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Posted by ブクログ
「ならぬ徒花ましろに見えて、憂き中垣の夕顔やーー」
貧乏御家人の別所彦四郎。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!ーーーーー
映画は見ていないけど、テンポよければ面白そうだなあ。冒頭の彦四郎は、現状を打開したくても立場やら身分やらが邪魔してどうにもできない袋小路にいたのでもだもだした。貧乏神も彦四郎の境遇に同情している風だったので、後半の彦四郎の凛々しさが強調されて良いなと思った。他人に対して積極的に酷い人間じゃないところが彦四郎の良さだったな。己が己がと言うのでなく、大義大局に自分がなにができるのか、悩みに悩んで悟りを開く彦四郎は主人公としてすんなりと受け止められた。ご都合主義すぎないストーリーが良かった。神様に可哀想がられて恩恵が与えられてハッピーエンドじゃあ、なんかモヤっとするなと思っていたので、彦四郎が自分で答えを出したところが好きだった。井上様はその後どうなったんだろうか…?
Posted by ブクログ
「浅田次郎」の長篇時代小説『憑神』を読みました。
『終わらざる夏』、『残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉』、『王妃の館』、『一路』に続き、「浅田次郎」作品です。
-----story-------------
抱腹絶倒にして感涙必至。
貧乏侍vs.貧乏神!?
幕末時代小説の最高傑作。
時は幕末、処は江戸。
貧乏御家人の「別所彦四郎」は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。
ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。
だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。
傑作時代長篇。
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「新潮社」の月刊小説誌『小説新潮』の2004年(平成16年)9月号から2005年(平成17年)5月号に連載された時代小説… 観たことはないのですが、2007年(平成19年)に「降旗康男監督」により映画化されているようです。
時は幕末… 将軍の影武者を代々務めてきた由緒ある家柄(御徒歩)の次男である「別所彦四郎」は、幼い頃より文武に優れ、秀才の誉れ高く、貧乏旗本の次男の身ながら、その才を見込まれて大身の入婿となったが、婿養子先から離縁され、愛する妻子とは離れ離れとなり、冷たくされつつも兄夫婦と実母の暮らす実家に居候の身となった、、、
「彦四郎」は、半ば失業状態となり、暇を持て余す日々を送っていた… ある日、ひょんな事から見つけた「三巡神社(みめぐりじんじゃ)」というお稲荷様に酔った勢いで祈ったところ、「彦四郎」は「貧乏神」・「疫病神」・「死神」といった災いの神様を呼び寄せてしまうことになる。
次々と不幸の神様たちに取り憑かれてしまった「彦四郎」の運命やいかに!? 窮地に追い込まれた男の選んだ、真実の生きる道とは、、、
「貧乏神」と「疫病神」については、婿養子先だった義父や実兄に宿替えして、何とか不幸から逃れるものの、憑いた人物を死に至らしめる「死神」については、宿替えすることを躊躇する… そして、「彦四郎」は死を意識することで、限りある命が虚しいのではなく、限りある命ゆえに輝かしいのだ ということに気付く。
ユーモア仕立ての物語ですが… 重たいテーマを扱った作品でしたね、、、
幕末の動乱の時代は、価値観が大きく変わり、揺らいでいた時代だと思います… そんな世の中で、武士の本文を通して愚直に生きようとする「彦四郎」に感情移入できたし、自分の信念を持って生きることの大切さ、尊さを感じることのできた作品でしたね。
現代にも通じるテーマですねぇ… 「彦四郎」の義を重んじて、他人に惑わされず、自分の道、決めた道を貫き通そうとする姿は輝いていたし、とても共感できました、、、
このあたりの男の美学的な部分の描き方は、「浅田次郎」の得意とするところですね… 時代小説も面白いなぁ。
Posted by ブクログ
面白かった
落語のような設定・展開から、最後は武士としての矜持、生き方、死に方を語る物語。
ストーリとしては、
幕末の江戸。
戦国時代に徳川家康の影武者としての役割を担った先祖をもつ下級武士の次男、別所彦四郎が主人公。
ある夜、酔いに任せて小さな祠に神頼みしたところ、実際に現れた神様が貧乏神、疫病神、そして死神。
また、この神様たちの人間界の外見が災厄と全く反対で面白い。
貧乏神は裕福な商人
疫病神は横綱級の力士
死神はいたいけな幼女
それぞれの神様からの災厄を受けながらも、「宿替え」手法を用いて、ほかの人に災厄をふってしまいます。
しかし、死神の災厄の「宿替え」はさすがに人にふれない。
この神々との掛け合いが落語のようにドタバタしながらも、後半の死神との関係の中で「死に方、生き方」「もののふ」としての在り方を示していきます。
「人間はいつか必ず死ぬ。だが、限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。」
「おまえも、九頭龍も、伊勢屋も、神々はみな力がござるが、人間のように輝いてはおらぬ。死ぬることがなければ、命は決して輝きはせぬのだ。」
そして、死神の「宿替え」を鳥羽伏見の戦いで一人逃げ帰ってきた慶喜に振ることを提案されるも、彦四郎はそれを拒否、影武者としての本懐を成し遂げることを選択します。
「限りある命が虚しいのではない。限りある命ゆえに輝かしいのだ。武士道はそれに尽きる。生きよ」
胸が熱くなります。
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