浅田次郎のレビュー一覧
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第三巻に入り物語のスケールがかなり大きくなりました。
これまで主に清国内から語られてきたストーリーですが、この巻あたりから日本人やアメリカ人ジャーナリストが登場します。それによってアヘン戦争以降、列強の脅威にさらされる清の姿というものが、外の視点からも描かれていきます。
海外の脅威にさらされる一方、宮中内の政争もより苛烈さを増していく。これまでの中心人物だった春児や文秀の出番が減ってしまったのが少し寂しくはあったのですが、陰謀渦巻く国内・国外政治のドラマはまた違った読み応えを与えてくれました。
歴史のうねりの中で、登場人物たちが時には自分たちの立場や勢力拡大、あるいは保身のために、あるいは理想や夢を持ち、それを人に託し、あるいはただただ純粋に人と国を憂い祈る。様々な思いが交差し描かれていきます。
大枠としてはこの巻は歴史・政治の陰謀、策略の要素が強かったと思うけど、要所要所でこうした清濁合わせた人の思いが描かれ、言葉が紡がれ、それによってストーリーが単にドロドロとしたものだけでは終わらないのが、印象として良かったです。
歴史物だとストーリーが歴史をたどるだけに終わってしまう印象になるものもあるけれど、この蒼穹の昴の3巻はそれを感じませんでした。そこもまた作品の引力や浅田次郎さんのストーリーテラーっぷりが現れていると思います。 -
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蒼穹の昴の第二巻。
この巻では西太后の姿が印象的だった。前巻でちらっと出た感じでは、権威ある強大な女帝という感じ。さらに歴史上のイメージも相まってとんでもない悪女という印象があったのだけど、蒼穹の昴での人前で見せない彼女の姿はその印象ががらりと変わる。
話し言葉が普通に女の子っぽかったというのもあると思うけど、国を背負う重圧に押しつぶされそうになる弱さや、混沌とした状態のままで国を愛しい甥に任せたくない、という情愛の思いであるとか、そうした部分が等身大に描かれていて、女帝の人間らしさが描かれます。
表の強い女帝の姿と、裏の普通の女性っぽさ。その相反する二面性が、彼女を魅力的に描きます。
熱くなるシーンでいうと宦官を志す春児が、鍛錬の日々の中で師匠から教えを受け継ぎ舞台にあがるシーンが格好よかった! この作品は宝塚で舞台化されているそうだけど、舞台で見たらめちゃくちゃ映えるだろうな、とつい想像してしまう。
あとは春児の運命を変えるお告げをした白太太が、お告げに関してのある真実を述べる場面も捨てがたい。人間の可能性や強さを感じさせ、感慨深くなるいい場面でした。
ストーリー的にはこの巻から宮中や国際政治が絡んできて、シリアスさが増してくるのだけど、春児の運命が語られる場面はどことなく王道の少年マンガの雰囲気を思い出させ、どこか懐かしい気持ちにもなりました。 -
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ネタバレ列強諸国に蹂躙される間際の斜陽の清朝時代の中国で、抗いがたい大きな時代の流れになすがままにはされるまいと踏ん張った人々の物語。糞拾いの春児は万に一つも裕福になる可能性のない運命を自らの手で掴みとった。文秀は皇帝を、ひいては中国という国全体を正しい道に導くために全力で奔走した。結果として2人が迎えた結末は、2人が目指した白太太のお告げのそのままとはいかなかったかもしれない。しかしそこには天命なんてものを凌駕する人間の力というものが働いていたと思う。また、個人的にもう一人の主人公だと思っていたジュゼッペ・カスティリオーネが偉大なるヴェネチアンという身分を捨て、郎世寧として西洋のバロックの芸術家も到達し得なかった「青」に到達したことが、誇らしかった。貧しい人々や苦しい人々の心を救う絵を描きたいと言って中国へと渡ったカスティリオーネの描いた絵画や、生み出したガラス工芸が何百年の時を経て、蒼穹の昴として春児や西太后をはじめとした中国の人々の心を救ったとき、人間の力は天の力をも超えるのだと思えた。岡やトムをはじめとする諸外国の記者団や、変法のために自らの命を捨てた順桂なども、その一人一人の働きは微々たるものかもしれない。しかし、作中で岡が演説したように、彼ら一人一人の行為は何ひとつ歴史を変えることが出来ないかもしれないが、彼らは確実に、あの時あの瞬間に歴史に「参加」していた。ただ時代の激流に流され、清朝が倒れていく様を傍観しているのではなく、自らの頭で考え、自らの足で行動を起こした。そうした積み重ねが未来を変えるのだと、今の私たちにとっても、身につまされるようなメッセージを受け取った。
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清国が終わる直前(光緒帝)の時代。清代を題材にした中国ドラマを見ていたので用語はわかりましたが、見てなかったら結構難しかったかもしれない。。
登場人物は歴史上の有名な人なので、調べてしまえばどういう経過を辿るかは分かってしまいます。でも一人春児は創作。なので春児に関してはどうなっていくのか気になりつつ読みました(宦官のトップになるとは示唆されていたけど)
シリーズ物ということで、歴史上ではやや中途半端なところ(改革派が亡命するところ)で終わってしまいます。春児がトップに上り詰めるという話であればここで完結でしょうかね。時代の変わり目を題材にする小説はやはり面白いです。 -
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蒼穹の昴から読んでるものにとって、まさにこのチクルスが最終巻でよいかも。梁文秀と春児と玲玲の終着点。満州国皇帝溥儀を廻り、万感の想いで締めくくられるラスト。彼らをずっと読んできた読者にとってはもうこれ以上の物語はいらない最高の締めくくりだった。
只、歴史はここからが面白くなるところ。
次の兵諫は、226事件と西安事件。
シリーズがこの先どうなるかわからないけど、毛沢東、周恩来が中心となるわけで、我々と同じ時代を生きた人たちの物語がどうなるのか、興味は尽きない。
本流シリーズがいつ出るか情報を知らないけど、行けるところまで読み継いでいきたい。 -
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今回も面白かった!シリーズを重ねる毎に読みやすくなってるって感じてたんだけど、それは物語が現代に近づいてきてるからなのかも。カフェとか段々知ってる言葉が多く出てきてる気がした。
天切り松さんが仕事した描写って今まであんまない気がしたんだけど、今回やっと出てきました!狙った人2人とも起きてたけどね。笑
なんだか天切り松の新人時代を見ているようで、頑張れってなりました。
それにしても相沢中佐の話は、読んでて何とも言えない感情になりました。松蔵と同じように「神を信ずることの幸か不幸」を考えさせられる話でした。奥さんへの愛情表現が下手だけれど、ちゃんと愛してたのが伝わる相沢さん。奥さんを苦しめることになるから、人を殺さなければいいのにって思うけれど、それが本人の思う正義なんだからしかたない。
そして「王妃のワルツ」が好きでした。黄不動の栄治もかっこいい人だったのか!今まで出てきてたけど、そんなに心に残ってなかったみたいです。ファンクラブが出来るほどかっこいいのか!顔を見てみたくなりました。
でも何よりも1人のひとを愛した殿下が1番かっこよかった!結婚するならそういう人とするのが幸せだと思いました。津村さんはチャラチャラしてないで、見習って欲しい。笑 -
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ほぼ一気読み。珍妃の死の謎やいかに?と、、、
二転三転される証言に、登場人物たちと同じように気を揉まれつつ読み進めた。
清代末期の激動を描いたシリーズの第二期という位置付けらしい本作を読み、続編への期待が高まった。
★4つ、8ポイント。
2022.08.26.新
※中国史の知識はほぼ皆無(中学校の社会科レベル)だが、逆に予備知識が無いからこそ新鮮に物語の世界観を味わえている気がする。
※「蒼穹の昴」の続編だというから“春児”の活躍に期待したけれども、ほとんど出てこなかった(苦笑)
※(読解力が無いのかな…?)
結局のところ、珍妃を殺したのは誰?
連合国軍の兵士たち?
・・・・(恥)
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ここが、いまいちスッキリしなかったのだけれど・・・他の読者達はちゃんと読み取れているのかしら?読解力不足の哀れな読書好きに、もしよかったらそれぞれの解釈をコメント欄ででも教えてくれる方がいたら嬉しいです。
※巻末解説者は今作を読んで芥川龍之介の「藪の中」を思い浮かべたらしいが、自分が頭に浮かんできたのは・・・
20年以上前の洋画。メグ・ライアンとデンゼル・ワシントンの「戦火の勇気」だった。
(そんなに有名な映画ではないのだけど…知ってる人はいるかな?)