浅田次郎のレビュー一覧

  • 地下鉄に乗って 新装版

    Posted by ブクログ

    懐かしさの残る小説。
    父と息子の確執。

    時空を越えて、過去に戻り、主人公真次は父、兄、みち子の生い立ちを知ることになる。

    非常に夢のような話にも聞こえるが、本人は結構酷な事を体験したのだと思う。

    この体験は彼のこれからの人生に必要だったから、ということなのだろう。

    過去に遡った東京の情景は、リアル過ぎて私には想像がなかなかつきにくかった。
    ただ、今はとても華やかな銀座が、すごい悲惨な惨状なのだろうということは想像ができた。

    現実は変えられない。でもそこに辿り着くまでにはいろんな事がある。
    当たり前のことを、再認識したような気がした。

    0
    2020年11月16日
  • 歩兵の本領

    Posted by ブクログ

    単行本で出版されたとき、買いそびれてた本。
    う~ん。もっと、硬い本かと思ってた。

    幻冬舎アウトロー文庫で員数合わせの話は読んだことある。本書の話はチョット違ってたけど。
    70年代の自衛隊。理由のない虐めや暴力が横行するんだけど、浅田先生の文章力と設定で読まされてしまう。地連の街頭スカウトが職場だろうと借金だろうとヤクザだろうとアパートの借家契約だろうと話をつけてしまう。
    (引用)普段戦闘服を着ている自衛官が、返送して街へ出、これぞと思う若者に声をかけていたのだと、米山はそのとき初めて知った。
    (引用)「落ちこぼれはいない。なぜかわかるか」「(略)優秀な兵隊をつくるんじゃなくて、クズのいない部

    0
    2020年11月10日
  • 新装版 お腹召しませ

    Posted by ブクログ

    幕末期、幕府がなくなり、世の中の侍が大きな変革の岐路に立たされた時代の中・下級武士に起こる笑ってしまうような重大な出来事を皮肉たっぷりに描いている。短編集だが、一作一作中長編にしてもいいような面白さに満ちている。

    0
    2020年10月28日
  • あやし うらめし あな かなし

    Posted by ブクログ

    不思議な話の短編集でした。
    どの話も面白かったけど個人的には青梅の伯母さんの話、赤い絆とお狐様の話が好きだった。
    他の話はどうかわからないけどこれは本当にあった話を語られたものじゃないかなと思った。

    0
    2020年10月25日
  • 憑神

    Posted by ブクログ

    面白かった
    落語のような設定・展開から、最後は武士としての矜持、生き方、死に方を語る物語。

    ストーリとしては、
    幕末の江戸。
    戦国時代に徳川家康の影武者としての役割を担った先祖をもつ下級武士の次男、別所彦四郎が主人公。
    ある夜、酔いに任せて小さな祠に神頼みしたところ、実際に現れた神様が貧乏神、疫病神、そして死神。
    また、この神様たちの人間界の外見が災厄と全く反対で面白い。
    貧乏神は裕福な商人
    疫病神は横綱級の力士
    死神はいたいけな幼女

    それぞれの神様からの災厄を受けながらも、「宿替え」手法を用いて、ほかの人に災厄をふってしまいます。
    しかし、死神の災厄の「宿替え」はさすがに人にふれない。

    0
    2020年10月25日
  • 獅子吼

    Posted by ブクログ

    短編6話。
    浅田さんの短編、重厚さを期待すると少し裏切られますが、やっぱり短編ならではの制約があるんでしょうか。
    「帰り道」、一番気に入りました。

    0
    2020年10月11日
  • 活動寫眞の女<新装版>

    Posted by ブクログ

    ミステリをファンタジーで包んだ幻想小説。舞台が京都なことも相まってか、春霞にまかれたような、時間軸のどこかに置き去られたような読後感を覚える。
    時間軸を動かす、というあまりに大きな仕掛け、ファンタジーを、一切の違和感なく読ませる筆者の技量は圧巻という他ない。
     
    ぴんと張った糸のような緊張感のある撮影シーン、美しく繊細な日々の描写、何かが起きている、ときゆえの何事もないような文の運び。

    すでにミステリは始まっている。


    これ以上スピードを上げようとも、これ以上展開をダイナミックにしても晴れてしまう霧の存在は承知だ。ただ、リアルとファンタジーの狭間に時に置いていかれそうになりかける。

    0
    2020年09月26日
  • 新装版 お腹召しませ

    Posted by ブクログ

    浅田次郎が贈る傑作時代小説集。司馬遼太郎賞・中央公論文芸賞受賞作。仕事と家庭と世の中と、、、戦う男の本文とは?全6編の書下ろし・新装版。

    0
    2020年09月11日
  • シェエラザード(下)

    Posted by ブクログ

    シェエラザードという題名で選んで読んでみました。
    戦争の話で、泣ける感じかなと思って読み進めるも少し違って…でも、止まらなくて一気に読んでしまいました。



    読み終えましたが、少し謎が残ってスッキリしない感があるような気がします。

    0
    2020年09月06日
  • 霞町物語

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    昔の青山はこんな感じだったんだろうか?若者の服装、車、お店、全然知らないけどかっこいい。座ったとたんにお寿司が出てくるお店に怒り、鰻屋で「遅いね」と言った僕を野暮だと叱り飛ばす祖母がいきでかっこいい。それになんといってもライカを首に下げている名人のおじいちゃんがすごくかっこいい。都電の一番スピードをあげてくる瞬間を捕えた写真はどんなにすばらしいことだろう。読んでいるうちにどきどきしてきた。僕の友人たちを撮った写真はどんな感じなんだろう。浅田さんらしい人情味あふれている作品で泣けてきてしまった。

    0
    2020年09月04日
  • 一路 (下)

    Posted by ブクログ

    舞台となったのは1861年。皇女和宮が降嫁のため中山道を通って江戸へ向かった同じ年の暮れ。
    …今から160年ほど…ほんのちょっと前のお話し。

    永く太平の世の続いた江戸時代も前の年の3月に桜田門の変が起こるなど、天下騒乱の兆しがみられる頃、突然の父の死により参勤交代の御供頭勤めることになった主人公小野寺一路が、知識も経験もない中、屋敷の火事にも焼け残った『行軍録』という200年以上前の江戸初期の参勤交代の手順書をもとに、古式かつ勇壮で大胆な行列中山道をひた進む。

    宿場や難所ごとのエピソードを涙と笑いで連ねた『お武家様版 中山道中膝栗毛』的な物語は、複線でドラマ「水戸黄門」に出てきそうなお家騒

    1
    2020年08月27日
  • マンチュリアン・リポート

    Posted by ブクログ

    これまでのシリーズを読んだことなかったからか、登場人物やら関係性やら言葉やら難しくて読み解くのが大変だった。もっと満州の事や関東軍のことなど、時代背景を知ってから読んだらもっと楽しめたのだろう。そうしたらこのシリーズを読んでいきたい。

    0
    2020年08月25日
  • 中原の虹(4)

    Posted by ブクログ

    張作霖、名前は聞いたことあるくらいだったけど、かっこよかった。
    民のために本当に力を尽くした人のことはキチンと評価しているところがカッコいい。チャオルシュンを見送る場面がよかった。
    この小説に出てくる西太后といい張作霖といい、自分の信じた正義を貫く人はどこか残酷。

    0
    2020年08月24日
  • シェエラザード(下)

    Posted by ブクログ

    この時代は狂っていた。大きな力には抗えなかった。弥勒丸を愛し誇り高く生きた男たちが一時でも幸せであって欲しいと思った。モデルとなった阿波丸に乗船していた人たちは、どんな思いで乗船していたのだろうと考えずにはいられない。

    0
    2020年08月12日
  • 椿山課長の七日間

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高卒デパートマンの椿山課長。誰からも慕われるが、過労死する。死後SAC(1週間現世に戻り、やり残しを解決できる)にチャレンジ!やり残したことは①夏バーゲンセールの結果は?②結婚前まで性的にも親友の知子が今何を思っているか?③ローン21年の心配。自宅に行った椿山、超美人の妻由紀が、早速後輩で上司嶋田と同棲、これは悲しすぎる~(おー妻よ!)。また、親友の知子と会い、知子が椿山に常に愛情を注いでいたことを知り、これも辛い。息子陽介、父親、事故死した少年、やくざの親分も登場、全て繋がる。切なさ+安定の1冊。

    0
    2020年08月11日
  • プリズンホテル 2 秋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    いつも宿泊者の人生を良い方向に導くプリズンホテル。今回も宿泊客の人生の転機を迎え入れる。大物歌手のみすず、ヒモ付きで売れない元アイドル歌手のナナ、集金強盗の香川、警視庁警部補の渡辺。各々が過去を背負い、哀愁漂う背中に切なさを感じたが、それぞれの人生を歩むことを決意できたことが嬉しい。また、任侠作家の木戸孝之介のドタバタも面白い。清子の娘の美加を蔑ろにするものの、愛おしく感じているところが可愛らしい。最後、孝之介の電話越しで、過去に自分を捨てた母と対峙する場面は孝之介の質朴な一面が垣間見えた。④

    0
    2020年08月11日
  • 輪違屋糸里(上)

    Posted by ブクログ

    「壬生義士伝」と「一刀斎夢録」、浅田次郎の新選組三部作のひとつ。

    数年前、ふらりと冬の京都に行った際に、新選組の屯所であった壬生の八木邸に入ってみたことがある。
    ここで芹沢鴨らが土方の策謀によって実際に惨殺されたんだ、と思うと感慨深いものがあったねぇ。当日は物音が聞こえないくらいの土砂降りの夜だったと言うが、そんな雨をぬってずぶ濡れの沖田や原田が庭からふすまを蹴破って突入してきた様が目に見えるようだった。

    0
    2020年08月09日
  • プリズンホテル 4 春

    Posted by ブクログ

    喜怒哀楽 愛別離苦 生病老死 をふんだんに盛り込んだツアーが終わりました
    「へん、って、どうしたんだ。おなかが痛いのか、メンスがきたか!」
    このどたばたが、堪らない

    0
    2020年08月08日
  • 日輪の遺産

    Posted by ブクログ

    現実に空想を重ねてきたというのはわかっていても、よく纏まっているし楽しめた。
    細かいことを突っ込んだらアレなのかもしれないが、歴史とか普通教育で学んだくらいしか頭にない為、この小説に描かれたことはとても楽しく読めた。

    0
    2020年08月05日
  • 椿山課長の七日間

    Posted by ブクログ

    おもしろい!
    のに自分の人生も省みることができる

    おもしろさの好き嫌いは色々あると思うけれど、
    のんびりしすぎていないサクサクした展開と
    色々繋がっていく感じがおもしろい。
    飽きない。

    0
    2020年08月04日