浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ目次
・歸鄕
・鉄の沈黙
・夜の遊園地
・不寝番
・金鵄のもとに
・無言歌
浅田次郎の戦争小説だけを集めた作品集。
もちろんどの作品も上手い。
が、これぞ浅田次郎!というものが戦争小説という括りの中で、どこまで発揮できたのか。
戦争小説って、もっとも個性を消さなければならないジャンルのように思えてしまう。
その中で、戦後の遊園地で働く若者が主人公の『夜の遊園地』にはちょっと驚いた。
生きて日本に帰ってきた兵士の心中をあらわすのに、遊園地という舞台をこう使うのかと。
子どもを育てるお金が必要で再婚した母と、母に置いていかれ家庭に居場所のない青年という構図は、ちょっと前に見た2時間ドラマのようだったけど(男はみんなマザコンってことでいいですか?)。
日本人はいつから死者に対して謙虚じゃなくなったんだろう。
ジャングルの中で死んでいく戦友たちの思いを、日本に連れて帰る、それだけを胸に生きのびて日本に帰ってきた傷痍軍人の、誇りと哀しみがこころに刺さる『金鵄のもとに』。
今となっては傷痍軍人という文字を見て、どういう人のことかピンとくる人の方が少ないのだろうけれど。
『無言歌』は最初、ほのぼの系かと思ってしまった。
夢の話から始まる。
寝る時に見る方の夢。
随分のんきだなあと思いながら読んで、最後に状況がわかった時の衝撃。
”戦死だろうが殉職だろうがかまうものか。俺は人を傷つけず、人に傷つけらずに人生をおえることを、心から誇りに思う”
そしてチャップリンの映画で有名な「スマイル」を歌うのだ。
鼻唄で酸素を使い切るために。 -
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ネタバレ浅田次郎さんのコメディタッチの小説はいい。
プロローグが、浅田さんの話しだと途中まで気が付かなかった。
財務官僚と自衛官の2人がJAMSという架空の外郭団体?に天下る。
過去に借金してそのまま雲隠れしたまま時効になった人に念のため返す意志があるか、訪ねて行きます。そこで意外な成果を上げて、JAMSの女性職員2人と結託して大金(裏金)を得ます。
法的には時効で借金を返す義務は無いけど、過去の贖罪からか払ってしまう人の心情が面白いですね。
本書や勝間和代さんの解説のとおり、役人の天下り組織は、無くならないんだろうな。。。
あー羨ましい。 -
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火事と喧嘩は江戸の花、と言われたのは昔。
時は明治。とはいえ最後の将軍はとうに大政奉還されているのに、新政府の機能は整わないまま、何もかも以前と変わらぬまま物事が動いていた宙ぶらりんな時代の話。
牢人を収監する牢屋敷も多分に漏れず、急な沙汰で一人の罪人が今まさに斬首されようというその時、遠くで半鐘が鳴り響いた。
すぐさま執行は取りやめ、解き放ちの相談が始まる。
その昔、火事が出ると、罪人といえども牢内で焼け死ぬのは忍びないと、一時解き放ち、という決まりがあり、鎮火の後は決められた場所に必ず戻ることとして、全員解放された。戻れば一段階、罪の軽減、戻らなければ捜して死刑。
まぁ今考えればずいぶんとのんびりした話であるが、当時はほとんどが言いつけ通りに戻ったというのだ。
情けには情けで答えるということか。
さて、この牢屋敷には先ほど刑が取りやめになった者の他に、後二人、重罪人が収監されており、この三人の処置を巡り役人たちの議論が繰り広げられる。
結果、いくつかの条件付きで異例の解き放ちとなった。
三人三様事情を抱え、目的を果たすべく向かった先には・・・何とも奇怪な事態が待ち受けていた。
その謎解きは、後年関係者に対する聞き取り調査で明らかにされる。
驚愕の真実。
理不尽な仕打ちを受けても、腐らず真っ当に過ごしていたらお天道様は見ていてくださる、ということか。
ちょっとほろりとして、胸のすくミステリーだ。 -
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3巻で幸せな家庭を手に入れた主人公・木戸孝之介のもとに小説家最大の名誉とされる文学賞に二作品がノミネートされるという知らせが入る。幸福な瞬間を手に入れると同時に、育ての親でありこれまでは「グズでノロマでブス」と罵ってきた富江が姿をくらませてしまう。
物語の中で、主人公が抱えていた心の突っかかりが解消されていき、素直になっていく過程が丁寧に描かれていた。その裏には、伝説の博徒と冴えない社長の任侠あふれる話や舞台を目指す訳あり親子をめぐる物語があり、どの人物も個性的で読みごたえがあった。
夏から始まったプリズンホテルは筆者の最初期の作品として知られている。しかし、春・本書は「蒼穹の昴」や「鉄道員」の時期とも重複しており、筆者の洗練がよくわかる作品となっており、そういった意味でも楽しめた。 -
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大神楽岳のふもとにあるプリズンホテルは深い雪に埋もれている。この一冊でも、特に訳ありの客がホテルにやってきた。
救急看護師として活躍する「血まみれのマリア」は久しぶりの休暇としてホテルを訪れ、かつての恋仲であった平岡医師に再会する。平岡医師は、末期患者の要望を真摯に受け止め、安楽死をさせたとしてマスコミから追われる立場にあった。
この二人の関係を中心に、冬の山に自殺をしに来た若者と世界的アルピニストの問答があったり。母親に逃げられた7歳から精神的成長が止まってしまった主人公にも、ついに変化の時が現れたりと最終巻が楽しみになる内容だった。 -
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初めての浅田次郎さんの作品。
全8話からなる短編小説。
この小説すごい…何が凄いって読んでる時の
心の振れ幅が。まるでジェットコースターのよう。
(↓ネタバレごめんなさい!)
感動いっぱい涙涙で読んでいたと思ったら、ある男性の不倫とパラレルワールドの告白、かと思ったら素敵なゲイの一生、かと思ったら奥さんを寝取られるお話。やっぱりジェットコースターだ♪
その中で特に大好きなのは、
1話『シエ』
中国の伝説の生き物『シエ』が出てくるお話。
なんて切なくて心温まるお話だろう。
読んでると自然に涙が流れてきて、
自分の幸せって何かなって考えさせられる。
2話『姫椿』
その日、自殺しようとする男性が
昔通った銭湯に偶然たどりつきお風呂に入る話。
読み終わった後の余韻が素晴らしかった!
8話『永遠の緑』
父、娘、その彼氏のお話。このお話大好き‼︎
あと…、不謹慎なのですが、
1話以外、ほぼ男性目線のお話なので
なんだか、男性の知られたくない心内を覗き見しているような気分になって、そんな自分に気付いて笑ってしまいました。
次はどんなお話だろう、次は?その次は?とワクワクしながら読み進めた。
楽しかったぁ(^^) -
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ネタバレいやぁ、戦争は救いがないな…
わかってはいても、そう思わざるを得ない終わり方。
占守島について、終戦後何があったか事前知識なく読んでいたので、片岡も普通に召集されなくて良かった…なんて思っていた私がバカでした。
天国のように美しく花咲き乱れる占守島と、無条件降伏をしたあとに味方がいないままソ連に挑むしかなかった人たちの落差がもう辛い。
占守島の悲劇を小説にするにあたり、日本兵だけでなく大本営の参謀や、赤紙を届ける人、疎開した子ども、そしてソ連の兵士たちそれぞれの視点からの戦争を描く。
この小説に出てくるこの一節
「戦争の犠牲者をひとかげらにしてほしくない。100人の戦死者には100人の人生があり、千人の戦死者には千人の勇気があった」
が、作者が伝えたかったことを表しているに違いない。
そして子どもたちのシーンで出てくる宮沢賢治の
「星めぐりの唄」
美しい言葉には、救われることもあるのかもしれないと感じる。