
    あとひと月でお盆が来る。時期ものだから皆読むといい。いい話だから。
    なんというか、むせ返るほどの直木賞作家。
    愛、死、仕事、親、そして恋。考えうる全ての武器を総動員して読み手を泣かせに来る姿勢は清々しさを感じる。変なひねくれが顔を出して「この程度で泣いてやるか」と思うけれども、いい話なんだよなぁ。

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    2023年07月11日
  • 赤猫異聞

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    明治元年、御一新直後の東京で大火が出た/ 小伝馬町の牢屋敷は囚人を解き放ち、消火後の帰参を待つ/ そこにおいそれと放てない事情を抱えた三人/ 親分に売られ身代わりに収監された深川一帯の大博徒、大政奉還後も官軍を斬って回った辻斬りの旗本次男、奉行所の悪事を知り尽くした夜鷹の元締め/ 珍妃の井戸よろしく浅田次郎らしいインタビュー形式/ 徐々に明らかになっていく火事のあと幾晩かの出来事/ めちゃくちゃ面白いし、東京に住むものとして東東京の当時の状況が非常に興味深い/ 合羽橋が新堀川の暗渠だなんて知らなかったし、浅草寺の東側が火除け地で飲食店は勝手に出されてあたりが繁華になったなんてのも知らなかった/

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    2023年07月05日
  • シェエラザード(上)

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    面白い。
    現代と敗戦が色濃くなって来た第二次世界大戦末期とを巧みに交差させ登場人物の苦悩と背景を描いて物語りを紡ぐ。
    戦時の描写は内容的にも表現にしても読み辛いのだが、それを踏まえてのストーリーであることを理解して、ここはひとつ修行として読んだ。この上巻では、まだやっと登場人物が出揃って謎が謎を呼んでいる段階ではあるのだが、下巻への期待は、空気をパンパンに吹き込んだ風船のごとく膨らんでいる。
    エンターテイメント作品としては十二分なスケールを持ち備えているように思うのだが映画化されてないの?

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    2023年07月05日
  • 鉄道員(ぽっぽや)

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    ネタバレ

    映画で話題になっていたから名前は聞いたことあったけど、短編とは思わなかった。
    昭和の気配を色濃く残す平成前期のお話。
    結論からいうと、「鉄道員」以外は全部良かった。
    「角筈にて」が特によくて、最後の主人公と父親が会話するところとか涙なしでは読めなかった。
    「魔王」「うらぼんえ」とタイトル出てこないけど、映画館の最後のお話も良かった。
    「鉄道員」も、その当時に読めば面白く感じたのかもしれないけど、2023年の令和の時代に読んでしまうとワンオペの悲劇って感じしかなくて、美談にすな、と少し腹が立つ感じすらした。

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    2023年06月30日
  • 一刀斎夢録 上

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    ネタバレ

    「糞袋」と言う割には結構人の事褒めるじゃないか、斎藤さん。

    浅田さんの本は壬生義士伝に続いて2作目だけど、昔の言葉使いなのになぜか読みやすいから不思議。

    所々に初めて知る事があって面白い。
    食事内容とか、お米に対する認識って今と違うんだなぁ。
    戦争もので兵站が大事と言ってるのは多いけど、具体的に書いてあるのは案外珍しいかも。

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    2023年06月28日
  • 三人の悪党~きんぴか1 完本~

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    ネタバレ

    3人の悪党という題名とは違っており、悪党は悪党でもそれぞれの正義があって、それぞれのやり方で実行していく3人の物語でした。それをまとめ上げているのが元刑事。型破りなこの刑事の存在があって3人が一つのチームになり、ある人からは悪事、ある人からは正義。とみられる行動を起こしていく。痛快でした。言葉遣いも3人とも違っているのが何とも面白かったです。映画になっても面白いだろうなと感じました。

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    2023年06月28日
  • 血まみれのマリア~きんぴか2 完本~

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    浅田節がいかんなく発揮されている。楽しそうに書いている浅田さんの姿が垣間見えて、グフっと笑いがもれる。

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    2023年06月24日
  • 蒼穹の昴(1)

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    初めて読むと思っていたが、読み始めて再読だと気付いた。ただ細かい所は失念していたので、初めての気持ちで楽しんで読めた。
    悪女の代名詞のような西太后の心の内が、気のいいおばちゃんのようで、色々想像できて面白い。

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    2023年06月16日
  • 輪違屋糸里(下)

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    新選組隊士たちの姿を彼らに近い女性たちの視点を中心に語らせながら(特に壬生の八木家のおまさ、前川家のお勝が多い)芹沢鴨暗殺の騒動を描く。
    上巻で隊士のルーツや背景などを永倉に語らせているのだが、新選組初心者がいちいち躓き調べながら読んだのでめちゃくちゃ時間がかかってしまい。しかも史実と比べたりしてしまったのでとてもドラマティックなのにのめり込むようには読めなかったのが残念。
    八木家のおまさがけっこう好きなキャラクターだった。糸里をタイトルにしている割には出番が少ないような…芹沢はどうにかならんのか(良い方に)?ばかり考えながら読んでいた。
    シラフ時は侍然としているが酒が入れば乱暴者の姿。人斬り

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    2023年06月15日
  • 大名倒産 上

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    映画化になると聞いて読みました。
    昔の語り口調で、全て理解するのは少し難しかったですが(私の不勉強)、全部コメディというイメージとは違った印象でした。
    映画化みたいです!

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    2023年06月11日
  • 日輪の遺産

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    場面の変化が激しいので、少し落ち着かないところがあったけど、訴えるものは伝わって来ました。最期の終章は、やはりとても切なく悲しい話でした。大人にしてあげたかったです。

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    2023年06月07日
  • 中原の虹(1)

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    ~23.05.27
    新キャラ登場。李兄弟がどうなるのか。張作霖、名前は知っているぐらい。
    今後の展開が楽しみ。

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    2023年05月27日
  • 流人道中記(下)

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    ネタバレ

    「武士とかクソだし、固執するのもクソだからとりあえず家つぶすわ」ってことでいいんだろうか?
    私も乙次郎と同じで、もう少し他にやりようはなかったのか、と思うんだけど、300年ですっかり膠着してしまった世の中では無理か…となった。
    玄蕃も気になるけど、乙次郎が江戸に帰ってどうするかが気になった。(というか玄蕃いなくてちゃんど江戸まで帰れるんだろうか…)
    あともう少しで幕末だ!頑張れ!とナゾのエールを送りたくなったw

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    2023年05月24日
  • 鉄道員(ぽっぽや)

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    あの鉄道員がまさか短編とは、、、!
    短くても時代背景とか人物描写とか丁寧に表現されてて、あの名作映画ができたんだなぁと思うと感慨深い。読んでよかった

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    2023年05月24日
  • 大名倒産 下

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    一番印象が強かったのは、旗本の番頭頭、小池越中守の塩引鮭への恋焦がれ。和泉守の兄の岳父となった経緯から、越後丹生山に同行。
    面白可笑しい文章だけど、下卑た処がない。不思議な品がある。こういう文を浅田先生以上に書ける人がいるだろうか。

    その他の登場人物では異母兄のきさぶ様、異父兄の平家琵琶の名手の正心坊、大黒屋、鴻池、仙藤たちの商人たち、配下の武士たち、その他諸々。
    25万両の借財はそうは簡単に片付かないだろうと思ったが、まあチョッと荒業かな。

    七福神、貧乏神、死神も結構、内実を露わにしてたけど、映画でもこの神様たちも登場するのかしら。

    やっぱり、ときどきは浅田先生の文に触れないとね。

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    2023年05月24日
  • 流人道中記(上)

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    ネタバレ

    浅田次郎さん2冊目。
    最初の「序」は言い回しとか役職とかがめっちゃ難しくて、読み切れるかなと不安になったけど、「一」で現代風(?)に読みやすくなったのでホッとした。
    主人公がの乙次郎はクソ真面目だけどいい子で、思わず応援したくなる。
    流人(?)の青山玄蕃との掛け合いも面白く、下巻が楽しみ。

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    2023年05月23日