感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年04月30日
じわっと感動が広がる作品でした。本書では犠牲者の方々の無念だけでなく、戦後も生き残った関係者たちの心境についてもなんとか読者に伝えようとしているのかと思いました。弥勒丸に乗船していて助けられた人、またシンガポールで弥勒丸の乗船名簿を作成していた軍人、またシンガポールで弥勒丸から下船するロシア人密航者...続きを読むなど、様々な立場で弥勒丸に関わった人たちの心境を描写しようとしていた気がします。弥勒丸関係者の中で生き残った人の多くはその後が描写されていますが、後日談が書かれていない何人かの登場人物について、これらの人々はその後どういう人生を送ったのか、どういう気持ちで送ったんだろうかと想像を巡らせました。あらためて実際に起こった「阿波丸事件」の犠牲者に祈りを向けさせていただき、また戦後も生き残った関係者の方々の気持ちにも思いが向かいました。
Posted by ブクログ 2022年09月16日
上巻の内容からは急展開して話が進んでいきます。
下巻はやはり船とともに海へ沈んでいった多くに方々のことを考えさせられます。日本がどんな状況に置かれているかも分からないまま、言われるがまま、船に乗せられ、なにも分からないまま死がやってきた。
この事件を、ようやく語ってくれた老人。語りたくない人はた...続きを読むくさんいるのかもしれませんが、やはり戦争を知らない世代になんとかして語っていって欲しいと思いました。戦後、平和と繁栄を手に入れた日本には、戦争に翻弄され死んでいった多くの命が足元に眠っていることを改めて感じさせられました。
Posted by ブクログ 2022年06月03日
購入済み
再読。
2002年に初版が発行されているのでおそらく20年近く前に読んだ作品だろう
読み始めてすぐに再読と気がついたが、悲しいかな起承転結ほとんど思い出せず、読み続けてみることに。。。
天晴れ浅田次郎!
本当に素晴らしい作品。
年齢、次節、世界情勢、こちら側のいろんな要素を加えるとこんなに...続きを読む作品にたいする気持ちが変わるものか?と驚く。
戦に大義も正義もない!の一節が心に響く。
Posted by ブクログ 2021年02月05日
栄光のパッセンジャーシップ・弥勒丸。
彼女の最後は涙なしには読めませんでした。
船員たちの気高さもまた泣けました。
今年読んだ中でもベスト3に入るほど面白かったです。
Posted by ブクログ 2020年08月11日
ネタバレ何度聴き返したか、重厚感溢れるシェエラザード。この悲哀、幻想、希望を胸に読み進める。連合国軍の弥勒丸に対する撃沈カウントダウンには、大本営参謀達の悪企みが見え隠れする。この参謀達の判断ミスで、台湾沖合で4発の魚雷を受け2300人と美しい彼女も当然の如く沈んだ。これを悲劇と言わずして何を悲劇と...続きを読む言うべきか!間近に迫る終戦、もう少しで彼女も助かったと思うが、残念ながらこの戦局が運命を変えてしまった。また律子のクールな決断は弥勒丸への尊敬と愛情を含んだものだったと理解した。ヨォーソロォー(宜しく、候)。
Posted by ブクログ 2018年10月19日
シンガポールに寄航する弥勒丸には二千人の帰国者を乗せると言う。安導券を持つ弥勒丸は安全な航海が保障されている。シンガポールで積み込まれる積荷は軍機だという。それに二千人にも上る帰国者。軍はシンガポールが攻撃されると宣伝してるが、軍事的に見て、それはありえない。これらのことは何を意味するのか。小笠原機...続きを読む関に出向している土屋には分からなかった。
Posted by ブクログ 2015年08月17日
軽部と日比野と律子、そして弥勒丸にまた会えて、また別れてきた
切なく、悲しく、つらいけど、
最後は頑張って前を向いて生きていこうと思う小説
戦争は、始めるよりも終わらせる方が大変だと
弥勒丸に乗って亡くなった人たちの無念さ
残された人たちの悲しみと後悔
何度読んでも、つらい、悲しい
よぉ~、そろ~、...続きを読むという掛け声が聞こえてきそう
とってもお勧めの小説なんです
Posted by ブクログ 2014年04月10日
客船をなぜ貴婦人と呼ぶのか知らないけれど、弥勒丸を気高い女性とするのはなぜかすんなりと納得させられてしまう、誇り高い海の男たちによってその姿があるからだろうか?
その弥勒丸を、律子、百合子、シェエラザードといった強く美しい女性で象徴するので余計に運命の悲しさが辛い。
悲しいです。
「よーそろー」と...続きを読むいう船乗りの言葉の語源がよい。
上巻とは別物くらい下巻は読みいった。
Posted by ブクログ 2024年04月07日
第二次世界大戦の裏に、こんな悲劇があったなんで知らなかった。
序盤は、弥勒丸の引き上げの理由は、何か暗澹たるものなのだろうと思っていたが、読み進めるごとに、平和と船を愛した一途な男の想いとわかり、切なくなった。
特に、最後弥勒丸が敵に包囲されお手上げ状態になったときの絶望感たるや。
この物語のモデル...続きを読むになった阿波丸についてももっと知りたくなった。
Posted by ブクログ 2020年09月06日
シェエラザードという題名で選んで読んでみました。
戦争の話で、泣ける感じかなと思って読み進めるも少し違って…でも、止まらなくて一気に読んでしまいました。
読み終えましたが、少し謎が残ってスッキリしない感があるような気がします。
Posted by ブクログ 2020年08月12日
この時代は狂っていた。大きな力には抗えなかった。弥勒丸を愛し誇り高く生きた男たちが一時でも幸せであって欲しいと思った。モデルとなった阿波丸に乗船していた人たちは、どんな思いで乗船していたのだろうと考えずにはいられない。
Posted by ブクログ 2019年11月05日
内容(「BOOK」データベースより)
弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀に...続きを読むわたる大叙事詩、最高潮へ。
Posted by ブクログ 2015年09月23日
船が沈む運命なのが判っているため、読んでいて、つらい場面が何度もあった。「乗らないでっ」と思う。
乗組員も陸で関わった人も、それぞれの使命を抱え、ひとりひとりに尊い命があったのに。。。
現代と過去のストーリーが交互になっているのは、メリハリがついて良かったと思います。しかし、恋愛模様が男性の理想に...続きを読む片寄り過ぎでは?
Posted by ブクログ 2015年08月16日
終戦の日前日に下巻だけ読みました。
下巻だけでしたが十分面白く読めましたし、とても引き込まれました。決して面白い訳ではないですが、内容的には。
浅田次郎は、構成も人間性もとても素敵です。
一人ひとりの人間ドラマが重ね合わさって今がある。過去があって今がある。
タイムリーな本でした。
Posted by ブクログ 2014年06月22日
面白かった。あっという間に上下巻を読みきってしまいました。
日輪の遺産や壬生義士伝と同様に、現在と過去の物語をリンクさせ、登場人物の独白という形で事実を浮かび上がらせていくスタイルです。かなり都合よくストーリが展開していきますが、それを上回る構成でした。
ストーリとしては、昭和20年に民間人200...続きを読む0人あまりと金塊を積んだ弥勒丸がアメリカの潜水艦によって沈められます。その引き上げをめぐってのストーリ展開となっています。
弥勒丸とはなんだったのか?なぜ民間船なのに沈められたのか?その悲劇の真相は?そして、なぜ、それを引き上げようとするのか?
時間軸が交差する中、語り手が変わりつつ、それらのなぞを解き明かしていきます。
弥勒丸に隠されていたストーリとはとても悲しい物語でした。さらに、下巻の終盤、弥勒丸が潜水艦に囲まれるシーン。海の男たちの誇りと覚悟。とても胸が熱くなるシーンでした。ここで終わってくれてもよかったんだけどな..
本作には実在の事件を題材にしているそうです。
「阿波丸事件」はタイタニックを上回る2000人以上の方がアメリカの潜水艦に撃沈され命を落としています。
本作を通して、その事件を知ることになったこともとても貴重かと思います。
海の男たちの、いや、日本人の矜持と誇りを感じる物語!
「よォそろォー」
泣ける。
お勧めです。
Posted by ブクログ 2013年11月16日
太平洋戦争末期、2000名の民間人を乗せた豪華客船が台湾沖にて撃沈された阿波丸事件をモチーフにした物語。赤十字船として国際的に認知された客船。誤爆か故意か?登場人物の関係を丁寧に紡ぎながら、歴史の闇にユックリと光を当て深まる撃沈の謎を紐解く。奥深き浅田文学堪能!
Posted by ブクログ 2013年09月19日
物語は過去と現代を行き来しながら展開。
当時から謎だらけだった弥勒丸。
冒頭のワクワク感は、乗組員やここに関わった人々のやるせない思い、その時の状況、そしてその後の人生を知るにつれ、切ないものへと変わってゆく。
「シェエラザード」検索してみれば、クラシックに疎いながらも耳に覚えのある曲。
何度も自...続きを読む慢げに語られる弥勒丸のその優美な姿に思いをはせながら聴き入ってしまいました。
Posted by ブクログ 2017年08月15日
およその感想は上巻で書きましたので、あまり追加することはありませんが、独白で終わるエピローグは、なぜ書き加えちゃったの?という感じで、余分でした。でも全体的にはとても面白かったです。
Posted by ブクログ 2023年07月07日
上巻の流れから急転直下の展開を予想したのだけれど、予想はハズレ土屋和男とシンガポールを舞台とした話に終始して脇をかためた感じだな。下巻というより、視点を変えたエピソード2という趣き。
Posted by ブクログ 2023年04月29日
阿波丸事件をベースに書かれたフィクションと知りながらも、これが真実じゃないかと思えるくらい物語にハマりこんじゃった。 もちろん戦争体験はないけれど、これまでに見てきた写真や映像から映画を観ているように読み進んだ。 それにしても戦争とは何と理不尽で人の命の軽いことのか・・・。戦争小説の終わりは、やっぱ...続きを読むり切ないね。
Posted by ブクログ 2021年12月15日
王妃の館よりは、先を読み進めやすかったけど、日輪の遺産ほどの納得感はない。
日輪の遺産をよく思いすぎなのかな。自分の感想として、美化して思い込んでる?
わたしには、浅田次郎作品は向いていないのかも。
Posted by ブクログ 2015年11月27日
上巻から続き、現代、弥勒丸、シンガポールの特務機関を舞台に、上海に向かう理由を明かしつつ、撃沈に向けて話が進む。
宋が正木中尉だとわかってくるあたりまでは、盛り上げあっていくが、宋視点の話になったところで一旦冷めてしまうのが惜しい。
Posted by ブクログ 2014年11月07日
上巻がテンポよく進んでいくのに比べ、下巻は終わりの方になるにつれ、話がくどくなっていく印象。無理矢理ページ数を増やしたのかな、と思ってしまった。少し読んでいて疲れました。
とはいえ、この本のストーリーは面白いと思う。