あらすじ
累計590万部突破! 「蒼穹の昴」シリーズ第5部完結巻!
シリーズ史上、もっとも哀切なラストに涙する。
ふたたび玉座へ。
ラストエンペラー・溥儀は満洲国皇帝に。
日中史の最大の転換点を描き切る奇蹟の小説!
日本軍による張作霖爆殺で、自らの足を失った吉永将は、関東軍への強い不信を募らせていた。
満洲国建国の真の目的は何なのか。
新京では人々のあらゆる思惑を呑み込み、溥儀の皇帝即位の大礼の準備が進んでいた。
その裏に隠された悲劇。その時、春児は。
1934年新京。
梁文秀、李春雲の支えを得て、溥儀はついに満洲国皇帝になる。
上海に帰還した張学良は、次々に襲い来る刺客を返り討ちにしつつ、
龍玉を抱きこの国を統べるべき救世主を探し続ける。
満洲に生きる希望を見いだそうとした正太と修の進む道は。
感情タグBEST3
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「没法子」
このシリーズ通じてのテーマ
それは時代の大きなうねりに対する人の小ささ、
それでも抗う人々の物語
登場人物による“語り”が、ドキュメント映画のよう。
この物語の主な登場人物は歴史上に実在したため、その趨勢は定められている。
そこに語りで色付けすることで、作家の意図する物語へと変わって行く。
「事実は小説より奇なり」というが、小説は歴史書より真実を考えさせてくれる。
しかし、この物語を思いっきり楽しむためには、「蒼穹の昴」から始まる全シリーズを読破しておくことにこしたことはない。
シリーズ終章だと思っていたが、まだ続きそう。
ここから先は描くのにいろいろと難しい時代だと思うけど、この作者のことだからきっと面白いものになると期待して待つ。
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めくって最初の章のタイトルが「ひといろの青」
蒼穹の昴も一つの大きな節目にきたんだなと思いました。そして語られるのは中国の創世神話。
" 森羅万象はこうして調いました。しかしそれだけでは、人間の住まう世界にはなりません。
天に代わって人の世を統ぶる帝。天命を奉じて政を行う、中華皇帝がいなければ。そのみしるしとして、盤古の心臓は大きなダイアモンドに変わりました。
どれほどすぐれた人間であろうと、神々の目から見れば乙甲の獣にすぎません。選ばれた唯一の人間が皇帝として龍玉を抱いてこそ、世界は定まるのです。"
創世神話を思い起こしながら日光浴をする溥儀。「私の過去には全き幸福の時間などかたときもなかったらしい」と振り返る。しかし、幼い頃春児が話してくれた物語は好きだったと。未来の私のためにたくさんの宝石を献じてくれたのだと話す。
"どうして私が
なにゆえこんなにも、高貴な不幸を背負わねばならぬ"
と振り返りながらも。
映画スターになるべく満州にきた田宮少年を見て、「満州に渡った日本人は誰もがみな多かれ少なかれ芝居を打っているのではないか」と考え始める。この「満州」は本来どこにもないのではないかという疑問が頭をもたせかける。人はみんな懸命に生きているが、どこか空回りを続ける空気感だった。
日本にいる吉永はいよいよかの急進派、「危険」と言った石原に会う。石原はいずれ白人世界とアジアで戦争が起きる。そのために満州が必要なんだと話す。
"「いいか、石原。貴様は天才でもなければ英雄でもない。みずからを天才と信じ、みずから英雄たらんとする、皮肉屋で臍曲がりの宗教家にすぎん。宗教家ではなく軍人だと言うのなら、もう一度繰り返すーー恥を知れ」"
どんな理由であれ侵略はいけない。その土地はその土地に生きる者たちのもの。しかしどんどん悪い方に転がっていく中での群像劇だった。
"執政溥儀という人物が、他人のように思えない(中略)しかしその苦悩は、凡下の人々の及ぶところではない。貧しさとは無縁でこそあれ、生きながら地獄をさまようほどの不幸であろう。"
志津は「満州はひどいところだ」と士官学校の同期に話す。ひどいところの満州に、夢を見る者、人生を賭ける者もいる。『満州』とはなんだったのか。このシリーズはどんな結論を出すのか、最後まで追いかけたいと思う。
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2023.11.16~11.26
ラストエンペラーの本当の悲劇が始まる。
史実として、学校で学んだことが、いかに大雑把であやふやであったのか。「嘘」ではなかったが、「黙」ではあった。
で、正太はどうなる?修は?
誰が龍玉を手にするのか?
創作の中で、歳を重ねていく人、新しく登場する人。彼らの人生がどう転がされるのか楽しみ。
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蒼穹の昴から読んでるものにとって、まさにこのチクルスが最終巻でよいかも。梁文秀と春児と玲玲の終着点。満州国皇帝溥儀を廻り、万感の想いで締めくくられるラスト。彼らをずっと読んできた読者にとってはもうこれ以上の物語はいらない最高の締めくくりだった。
只、歴史はここからが面白くなるところ。
次の兵諫は、226事件と西安事件。
シリーズがこの先どうなるかわからないけど、毛沢東、周恩来が中心となるわけで、我々と同じ時代を生きた人たちの物語がどうなるのか、興味は尽きない。
本流シリーズがいつ出るか情報を知らないけど、行けるところまで読み継いでいきたい。
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天子蒙塵。
天子とは、宣統帝溥儀のことだろうが、天子が蒙塵することなどあるのだろうか?
天子は行幸するものではないのだろうか。
悲痛な気持ちでこの小説を読むことになった。
蒼穹の昴シリーズから続く、この物語はどこに着地するのだろうか。
宣統帝溥儀の破滅への道筋は遂に始まった。
春児等の運命はどこにいくのだろうか?
最新作に期待したい。
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蒼穹の昴からシリーズ中に登場してきた多くの人物の視線から描かれるストーリーが、同時並行的に進んでどのようにラストを迎えるのか、まだ先は見えない。
この天子蒙塵シリーズの最後のシーンは、さすが泣かせの浅田の本領発揮。
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張学良は遂にイギリスから中国への帰還を決める。一方、東三省に建国された満州国は帝政へと移行し、溥儀が満州国皇帝に即位する。
新しく生まれ変わる中国の胎動と、古い勢力である旧清国の復辟、それに乗ずる日本の帝国主義。様々な思いが錯綜する中国情勢に翻弄される人々。
帰還した張学良はどうなるのか?
満州国と戦い続ける馬占山は?
溥儀の即位後の満州国は?
龍玉の行方は誰の手に?
これらは、次巻以降に。
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全体の印象としてはジワジワと進展する印象。
「馬賊の唄」に馬賊の鄭が云う。「どうして日本人は、俺もおまえもと誘い合ってやってくるのだ。生まれ育った祖国に住み飽きるとは、どういうことだ。そして、もうひとつー」「中国人は、日本人を待ってなどいない」
満州国の出鱈目にはこの言葉で十分だな。
永田、石原の対談は痺れるシーンだけど、この後の歴史を考えるとウンザリ。
中国に戻った張学良。迎える宋字文や杜月笙が頼もしい。刺客来襲のシーンは映画のよう。まだ前哨戦で盛り上がるのはこの後だろう。
志津が想定する満州国の財政。チラッと不思議に思っていたことだけど、こんな非道いことがされていたのか。
最後は溥儀の天壇への登壇。悲しく寂しくなってきたな。
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浅田次郎の『蒼穹の昴』から始まる中国近現代史を舞台にした壮大な時代小説もいよいよ佳境に。本作『天子蒙塵』は清朝のラストエンペラー溥儀が紫禁城を追われてから「満洲国」皇帝になるまでの時期が描かれる。また前作『マンチュリアン・レポート』で爆殺された張作霖の遺児である張学良、同じく側近であった馬占山なども絡み合いながら、物語は展開する。人物の描写がそれぞれ魅力的で飽きさせないのは、さすが浅田次郎。『蒼穹の昴』の主人公、李春雲(春児(チュンル)も健在で要所要所を締めている。
次作でシリーズも完結とか。楽しみにしたい。
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梁文秀、李春雲の時間が再び交わる時がくるなんて中国の時代が大きく変わろうとしているこの時にすごいことです。蒼穹の昴から続く物語がこの後どうなっていくのかシリーズがまだ続いていくことを期待しています。
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あまりにも悲しくて寂しくなっていく結末のなかで、最後のお母さんがどうしようもないとさえ言わなければどうにかなるという話がしみてくる。
この先の歴史が明るくないことを知っているのがつらい。
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シリーズ5作目
溥儀が満州国の皇帝になるまでが描かれています。
前作「マンチュリアンレポート」をはじめ「中原の虹」や「蒼穹の昴」から随分間が空いたので、人間関係や相関が忘却の彼方でした。
自分のレビューやググってようやく思い出したところ多々あります(笑)
登場人物多くて、ストーリが追いきれません。
前作含めて、じっくり、あいだ開けずに一気に読まないとだめです(笑)
最終巻です。
いよいよ溥儀が満州国皇帝へ
しかし、なんとも寂しい式典。さらに手にもつ龍玉はまがい物
そんな式典を支えるのが老いた李春雲と梁文秀。
このクライマックスのシーンはとても悲しい。
本物の龍玉は誰の手に渡るのか?
これ、またまだシリーズは続きそうですね。
記憶が残っちるうちに、次のシリーズを読みたい(笑)
それとも、次のシリーズが出たら、前作を読み返させる講談社の戦略なのか(笑)
4作読み切るのにとても時間がかかりました。
これまだ続きそうです
Posted by ブクログ
溥儀が紫禁城を追われて、満洲国の皇帝になるまでを描いている。今までのシリーズのような主人公がおらず群雄割拠。魑魅魍魎の混沌とした世相を淡々と色んな立場の人目線から書いてる。あえて言うなら溥儀でしょうか。でも魅力的な人ではなかったので中々読み進めるのが難しかったです。
役者は日本軍、張作霖の息子、蒋介石、毛沢東、溥儀でした。もうこの時代の中国は大変ですね…。満洲国ってこんなに広大だったんだ…という勉強にもなりました。
創作の龍玉の出番は少なめでした。
このシリーズはどこまで続くのだろうか。