浅田次郎のレビュー一覧
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3巻。新たな登場人物がたくさん出てきて物語を追うのに必死です。
蒼穹ではただの面白キャラかなと思ってた戴沢殿下が案外真面目に国の行く末を案じている人で意外だった。ミセスチャンこと寿安との対話が物悲しくて、印象的だった。
日本で暮らす文秀のもとへやってきた蒋介石。教科書で見た名前だ。何した人なのかは覚えてないけど。きっと小説オリジナルのキャラクターと史実の人物をうまく混ぜて物語を作ってるんだろうなぁ。
アヘン窟にて珍妃の井戸に出てきたプージュンが登場。順番に読んでてよかった。
張作霖はただの暴君にしか思えなくてで好きじゃなかったけど、子供と動物に優しいところはちょっと見直しました。
時代遅れの人 -
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マイケルサンデルさんの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」the tyranny of meritの小説版と言えなくもない。
人は生まれる時代も場所も親も何も選べず生まれてくる。
容貌も頭脳も身体能力も。
遺伝要因と環境要因以外に、意思など自由になる要因はあるのだろうか。
最初の起点である、生まれ出る要因のどこにも、主体としての意思がない以上、論理的には、木に竹を継ぐように、意思や自由が立ち上がるのは、やはり筋悪の議論と言わざるをえないのではないか。
また、社会に目を向けると、法、というものも社会、組織など集団に、一定の秩序をもたらすため、必要になることも分かる。
しかし、法など、それ -
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2巻。蒼穹に出てきたキャラクターが次々と登場してきて面白くなってきました。
文秀と玲玲が日本で夫婦として暮らしていて、しかも子供まで生まれていて、その子供が復生(フーション)という玲玲の婚約者だったタンストンのあざなで呼ばれていたのが泣けた。
幽閉されている光緒帝と西太后が通信で会話するシーンに号泣。歴史に疎いのでどこまでが創作でどこまでが史実なのかはわからないけど、浅田次郎の描く西太后像はとても好きだ。愛情深くて強く美しい女性。春児の前でだけは子供みたいな素の顔を見せるところもチャーミングで可愛い。最初はただの暴君にしか思えなかったんだけどな。いつの間にか好きになってしまった。
そんな西太后 -
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長らく積読になっていた蒼穹の昴の続編にやっと手を付けました。
蒼穹のラスト、文秀と玲玲が日本に亡命してからの続きかな?と思ったけど、1巻では文秀は出てこず、失踪した春児の兄李春雷(リチュンレイ)と、馬賊の長、白虎張(パイフーチャン)こと張作霖(チャンヅオリン)を主軸に物語が展開していきます。相変わらず読み方が難しいけど、改頁ごとにちゃんとフリガナ振ってくれてるから助かる。
春雷が幼い春児を置き去りにする回想シーンや文秀とのエピソードに胸が痛んだ。この後春児と春雷兄さんと玲玲の再会はあるのかな。あってほしいな。
馬賊の生きざまは粗野だけど一本気が通っててしびれます。
また、愛新覚羅家の太祖ヌルハ -
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ネタバレ浅田次郎の短編集。
面白かったのは「夕映え天使」と「琥珀」でした。
「夕映え天使」
中年店主がほそぼそとやっている中華料理屋「昭和軒」。そこへ、住み込みで働きたいと女性がやってきて…
短い時間を共に過ごす。
「琥珀」
定年を目前に控え、三陸へひとり旅に出た警官。喫茶店へ入った際に見つけた店主は、時効まであと少しの殺人犯…。
ただし、大手柄を挙げたとしても、報告できる妻もなく。
「本当ならこの秘密をわかちあうであろうたった一人の連れ合いを失ってしまったのだと、米田はようやく気づいた」
歳をとること。人を愛すること。悲しみを描いた味わい深い短編集です。