あらすじ
昭和20年、嵐の台湾沖で、2300人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく――。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。
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一気に読めました。終戦直前の昭和20年4月、人道支援の目的で運航していたはずの日本の豪華客船、弥勒丸が日本への帰路途上で米国の潜水艦に沈没させられてしまいます。軍艦に間違えられたのか、それとも意図的な沈没だったのか。時代は過ぎこの事件の記憶も薄くなってくるなかで、ある台湾人実業家が弥勒丸引き上げ話を主人公に持ちかけてくる、というようなストーリーです。これは昭和20年4月に実際におこった「阿波丸事件」がベースになっているのですが、本書を読み進めながら犠牲者の方々に対してご冥福を祈りさせてもらいました。
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いつもながら浅田次郎さんの本は時代考証がしっかりしていて、骨太で読み応えがあります。楽しいけど忘れてしまう小説でなく、少し重さと暗さはあるけど、心に強い印象を残す作品。戦時中の個々人の苦悩と懸命に正義を求める生き方、豪華客船にプライドを掛けた生き方。学びがあり、思考が深まる作品です。
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戦時中に人道支援で運行していた船がアメリカの攻撃によって沈んでしまったことがありました。だんだん記憶が薄れていくほど時間がたったころ、台湾の実業家がこの船を引き上げる話を主人公に持ってきます。
一気に読めるくらいなかなか面白い作品です。戦争のこともありますが、金塊というお宝のこともあるの、エンターテイメント性もありどんどん引き込まれていく幹事でした。
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終戦間近に客船の弥勒丸に白羽の矢が立った。その命令は緑十字を旗印として捕虜に救援物資を運ぶこと。日米間の協定で安全航行を保障されているが、米軍から4発の魚雷により2000人以上の乗船者の殆どが死亡し、救助されたのはたった1名だった。物資運搬以外にも金塊の運搬をするという第二の命令を受けていた可能性がある弥勒丸。現代に弥勒丸の引き揚げに、国、ヤクザ、元軍人の思惑が交差する超大作。魅力的な登場人物の久光律子。その美しい外観を呈する弥勒丸と雰囲気が重なる。彼女達の運命と戦時中の悲哀を大いに堪能しよう。
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終戦間際、軍の徴用船として捕虜の食糧を運んでいた弥勒丸が、台湾海峡で誤爆により沈められた。
弥勒丸のサルベージを巡り、3人の男女が、謎の中国人に難題を投げかけられる。
感想は下巻で。
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浅田次郎さんの作品の中で、とても好きな作品
終戦記念日の土曜日に
久米宏 ラジオなんですけどを聞いたら
外国で終戦記念日を迎えた方と久米さんの対談を聞いた
(Podcastで、3人の方とのお話聞けます)
シェエラザードを読まなくちゃっと思い立ち
集中して、もう何度目かの再読
旨い
旨い旨い旨い
いま上巻を読み終えたところだが、
美味しい酒や美味しい料理をいだだいた気分だ。
とても本のレビューとは思えないコメントだが、本当にそんな気分だ。
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沈没船引き上げにからんだ国際的な謀略小説にでもなるのかと思って読んでいましたが、太平洋戦争中に豪華客船が負った密命と戦争悲話になっていきました。考えも及ばない意外な真相で、上質な歴史ミステリーでした。
横浜元町の描写や当時の歴史背景など、いろいろ興味深く読めました。
本文中に比較対象として登場している元町公園の氷川丸の往時の姿を想像したり、当時の人々が思い描いていた南洋航路の夢などに想いを馳せながら読むと、さらに味わい深くなると思います。
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ずっと積読してた本
掃除してたきっかけで見つけ、
読み始めたら止まらなくなった。
やっぱ浅田さんはすごいですね。
引き込まれ、数日で読破しました。
下巻も見逃せない。
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浅田次郎らしい壮大で悲しい物語。
実際の阿波丸事件の謎を元に現代のミステリと歴史の悲劇を巧みに描いた快作だ。
最初読み始めた時は沈没船の引き上げをネタにした裏社会の絡んだサスペンスか、もしくは「M資金」的な詐欺モノかと思っていた。ところがそこは浅田次郎。いつの間にか史実の謎を独自の説で明らかにしながら、戦争の悲劇を壮大なドラマとして仕上げた。謎解きに関しては、戦時中はソ連のように平気で約束を反故にすることもあるし、軍部の狂気を思えば米軍の確信犯的な撃沈も、陸軍の考えた人間の盾もあり得ない解釈ではない。
本作では戦闘シーンや実際に人が死ぬ場面はあまり描かれていない。それなのに戦争の悲惨さはひしひしと伝わってくる。私は今までいくつもの戦争を描いた小説や映画を見てきたので戦争は人類の犯罪だと思うし、最後まで選択すべき手段ではないと強く思っている。
世界中でアメリカでもヨーロッパでもロシアでも中国でも古今東西の戦争を描いた作品は読まれたり観られたりしているはずだ。それなのに何故戦争は絶えないのか。プーチンは、ネタニヤフはそういう作品を読んだことはないのだろうか。何も感じなかったのだろうか。
シェエラザードは自らの語りによって千一夜の夢のひと時を作り出した。
今も地球上のどこかで戦争が起こっている。ウクライナでもガザ地区でも「シェエラザード」が流れることはないのだろう。そしてこれからも、例えひと時でも地球上から戦争がない夢のような瞬間は訪れないのだろうか。
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面白い。
現代と敗戦が色濃くなって来た第二次世界大戦末期とを巧みに交差させ登場人物の苦悩と背景を描いて物語りを紡ぐ。
戦時の描写は内容的にも表現にしても読み辛いのだが、それを踏まえてのストーリーであることを理解して、ここはひとつ修行として読んだ。この上巻では、まだやっと登場人物が出揃って謎が謎を呼んでいる段階ではあるのだが、下巻への期待は、空気をパンパンに吹き込んだ風船のごとく膨らんでいる。
エンターテイメント作品としては十二分なスケールを持ち備えているように思うのだが映画化されてないの?
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久しぶりに浅田次郎を読む。阿波丸事件に取材した「弥勒丸」の引き揚げを巡り、数々の運命、過去と現在、男と女が絡みあう物語。浅田次郎にしてみれば、お手の物のプロットに、男女のロマンスをちょちょっと振り掛けて、謎解きのカタルシスを最後に付ければ一丁上がりといった感じの小説で、まあエンターテイメントとしては良い。
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あらすじ
昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく-。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。
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面白かった。あっという間に上下巻を読みきってしまいました。
日輪の遺産や壬生義士伝と同様に、現在と過去の物語をリンクさせ、登場人物の独白という形で事実を浮かび上がらせていくスタイルです。かなり都合よくストーリが展開していきますが、それを上回る構成でした。
ストーリとしては、昭和20年に民間人2000人あまりと金塊を積んだ弥勒丸がアメリカの潜水艦によって沈められます。その引き上げをめぐってのストーリ展開となっています。
弥勒丸とはなんだったのか?なぜ民間船なのに沈められたのか?その悲劇の真相は?そして、なぜ、それを引き上げようとするのか?
時間軸が交差する中、語り手が変わりつつ、それらのなぞを解き明かしていきます。
弥勒丸に隠されていたストーリとはとても悲しい物語でした。さらに、下巻の終盤、弥勒丸が潜水艦に囲まれるシーン。海の男たちの誇りと覚悟。とても胸が熱くなるシーンでした。ここで終わってくれてもよかったんだけどな..
本作には実在の事件を題材にしているそうです。
「阿波丸事件」はタイタニックを上回る2000人以上の方がアメリカの潜水艦に撃沈され命を落としています。
本作を通して、その事件を知ることになったこともとても貴重かと思います。
海の男たちの、いや、日本人の矜持と誇りを感じる物語!
「よォそろォー」
泣ける。
お勧めです。
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職場の人からおすすめされた一冊でした。
浅田次郎は初めて読みましたが、なかなか読みごたえがあり、最初はペースもゆっくりだったのですが。後半からはいっきに読めました。
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終戦間近、国際赤十字の任務で捕虜への物資を運搬していた弥勒丸が、敵国の攻撃を受け沈没した。
一方、現代では、街金の社長である軽部たちが台湾政府の要人から弥勒丸の引き上げ依頼を受ける。
過去、現在が少しずつ描かれていく、「日輪の遺産」のようなスタイルの小説。
日本が侵略したアジアでかき集めた金塊を積んだ弥勒丸の沈没した理由とは。どんな物語が待っているのか。
果たして、弥勒丸を引き上げることはできるのか。
とても引き込まれる話で面白い。ひとつ残念なのは、律子の軽部への気持ちがうっとうしくて余計なこと。
後半の加速が楽しみ。
浅田次郎らしい作品
良い意味でも悪い意味でも浅田次郎らしい作品。
どの作品にも言える語り口のうまさ いわゆる浅田節 はこの作品でもあちこちらでうたわれていて それはそれでよい。
しかし 登場人物の性格の書き込みがやや類型的であったり、ストーリ構成が冗長であるように感じられたのが 残念。
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昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていくー。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。
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浅田次郎の代表作に推す人も多いのですが、私には少し。。。
一つには読んだ条件が悪かったこともあります。なにせ米国出張先で、時差ぼけに悩まされながらでしたから。何となく目が上滑りすると言うか、読み返したら記憶に無い部分が所々にあります。しかし、それにしてもやや冗長な感じは否めません。
そういえば、私が最初に読んだ浅田作品は「日輪の遺産」で、これも第2次大戦ものでした。しかも感想は良く似たような感じです。どうも浅田さんのこの領域とは相性が悪いみたいですね。むしろ帚木さんが書いたら、かなり受けるのでしょうけど。
とは言え、悪い作品とは言いません。それなりに面白い内容だと思います。ただ、私との相性が悪いのだと思います。
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第二次世界大戦中に撃沈された弥勒丸を引き上げようとする現代と、当時の弥勒丸の視点を同時並行で進む話。
現代では、弥勒丸の引き上げを依頼されたヤクザと元新聞記者が当時の情報を集めて、関係者が集まり始めるところまで。過去では弥勒丸が東南アジアに向かい、金塊を上海に輸送しようとするところまで、下巻へ。
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単行本で読みました。面白かったです。筆力を感じました。ただ、女性の書き方がちょっと苦手です。大げさで芝居がかった男の考えた女って感じで読んでいてムズムズしました。女性作家の書いた男を男の人が読むと同じように感じるのでしょうか?「こんな男いねーよ」とかね。
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現代と過去をいききしながらという展開と話しの内容から作者の日輪の遺産を思い出した。
全体像としてまだなんとも言えないが続きは気になる。
下巻へ
Posted by ブクログ
浅田次郎さんの作品は何冊か読んで気に入っていたが、浅田さん独特のストーリーの描き方が、この作品にも出ていて良かった。上巻だけでは展開が読めない。