あらすじ
弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ何度聴き返したか、重厚感溢れるシェエラザード。この悲哀、幻想、希望を胸に読み進める。連合国軍の弥勒丸に対する撃沈カウントダウンには、大本営参謀達の悪企みが見え隠れする。この参謀達の判断ミスで、台湾沖合で4発の魚雷を受け2300人と美しい彼女も当然の如く沈んだ。これを悲劇と言わずして何を悲劇と言うべきか!間近に迫る終戦、もう少しで彼女も助かったと思うが、残念ながらこの戦局が運命を変えてしまった。また律子のクールな決断は弥勒丸への尊敬と愛情を含んだものだったと理解した。ヨォーソロォー(宜しく、候)。
Posted by ブクログ
シンガポールに寄航する弥勒丸には二千人の帰国者を乗せると言う。安導券を持つ弥勒丸は安全な航海が保障されている。シンガポールで積み込まれる積荷は軍機だという。それに二千人にも上る帰国者。軍はシンガポールが攻撃されると宣伝してるが、軍事的に見て、それはありえない。これらのことは何を意味するのか。小笠原機関に出向している土屋には分からなかった。
Posted by ブクログ
軽部と日比野と律子、そして弥勒丸にまた会えて、また別れてきた
切なく、悲しく、つらいけど、
最後は頑張って前を向いて生きていこうと思う小説
戦争は、始めるよりも終わらせる方が大変だと
弥勒丸に乗って亡くなった人たちの無念さ
残された人たちの悲しみと後悔
何度読んでも、つらい、悲しい
よぉ~、そろ~、という掛け声が聞こえてきそう
とってもお勧めの小説なんです
Posted by ブクログ
第二次世界大戦の裏に、こんな悲劇があったなんで知らなかった。
序盤は、弥勒丸の引き上げの理由は、何か暗澹たるものなのだろうと思っていたが、読み進めるごとに、平和と船を愛した一途な男の想いとわかり、切なくなった。
特に、最後弥勒丸が敵に包囲されお手上げ状態になったときの絶望感たるや。
この物語のモデルになった阿波丸についてももっと知りたくなった。