浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★4.2
怖いのに、美しい。
恐ろしいのに、どこか懐かしい。
代々神官の家系に生きる者として、血肉を通して描き出した連作短編集。
筆者の母系実家は東京都奥多摩の御岳山(みたけさん)の宮司を務めており、怪談や不思議譚が語り継がれてきた。
一つひとつの怪異は派手に恐怖を煽るものではない。
むしろ厳か。やけに静か。
「怖いから忘れたい」ではなく、
「怖いからこそ忘れずに守ってきた」。
日本の山岳信仰や自然への畏怖が、そのまま人の物語と重なっている。
継承される語り、思い出として語られる神域の怪異。
それらが少しずつ地層のように積み重なっていく様は、まるで現代版『遠野物語』のようだ。
完本 -
ネタバレ
あの暗い時代のやるせなさ…
子供の頃に学校で聞かされた「自虐史観」による戦争。
大人になり、ある程度色んな角度から物事を見る事ができるようになりました。
「自衛のための聖戦」の側面と「侵略戦争」その両方の側面もあるので、私ごときが語る事はできません。
しかし、一つ言えるのは鬼熊軍曹の言葉の通り「死ねば泣く親もあれば女房もある兵隊」の存在が全てです。
読んでいて率直に鬼熊軍曹の人柄を愛してしまいました。
続編で片岡譲君がどの様な大人となったのか?また他の登場人物がどの様な人生を送ったのかを読みたいと言うのは贅沢でしょうか?