浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ浅田次郎さんのコメディタッチの小説はいい。
プロローグが、浅田さんの話しだと途中まで気が付かなかった。
財務官僚と自衛官の2人がJAMSという架空の外郭団体?に天下る。
過去に借金してそのまま雲隠れしたまま時効になった人に念のため返す意志があるか、訪ねて行きます。そこで意外な成果を上げて、JAMSの女性職員2人と結託して大金(裏金)を得ます。
法的には時効で借金を返す義務は無いけど、過去の贖罪からか払ってしまう人の心情が面白いですね。
本書や勝間和代さんの解説のとおり、役人の天下り組織は、無くならないんだろうな。。。
あー羨ましい。 -
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火事と喧嘩は江戸の花、と言われたのは昔。
時は明治。とはいえ最後の将軍はとうに大政奉還されているのに、新政府の機能は整わないまま、何もかも以前と変わらぬまま物事が動いていた宙ぶらりんな時代の話。
牢人を収監する牢屋敷も多分に漏れず、急な沙汰で一人の罪人が今まさに斬首されようというその時、遠くで半鐘が鳴り響いた。
すぐさま執行は取りやめ、解き放ちの相談が始まる。
その昔、火事が出ると、罪人といえども牢内で焼け死ぬのは忍びないと、一時解き放ち、という決まりがあり、鎮火の後は決められた場所に必ず戻ることとして、全員解放された。戻れば一段階、罪の軽減、戻らなければ捜して死刑。
まぁ今考えればずいぶんと -
Posted by ブクログ
3巻で幸せな家庭を手に入れた主人公・木戸孝之介のもとに小説家最大の名誉とされる文学賞に二作品がノミネートされるという知らせが入る。幸福な瞬間を手に入れると同時に、育ての親でありこれまでは「グズでノロマでブス」と罵ってきた富江が姿をくらませてしまう。
物語の中で、主人公が抱えていた心の突っかかりが解消されていき、素直になっていく過程が丁寧に描かれていた。その裏には、伝説の博徒と冴えない社長の任侠あふれる話や舞台を目指す訳あり親子をめぐる物語があり、どの人物も個性的で読みごたえがあった。
夏から始まったプリズンホテルは筆者の最初期の作品として知られている。しかし、春・本書は「蒼穹の昴」や「鉄道 -
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大神楽岳のふもとにあるプリズンホテルは深い雪に埋もれている。この一冊でも、特に訳ありの客がホテルにやってきた。
救急看護師として活躍する「血まみれのマリア」は久しぶりの休暇としてホテルを訪れ、かつての恋仲であった平岡医師に再会する。平岡医師は、末期患者の要望を真摯に受け止め、安楽死をさせたとしてマスコミから追われる立場にあった。
この二人の関係を中心に、冬の山に自殺をしに来た若者と世界的アルピニストの問答があったり。母親に逃げられた7歳から精神的成長が止まってしまった主人公にも、ついに変化の時が現れたりと最終巻が楽しみになる内容だった。 -
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初めての浅田次郎さんの作品。
全8話からなる短編小説。
この小説すごい…何が凄いって読んでる時の
心の振れ幅が。まるでジェットコースターのよう。
(↓ネタバレごめんなさい!)
感動いっぱい涙涙で読んでいたと思ったら、ある男性の不倫とパラレルワールドの告白、かと思ったら素敵なゲイの一生、かと思ったら奥さんを寝取られるお話。やっぱりジェットコースターだ♪
その中で特に大好きなのは、
1話『シエ』
中国の伝説の生き物『シエ』が出てくるお話。
なんて切なくて心温まるお話だろう。
読んでると自然に涙が流れてきて、
自分の幸せって何かなって考えさせられる。
2話『姫椿』
その日、自殺しようとする男 -
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ネタバレいやぁ、戦争は救いがないな…
わかってはいても、そう思わざるを得ない終わり方。
占守島について、終戦後何があったか事前知識なく読んでいたので、片岡も普通に召集されなくて良かった…なんて思っていた私がバカでした。
天国のように美しく花咲き乱れる占守島と、無条件降伏をしたあとに味方がいないままソ連に挑むしかなかった人たちの落差がもう辛い。
占守島の悲劇を小説にするにあたり、日本兵だけでなく大本営の参謀や、赤紙を届ける人、疎開した子ども、そしてソ連の兵士たちそれぞれの視点からの戦争を描く。
この小説に出てくるこの一節
「戦争の犠牲者をひとかげらにしてほしくない。100人の戦死者には100人の人生 -
Posted by ブクログ
ネタバレどんどん面白くなってきた。
それぞれの立場で見る戦争が描かれていて、誰も望んでいないことがよくわかる描写が切ない。
なのに突き進むしかなかった。
そして今、ようやく終わりが見えてきて、さてどうなるというところで下巻へ続く。
第二次世界大戦時の日本は、ずっと去勢を張っていたのだろう。
そして日本中の誰もが、みんな表面と心を分離して過ごしていたのだろう。
教科書で日本史の事象だけを学ぶと、この時代は異常だな、洗脳だったのだろうかと思うこともあったけれど、やはり心の内は自分を保ち、人として悲しみながら生きていたのだろうなだと思うとやりきれない。。
死を身近に感じながら生きていく必要がある上に、 -
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プリズンホテル二作目。
一作目同様に非常に面白いです。
導入部分がなかった分、一作目よりストーリーそのものを楽しむことができました。
御存知やくざによる、やくざのためのホテルプリズンホテル。
今回はひょんなことから警察一同が慰労会でプリズンホテルに泊まることに。当然のことながらやくざ御一行もいるわけで。
そりゃあもう荒れることが必至な設定なわけで。
予想通りやくざと警察はもめにもめるんですが、最後はすごく気持ちよく終わります。
本作は警察とやくざのストーリーをメインに進むんですが、同時平行するストーリーの登場人物もすごく魅力的です。悲しくも、温かい。
売れなくなったアイドル歌手。主