浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ浅田次郎『兵諫』は、歴史の大きなうねりの中に生きた人間たちの「決断の重さ」を、静かで揺るぎない筆致で描き切った作品である。西安事件という一見すると政治史の一頁に過ぎない出来事を、単なる史実の再現に終わらせず、「なぜ人は武器を手にしてまで諫めようとしたのか」という根源的な問いへと昇華させている点に、本作の深い魅力がある。
登場人物たちは、英雄でも単なる悪でもない。祖国への忠誠、個人の信念、守るべき民への思いが複雑に絡み合い、それぞれが苦悩の末に選び取る行動には、容易に裁けない重みが宿っている。とりわけ「兵諫」という行為そのものが、暴力と理想の狭間で引き裂かれた選択であることを、読者に強く意識さ -
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参勤交代で中山道を江戸に向け80余人で出立。御供頭として一路と側役の慎吾はともに父親を同時に亡くしており、それは放火による殺害と毒殺という噂もあった。そんな中で後見役の蒔坂将監と国家老由衣帯刀らの謀反計画を知るが、道中では易者と髪結が共をしており、宿、山道、峠などの情報を逐次一路に伝達して無難にこなしていく、その困難と苦労に一路の姿(一生懸命)を読み解くのは楽しい。参道での出来事に謀反を見抜く為に「殿様はうつけ」なのかどうか、そんな噂が舞う中、宿、農民、関所などでの対応は「見せ掛け」とも取れる仕草などが伺える。面白いのは、馬同士の気持ちの想像の会話、お姫様の初恋行動、葱の特効薬など、参道後、大
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単行本を本屋で見て、これは買わなきゃと思いつつ、手に取らず。
遅ればせながら、文庫を購入。
蒼穹の昴から続く長い物語。今回は中国国民党と共産党軍との抗日民族統一戦線の成立が主題。「兵諫」という故事を持ち出して、張学良と蒋介石とのやり取りを浅田先生は解釈する。
基本は、陸軍の特務機関員である志津大尉、朝日新聞の記者の北村、ニューヨーク・タイムスのジェームス・ターナーの3人が狂言回し。
特に張学良の部下、陳一豆が裁判で貫き通した態度。その意味が明らかになる辺りが本署の眼目だろう。
全体的に、ハードボイルドを貫き通している文章だと思う。
(引用)
・日本陸軍の敵はソ連。海軍はアメリカ。と言うこと