【感想・ネタバレ】一路 (上)のレビュー

あらすじ

失火により父が不慮の死を遂げたため、江戸から西美濃・田名部郡に帰参した小野寺一路。齢十九にして初めて訪れた故郷では、小野寺家代々の御役目・参勤道中御供頭を仰せつかる。失火は大罪にして、家督相続は仮の沙汰。差配に不手際があれば、ただちに家名断絶と追い詰められる一路だったが、家伝の「行軍録」を唯一の頼りに、いざ江戸見参の道中へ!

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Posted by ブクログ

最初は言葉遣いや単語に慣れずに読みづらかったけれど、乗ってくるとあれよあれよと読み進められて、なんと面白い!!!小説を読みながら声に出して笑うなんてそうそうないことだと思う。そして同じように泣ける。
早く下巻が読みたい。

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2023年04月24日

Posted by ブクログ

おもしろい。

時代ものを読み慣れていなかったので
最初の数ページは心が折れかけたが、
その後はスルスルと読み進められる。
さすが浅田次郎…

中山道を旅したくて堪らなくなってきた。

1
2023年01月09日

Posted by ブクログ

一人一人のキャラクターが出張っているのに嫌味がなく輝いている。コメディなのに感動したり泣いたり笑ったり…
ハッ!!コメディだからか!
上巻でもう充分に引き込まれた。
福田監督あたりが勇者ヨシヒコみたいにドラマ化したら最高だろうな。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

いざ、江戸見参の道中へ-。小野寺一路、19歳。父の不慮の死を受け、御供頭を継いだ若者は、家伝の「行軍録」を唯一の手がかりに、江戸への参勤交代を差配する。

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

書店でこの本を見かけたとき、読んでみたい!って思ったものの、浅田氏のあまりの出版本の多さに、職業小説の大量生産本は内容がスカスカなのが多い、特に今では東野氏がそうであるようにこれもまた...などと食わず嫌いが発動してなかなか手にすることなく年月を経た。母が亡くなりその遺本を整理しているところに現れたのがこのタイトル、母も読んだのかと感慨深くなりようやく手にしてみると...
なんでこれもっと早く読まなかったんだ!って後悔しかない。これは時代小説のドラゴンクエストである。主人公が崖っぷちの窮地に追い込まれた状態から秘伝を元に、旅しながら仲間を集め難題をクリアしていく物語。まさに血沸き肉躍る活躍劇を読んでいる心地である。
文中のセリフを読んでいると、あれ?っと気づく。そう、絵巻のような表紙をよく見ると、文中に現れる人物とセリフがそのまま描かれているので思わずにやける。上巻下巻とあり、それぞれの宿場までの道のりが書かれているから物語を読み進めながら表紙をちらちらと確認し、ああ、行程がこの辺まで進んだのだなぁと二度楽しめる。職業小説と蔑んだ自分を反省する。今年最初の大金星だった。現代小説は根暗で鬱じみた主人公や気分の悪くなる内容ばかりなので、こうしてたまに時代小説を挟むことで勧善懲悪、鯉の吹き流しのようなさっぱりした話が多いからハマるのがわかる。
下巻が楽しみ!

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2024年01月16日

購入済み

長野県人には特にお勧め!

先日、木曽へ行って来たばかり。
杣人(そまびと)とも出会い、話を伺い、霊峰御嶽山を拝み、急峻な木曽川で身を清め、暖かな湯でほぐれたばかり。

その木曽の場面の手に汗握るや!!

中山道の旅路がどのようなものか、見事な筆致からあたかも体験してるかのような気分に。



出版ばかりの時は買ってしばらく置いておいたものの、たまたま読み始めたら素敵な時間を過ごすことができた。

下巻も一気に読むと思う。

#胸キュン #感動する #ドキドキハラハラ

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

「浅田次郎」の長篇時代小説『一路〈上〉〈下〉』を読みました。

『終わらざる夏』、『残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉』、『王妃の館』に続き、「浅田次郎」作品です。

-----story-------------
〈上〉
父の急死により家督を相続、交代寄合蒔坂家の御供頭として、江戸への参勤行列を差配することになった「小野寺一路」、十九歳。
家伝の『行軍録』を唯一の手がかりに、中山道を一路、江戸へ――。
「浅田次郎」がおくる、時代エンターテイメント。

〈下〉
中山道を江戸へ向かう「蒔坂左京大夫」一行は、次々と難題に見舞われる。
中山道の難所、自然との闘い、行列の道中行き合い、御本陣差し合い、御殿様の発熱…。
さらに行列の中では御家乗っ取りの企てもめぐらされ―。
到着が一日でも遅れることは御法度の参勤交代。果たして、一路は無事に江戸までの道中を導くことができるのか!
〈解説〉「檀ふみ」
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「中央公論新社」の総合雑誌『中央公論』の2010年(平成22年)1月号から2012年(平成24年)11月号に連載された時代小説、、、

第3回「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞した作品… 観てはいませんが、2015年(平成27年)にはNHK BSプレミアム『BS時代劇』にて「永山絢斗」主演でテレビドラマ化されているらしいです。

 ■其の壱 御発駕まで
 ■其の弐 左京大夫様御発駕
 ■其の参 木曽路跋渉
 ■其の四 神の里 鬼の栖(すみか)
 ■其の五 風雲佐久平
 ■其の六 前途遼遠
 ■其の七 御本陣差合
 ■其の八 左京大夫様江戸入
 ■地図 蒔坂左京大夫参勤行列が歩んだ中山道
 ■解説 「一路」の一所懸命 檀ふみ

1862年(文久2年)師走、参勤交代の全てを取り仕切る供頭(ともがしら)「小野寺家」の嫡男で19歳の「小野寺一路(おのでら いちろ)」は、国元、西美濃田名部郡の屋敷で父親が失火で命を落としたとの報せを受け、急きょ田名部へ戻る… 田名部の地を治める「蒔坂左京大夫(まいさか さきょうのだいぶ)」は無役の旗本で、石高は7500石と決して多くないが、大名と同等に扱われる交代寄合表御礼衆を務めるため、隔年の参勤を果たさなければならなかった、、、

殿様からの拝領屋敷を焼失したという大失態は家名断絶にも等しい不祥事だったが、参勤の出立が間近に迫っていたため、重臣の「蒔坂将監(まいさか しょうげん)」や家老の「由比帯刀(ゆい たてわき)」の口添えにより、一路は家督を相続し供頭としての務めを果たすこととなった… しかしながら、一路は江戸で生まれ育ち田名部の地を知らないだけでなく、まだ若く現役だった父から仕事について何も教わっていなかった。

焼け跡から見つかった文箱から、先祖が記した約230年前の参勤の記録「行軍録」を見つけた「一路」は、古すぎて参考にならないと一度は諦めかけるが、旅籠で出会った易者の助言で、時代を経て省略されてきた古式床しい行列の作法を復活させようとする… 親戚からも家中の仲間らからも徹底して協力を拒まれる中、仕立てた羽織一式を人目を忍んで届けてくれた許嫁の「国分薫」に初めて会う、、、

つつがなく務めを終えるようにと祈ってくれた美しい「薫」に心を奪われた一路は、行列を何事もなく成功させ、その暁には「薫」を娶りたいという思いを一層強くさせる… 行列に不手際があればお家取り潰しは確実、古文書の「参勤交代は行軍、戦そのものである」との言葉を胸に、背水の陣の覚悟で臨み、一所懸命におのれの本分を全うしようとする「一路」に、真冬の中山道の難所が立ち塞がり、難題は次々と振りかかる。

雪深い峠越え、殿様の発熱による到着の遅れ… そして、何よりも重大な難事は、「将監」らが主君「左京大夫」の命を狙う陰謀を企てていることだった、、、

いやぁ… 久しぶりに時代小説を読みましたが、笑えて、泣けて、面白くて、感動できる、そんな魅力たっぷりの作品でしたね。


父親の急逝により、参勤交代の全てを取り仕切る供頭という大役を任されることとなった若侍の「一路」が人間として成長する姿、一所懸命に自らに与えられた役割を全うしようとする姿に感動できたし、

「一路」が古式床しい行列の作法を復活させようとすることに応え、御殿様を支えよう・守ろうとする行列関係者たちの和や絆… 忠義・忠節を重んじる考え方に共感したし、

私利私欲のために主君「左京大夫」の命を狙おうとする「将監」等の謀略が、物語に冒険活劇要素を加え、懲悪勧善的な面白さが愉しめたし、

「左京大夫」の、うつけ・馬鹿呼ばわりされても、愛すべき田名部の民のことを常に考えて行動・判断する姿に魅力を感じるし(江戸屋敷留守居役で老齢の「楢山儀右衛門(ならやま ぎえもん)」も同じような魅力を持っていましたね)、トップとしての苦悩も巧く描かれていて、奥の深い重層的な物語に仕上がっていると感じました。

時代小説も面白いですねー


以下、主な登場人物です。

【蒔坂家(田名部)】

「小野寺 一路(おのでら いちろ)」
 参勤道中の全てを取り仕切る供頭を代々務める小野寺家の嫡男。19歳。
 江戸で生まれ育ち、故郷というべき田名部にも一度も帰ったことがなく、
 父・弥九郎から仕事について何の引き継ぎもしていなかった。
 北辰一刀流の免許皆伝、東条学塾の塾頭まで務めた穎才。

「蒔坂 左京大夫(まいさか さきょうのだいぶ)」
 蒔坂家39代当主、14代左京大夫。西美濃田名部郡を領分とする7500石の旗本。
 交代寄合 表御礼衆。
 江戸在勤の折は、3日と開けず芝居に通い、
 過去には役者の出待ちをしているところを町方に見つかり謹慎処分を下されたこともあるなど、
 「うつけ者」と見なされている。

「国分 七左衛門(こくぶ しちざえもん)」
 勘定役。薫の父。小野寺弥九郎とは昵懇の間柄だった。

「国分 薫(こくぶ かおる)」
 七左衛門の娘。
 一路とは親同士が決めた許嫁で、一路は顔も知らなかったが、美しい顔立ちで、
 皆から冷たくされる中、道中羽織を仕立てて忍んで旅籠まで届けてくれた。

「栗山 真吾(くりやま しんご)」
 供頭添役。
 前年の秋に父が卒中で急死し、
 一路と同じく仕事の引き継ぎを全くやっていない状態で参勤に挑む。

「佐久間 勘十郎(さくま かんじゅうろう)」
 蔵役。
 前年までは30人徒士の行列だったため参加したことはなかったが、
 一路が取り仕切る今年は50人となったため、駆り出され、
 派手な衣装を身に着けて道中先触れを務める。
 おつむの足らない武辺者とされているが、面倒な世事に関わらないために、
 あえて馬鹿なフリをしている向きもある。

「矢島 兵助(やじま ひょうすけ) / 中村 仙蔵(なかむら せんぞう)」
 10俵3人扶持の組付足軽。同い年の従兄弟同士。
 兵助は「猿(ましら)の兵助」の異名を取るほど身軽。
 7つ下の真吾とは又従兄弟で、子供の頃からひ弱でいじめられっ子だった真吾を気にかけてきた。

「蒔坂 将監(まいさか しょうげん)」
 左京大夫の後見役、叔父(正しくは先代の従兄弟の子)。
 男子に恵まれなかった先代左京大夫の養子に入った矢先に、
 側室が懐妊し当代が生まれ、廃嫡された。
 当代からは実の兄のように慕われている。

「由比 帯刀(ゆい たてわき)」
 蒔坂家家老。

「伊東 喜惣次(いとう きそうじ)」
 側用人。
 長年、将監の元で禄を食んできたため、左京大夫より将監に忠義が深い。

「ぬい」
 左京大夫の側室。将監の娘。左京大夫からは内心では嫌われている。

「辻井 良軒(つじい りょうけん)」
 医師。大坂の適塾で蘭方医術を修め、先年の夏に召し抱えられた。年は27、8。
 将監と帯刀にお家のためと騙され、一路の父と七左衛門に毒を持ったが、
 うつけ者呼ばわりされている左京大夫の真の聡明さに気付き、
 医師としての本分を全うしようと思い直す。


【行列関係者】

「空澄(くうちょう)」
 田名部陣下の浄願禅寺の住職。
 弥九郎の死後、江戸までの道中を往復し、行列の出発後は先行して一路の助けとなる。

「朧庵(ろうあん)」
 田名部のほとんどの宿で投宿を断られた一路が、
 街道の端の博打場も兼ねる旅籠で出会った道中筮(易者)。
 一路の面相が大変優れていると褒めちぎり、
 参勤道中についても庶民の立場からの忌憚のない意見を伝える。

「丁太(ちょうた) / 半次(はんじ)」
 筋骨隆々の双子の馬喰。
 行列の先頭で家康から下賜されたと伝わる朱塗りの槍を持つ役目を任せられる。

「新三(しんざ)」
 髪結い。鼻筋の通った細面の顔立ちに、剥いたゆで卵のような肌をしている。
 一路に腕を見込まれ、道中髪結いとして行列に付いていく。

「ブチ」
 丁太と半次が市場で売り切れなかった斑馬。殿様の替え馬となる。

「白雪(しらゆき)」
 殿様の愛馬。名前の通り、白雪のように美しい白馬。何度も参勤道中を経験した老馬。


【中山道中の人々】

「スワ」
 馬籠宿で生まれ育った。
 前年の暮の大火事で両親を亡くし、スワは庄屋に、6つになる弟は中津川の遠縁に引き取られた。

「檜山 角兵衛(ひやま かくべえ)」
 福島関所番頭。
 与川崩れを迂回せずに渡ったという一路の言を信じなかったが、現場を見て変心し、
 行列が谷に捨てざるを得なかった宝物類を拾い集め、宿場まで届けた。

「大賀 伝八郎(おおが でんぱちろう)」
 下諏訪宿の宿場役人。
 幕閣に参与していた主君、諏訪因幡守の小姓として江戸詰めだったが、
 5年前、20歳の時に、父の急逝に伴い、宿場役人の家督を継いだ。
 「鬼の栖」の異名を取る和田峠を急ごうとする一路を諌める。

「内藤志摩守 正誠(ないとう しまのかみ まさあきら)」
 信州佐久郡岩村田藩1万5千石の当主。17歳。奏者番。
 10歳の時に父が自害したため、若くして祖父の跡を継いだ。
 内藤家と蒔坂家は江戸の本所屋敷が隣同士で交誼が深く、
 病に臥せていた先代が左京大夫に正誠の行く末を託し、
 自身も幼くして家督を継いだ左京大夫は兄のように正誠を導いた。
 血筋及び先代である祖父の功績により、父祖代々の念願であった築城を許され、
 陣屋大名から城主大名になったことで、ふてぶてしい態度が一層悪化した。
 家督を継ぐ前の名は「?一郎(ひいちろう)」。

「浅井 条右衛門(あさい じょうえもん)」
 内藤家家臣。軽々しい言動が多い正誠を諌めるが、聞き入れられない。

「乙姫(おとひめ)」
 加賀藩前田慶寧の才色兼備の妹。
 実母ではないが、父の正室は11代将軍・家斉の娘。国元で育ったが、
 輿入れに相応しい年齢(16歳)になったため、江戸下屋敷へ移り住むことになる。
 行列は300人余に達し、速度も遅いため、
 時には休憩や見物を兼ねて渋滞した後ろの旅人らを先に通らせる。
 蒔坂家が早駆けで行列を追い抜いていった際、一路に叶わぬ恋をし、身に付けていた簪を与える。

「鶴橋(つるはし)」
 乙姫のお付女中。
 女としての幸せ(=恋が成就すること)を体験できないまま老境を迎え、
 乙姫の叶わぬ恋をせめてもの思いで応援する。

「板倉主計頭 勝殷(いたくら かずえのかみ かつまさ)」
 上野国安中城主。42歳。
 武芸の基礎は駆け足であるとの信条の持ち主で、自分や家来はもちろん、領民にも駆け足を奨励する。
 先代の頃から始まった、
 城下から碓氷峠頂までの7里を走って往復する「安中の遠足(とおあし)」は名高い。
 口癖は「よおっし!」。

「根本 国蔵(ねもと くにぞう) / 石塚 与八郎(いしづか よはちろう) / 海保 数馬(かいほ かずま)」
 安中藩家来。走術の免許皆伝、直近の遠足で好成績を残した3人の武士。
 「風陣の秘走」で、左京大夫の発熱による江戸到着遅延の知らせを、
 松井田から江戸表までの32里を三刻半で届けるよう命じられる。

「ひぐらしの浅(あさ)、又はひぐらし浅次郎(あさじろう)」
 その日暮しの博打打ち。色男。
 元は田名部生まれの武士で、郡奉行を務めていた父があらぬ罪を被せられ、一家もろとも放逐された。
 遠縁を頼って、隣国彦根で田畑を買ったが、父母は流行病で死去。
 秋の終わり頃に、浅次郎の恩人である貸元の親分が、
 彦根を訪れた七左衛門から将監一派の企みと行列の助っ人になってほしい旨を依頼され、
 将監は浅次郎の親の仇も同然だからと任される。
 父から「田名部と関らぬよう」言い残されているため、煩悶する。

「黒岩 一郎太(くろいわ いちろうた)」
 牧野家の道中供頭。19歳。急な卒中で昏倒した父親に代わり、供頭の大役を初めて任される。
 父から役目の引き継ぎもしていなければ、道中にお供したこともなく、父は卒中で口が利けない、
 頼みの綱の添役は、前任者が尊皇攘夷にかぶれて出奔したため代役であるという、
 一路と似た境遇の持ち主。

「牧野遠江守康哉(まきの とおとうみのかみ やすとし)」
 信州小諸藩1万5千石藩主。井伊直弼の肝煎りで若年寄に抜擢されたが、
 桜田門外の変後に罷免された。
 3年間の激務がたたって体を壊し、領分で死にたいという意思を公儀に認められ、
 小諸へ戻る途中、深谷宿本陣で田名部と差し合い(宿泊藩が重複すること)になる。

「井上河内守(いのうえ かわちのかみ)」
 寺社奉行。氷川神社参拝の折に左京大夫と行き合う。

「海老沢 吉三郎(きちざぶろう)」
 大宮宿代官支配の公事方手付(領民の揉め事を裁量し、領内の治安に携わる助役)。
 代官の留守中に氷川神社の参道で蒔坂家家来2名が討死する事態に見舞われる。


【江戸の人々】

「すず」
 左京大夫の正室。笑顔が地顔。
 歴代の妻は高家や同格の交代寄合、大名家から輿入れする倣いだったが、
 実家は1200石の両番筋、父親は書院番組頭。
 向島の下賤な出会茶屋で逢瀬を重ねていたが、妊娠していることが分かり、
 父が蒔坂家に乗り込み祝言を上げた。
 決して美人ではないが、見ようによっては美しく、使用人たちとともに台所で立ち働き、
 子育ても人任せにしないため、家中では大変人気がある。

「楢山 儀右衛門(ならやま ぎえもん)」
 蒔坂家江戸屋敷留守居役。77歳。

「せつ」
 一路の母。

「神崎 又兵衛(かんざき またべえ)」
 すずの父。作事奉行。左京大夫が最も苦手な一人。
 蒔坂家の行列が江戸に到着したのと同日、大目付(諸大名の監督)への昇進と、
 道中奉行兼任の内示が下る。

「松平豊前守(まつだいら ぶぜんのかみ)」
 老中。丹波亀山藩5万石の藩主。
 楢山儀右衛門とはかつて寛永寺の茶会で知り合って以来、茶の道の師と仰いでいる。

「徳川家茂(とくがわ いえもち)」
 将軍。優秀な人材を求めて、左京大夫の真の姿を御庭番に探らせる。
 左京太夫が江戸に到着した日、おしのびで市中へ行き彼の様子を見つめていた。

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2023年02月28日

Posted by ブクログ

初っ端から最悪の境遇に陥った主人公。
なのに語り口調が軽くて所々笑える言い回しが沢山あって重くならない。
それどころか声を出して笑っちゃった!
これは笑い一辺倒かと思えばポンっと胸にくるシーンが入ってきたり。
ギャグもシリアスもくどくなく、とても読みやすい。
下巻にも期待!

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2022年12月13日

Posted by ブクログ

私はこの大ヒット時代小説を、audiobook のアプリ、耳読書で味わった。
今回は落語家林家たけ平氏。
天下一品の朗読で、「一路」という名作を
さらにさらに味わい深い
素晴らしい旅に連れて行ってもらった。

はじめ傍観者の私も
いつしか参勤道中を一緒に歩き、何がしかの荷を担ぎ、
「セイセイ、ドウドウ」と声を上げ、
日本人の心の原点、ここだここだと強さと優しさを堪能した。

久しぶりに手放しで楽しんだ作品だった。よかった!

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2021年08月19日

Posted by ブクログ

この作品、漢文や長ったらしい武士の役職名が結構出てくるので、読みにくいかなぁっと思っていました。でもやはり浅田次郎作品は、読み始めると、面白くて読むのをとめるのが惜しいくらいでした。参勤交代が話の中心で、当時の時代とはこのようなものなのかなと勉強になることも多かったです。

なんといっても、人物の表現が本当に興味深く、どの登場人物をとっても、それぞれの場面で笑いあり涙ありです。
この(上)ではお店の店主のお婆さんは面白かったです。また、一直線に頑張る主人公と、それを周りの人々が応援する姿がこの本で一番感じる部分でした。

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2020年12月20日

Posted by ブクログ

江戸時代の参勤交代のお話。教科書に出てくるような有名人は登場しないけど、これはこれでとっても面白い。時代小説というのかな。ストーリーに引き込まれます。

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2020年08月01日

Posted by ブクログ

「参勤交代之御行列は行軍也」という参勤道中心得という古書を元に昔のスタイルで参勤交代してしまうという話しです。コメディです。馬がしゃべります。次から次へと災難が降ってわいてきて、悪役はいかにもという感じで、物語は進行していきます。浅田さんの作品は人の情に訴えかけてくる形の作品が多く、この作品もそうでした。雪山の行軍が印象深い。

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2019年07月19日

Posted by ブクログ

BS時代劇で見て以来、読むつもりで手に入れて、ずっと積読だった本を満を持して読破。
途中整然とした参勤行列に驚嘆する場面が出るが、その理由がなかなか出てこないのでやきもきした。「浅田次郎で?いやまさかそんな……」と心配していたが、きちんと回収してくれたので安心した。
上下巻なので前半である本作はのんびり気味。でも転は本作の中にあり、今後どうなるのか期待させる内容。参勤行列の威容を思い起こさせる文体はゾクゾクするほどで、読んでいて清々しい。後半も楽しみ。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

徳川幕府が治め、200年以上経った太平の世の参勤道中のドタバタ劇と思いきや…!教科書で形式的に知っていた参勤交代が、様々な人間模様の延長線の物語となっていて、参勤道中がどんなものだったか思いを馳せることもできるし、手にとった時には予想もしていなかった展開となり、続きが楽しみ!

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2025年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

西美濃田名部郡を領分とする旗本、蒔坂左京大夫の参勤交代で御供頭を務める小野寺一路のお話。江戸生まれの江戸育ちで、お役目について急逝した父親からは何も引き継ぎされていなかったが、実家の焼け跡から先祖が残した行軍録を発見し、それに倣って江戸へ向けて出発する。しかしお殿様の後見役である蒔坂将監のお家転覆の計略もあり、気が抜けない状況。とにかく面白い!すぐに下巻に取り掛かる。

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2024年09月19日

Posted by ブクログ

浅田さんというと、「泣かせ」の名手というイメージがあった。本作を通して「笑わせ」の技倆も天下一品、軽妙洒脱な一面もあるのだな、と感心した。

時代小説が好きでよく読むが、何が楽しみかと言うと、やはり臨場感を味わえることだ。当時を生きた人々の思想や行動の背景を知り、世相を追体験し、「かつての日本」に没入できること。
本作にもやはりそのような臨場感があるのだが、今までにない「共感」も覚えた。
たとえば、主人公・一路の御供頭という役割。これは、いわゆるプロジェクトリーダーだと思う。スケジュールを組み、メンバーの進捗を管理し、対外的な交渉を担ったり、予期せぬトラブルに対処したりして、チームをゴールに導く仕事だ。
すると、先輩(父)からハウツーの一切を学べぬまま、いきなりリーダーを任されることになった一路の心細さや不安は、とてもよく理解できる。

ビジネスパーソンならば、本作の登場人物の心情に共感する場面はかなり多いだろうと思った。
時代小説というジャンルに留めてしまうには本当にもったいない、幅広い読者から愛される作品だと思う。

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2024年02月16日

Posted by ブクログ

4.0 最近嵌まっている時代小説。江戸時代の参勤交代の話し。コメディ要素あり、ミステリ要素あり。なんとも贅沢なお話しです。

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2023年11月20日

Posted by ブクログ

参勤交代の顛末記が続いて、これ以上読み進むのは無理かなと思ったが、意外な展開になって面白くなった。下巻が楽しみです。

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2023年07月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一路(いちろ)という名の実直な主人公が、強運と周りの人に助けられ、権謀術数渦巻く中での参勤交代という困難を一つ一つ乗り越えていく話。もちろん悪役はいるが、主人公の周りの人間が気持ちの良い人達ばかりなので読んでいて気持ち良かった。★4

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2022年07月18日

Posted by ブクログ

序盤から中盤は文体と登場人物の多さから、読み進めることが難しかったです。しかし、後半から物語が動き始め、徐々に面白くなってきました。下巻に期待!

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2022年04月16日

Posted by ブクログ

この厚さ二冊、読めるかな?
読めました。するする読めました。

人が動くのは、人の熱さに吸い寄せられるから?

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2021年10月09日

Posted by ブクログ

まだ「上」のせいか、いつもの感動までには至っていませんが、楽しく読みました。これから「下」で、じわじわと心を揺さぶれるのかなという気がします。

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2021年04月11日

Posted by ブクログ

初めて浅田次郎の本を読んだ。さすが有名人気の作家。読みやすく面白かった。主役でない主人公が題材でも、人気作家にかかればこんなに面白いのかと。それでいて、将軍は将軍たる素晴らしさを描けている。一所懸命。一路。私とは縁遠い…

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2020年08月03日

Posted by ブクログ

浅田次郎さんって時代小説も書くんだ!?と興味を抱き、読んでみたいなぁと思っていた作品でした。
『参勤交代の御共頭』という職にスポットを当て主役にしたもので、凄く趣があり、読みはじめから引き込まれました。参勤交代の御行列が出発するまでの話もぬかりなしで、読んでいるこちらも「準備万端、いざ出発!」といった気分にさせられました。
いよいよ江戸へと出発した参勤行列の道中ですが、一難去ってまた一難、次は何が起こるの?ってドキドキしますが、凄く面白いです!
主役の一路をはじめ、次々といろんな人物が登場するのですが、登場の描き方がさすが浅田先生なのでしょうか?皆印象に残り、「えっと、誰だったっけ?」とページを振り返ることなく読み進める事ができます。
個性が強く面白いキャラクターも登場し、一路が覚悟を持って差配し、常に緊張を持って進んで行く物語なのに、数々のユーモアも描かれていて、凄く面白いです。
一路率いる参勤行列のご一行は、無事に江戸へと到着できるのでしょうか?
下巻にも期待です。

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2020年07月20日

Posted by ブクログ

江戸末期を舞台に参勤交代の仕切り役である御供頭を主人公として、武士の生き様を描いた作品。
若い主人公が、父からの引き継ぎも無いまま、重責を全うしようと奮闘する物語。
ロードムービーなのだが、浅田次郎の作品に特有の人情話が盛り込まれ、笑いあり涙ありのストーリーに。久々の浅田作品に満足。

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2019年12月17日

Posted by ブクログ

時代小説(と呼ぶべきものかはわからないけど)久しぶりに読んだので、最初はあの独特の昔っぽい言い回しになれなくて疲れた。
でも物語の中で起きていることは明らかに面白くて、移動時間を常に楽しみに。
少しずつ読み進めて、一路たちが少しずつ江戸に向かうさまを私も体感した。

それにしても、昔の人は美学の癖が強い。
ほぉ、そう解釈しますかと。
私は今の時代においても、正直先輩とか後輩とかどうでもいいと思ってしまうタイプなので、
この時代のお殿様だからなんとかとか、大名の方が上だからなんとか、みたいな論理は意味がわからない。

でもなんかそれが美しいとされるのだ、ここでは。

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2019年07月27日

Posted by ブクログ

ザ、浅田次郎。
準備面白く引っ張るかと思ったら
いきなりお殿様になってちょっと肩透かし。
お殿様と言えば一番の傑作、
星新一の殿さまの日がまた読みたくなった。

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2019年05月20日

Posted by ブクログ

 参勤交代のかくも厄介なこと……この作品に限らず、参勤交代を題材にした物語を読むにつけ、当時の苦労がしのばれます;
 浅学な頭には馴染みがない言葉が頻出してさぞ読みにくいかと思いきや、話はテンポがよくコミカルなので、存外軽快に読み進められます。個性的な面々や、やや無理がありつつも勢いのある展開に楽しませてもらいつつ、押さえるところはきちんと押さえて胸にグッとくるあたり、さすがの浅田さん。ますます盛り上がってくるだろう下巻に期待です!
 ところで、読んでいる間はカバーをかけていたので気付きませんでしたが、この文庫の装丁イラスト、めっちゃ良いですね……! 作中の台詞が載っているので、うっかりネタバレにならないよう、下巻も読み終わるまでカバーをかけっぱなしにしておかねば(笑)

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2019年03月07日

Posted by ブクログ

参勤交代で中山道を江戸に向かう架空の旗本一行の道中を描く小説。最初は文体に慣れず、なかなか国元を出発しないなあとイライラするが、次第にそれにも慣れ、登場人物が頭に入ってくると俄然面白くなった。

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

父の急死により、参勤交代供頭を勤めることになった小野寺一路。
だが、話はとんでもない方向へ進んでいく。
参勤交代は、無事に江戸まで辿り着けるのか。
笑いも涙もごちゃ混ぜにの浅田節全開のストーリー。

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2020年04月18日

Posted by ブクログ

気軽に楽しく読めました。参勤交代について歴史の授業以上のものを知らなかったのでそこは新鮮。内容としては暇つぶし的なものでしたが

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2019年07月21日

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