浅田次郎のレビュー一覧
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七編からなる短編集は、大正時代から戦後を通じて人の情の深さが描かれている。
この胸に染み入る七つの物語は、浅田節ならではの世界観で描かれ、読後の読者にほのぼのとした温かい気持ちを与えてくれる。
7編の物語中、特に私がお気に入りとなったのが「雪鰻」。
簡単な内容を紹介すると⋯
夜更けに上官から食えと、お土産の鰻重を1人の下士官に差し出された。
なぜ上官は召し上がらないのですかと下士官に問われ、上官はその理由を酔いに任せて述べることになる。
その理由は戦地での想像を超えた破倫とも云える体験が災いしたものだった。
本当に理不尽とも言える地獄を味わった者は、自らの体験談は決して口にしないものだ。
今の時代、戦争の実態を知らずに勇ましい考えを主張する人々にこそ「雪鰻」を読んで欲しいのだが、知力・想像力の欠けた者には残念ながら絵に描いた餅、豚に真珠、馬の耳に念仏、犬に論語等々なのだと思ってしまう。
いやいや、餅、豚、馬、犬に失礼な例えだったかな⋯、ごめんね。 -
Posted by ブクログ
シリーズ最終巻らしく、笑いと勢いの中に、どこか別れの寂しさが漂う一冊でした。
三人の行く末が気になって読み進めてきたシリーズでしたが、最後まで期待を裏切らない面白さで、派手な展開の連続なのに、不思議と根底には人情が流れています。
それぞれ欠点だらけの男たちですが、自分なりの信念だけは最後まで曲げない姿には惹かれました。
特に、損得ではなく義理や情を優先する生き方は、今の時代だからこそ余計に格好よく映ります。
軽妙な会話に何度も笑わされながらも、人としてどう生きるべきかを考えさせられる場面が多くありました。
読み終えた今は「この三人にはもう会えないのか」と思うほど愛着が湧いてしまい、笑いと痛快さの中に、人情や男の矜持がしっかり描かれた、シリーズを締めくくるのにふさわしい一冊でした。 -
Posted by ブクログ
著者らしさが最初の数ページから全開で、読み始めてすぐ「これは理屈で読む話じゃないな」と肩の力が抜きながら物語に没頭しました。
時代に置いていかれた男たちの荒っぽさと、どこか抜けきらない人情が同居していて、笑いながらも胸の奥が少しざらつきます。
軽口や啖呵のテンポが抜群で、ページをめくる手が止まりませんでした。
展開は勢い任せなところも多く、細かい辻褄や深みを求めると物足りなさはありますが、それでも、筋を外れてもなお残る矜持や美学があって、「悪党」と呼ばれる男たちのほうがよほど人間らしく見えてきます。
読後、昭和の裏道を一緒に歩いたような余韻が残る一冊でした。 -
Posted by ブクログ
実家に置いてあり以前から気になっていた本。
中国史の話であまり気が進まず積読していたが、読み始めると一気に引き込まれた。
物語は田舎に生まれた2人の少年が、それぞれ異なる道から運命を切り開いていく話。宮廷内部の権力争いや科挙、浄身などが丁寧に描かれており、中国・清朝末期の歴史をほとんど知らない私でも十分楽しめた。
特に科挙試験の描写は圧巻だった。9日間にも及ぶ過酷な試験を、極限状態の中で耐え抜く受験生たちの姿は鬼気迫るものがあった。大学受験や資格試験でひぃひぃ言ってた自分とは比べものにならない、まさに命懸けの戦いだったのだと感じた。
文秀も春児も歩む道は違うが、目指す場所は同じ。2人の覚悟と、それぞれの人生を懸けて前へ進もうとする姿に胸が熱くなる。政治の世界は想像していた以上に腐敗し、権力者はやりたい放題。そんな時代に2人がどう切り込み、どんな未来を切り開いていくのか。次巻以降も楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ4.0
警察団体の慰安旅行と、真野みすずをホテルに匿ってる、売れないアイドルとそのマネージャー、集金強盗が宿泊客の話
基本的にはシリーズが後ろに行けば行くほど面白いけどもうこのあたりから神がかった面白さをしている
ナベ長がかっこ良すぎるから
本当はもっと検挙できたのに、そうしてこなかった、捕まる人の幸せについても考えたっていうのがかっこよすぎる(被害者のこともあるから一概にどうとは言えないけども)集金強盗の手柄も後輩に分けようとするのが男すぎる、そりゃ松倉も泣くわ
あと支配人の「ホテルマンという男の道を極めようとしている1人の極道」っていうセリフがカッコ良すぎる
こいつカタギちゃうやろ
あと集金強盗に対して仲おじの「今日は手を洗ってやろう、そんで晴れて出所した暁には足を洗ってやろう」ってのがオシャレすぎる、ガチでいい
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Posted by ブクログ
ネタバレ3.7
やっぱおもろすぎる
設定が神がかってる、ヤクザのシノギのホテルと、甥っ子の極道小説家
夏はそんなにやけど基本的にシリーズを通して泣けるし、普通にギャグシーン?も面白すぎる
そんなに本をたくさん読んできたわけちゃうけど、1番好きなシリーズかも
忘れたけど、夏は離婚前の夫妻と心中一家とお清の元旦那が宿泊客やっけ?
正直シリーズの中では夏が1番そんなに好きじゃないと思う(人物紹介の側面もあるし、宿泊客もそんなに感情移入できるキャラじゃなかった)
それでも流石に面白いから3.7
結局めちゃくちゃなホテルやけど泊まった人たちはみんな幸せになって帰っていくっていうコンセプトが好き