浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浅田次郎が描く戦争にまつわる短編集。
と、いっても派手なドンパチは出てこない。
舞台は終戦直後の闇市であったり、作戦中のひと時であったりするが、どの主人公も人には決して言えないような悲しみを抱えて生きるまたは死ぬ様子を描いている。
生きるか死ぬかという瀬戸際になると、愛する妻子や好いた女性が出てくる。
現代の世の中では、恋愛や結婚はエンターテイメントか合理的判断の対象になっているが、本当はそんなものではないのかもしれない。
もちろんフィクションの話ではあるが、戦争は本当に悲惨で最中も終わった後も死ぬよりも生きることが難しい日々をもたらす。
平和が当たり前になっている現代でもやるせなさや -
Posted by ブクログ
愛と涙の六短編。
私にとってハズレのない浅田次郎さんの、切なさの残るストーリー。
忘れっぽい自分が、この先忘れることはないだろうなと思うのは、最初の「あじさい心中」の二人。
リストラされたカメラマンと、廃れた温泉街で働くストリッパー。初対面の二人が心中を決意する、そんなまさかの展開を受け入れる自分がいることに驚く。そうさせる著者の筆力にも脱帽。
哀しみの淵にたどり着いた人の言葉は重く、その決断は強い。
架空の人物だけど、同じような境遇の人がいることに想いを馳せて、その人たちの幸せを、自分のそれとともに願いたくなる、そんなお話でした。読めてよかった。 -
Posted by ブクログ
今巻の主な視点は、溥儀と張学良。
溥儀は清の復辟を成すため、日本が作った満州国の執政に就任。そのまま、満州国皇帝を目指す。
溥儀は孤独の概念を知らず、孤独を感じることはないとの独白があるが、彼の感じる感情の多くは孤独そのものである。
張学良は蒋介石に実権を渡した後、ヨーロッパに身を移すが、外から見た中国を感じながら、最終的には再度、中国に戻ることを決意。
張学良は、難しい政局の中で逃走を余儀なくされるが、世間からは様々な非難や憶測を呼んでおり、これもまた孤独である。
激動する社会に取り残されたり、巻き込まれたりした人々の各々の人生が翻弄される。
前まで物語の途中、毛沢東の名前が出、天命のの具体