浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ定年間際や初老男性が主とする短編集より
あまり人生上手くいっていなさそうな人達の、感情が伝わってくる。どの話もあまり幸せな展開には感じられなかったけど、各々の気持ちが迫ってきました。
夕映え天使
救ってやれず、本当は惚れていたかもしれないと最後に気付いた感情。それを共有しつつも僅かに反発心を感じる関西のうどん屋。
一緒にいて幸せだった時間がもう戻らないのが、悲しいが諦めてしまっている感もあり、切ない。
特別な一日
定年の日を特別な日にしないと決めて臨んだその日、普通に過ごそうとするのだが、突然の玉音放送。
?戦時の話だったかな、いやいや違うよ、と少し話に追い付けずページを戻す。
特別な日はこの人だけではなかった。急展開だけども周囲のひとも日常を普通に過ごしている。
最後に夫婦でこれから人生よりも長い一瞬を過ごす、という感覚は破滅的に感じるも、幸せなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
おそらく約20年ぶりに再読。最近文庫になった新作を読む前に、私にとって浅田さんの作品の原点ともいえる本作品をもう一度味わおうと思って手に取りました。もちろん「ぽっぽや」「蒼穹の昴」を初め浅田さんの作品はほぼ読んでいるはずです。ただ、「メトロに乗って」は私が浅田さんの作品を読むきっかけになった本。
同じ浅田さんの作品を、それも20年以上前の作品と最近の作品を読み比べてみると自分がどう感じるだろう?浅田さんの文章・ストーリー展開等に変化はないだろうか?と半ば期待のようなものにワクワクしながら「メトロに乗って」を読み始めたのだけれど、残念ながら過去に感動したことだけは覚えていて再読したはずなのに、読み始めから初めて読むのと同じような感覚。全くと言っていいほど覚えていない。浅田さんの作品の過去と現在の違いを感じる以前の問題として、自分の脳の衰えを自覚せざるを得ない。20年という年月は長いものだ、と何だか哀しくなってしまったのでした。
やはり、題名通り地下鉄が作品全体の背骨の様な役割を持っている。主人公は地下鉄をタイムマシンのように使いながら、自分の家族や父親の真実を思い知らされていく。愛人とほぼ同時に。しかし、決して過去の事実を変えることはできない。最後に一点だけ自分のこれからの人生を愛人と共に変えていこうとした矢先に、自分と愛人との間にある真実に翻弄されてしまう。どうしようもない流れの中に身を置いているということが切ない。この最期の展開に至る途中で、その内容が予想できた。予想だと思っていたのだけれど、最期まで読んだところで、それは予想ではなく脳の奥底に眠っていた自分の記憶が蘇ってきていた事であることがわかった。
本作を読みながら、東京の地下鉄のことが自分自身の経験と重なってしまいました。私が知っているのは1980年代からではありますが。
狭くて、時折車内の蛍光灯が消えて真っ暗になったかと思うとオレンジ色の補助灯が点灯する丸ノ内線が懐かしい。初めて乗った時は「故障ではないか」と思ったものだ。
神田のJRと地下鉄を繋ぐ地下道、階段部分の二方向のトンネル。身を屈める様に通った狭さや低さが懐かしい。
霞ヶ関・赤坂見附あたりの地下の接続道の迷路のような暗い長い道も不安になりながら、「標識の駅が接続しており乗り換え可能」というサインは信じてはいけないという事実。
おそらく、20年前に読んだ時も同じように感じたはずだ。しかし今回は初読のように感じられた。ただ一点だけ、最期の「現在の人間が存在しなくなる」出来事だけは読んでいる途中からストーリーが予測できた、というか思い出していた。やはり、一部分だけは記憶に残っているものですね。
やはり良い作品でした。最近乗っていない地下鉄の路線や歩いていない通路等を久しぶりに訪れてみたいと思います。