【感想・ネタバレ】天子蒙塵 2のレビュー

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Posted by ブクログ

ぼろぼろに泣きながら読んだ。誰も死なないで、生きてと唱えながら読んでいる。

本当に孤独な者は、自分が孤独であると理解できない。溥儀のモノローグから始まる第二巻。満洲国がいよいよできてしまった後の話。
吉永中佐は陸軍大学校の教官として予備役から現役復帰する。

"軍人が国民から敬せられる悪い時代になったと、吉永はつくづく思った"
"「いかに有能であれ、一人の人間に権力が集中するのは、国家にとっていいことではありません」"
"もしやわが国では、国会という機能そのものが、さほど重要視されていないのではあるまいか。「世界の一等国」としての体面を保つための、シンボルに過ぎぬのではないかと思う"

上記の、吉永が教官となったあとの描写がもう、もうこのご時世と重なって仕方がない。

鬼門の艮の方角、東北に流れていく溥儀。長春の街でいよいよ神経衰弱となっていくが、彼を取り巻く思惑は止まらない。誰も止められず進む。暗澹たる気持ちにすらなってくるがすいすい読ませるのは流石浅田次郎の筆だな。

戦いをやめて銀花と文瑞を幸せにするために生きることにした春雷。春雷と春雲の兄弟が関わりを持っていてよかったな。

そして第二巻の終盤、文秀と玲玲は故郷に帰る。春児が豊かにした、あんなに荒れ果てた大地だったのに小麦の実る楽園のようにした故郷に帰る。もう涙が止まらなかった。二人を監視するために同行した酒井大尉が、法律を学んだ聡明な人でよかった。
"「人間の不幸の多くは、法律の不備に起因します。よって、法律家のはしくれとして、やはりお詫びをさせていただきます」"
もう涙が止まらなかった。まだあと後半の二巻分ある。塵を被って逃げる天子の話はどこへ行き着くんだろうか。

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2023年04月04日

Posted by ブクログ

〜2023.10.30
なぜ、人は争うのか。人を欺く、そんなことまでして、人はなにが欲しいのか。
その心理が理解できないから、私は20世紀前半の歴史物が好きなんだと、改めて思った。

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2023年10月31日

Posted by ブクログ

満州国ができるまでの各国、東北の軍閥、日本の関東軍、それを抑えようとする日本の軍人、永田鉄山と武藤大将。志津大尉は御上からの意向を内心に秘め、関東軍の武藤大将の通詞として活躍。そういえばマンチェリアンレポートは読んだなあ・・・さて満州国は無事に成立するか。

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2021年08月12日

Posted by ブクログ

第1巻の北京、天津でのダイアローグ形式の物語から一転、舞台を満州に移して張作霖の配下だった馬占山を中心にそれぞれの登場人物の立場でストーリーが展開する。
満州事変から満州国建国への時代を背景に、過去のシリーズからの主要人物が出揃ってきた感がある。
ストーリーも中盤になりテンポが上がってきて引き込まれる。

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2021年08月09日

Posted by ブクログ

満州国建国当初の時代が描かれる。
滅びた清の復興を目指すため、日本と手を組む溥儀とその一党。民国と対立する彼らは、満州国を梃子に、かつての帝国の威勢を取り戻そうとする。
一方、石原莞爾が独走して建国を促した満州国の処理に日本側は手を焼いていた。
国際連盟が派遣したリットン調査団の調査活動により、満州国は日本の傀儡政権として判断されつつあり、日本は国際関係から孤立していく。
時代のうねりとも言える政情に振り回される人々。それぞれが、自分の信念を貫こうと懸命に努力する。
運命のままならなさに負けない人々の強さや、儚さが描かれた巻。

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2021年07月11日

Posted by ブクログ

本来の主人公、張学良は登場しない。張作霖の部下だった馬占山の抗戦が前半。馬賊の仁義の通し方は痛快。
志津中尉とか吉永予備役とか、総じて登場人物が傍流になったように感じるが、満州国建国の馬鹿馬鹿しさを語るのは、こういう人物の目が必要なんだろう。

浅田次郎節というか、その人物の心情語りが炸裂している。得意技ではあるけれど、この長い物語はこしないと書き連られないんだろうな。

関東軍の暴走の末にデッチ上がられた満州国。清国の再興を夢見る溥儀の姿は憐れさを増してきた。張作霖のかつての手下の張景恵のような馬賊のも言い分はあるんだろうな。張作霖を爆死させなけりゃ良かったじゃないかと思うんだが。
出鱈目な状況を打開するため赴任してきた武藤将軍。
その後のウンザリな歴史を知ってはいるが、ちょっとでも良い夢を見せて欲しいな。

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2021年06月04日

Posted by ブクログ

シリーズ5作目
溥儀が満州国の皇帝になるまでが描かれています。
前作「マンチュリアンレポート」をはじめ「中原の虹」や「蒼穹の昴」から随分間が空いたので、人間関係や相関が忘却の彼方でした。
自分のレビューやググってようやく思い出したところ多々あります(笑)
登場人物多くて、ストーリが追いきれません。
前作含めて、じっくり、あいだ開けずに一気に読まないとだめです(笑)

第二巻は
馬占山の物語。
日本軍を相手に抗戦を続けます。
冒頭、溥儀も語り手の一人として自らを語ります。これも哀しい。この後の章でもたびたび、溥儀の語りが入ってきますが、溥儀の哀しみをひしひしと感じます。

そして、満州国設立における関東軍の暴走、むちゃな論理展開。
そこで、現れた武藤将軍が正していきます。
しかし、我々は結果を知っていますが..

日本陸軍や政治の中の歴史上の人物が出てきます。
そういう役割の人だったのか..と理解が深まりました。

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2023年06月11日

Posted by ブクログ

張作霖亡き後、息子の張学良は民国政府に服ろい、東三省(満州)には日本軍の後押しを受けて満州国が独立するが、ひとり馬占山のみが抗戦を貫く。
溥儀は満州国執政に収まり婉容とともに関東軍の監視内に囚われた状況にあるが大清国の皇帝としての再興を目指す。
そんな状況の中、春児、春雷、玲玲、文秀はそれぞれの立場で清国への忠義を尽くす。

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2021年07月10日

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