浅田次郎のレビュー一覧

  • 見知らぬ妻へ

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    胸を打つ、切ない八つの短編集。
    浅田次郎の短編集は、自分の中では、あまり良いイメージが無かったが、この短編集はありだと思った。
    どれもが、切なく、自分の好みにあった物語であった。
    特に『うたかた』が胸を打った。

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    2020年02月01日
  • 黒書院の六兵衛 (下)

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    壬生義士伝と同じ時代だ。主人公の的矢六兵衛のことは最後まで謎だったが、壬生義士伝主人公の吉村貫一郎に通じるものを感じた。
    登場人物の六兵衛に対する心が徐々に変わっていくのが面白かった。

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    2020年01月20日
  • 一刀斎夢録 下

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    まさに夢録。アラビアの千夜一夜物語の如き時代を生き延びた男の紡ぐ御伽噺。
    斎藤一という確定存在が語る回顧録であるから話の内容は精査のしようがなく、ゆえに誇張表現含めて"語る"でなく"騙る"である可能性も払拭はできない、だからこそ全てを聴き終えるまでやめるわけにもいかず、何より聴きたくて仕方ないと中尉自身が感じているという構図。
    ここまで魅力を秘めた老剣客もそうそういないのでは。

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    2020年01月19日
  • 一刀斎夢録 上

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    浅田次郎氏で新撰組、ましてや斎藤一が主題となると、どうしても同氏の壬生義士伝や映画版での幹部隊士含む同僚に対してすら、あるいは薩長へのそれ以上(以下)に侮蔑の目を向け距離をとる酷薄な人物像が脳裏を過ったのだが、何のことはない。まさにソレはソレ、コレはコレというのが読み終えての所感。
    あるいは読んでいてこそ、今作に於ける斎藤/一刀斎の人物は如何なるものかと探り探りページをめくることに味が染みているのかもしれない。

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    2020年01月19日
  • 神坐す山の物語

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    青梅御岳山の宿坊での怪異譚。よく登った山の話でディテールがありありと目に浮かぶ。そして相変わらず素晴らしい筆致で哀しい物語を紡いでくれる。

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    2019年12月25日
  • 一路 (上)

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    江戸末期を舞台に参勤交代の仕切り役である御供頭を主人公として、武士の生き様を描いた作品。
    若い主人公が、父からの引き継ぎも無いまま、重責を全うしようと奮闘する物語。
    ロードムービーなのだが、浅田次郎の作品に特有の人情話が盛り込まれ、笑いあり涙ありのストーリーに。久々の浅田作品に満足。

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    2019年12月17日
  • 帰郷

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    戦争物は苦手だけど、浅田次郎が近代史を学ぶべきだと言うてたので、読んでて気持ちが落ち込んでいった。
    ただ、浅田が好き過ぎて、最近のはどうもあまりオススメしたいほどにならない…

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    2019年11月05日
  • シェエラザード(下)

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    内容(「BOOK」データベースより)
    弥勒丸引き揚げ話をめぐって船の調査を開始した、かつての恋人たち。謎の老人は五十余年の沈黙を破り、悲劇の真相を語り始めた。私たち日本人が戦後の平和と繁栄のうちに葬り去った真実が、次第に明るみに出る。美しく、物悲しい「シェエラザード」の調べとともに蘇る、戦後半世紀にわたる大叙事詩、最高潮へ。

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    2019年11月05日
  • シェエラザード(上)

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    あらすじ
    昭和二十年、嵐の台湾沖で、二千三百人の命と膨大な量の金塊を積んだまま沈んだ弥勒丸。その引き揚げ話を持ち込まれた者たちが、次々と不審な死を遂げていく-。いったいこの船の本当の正体は何なのか。それを追求するために喪われた恋人たちの、過去を辿る冒険が始まった。日本人の尊厳を問う感動巨編。

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    2019年11月05日
  • 神坐す山の物語

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    この本を開いて読み始めれば、清らかで貴くて少し恐ろしい神々の御坐す山の世界に、すぐに自分も包まれるような感覚になる。なんとも神妙な心持ちになる。(そこが例え通勤ラッシュの電車の中でも)

    八百万の神のような日本特有の神の捉え方、それによる自然への畏敬の念、目に見えない世界を信じる心、私はそういうのを好ましく感じているのでとてもよかった。

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    2019年10月08日
  • 帰郷

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    先の大戦に素材を求めた短編集であるが、浅田の場合、何を伝えるか、読者に何を届けるか、は、わかりやすすぎるほどわかりやすいテーマであって、浅田の真骨頂はそれをいかにわかりやすく伝えるか、響かせるか、という、いわばプレゼン能力にあるということだろうな。

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    2019年09月09日
  • つばさよつばさ

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    久しぶりに浅田次郎のエッセイを読んだ。
    共感できない部分もあるけれど、やっぱり文章がすごいし、笑ってしまう部分もあるから、浅田次郎のエッセイは好き。
    浅田次郎の人間的魅力がたくさん出ていると思う。

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    2019年09月05日
  • 終わらざる夏 下

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    ネタバレ

    登場人物の視点から、さまざまなシーンが次々と描かれるので、私のような短期記憶力保持者、には集中して読むことをお勧めする。暑かったこの夏。どうしても読んでたさおきたかった作品。まさか、故郷北海道からさらに遠い、あの島々でこんな歴史があったとは知らなかった。ラストにロシア人兵士の視点から、登場人物の最期が語られるシーンは読んでいて胸が痛んだ。
    いつか、今年のような、暑い夏に読み返したいと思った。タイトルに反し、もう夏が終わる。

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    2019年09月05日
  • プリズンホテル 4 春

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    普通に面白い。夏、秋、冬、そして春。コメディタッチだけど、感動しました。浅田先生の文章にはところどころ、馴染みのない熟語が出てくるので、その都度調べる。国語の勉強になります。

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    2019年09月04日
  • 帰郷

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    浅田次郎さんの戦争ものは、「反戦!」なんて声高に言わない。
    戦禍にも人情があり、それぞれに温かく、切ない人としての営みがある。
    故に戦争なんてしない方が幸せなのだと痛感する。

    人の優しさに触れ、優しくありたいと思える作品だと思う。

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    2019年08月30日
  • 帰郷

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    表題作『帰郷』を始め計6編からなる短編小説集。
    収録作品のタイトルを順にあげていくと、

    1.『帰郷』
    2.『鉄の沈黙』
    3.『夜の遊園地』
    4.『不寝番』
    5.『金鵄のもとに』
    6.『無言歌』

    すべて、第二次世界大戦を題材にした、戦争がもたらす哀しみや普通の人々の思いを描いた、反戦・非戦小説。
    『帰郷』『金鵄のもとに』は出征し、なんとか生きて復員した兵士が主人公。
    『夜の遊園地』は戦死した父を持つ大学生が主人公。
    『不寝番』は、浅田次郎さんお得意の幻想譚、現代に生きる自衛隊員と戦争中の兵士が主人公。
    『鉄の沈黙』『無言歌』は戦場での兵士たちが主人公。

    戦争の非情さ、理不尽さを描いてます。

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    2019年08月19日
  • 神坐す山の物語

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    ネタバレ

    浅田次郎が幼い頃に聞いた、御嶽山にまつわる不思議な話の短編集。

    日本古来の神道にまつわる話が多いため、難解な言葉が多いものの、終始不思議な感覚に包まれながら、読み耽った。

    後書きで、幼い頃に聞いた本当の話であるとわかり、再度読み直したくなった。特に当時では当たり前だった狐憑きの話は興味深く読めた。

    近代化で神々が遠い存在となった昨今、八百万の神々を感じながら読むことができた。

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    2019年08月14日
  • 一路 (上)

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    時代小説(と呼ぶべきものかはわからないけど)久しぶりに読んだので、最初はあの独特の昔っぽい言い回しになれなくて疲れた。
    でも物語の中で起きていることは明らかに面白くて、移動時間を常に楽しみに。
    少しずつ読み進めて、一路たちが少しずつ江戸に向かうさまを私も体感した。

    それにしても、昔の人は美学の癖が強い。
    ほぉ、そう解釈しますかと。
    私は今の時代においても、正直先輩とか後輩とかどうでもいいと思ってしまうタイプなので、
    この時代のお殿様だからなんとかとか、大名の方が上だからなんとか、みたいな論理は意味がわからない。

    でもなんかそれが美しいとされるのだ、ここでは。

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    2019年07月27日
  • 帰郷

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    浅田次郎の紡ぐ言葉は、相変わらず美しい。そして、心のひだに分け入ってくる。こういう作家は他にはいない。さすが大御所。

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    2019年07月15日
  • 椿山課長の七日間

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    2019/06/23


    母からかりていた本
    デパートで働いていた椿山課長は突然死してしまうも
    死後の世界(お役所のよう)での直談判で、期間限定で
    現世に戻るチャンスを得る。自分の生前の罪を調べに行く
    というのがストーリー
    ほかにも、ヤクザの男性、事故で亡くなった少年が出てきて
    この三者と現世がつながっていく、不思議な「縁」も見どころ。


    誰にも秘密があるが
    椿山氏の妻と元カノと息子と父親と
    あらゆるところに秘密・・・もとい、嘘があり
    そのいくつかは優しくもある。
    なかでも、ボケたふりをする父親(おじいちゃん)とすべてを知っていながら知らないふりをつきとおした聡明な息子は男としての姿勢がとて

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    2019年06月28日