あらすじ
「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」吉原の年増女郎・ミノにふってわいた結婚話。しかし、身に余る幸せに浸る間もなく、思いもかけない真実が叩きつけられる。ミノが選んだ道とは…。過去をかかえた女の、哀切あふれる恋を描いた表題作「月島慕情」。ワンマン社長とガード下の靴磨きの老人の生き様を描いた、傑作「シューシャインボーイ」。ほか、市井の人々の優しさ、矜持を描いた珠玉の短篇集。著者自身が創作秘話を語る「自作解説」も収録。
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供物と雪鰻とシューシャインボーイが、心に残った。
自分とは全く関係ない(わけでもない)台詞が、妙に突き刺さったり身につまされたりして、短い物語から読み解くものが多くておもしろい。
供物は、クソみたいな男のせいでしなくていい思いを死んでまでさせる酒乱クソ亭主。置いていかれた息子目線の物語を想像するとこれまた居た堪れない。
雪鰻の一文、赤紙一枚で引っ張られた、親も子も妻も恋人もいる、百姓やサラリーマンや、豆腐屋の店員や銀行員や、魚河岸の若い衆や市電の運転士や、大工や左官やカメラマンや学生だった。彼らはみな、それは悩み苦しみ、憎悪し懐疑もしただろうが、しまいにはささやかな納得をして、潔く死んでいった。
現実にそういう先人たちが居たことを絶対に忘れてはいけない。
シューシャインボーイで心に残った台詞、だったら二度忘れりゃいい。
逃げないでよ。
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初 浅田次郎 作品
人には人生がある、それが気持ち、思い、生、過去と情に満ちた作品で、人の尊さ、人生の疎ましさがとても心に沁みた
なんて素晴らしい作品なんだろうと
我が弟から頂いた本、ありがとう!
ありがとう、浅田次郎さん!
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作者自身による自作解説が面白い
私はとっても行きなそこに総出やりまして、明治30年の鳥の生まれの人でありました。チャキチャキの江戸っ子です
私は酒を飲みません、一滴も。一滴も飲まないから酔っ払らいウォッチゃーなんです。一滴も飲まない人は、酔っ払いをよーく見ているんですよ
自分の今生きている神神そうやって確認していくと言うのは、人間として必要不可欠な考え方ではなかろうかと思います
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「まがいものの幸せはいらない。ばかやろうでいい。」
大正ロマンな短編集。
これでもかというくらいに浅田次郎。
月島慕情、雪鰻、シューシャノンボーイが好きでした。
月島の地名の由来がなんともセンチメンタル。
阪急電車の次に読んだのもタイミングがよかった。
東も西も人間味のある人たちはは素敵。
苦労しても深みのある生き方が出来たら格好いいわ。
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又泣かされました。浅田次郎の短編は、泣かせようとしている事が分かっていても泣かされてしまう。月島慕情、シューシャインボーイがツボにはまってしまいました。
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久しぶりに浅田さんらしい作品です。泣かせの浅田次郎、本領発揮。
浅田さんはサービス精神が旺盛なのか、読者を引き込もうとする余り力が入り過ぎ、ベタというか、どこか泥臭さを感じる作品が多い作家さんです。一方で、そのために浅田さんを敬遠される人も多いのではないかと思います。
最近読んだ作品の多くで、浅田さんは少し方向転換しようとしていると感じてました。しかし、それが十分に成功しているとも思えず。。。
この作品は原点回帰のようです。しかも、最近の彷徨が良い方向に作用して、適度に力が抜け、初期の鼻に付く様な泥臭さも美味く消し去っています。(それでもベタかもしれませんが)
通勤電車の読書時間で、思わずウルッとしてしまい、困らされ手しまいました。
それにしても浅田さん、「月」の入った題名が多いですね。
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見受けが決まった吉原遊女。なんとなくの好奇心から相手の素性を知り自ら幸せを手放すことに。
浅田さんらしい、優しく哀しい短編。
かっこいい女主人公。
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浅田次郎は人情ものがいい。
「蒼穹の昴」は傑作だし、「壬生義士伝」も何度読んだか。しかしやっぱり浅田次郎は人情ものがいい。
浅田次郎の人情ものは「悲しくて、温かい」。
近年よくある何気ない日常でのほんわかストーリーではなく、ちょっと特殊な舞台設定だ。主人公は大正時代の太夫だったり太平洋戦争のソロモンで戦う将校だったり網膜色素変性症の女性だったり。いずれも辛く悲しい経験をするが、己の幸福のみを追い求めることなく、他人の幸せを願うのだ。何故この人たちはこんなに悲しい体験をしたのに他人に優しくできるのだろう、と思わずにいられない。
だから「悲しくて、温かい」。
本作で私が特に好きなのは「シューシャインボーイ」だ。最後の遺書は、電車の中で読んでいるにも関わらず涙があふれ出て仕方なかった(...恥ずかし)。
ところで、浅田次郎の人情ものを読むと「人情噺」を想像する。落語の「文七元結」や「芝浜」などが有名な人情噺だ。本作の短編を談志や圓楽が人情噺として演ったら絶対にグッとくると思いませんか?もう二人とも鬼籍に入っているので、今なら誰が上手いんだろうか...などと想像するのも楽しかったりする。
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さすがの浅田短編集
あとがきに作品が生まれたきっかけエピソードがあって
興味深く拝読
日常にある足元の小さな石を懐に入れて温めると
このような世界が出来上がるのかと
感心
ホント書き出しから絶対面白いだろうと思わせるよな〜。
そんでやっぱり面白いよな〜。
まいどコレ系はちょっとあざといとは思いつつサクサク読んじゃいますよ〜。
くそー(笑)
月島慕情の平松さん、最初は若い頃の健さんでイメージしてたけど、違うな!
ちょっと前なら佐藤浩市?
今なら堤真一あたりかしら…
いや、でももちょっとダメ男臭がいるよな〜。
そんで子沢山の嫁は田中裕子!でもこんどは平松さんが浮かばん…
うーん!わからん!昭和生まれなのに!(楽しい
て。どうでも良いですけど、映画化とかしたら絶対売れるやん!ていう感じですよね浅田次郎。
ほんまあざとい(褒めてます多分
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浅田次郎の短編集。個人的には、浅田次郎作品は長編より短編の方が好み。
「月島慕情」「供物」「雪鰻」「インセクト」「冬の星座」「めぐりあい」「シューシャインボーイ」そして「自作解説」も収録。
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「泣かせ」に鼻白んで遠のいていた浅田次郎氏の小説を久しぶりに読んだ。やっぱりうまい!本書は、短編集。「鉄道員」は素晴らしかったが、本書もなかなか良かった。
浅田氏のすごいところは、全く自分に重ならない設定の人物にまでどっぷりと入り込んでしまえるところ。どの短編も気恥ずかしくて切なく、読みながらしくしくと胸が痛む。そしてまんまと作者の手の内に引き込まれ、こんちくしょーと思いながらも、気が付くと涙を流しているのだ。
最初の2本が特に良かった。登場人物がそれぞれに悲しいのは、連城三紀彦の小説にも似ている。昔の東京の風景もノスタルジックで、おススメ。
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久しぶりの浅田次郎。4冊目……くらいかな。
【月島慕情】
表題作。切ない……切な過ぎる。
冒頭から、きっと分かりやすいハッピーエンドは無いだろうと分かりきった一編。
太夫の心が浮き立つ程に、時兄のいなせが際立つほどに、悲恋の予感が膨らみまくり……一度はもう、見ていられなくって本を閉じてしまったくらい。
半年ばかり寝かせて再び挑んだこの一編。
なんと切ない物語か!!
でも、切ないながらも美しい、そんな大正下町のセピア色が心に残るお話だったな。
【供物】
……切ないけれど、いい話。きっと、誰もが報われた一瞬が、やはりセピア色に描かれていた。
※時代設定は明らかに平成の世であるのに、なぜか昭和を感じてしまうのは…?
【雪鰻】
……こういう話は、一人でも多くの日本人が知るべきだ。いや、それよりも多くの地球人が知るべきだ。
……いち作家が出した短編集の中のただの一編にしておくのは、勿体なさ過ぎる。
・・・たぶん誰もが、これにまさる戦況報告はあるまいと考えたのだろう・・・
【インセクト】
・・・時代の匂いは感じるが、「だから?」と問いたくなるようなお話だと思うのは……自分が未だコドモだから?
【冬の星座】
……泣かされた。ばあちゃんモノには、てんで弱いなと、改めて・・・。
若干頼りなかった医学生の、たった一夜の間に見せた大きな成長の兆しが、読後の心に清々しく沁み渡った。
【めぐりあい】
……切ない。どうしようもなく切ない話。途中から想像し始めていた(願っていた)幸福な結末にはならなかったけれど、決してハッピーエンドではないけれど、心温まるラストに涙。
・・・医者ならばときちゃんと心中なんぞせんと、ときちゃんの病気と心中せなならん思い直した・・・
【シューシャインボーイ】
……泣いた(笑)。
全般にハッピーエンドではない結末ばかりのこの短編集で唯一、(主人公にとっては)ハッピーエンドなお話かな。
……(原作は未読だが)映画「地下鉄に乗って」を思わせる“戦後のニッポン”を描くのが、筆者のライフワークの一つなのかも・・・と思えた。“ボス”の格好良さに、座布団一枚。
トータル
★4つ、9ポイント。
2016.08.09.古。
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浅田次郎による短編集。
いつもながら、ナチュラルに感慨深い作品ばかりで、その才能に感激する。
著者は、長編を書けば強い訴求力のものが多いが、短編は、いくらでも読みたくなる読みやすさとバリエーションがある。すごいことだと思う。
「シューシャインボーイ」は、いかにも著者らしく、著者にしか書けない逸品。
4-
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短編集。
優しいけど悲しい話。と、悲しいけど優しい話。は似てるけど違うと思う。
優しいけど悲しい話。は辛い。
悲しいけど優しい話。はあたたかい。
だから前者は好きじゃないのです。
「月島慕情」辛くて泣けました。
「シューシャインボーイ」あったかすぎて泣きました。
この一冊読んでいっぱい泣きました。
浅田次郎はやっぱり凄い。
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う〜ん、悪くはないけど、地味な印象の短編集。菊治さんは何処へ行ってしまったのかねぇ。
「月島慕情」★★★
「供物」★★★★
「雪鰻」★★
「インセクト」★★★
「冬の星座」★★
「めぐりあい」★★
「シューシャインボーイ」★★★★
「自作解説」★★★
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シューシャインボーイが好きすぎて、元々は母親の本だったのを自分のものにした(笑)
菊治が戦争孤児だった一郎に対して「頼みの綱はお前だけなんだ」と言った本当の意味が分かった時、号泣しました。
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鉄道員にひどく感動し、同じ短編集ということで期待して読んでしまったせいか、鉄道員には及ばないという印象を受けた。読み手によって、自分の経験と重なる所が大きければ、月島慕情の方が良いという人もいるかもしれない。良かったのは「冬の星座」。
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浅田次郎氏の短篇集。
坂の上の雲の読破で疲れたので軽い気持ちで読める短篇集を選びました。ついでに前回「壬生義士伝」で当たりを引いた浅田次郎氏を選ばせていただきました。
各短編に特別関連性はないのかな。完全なるオムニバス形式。
各作品面白さがありますが、個人的には雪鰻が一番好きでした。
冬の星座は見方によっては面白いんやけど、狙いすぎた感がして個人的にはあんまり。
特に戦争関連の話は上層部からの視点を描いた坂の上の雲などと比べるとずいぶんに対照的で、ものの見方という意味で大変役に立ちました。この気持ちは忘れないでおきたい。
悪くはなかったけど、特別胸を打たれるというほどでもなかったな〜と正直思うので★3つです。
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明治の吉原から平成まで色々入った人情もの短編集。
うーん、なるべく作家による先入観を持たないように読んだつもりだったんだけど、わかりづらい人が多いなあ。
本人の作品解説に、女は昔の恋人のことなど忘れるって書いてあったけど、傲慢だなあ。そんなわけないじゃん。
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大正時代から現代まで、真っ直ぐに生きる人びとの強さと優しさを描いた短篇集。
どちらかというと、私は浅田作品とは長編より短篇のほうが相性が合う。浅田作品に登場する人びとの真っ直ぐさが、長編だと重荷になってくるからだ。本作ぐらいが程よい。ただ、以前に比べて妙な違和感は感じる。
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浅田次郎さんは、長編の人だと 思いました。
もう少し読ませて〜ってところで 話がまとまって いくのは、なんだか消化不良ぎみ…(~_~)
それでも 「めぐりあい」は泣かせてくれました
さすが 浅田次郎さんです