浅田次郎のレビュー一覧
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浅田次郎さんの短編6作
「母の待つ里」で落胆して以来手にしてこなかった浅田作品だけれど本作の中でも特に「帰郷」と「不寝番」を読んで私がかつて愛した浅田ワールドが蘇ったようで痺れた。
「帰郷」
戦場から故郷長野に戻った主人公はそこで戦場以上に辛い思いをして何かを求めて東京に出る。
そこで出会った娼婦のマリアに自分の居場所を求めた彼は、今まさに「一緒に死んで欲しい」という言葉を待っていたマリアに「一緒に生きてくれ」と頼む。
「不寝番」
まさに私が抱く浅田ワールド。
時を隔てた兵士が2人その時の壁を超えて顔を合わせる。
戦時と平時それぞれの時に立つ2人はそれぞれの日本に思いを馳せる。 -
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浅田次郎の長編時代小説の、下巻です。
多額の借金を抱え、その返済利子だけで歳入を超えてしまっている、丹生山松平家。
立ち行かなくなった藩を“倒産”させて、苦行から解放されようと企む、前藩主。
その前藩主が、藩の倒産に至る責任を背負わせるために、藩主に仕立て上げた、庶子で四男の小四郎。
上巻では、新藩主となった小四郎が、藩の財政事情を知り、なんとか立て直そうと努力する姿が、コミカルに描かれていました。
四十両というわずかな資金で、江戸から越後への参勤交代の旅を終えた小四郎。
初めて国入りした、越後での場面から、下巻は始まります。
米どころで、鮭などの産物にも恵まれている、越後の領地。
しかし小四郎は、藩の財政が苦しいこと、その立て直しをすることを、家臣たちに申し渡します。
言い渡すだけでなく、幼少期に学んだ算盤を活かし、財政再建に向けた施策を検討、実行していきます。
下巻の序盤は、そんな藩の窮状を知った家臣たちの、それぞれの思惑、動きが、描写されていきます。
真剣に取り組む藩主の姿が伝わり、徐々に増えていく、「協力しよう」という人々。
いっぽうで、藩を“倒産”させようと、自らの豊かな才能と経験を活かして暗躍する、前藩主とその家臣たち。
そこに、松平家や関係者にとりついた“神様”たちの動きと思惑も絡み合うという、ファンタジー的な要素もある内容でした。
複数のエピソードがからみあい、話のテンポも上がっていくので、ついていけるように耳をそばだてて聴きました。
物語の展開と、コミカルな表現を味わうのが、この作品の楽しみ方だと思います。
それとあわせて、以下のようなことも、考えさせてもらいました。
・どんなに優れた人でも、一人でできることは限られる。多くの人が力を合わせれば、大きなことができる。
・多くの人の協力を得るには、率先して、真剣に取り組んでいる姿を見せる必要がある。
・ものごとの成り行き、結果については、関係者がやったこと、努力したことが大きく影響する。しかし、それ以外の力が働くことも、あるのかもしれない。
一見、荒唐無稽の話のように思えますが、大名の財政事情から城内での作法に至るまでがリアルに書かれているので、「このような藩も、あったのではないか」と想像してしまいました。
軽く読めて、奥行きがある。
さすが、熟練の作家さんですね。
他にも、Audible化された作品があるようなので、探して聴いていきたいと思います。
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短編集。
踊り子、スターダストレビュー、かくれんぼ、、、などの8編から成ります。
数回読んでますが、読むたびに気づきが変わるような気がします。。なんでだろ。。
切ない話が多いです。
小学生3人が、馴染め始めたハーフの子と夏休みにかくれんぼをするのですが、かくれんぼ中にそのハーフの子を虐めて途中で帰ってしまい、その後その子が行方不明になったことをずっと引きずっている話や、下っ端のヤクザがアパートに帰ると死体が置かれててびっくり仰天するのですが、そこへ故郷からお母さんが訪ねてきてしまったり、、など、いろいろな話。
うるっとしてしまった話は、タイトルにもなっている「見知らぬ妻へ」。
中国人の出稼ぎに来ている女性に籍を与えるために結婚させられた花田さん。本の2日間だけの家庭。離婚した妻との間の娘が父親を頼って来ようとするのを拒絶したシーンは涙が出た、、、。 -
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『鉄道員』、『蒼穹の昴』などなど幅広い作品を発表してきた、浅田次郎。
直木賞の選考委員を長年、担当するなど、日本の文学界を代表する作家さんですね。
しばらくの間、この作家さんの作品から遠ざかっていましたが、この作品がAudibleにラインアップされていたので、聴くことにしました。
時代は江戸時代の末期。
庶子の四男で、幼少期は足軽の家で育てられた小四郎は、21歳で突然、丹生山松平家を引き継ぎ、3万石の”お殿様”となります。
戸惑いながらも、初めて江戸城に登城した小四郎はなぜか、“下城差し留め”を命じられてしまいます。
老中に呼び出された小四郎は、松平家から幕府への献上品が、実際には納められていないことを知らせられます。
すぐに納めると言った小四郎ですが、老中から、「あなたの家には金がないから無理だ」と言われてしまいます。
松平家に戻った小四郎はさっそく、状況を確認しようとしますが、藩の重臣たちは要領を得ぬ返事ばかりして・・・という始まり。
200年以上の長きに渡り、積もりに積もった、藩の借金。
返済利子にも届かない、藩の歳入。
このような藩のトップに仕立て上げられた、真面目な小四郎の、奮闘の日々が描かれていきます。
「倒産やむなし」という姿勢で、藩の財政再建に真面目に取り組まない、旧藩主と重臣たち。
藩主に祭り上げられた責任感と真面目な性格から、なんとかしようとする小四郎と近習たち。
双方の思惑と動きがコミカルに描かれているので、軽快に聴き進めることができました。
久々の”浅田次郎ワールド”にすっかり浸ってしまったので、下巻も続けて聴いていこうと思います。
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浅田次郎さんのエッセイは初めて読んだ。
面白過ぎ。
JALグループ機内誌『SKYWARD』に、2020年より2023年に掲載されたものに加筆修正したという。
もう、喉元を過ぎてしまったかもしれないが、コロナ禍の時代。あの時は海外はおろか、国内旅行でさえ咎められるような雰囲気だった。
そんなわけで新しい旅に出ることは許されない事態だが、なんと、過去の旅にてのエピソードで三年分を埋めてしまった。
印象に残ったのは、「落ち着かない部屋」ホラーではないけれど、不思議体験が数々ある。
ファンタジー要素まるでないけれど、三角の部屋はやはり使いづらい。
それよりも怖いのは、老舗旅館女将の意趣返し、だった。ホラーではないけれど(2回言いました)女将の心に住む鬼が怖かった。
シリーズと知らなかったので、過去にさかのぼって昔の作品も読みたい。 -
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最終巻である4巻まで読み終わりました。
思っていた結末がとは全然違ったけど(歴史をちゃんと知っている人ならある程度は予想できたとおもうが)、本当に面白かった。
最終巻は、様々なシーンに移り変わっていきながら、それぞれの登場人物の物語の終わりが描かれている。どの人物の物語にも心が動かされるが、とりわけ、私は以下の2つのシーンが好き。
①李鴻章が康有為と面会しているシーン。そして李鴻章が康有為に突きつけた言葉。
「君が科挙の努力をして惜しんだことは紛れもない事実だ。わしは25歳で進士に登第した。君がその齢まで金榜に名を列ねえなかったのは、その間の努力を怠ったからに他ならない。君が旧守のやつらと蔑む士大夫は、みな君よりも努力を惜しまなかった者たちであることを忘れるな」
②この小説では北京在住の各国新聞記者の特派員がしばしば出てきて、ストーリーに彩りを添えている。そして、この各国特派員たちが最後にめちゃくちゃ良い仕事をした。
-変法派の重要人物である梁文秀の亡命を手助けするのだ。
「変法派の1人を脱出させるということは、とても意味のあることだと思うんだ。変法運動はどうしようもない結果に終わったが、それは近代の自由主義に我々が逆行する最悪の選択に違いない。我々が国外に逃れさそようとする1人はこの国の良心なんだ。一介の特派員がこうして歴史に参加することが余計なお節介だとはどうしても思えない。もし、いつの日か香港に逃れた康有為が、日本に逃れた梁文秀が、この国の将来を変えるとしたら、それこそがジャーナリズムの栄光に違いない。」
…こういうジャーナリズムもありかな。
また素敵な小説の世界と出会えて嬉しい。だから、やっぱり読書はやめられない。 -
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オーディブルで聴きました。
長かった。でも面白かった。登場人物がいちいちキャラ立ちしている。新次郎とお初カップルがとてもかわいい。ベイビーも一芸に秀でていて欲しい。
なぜそうしているかもわからず、伝統だからと続けていることって、令和の今もまだまだある。伝統だからやめられないって。昭和か!どころではない。江戸時代か!
登場人物が多すぎて、あれこの人誰だっけ?となることがあって、後で映画見て整理しよう。。と思っていた。小四郎が育ての父に再会するところは、隆之介くんが走る映像を想像してすでに感動していた。
それなのに。。。。
映画を見たら、似ているところが4つか5つくらいあるだけで、感動ポイントは、「全て」取り去ったB級作品になっていた。やはり俳優にお金をかけると、他はどうでもいい、というか、どうにもならないことになってしまうのかもしれない。
大番頭の鮭好きエピソードは物語の要だと思うのだけど。