【感想・ネタバレ】中原の虹(4)のレビュー

あらすじ

新生中華民国に颯爽と現れたカリスマ指導者・宋教仁(ソンジァオレン)。しかし暗殺者の手により時代は再び混乱し、戊戌(ぼじゅつ)の政変後日本に亡命中の梁文秀(リアンウエンシウ)の帰国を望む声が高まる。極貧の中で生き別れた最後の宦官・春児(チュンル)と馬賊の雄・春雷(チュンレイ)はついに再会を果たす。そして龍玉を持つ真の覇者は長城を越える! 魂を揺さぶる歴史冒険小説、堂々完結。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

幾度読んでも感動してしまう浅田作品。中でも今巻は名シーンが多い。(ネタバレ故以下省略)キャッチフレーズの«魂を揺さぶる歴史冒険小説»は過言ではない。貧乏がなんだ。没法子とは唱えるな。運命など糞食らえ。ど根性で生きてやれ。背中を強く押すメッセージ性の強い作品。 ネタバレを避けたいと言いながら、ここだけは触れたい。作中張学良に鄭薫風という友人が居る事にホッとした。特に薫風は個人的に琴線に触れるキャラクター。馬占山と薫風の親子関係も残酷だが展開としてはストライクゾーン。親子の憎悪劇が堪らなく趣味で仕方がない。

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2024年11月04日

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「蒼穹の昴」「珍妃の井戸」に続く清朝末期の小説第三弾。

西太后、袁世凱、張作霖‥
歴史の教科書で名前と事件くらいしか知らず、イメージもわかなかった時代と人物たちのストーリーに引き込まれ、心動かされました。

「記事は都合よく書き変えられてしまう。真実はことごとく、歴史の闇に葬られてゆく。」
今史実として伝えられている人物評も、その人の本当の心はわからなくて、事実の裏にある真実は誰もわからなくて‥歴史は切なく、奥が深いなと思いました。

志半ばで倒れる人もいるのに、
何度も危機を乗り越えていく人もいて、
その人その人の運命というものについて考えさせられます。

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2024年03月02日

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読み終わったー!!登場人物の名前に慣れてきて、さらっと読めた。

宋教仁の演説は、私も国民と一緒になって、この人ならどうにかしてくれるかもと思える素晴らしい内容でした。西太后もいなくなり、国内外でも混乱を極めていた時の希望とすら思えたのに、本当に残念でした。誰だこんなことするのは!って怒りすら覚えた。宋教仁が生きていたら、どんな国になってたのか気になる。暗殺って国の運命すら変えてしまうかもしれないとんでもないものだ。

そして李兄弟の再会。ついにって感じで、あれは涙無しでは読めなかった。みんなそれぞれが幸せになって、本当に良かったねぇってなった。みんなお互いのことちゃんと思いあってたんだと分かる素敵な場面でした。

袁世凱も自分の利益と権力しか考えてない人かと思ったら、全然違った。自分が悪者になっても、誰よりも国のためを思い行動できる人物として描かれていました。なんか国民とか色んな人達から誤解されすぎてて最後可哀想にすらなった。

あと溥儀ね。この小説読む前に、ラストエンペラーの映画観て、どんな人生歩むのか知ってたからより心痛くなった。でもこの物語では西太后が味方でいてくれたから良かった。

中国の歴史楽しい!

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2023年06月17日

Posted by ブクログ

いよいよ読み終わってしまった。蒼穹の昴も好きだが中原の虹の方がすいすい読めた気がする。
長城を越えろ。中原の虹を追いかけろという話……
以下読んでいて印象的だった箇所など。


正義。何という残酷な言葉だろう。正義なき時代にそれを全うしようとすれば、人は悪女となり、落人となるほかはない。

賢人支配による専制は、愚民思想に基く。はたして、この駅頭に集う諸君が愚民か。ならはいったい、誰が賢人だというのだ。おやそ人間の賢と愚とが、わずかに一歩を隔てた、いや一筋の毛ほどのちがいでしかないことを私は知っている。

トム、トム、嘘でしょう。漁父、嘘でしょう。こんなに、こんなに輝かしい希望が見えたのに。どうして。

いったい何ゆえ歴史を知らねばなるのか。おのれの歴史的な座標を常に認識する必要があるからである。

過去の歴史を鑑み、現在の状況を思料し、もって未来の他者に利をもたらすこと、それが人としての上善である。

袁世凱は死ねず、虚無よりも残酷な宇宙を彷徨うというのがまた残酷だったな……

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2023年03月12日

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蒼穹の昴から連綿と続く中国近代シリーズ。

蒼穹の昴の主人公の伏線を回収しながら張作霖の激動の人生を描き切った。

何回も読めば、また感じ方も違うのだろうか。

夜中まで熱中して読んでしまった。

是非、浅田次郎を読むならこのシリーズを読んでもらいたい。

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2021年05月16日

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ネタバレ

いよいよ最終巻。春雲と春雷の再会、梁文秀の帰国など、まってましたの展開もあったが、なんだかあっさり。でもそれがいいのかもしれない。『蒼穹の昴』から読んでいれば、このシーンにこめられた深い想いにジーンとくる。
そしていよいよ袁世凱の帝政宣言と死。器に合わないことを、自らの使命とおもい必死に行う袁世凱。西太后とともに、誰しもが想うのは民の平安。それは張作霖も同じである。誰しもが民の平安を想い、それぞれが違う角度からではあるがそれを進めて行く。自らの使命と思い。その先に悲劇があっても、それは民の平安のため。深い想いの中で物語りは終焉していく。
これまで脈々と語られてきた、清国建国の際の長城越えも、張作霖の長城越えと最後リンクし、壮大な想いのなかで物語は完結する。このためだったのかと想わされる。
8巻の長い旅もようやく終わりをつげる。すばらしい読書体験だった。

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2016年02月26日

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難しかったけど、おもしろかった。

第1巻はまだしも、2巻、3巻、4巻と、とても感動。あついものがこみ上げてきました。
「蒼穹の昴」の続編で、「珍妃の井戸」ではちょっといまいちでしたが、本作はすばらしい物語
清の始まりと終わりが交錯しながら語られるストーリー展開です。
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そして、最終巻。
趙総督を張作霖ふくむ馬賊たちが見送るシーンが印象的。
とても格好よくて、あついものがこみ上げてくる
さらに、宋教仁の暗殺で民間人にも犠牲者が..
そして、そこからさらに動きます。
春雲、春雷の再開、さらには、春雷と文秀と妹の玲玲との再開のシーンは目頭が熱くなります。
ここが、もうひとつのハイライトでしょう!

袁世凱がなぜ皇帝となろうとしたのかが、亡き西太后の言葉で語られます。
袁世凱もなくなり、さらに次の展開へ
っていうところで終わってしまいます。中途半端な感じ!!

おいおい、これ、すぐにマンチュリアンレポートよまないと(笑)

4巻を通して、さまざまな死と別れ、そして、再開。
清朝の末期に生きる人たちを見ることができました。
壮大なスケール感で、ところどころわからなくなりつつも、楽しく読み通すことができました。
Wikiで史実を確認したい!!

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2016年01月17日

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明から 李自成 そして 清 となる。
満族による 漢民族の支配・・・・

『わが 勲しは 民の平安』を となえ
野人の紳士たる 満族のリーダーたち。

父を殺し 兄を殺して 天命に従う。
その運命は いかばかりのことぞ。

清が滅亡し 共和制の時代がやってくるとき
袁世凱 張作霖。

始まりと終わりを描写する中で 中原の覇者とは・・・
を物語で 構成する力は 浅田次郎のすごさですね。
日本の明治維新に関して 司馬遼太郎の果たした役割は大きい。
中国において 辛亥革命は 重要な意味を持つが
それよりも 1949年の毛 沢東革命のほうが
クローズアップされすぎている。
すくなくとも 辛亥革命の果たした群像に もっとスポットライト
当ててもいい感じがする。
その中で 日本留学生の果たした役割は大きい。

中国の歴史は学生のころ少し勉強したが
こうやって 読んでいると まったく知らない 中国が
垣間見えて あぁ。
中国という国の ダイナミズムを痛感する。

清朝が 滅びてしまった 大きな要因は 西太后に
あるのかもしれない。
時代の大きな流れの中で 日本の明治維新を 
十分に学びとれなかったのだろう。
徳川幕府と朝廷を併せ持ったような 清朝。
結局は 徳川幕府のような終末を迎える。

辛亥革命を調べると その広がりの大きさに驚くが・・・
孫文はなぜ 退き、袁世凱に託したのか
よくわからない。
袁世凱の機を見て 時代の流れに乗るうまさは格別だ。

洋を排斥する 動きとあわせて
満族も 排斥する 動きが 底流にある。
孫文は はじめは その立場であるが 変わっていく。

浅田次郎 おそるべし。
その巧みな エンターテイメント。
春雷 春児 柳川婦人。
この3人の物語が 凝縮しているし、
それが きちんと感情を抑えていることがすばらしい。

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2013年02月13日

Posted by ブクログ

新生中華民国に颯爽と現れたカリスマ指導者・宋教仁。しかし、暗殺者の手によって時代は再び混乱し、戊戌の政変後日本に亡命中の梁文秀の帰国を望む声が高まる。極貧の中で生き別れた最後の宦官・春児と、馬賊の雄・春雷はついに再会を果たす。そして、龍玉を持つ真の覇者は、長城を超える・・・!

長らくシリーズを支える人物として描かれてきたトーマス・バートンの死や、最後の仕事をするためについに立ち上がった梁文秀など、喜怒哀楽それぞれの感情を強く揺さぶられる最終巻だった。
春児と春雷の再会のシーンでは、もどかしさもありつつ、別れ際には兄弟としての会話をすることができたことに、目頭が熱くなった。
張作霖らが長城を超えるところで物語は完結するが、ぜひその後の彼らの新たな物語を浅田次郎に描いてほしいと思った。

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2019年01月16日

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最後物足りなかったというか、マンチュリアンに続くのかなぁ?
みたいな感じもあったけど、結局この4冊、何度電車で涙をこらえたことか…
蒼穹の昴から読んでないとこの感動は薄かったと思う
ちゃんと読んでて良かった
蒼穹の昴からもう1回読み返そうかと悩み中…

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2019年01月16日

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ネタバレ

なかなか理解できなかった張作霖をなんとなく理解できた気がする。
再会ラッシュは胸が熱くなったが、思ったような感動的な展開にはならなかった。しかし立場や情勢を踏まえると、そういうものなのだろうと納得でき、特に違和感はなかった。
袁世凱については最後までわからなかった。暗躍するプージュンも正直入れ込み難い。

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2024年12月11日

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いろいろな人の立場から歴史を見ることで、見方も変わるから、面白かった。
知らない歴史上の人物も出てきて、中国の史実にもさらに興味が湧いた。

梁文秀や春児たちも救われたのかなと思うと、よい終わり方だった。
でも、歴史はまだまだ続く予感。。

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2024年01月16日

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蒼穹の昴の流れを踏襲しつつも、新たな物語として完成されている。
登場人物がみな魅力に溢れており、様々な視点から楽しむことが出来る。続編もまた読んでみたい。

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2021年06月20日

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清の祖 順治帝らと東北王・張作霖一派が長城を越えようとする場面が重なるように描かれて物語は幕をおろした。本巻で一番よかったなあ、と思えたのは李兄弟が出会えたことでした。
張作霖の死で幕引きではないのが勢いのあるままで美しかったのだろうと思えた。さすが浅田先生。

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2021年03月28日

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楊貴妃時代を克明にした蒼穹の昴の続編となり、現代中国が築かれて行く様を前作同様に登場キャラの魅力やストーリー、近代日本や清国創設を絡めて丁寧に記載しています。
ただ、本作は浅田次郎の真骨頂と言える気骨ある仁義者の張作霖が素晴らしい。決して正義では無いが、自らのルールに従い貧困者を救う行動と発言に惹かれていきます。
闇語りシリーズ好きなら嵌るキャラと思います。

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2021年02月27日

Posted by ブクログ

張作霖、名前は聞いたことあるくらいだったけど、かっこよかった。
民のために本当に力を尽くした人のことはキチンと評価しているところがカッコいい。チャオルシュンを見送る場面がよかった。
この小説に出てくる西太后といい張作霖といい、自分の信じた正義を貫く人はどこか残酷。

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2020年08月24日

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ネタバレ

~感想~~~~~~~~~~~~~~~~
読んでから時間が空いてしまいました。いつかあらすじ書く…!

~登場人物~~~~~~~~~~~~~~

~ネタバレ覚え書きあらすじ~~~~~~~~~~~

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2020年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正直登場人物が多くて、ついていくのに精いっぱい、という感じだったけれど
それぞれの見せ場が思い起こされる。
記者の姿勢も今作品で初めて知った。外国同士がこんなに密接だったとは。。。

春児が意外に登場少なかったけれど。

中国を何とかしようとする人たちに圧倒される。
袁世凱も歴史上に名を遺すくらいだから、悪い面もあればよい面もあるわけで。

近代、さらに中国ということで歴史に疎く、読み進めて初めて死ぬ運命だと知った登場人物達が多くて
まっさらな状態で読めたのはある意味よかったかもしれない。

まだ2作品くらい続くそうで
これからの中国がどうなるのか、是非読み進めたい。

溥儀に現れた西太后の
「何もしなかった人間が、何かをした人間を笑っちゃいけない。」
湯玉麟将軍の
「殴られりゃ痛えで終わるが、親がどうのと言われたんじゃ胸の傷になりまさぁ。」
なるほど。。

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2019年01月31日

Posted by ブクログ

辛亥革命がおこり、中華民国が建国されるが、統率力のある人物に恵まれず、政局は大混乱。
その中で宋教仁が現れ、救世主とも仰がれるが、暗殺されてしまう。
(アメリカ人ジャーナリストのトム・バートンはこの時、宋を助けようとして命を落とす。)
清朝の復活したかと思えば、袁世凱が皇帝になる。
本当に目まぐるしい。

この巻では、いよいよ「東北王」、張作霖が長城を越えることを決意して終わる。
愛新覚羅の将軍たちが、反対派を殺すしてまで北京入城を果たした建国の物語と重ね合わせながら。

「浅田史観」では、西太后が中国を中国人のものであらせるために、自ら憎まれ役となって、革命を起こさせ、新しい中国の王が現れるのを期した、となる。
袁世凱は俗物だけど、清朝を滅ぼすという器に余る天命を懸命に果たしたのだ、と。

たしかに、自分は安全な所にいながら、当時の人をあれこれ偉そうに評価するべきではないと感じる。
当時も、(そして今も)人は自分の境遇を、ただ必死で生きているのだから。
その意味では、浅田さんの見方にも共感する。

でも、今までいろいろ読んできたものから、自分なりに考えてみて、どうしても西太后を「生き仏」のように慈悲深い人とは思えなくて…。

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2018年09月25日

Posted by ブクログ

蒼穹の昴シリーズ第3弾。前作から引き続きの登場人物が織りなす清王朝末期の話。このシリーズの魅力は西太后や袁世凱など一般的には歴史の悪役になりそうな人たちの心の動きにスポットを当てていること。小説だと分かっていながらも、本当の事実もこうだったのでは、なんて想像してしまう。個人的には小説が大好きなので春雲という1人の主人公を軸に描かれていた前作の方が入り込みやすかったので、時系列、国をまたぎさらに壮大になった今作に置いていかれないように必死に読みました。最近続編も執筆中らしいので、期待!

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2018年09月15日

Posted by ブクログ

面白い。張作霖という人物をよく描いているし、それぞれのキャラクターもよくできている。ただ、そこで終わらせるのか!というところでマイナス1。せっかくだからこのシリーズで張作霖の最後までを見たかった。

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2016年11月06日

Posted by ブクログ

「蒼穹の昴」「珍姫の井戸」から続く、中国シリーズ3作目。
袁世凱と張作霖、彼らにまつわる人々を基軸として激動の中国近代史が生き生きと描かれています。史実と演出が巧みに混ざり合った、スケールの大きな傑作です。

ただ、「蒼穹の昴」に比べると、焦点が定まらない印象も受けました。張作霖の末路は史実として知られいるわけで…。李兄弟(と妹さん)を巡る話は感動的で、むしろそちらを主軸に据えたほうが人間ドラマとしては面白かったのかもしれません。前作でのメインキャラクターが次々退場していくのも悲しかったですね…。

などと言いつつも、やっぱりページをめくる手が止まらない。続編も楽しみです。

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2016年09月18日

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思い立って「蒼穹の昴」から読みだして9冊をこなすのに、3週間かかった。しかし、この3週間で今までほとんど知らなかった日清日露戦争頃の中国のイメージが、頭に浮かぶようになった。
そもそも学校教育では、このあたりは授業ではほとんどやらない(やる時間がない)ので、張作霖はその名前しか知らなかった。その実像と小説上の造形が真実としてはかけ離れたものであったとしても、史実として、何を為した人なのかについて、こういった小説によって興味をいだき、自分の眼でもう一度見直しておこうという人を増やす効果は大きい。

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2018年10月14日

Posted by ブクログ

宗教仁が議会制を打ち立てるも、凶弾に倒れ、袁世凱が総統になるために素早く動いた。

春児は龍玉を手に入れるため、兄に会う。

袁世凱は民に追い出され、憤死を遂げ、張作霖は長城を越えて北京へ。

満州が長城を越えたものとオーバーラップして描く。

それぞれが国を外国に取られないように懸命に頑張った様が分かる。

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2024年08月02日

Posted by ブクログ

約1か月半かけて4巻読破。
3巻以降、蒼穹に出てきたメインキャラクターが表舞台から消え、北京の袁世凱、南京の孫文、東三省の張作霖、と権力者が台頭し、それぞれの視点で物語が展開していく。途中歴史の教科書を読まされているようでやや苦痛だったけど、中盤~終盤にかけては蒼穹に出てきたキャラクターが再び登場してくる。トムが銃弾に倒れるシーンと、春雷と春児、春雷と玲玲の再会には泣いた。史実よりも創作の部分が面白くて好きだな。王逸は出てこなかったけど、後の続編では出てくるようだ。
読み終わってみれば、西太后、光緒帝、袁世凱、張作霖、やり方は違えど皆根底にあるものは「わが勲は民の平安」だったんじゃないかなと思った。
ラストは張作霖たちが長城を超えるシーンで幕。かつて愛新覚羅の先祖たちが長城を超え紫禁城入りしたシーンとリンクする形で描かれ、とてもドラマチックだったんだけど「長城を超えて中原の覇者になる」というのがどういうことなのか、いまいちピンと来ずのめりこめなかった部分もある…紫禁城内の地図よりも、中国全土の地図を載せてくれた方が読みやすかったかもしれない。もう少し中国の歴史を勉強してから、また再読したい。

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2023年11月30日

Posted by ブクログ

張作霖が力をつけて、北方の主から中国全土をとりにいく直前までの動乱の時代を描いてます。いろんな重要人物が有象無象の思想を持って滅びゆく清国の次の国を建てようとしてます。
西太后や袁世凱はあえて悪役になってでも、列強から支配されないよう、中国内部から次の為政者が出ることを望み行動してます。なので、現在の悪女やらの評価とは違う描き方です。それは作家の描き方の違いなので、こういう解釈もありだなあと思いながら読んでました。経緯もすごくわかりやすくて勉強になります。
ただ龍玉という創作(これを持つものに天命がある)部分が蒼穹の昴より多い気がして、読むのに少し疲れる…この辺は好みなのですが私には合わないかもしれない…。

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2022年12月02日

Posted by ブクログ

西太后から皇統を委ねられた宣統帝を廃し、勢いを増してきた革命派の孫文からも実験を奪い取り、中華帝国の皇帝と成り上がった袁世凱もこの国を征することはできなかった。

それに対し東三省(満州)を完全に支配し北京政府からも一目置かれている張作霖は遂に山海関を越えて中原を目指す。

結局、「蒼穹の昴」から続くこの壮大な物語は、中国大陸を支配した女真族(満州族)の太祖ヌルハチとダイシャンの悲願を乾隆帝、西太后を経由し張作霖まで受け継ぐ民族の魂を龍玉という形で追い求める冒険ストーリーなのかなと思う。
教科書に出てくる人物や事件などをぼんやり思い出しながら、中国という国の歴史を改めて知る長編小説で非常に興味深く面白いのだが、頻繁に出てくる幻想シーンやお告げなどの浅田節が鼻につき、そのたびにシラケてくるのが残念。

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2021年06月29日

Posted by ブクログ

こういう小説は、もうある世代以下の作家には書けないだろうな。
ファンタジーの要素を入れてエンタメとして読みやすくしながらも、近代の中国でキーとなった人物達の動きや、歴史的な事柄の背景がたいへんよくわかる。
昔、歴史の授業で袁世凱や孫文、張作霖については習った気がするけれど、日本で教えられる歴史はやはり日本に都合の良いように調整がされていたように思う。例えば教科書では孫文はもっと「偉人」扱いされていて、張作霖は「徒花」扱いされていたような記憶があるのだが…もちろんこの小説はあくまで小説なのだけれど、私たちが知らされていることが全て正しいわけではないかもしれないと、やんわり諭されているような気持ちになる。

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2021年04月05日

Posted by ブクログ

長編小説の最終章。
チャンズオリンが実質的に東北の王となり、中国は辛亥革命が成功し、新しい時代を迎えるも、国を導くリーダーが暗殺され、混乱の極致を迎える。
そんななか、遂にチャンズオリンは万里の長城を越える。
そこでおしまい。

最後に詰め込んだ感がありましたが、総合的にさすが浅田先生だなと。

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2016年07月31日

Posted by ブクログ

ここからどういう展開でちょうさくりん爆破事件へと向かうのかが、
全然わからない。
そして偶然にも会社の同僚が残した本の中に
マンチュリアレポートを見つけた。
珍妃の井戸的な位置づけなのだろうが、
休むまもなく続編をみれることに感謝。

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2015年07月14日

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