浅田次郎のレビュー一覧

  • 天子蒙塵 1

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    ネタバレ

    溥儀と文繍の離婚に焦点を当てた話。読み応えはしっかりあった。今まで完璧超人だった春児が年老いて、時代についていけなくなっているのは悲しかったが、彼の立場や育ってきた背景を思えば当然のことであり、そこをブレずに描くことのできる浅田次郎は流石。

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    2025年07月04日
  • 一路 (上)

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    徳川幕府が治め、200年以上経った太平の世の参勤道中のドタバタ劇と思いきや…!教科書で形式的に知っていた参勤交代が、様々な人間模様の延長線の物語となっていて、参勤道中がどんなものだったか思いを馳せることもできるし、手にとった時には予想もしていなかった展開となり、続きが楽しみ!

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    2025年07月03日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    人が心のバランスを取りながら生きていくことの難しさを考えさせられる。突き詰めると、金や名誉でバランスは保てず、誰かに尽くすことで安寧が得られるように思える。

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    2025年06月29日
  • 夕映え天使

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    6つの短編からなるこの小説はどの章を読んでもすぐに映画のような映像が浮かんでくる。
    登場人物が生き生きとそれぞれの置かれた境遇でそれぞれの運命を受け入れながらも少しの諦観を持って生きている。全てのお話がもやもやと夕闇に包まれて終わっていくようだった。

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    2025年06月28日
  • 完本 神坐す山の物語

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    ★4.2
    怖いのに、美しい。
    恐ろしいのに、どこか懐かしい。


    代々神官の家系に生きる者として、血肉を通して描き出した連作短編集。
    筆者の母系実家は東京都奥多摩の御岳山(みたけさん)の宮司を務めており、怪談や不思議譚が語り継がれてきた。

    一つひとつの怪異は派手に恐怖を煽るものではない。
    むしろ厳か。やけに静か。

    「怖いから忘れたい」ではなく、
    「怖いからこそ忘れずに守ってきた」。
    日本の山岳信仰や自然への畏怖が、そのまま人の物語と重なっている。

    継承される語り、思い出として語られる神域の怪異。
    それらが少しずつ地層のように積み重なっていく様は、まるで現代版『遠野物語』のようだ。

    完本

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    2025年06月27日
  • 鉄道員(ぽっぽや)

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    短編なのに映画 それだけ奥深い 初めて作品に触れた。映画にもなってるし、期待して読み始めたらまさかの短編。えっと思ったけど、じわじわくる切なくも優しい気持ち。時間をおいて他の短編も読んだが、どれも良かった。

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    2025年12月02日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    東北の交通も不便な過疎の村。そこを舞台に'ふるさと'をテーマにした人間模様が繰り広げられる。
    大手会社で勤めあげ社長まで上り詰めた松永。若くしてふるさとを後に上京、独身で過ごし、生活に不自由はないが、心に空虚さが忍び込む。次に純朴なサラリーマンを全うし、定年を迎え、これからの余生を前に、突然妻から離婚を宣言された室田。理由もわからず、復縁を夢見るが叶わず、先行きの人生に虚しさを感じる。最後に女医として数々の他人の死に直面するが、実母の死を契機として来し方人生を振り返る古賀。この三人それぞれのドラマが、ふるさとへの帰郷という共通項で収斂していく。読み進むうちに、物語の全容がわ

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    2025年06月19日
  • 椿山課長の七日間

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    たまに浅田ビタミンを摂らないといけないと思って読みましたが浅田ワールドはやっぱりいい。
    プリズンホテルじゃないけど、ヤクザを描かせたらピカイチですよねー。
    義理人情の世界に浸りながら笑って泣くエクスペリエンスは浅田先生が群を抜いていると思います。

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    2025年06月13日
  • プリズンホテル 3 冬

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    今回も、登山家、自○しにきた学生、安楽死させた医師などなど様々な宿泊客がホテルとの関わりを経て織り成すストーリーが
    魅力的です。

    そしてお清と孝ちゃん。おめでとう!でいいのかな?
    支配人の倅、繁の成長も垣間見えて面白かったです。

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    2025年12月07日
  • アジフライの正しい食べ方

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    久しぶりの、本当に久しぶりの浅田次郎のエッセイ。どうやら元になっている連載は何冊か出ているらしいが。
    名人の話芸を目で聞いている感じとでも言ったらよいのか。選び抜かれた言葉、とてつもない饒舌さ、展開の面白さやくだらなさや真っ当さを堪能した。
    抱腹絶倒というのではないけれど、読んでいてニヤニヤすることしきり。本当に愛すべきジジイ(ご自身が自称しているので敢えて。褒め言葉です)!

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    2025年06月08日
  • 終わらざる夏 上

    ネタバレ

    あの暗い時代のやるせなさ…

    子供の頃に学校で聞かされた「自虐史観」による戦争。
    大人になり、ある程度色んな角度から物事を見る事ができるようになりました。
    「自衛のための聖戦」の側面と「侵略戦争」その両方の側面もあるので、私ごときが語る事はできません。
    しかし、一つ言えるのは鬼熊軍曹の言葉の通り「死ねば泣く親もあれば女房もある兵隊」の存在が全てです。
    読んでいて率直に鬼熊軍曹の人柄を愛してしまいました。
    続編で片岡譲君がどの様な大人となったのか?また他の登場人物がどの様な人生を送ったのかを読みたいと言うのは贅沢でしょうか?

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    2025年06月08日
  • 歩兵の本領

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    ネタバレ

    最初は正直、なんだこの組織は、体罰かよ、と思ったのだが、読めば読むほど、人間の温かみがあった。最初ひどいなと思ったやつも、それだけではなかったし、短編ごとに主役が変わるから、見える面が違う。正直、読み始めは面白いとは思わなかったけど、読み終わったらもう少し彼らの人生が気になると思えた。とてもよい1冊だと思う。

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    2025年06月07日
  • 蒼穹の昴(1)

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    audible 。「兵諌」について、ヒボさんが「やらかしたー」ことを追体験しようかと思ったが、まあとりあえず「蒼穹の昴1」だけでも読んでおこう。浅田次郎は好きだけど、あまり長いのは苦手なんだ。
    とても不純な動機でした。

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    2025年06月03日
  • プリズンホテル 2 秋

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    母に出て行かれたとはいえ、孝之介はどうしてこんな歪んだ性格になってしまったんだ…
    母代わりの富江、実母の女将、愛人の清美、その子供の美加。彼を囲む女性たちの愛というか、関わり方が印象的にの2巻でした。

    そしてホテルに泊まりに来た者たちの抱える闇に一筋の光を与えてくれるようなおもてなし、出会いにほっこりしました。

    先生と医者と警察は3大無礼講に笑いました。
    3巻も楽しみです。

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    2025年12月07日
  • アジフライの正しい食べ方

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    小学生、中学生のころに浅田次郎さんの
    小説を数冊読んだことがあって、でも
    大人になってなんだか敬遠しているところがあった。
    だから、とっても久しぶり。なおかつ、エッセイは
    初めて。

    コロナ禍にJALの機内誌に掲載されたエッセイ
    だそうで、旅がテーマの話なのだが
    なんせ、不要不急の外出を避ける時期。
    旅行なんて行けるはずもなく、でもさすが
    浅田先生!かつての旅行の話や旅行から
    そっちに広がるのかー!っていうお話まで
    楽しませていただいた。

    敬遠していて損をした。
    これからはもっと積極的に読んでみよう。

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    2025年05月30日
  • 流人道中記(下)

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    ネタバレ

    ついに読み終えた

    だんだんと流人のことが好きになり、どうか、と思うようになるが、しかし、それは叶わず、、

    生き方を考えさせられる本に久しぶりに出会った

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    2025年05月28日
  • 赤猫異聞

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    あまり読んだことのないジャンルだったけど、語り口に引き込まれて一気に読んでしまいました。久しぶりに良い本に出会えて嬉しいです。

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    2025年05月25日
  • 帰郷

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    浅田次郎さんの短編6作
    「母の待つ里」で落胆して以来手にしてこなかった浅田作品だけれど本作の中でも特に「帰郷」と「不寝番」を読んで私がかつて愛した浅田ワールドが蘇ったようで痺れた。

    「帰郷」
    戦場から故郷長野に戻った主人公はそこで戦場以上に辛い思いをして何かを求めて東京に出る。
    そこで出会った娼婦のマリアに自分の居場所を求めた彼は、今まさに「一緒に死んで欲しい」という言葉を待っていたマリアに「一緒に生きてくれ」と頼む。

    「不寝番」
    まさに私が抱く浅田ワールド。
    時を隔てた兵士が2人その時の壁を超えて顔を合わせる。
    戦時と平時それぞれの時に立つ2人はそれぞれの日本に思いを馳せる。

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    2025年05月27日
  • 大名倒産 下

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    浅田次郎の長編時代小説の、下巻です。

    多額の借金を抱え、その返済利子だけで歳入を超えてしまっている、丹生山松平家。

    立ち行かなくなった藩を“倒産”させて、苦行から解放されようと企む、前藩主。
    その前藩主が、藩の倒産に至る責任を背負わせるために、藩主に仕立て上げた、庶子で四男の小四郎。

    上巻では、新藩主となった小四郎が、藩の財政事情を知り、なんとか立て直そうと努力する姿が、コミカルに描かれていました。

    四十両というわずかな資金で、江戸から越後への参勤交代の旅を終えた小四郎。
    初めて国入りした、越後での場面から、下巻は始まります。

    米どころで、鮭などの産物にも恵まれている、越後の領地。

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    2025年05月19日
  • 輪違屋糸里(上)

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    女性たちから見た新撰組の芹沢鴨暗殺にまつわるストーリー。江戸時代末期の京で一生懸命に生きる女性たちの心の揺れ動きが描かれている。とにかく悪く書かれることが多い芹沢鴨に対して理解を示す描写が多いのも新鮮であった。
    一般公開期間は限られるが、京都・島原の角屋は内部を見学することができ、新撰組の隊士たちが残した柱の刀傷も見ることができる。この小説を読む前後で見学をすると、この小説で描かれている糸里の世界はどこか遠い場所の話ではなく、時間を隔てただけの「ここ」なのだと実感できる。

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    2025年05月17日