浅田次郎のレビュー一覧

  • 地下鉄(メトロ)に乗って(特別版)

    Posted by ブクログ

    戦後の混乱の最中に財をなした父に反目して家を出た『真次』は、兄の命日の夜地下鉄から階段を上って出て行くと、そこには懐かしい風景が広がっていた。ちょうど兄の死んだ日に辿りついた彼は、兄の自殺を止めるべく行動したのだが戻った先は変わっていなかった。
    その日を境に、どんどん古い時代へと地下鉄は彼を運んでいく。その先で出会ったのは、若かりし日の父の姿だった。

    メトロというの言葉は、なんとなく哀愁のある響きをしている。
    そしてこの物語で紡がれる時代も、直に知ってはいないけれど何故か郷愁を感じさせてくれる。貧しく苦しい時代だったはずなのに、活気というか生そのものが息づいているような、今は失われてしまった

    0
    2015年12月09日
  • 赤猫異聞

    Posted by ブクログ

    浅田次郎、流石です!不勉強で、赤猫の意味を知らなかったから、妖怪系の話かと思ってた。時代の狭間で起きた大火事の際のドラマ。日本人としての矜持を正されているように感じた。いいものを読んだ。こんな男たちにはついて行きたい。

    0
    2015年12月06日
  • 一刀斎夢録 上

    Posted by ブクログ

    浅田次郎による新選組三部作の完結編が本書。本書は、幕末から明治・大正を生き抜いた新選組三番隊長:斎藤一が、明治店の崩御、そして乃木大将の自刃の頃に出会った近衛師団長の若き中尉に、夜ごと、幕末動乱期と新選組の実相を語っていくというストーリーで綴られる。一刀斎とは、斎藤一の逆さ読みの当て字。

    0
    2015年11月29日
  • 日輪の遺産

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時価200兆円のマッカーサー親子が残した財宝を巡る戦後~現在までの長編小説。

    単純に財宝を巡るトレジャーハンティングでない所が良い。
    後味の悪い結末が待つが、お金ではなく人から人へ繋がれる強い日本人としての意思。

    東京西部に住む人(稲城市周辺)ならさらに楽しむことができる。

    0
    2015年11月25日
  • ハッピー・リタイアメント

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    天下りしたノンキャリアの官僚が、天下り先の本来の業務である過去の返済期限切れの債権回収に乗り出してみたら…。
    官僚の天下り問題を題材にしていて面白い内容。主人公たちのキャラクターもよく、読みやすかった。

    0
    2015年11月21日
  • 一刀斎夢録 下

    Posted by ブクログ

    記憶しておきたい言葉
    力を蓄え、技を身につけるために最も肝要なるものとは何じゃ。そう訊ぬれば百人が百人、努力精進にほかならぬと答えるであろう。しかし、わしはそうとは思わぬ。
    努力精進よりも肝要なるものがある。それは、渇えじゃ。いつかかくありたしと願いながらも、努力精進すらままならぬ貧乏人はひたすら飢え渇するほかはあるまい。その拠るところも捉むものもない飢渇こそが、やがて実力となり技となる。
    持たざる者ほど、持っておるのだ。
    水も肥も与えられずに、それでも咲かんと欲する花は、雨を力とし、風すらも肥とする。そうしてついに咲いた花は美しい。

    人殺しの剣すらも、舞うがごとく見ゆるほどにの。
    わしは鉄

    0
    2015年11月03日
  • 姫椿

    Posted by ブクログ

    読めば読むほど、浅田次郎の短編は黄昏流星群と印象が被ってくる。
    若輩者のワタクシが、内容をしっかり読み解くにはまだ10年早いような気がして来た。

    0
    2015年11月01日
  • ハッピー・リタイアメント

    Posted by ブクログ

    本屋で目にした「ドラマ化」の文字につられ
    まだ読んでない浅田次郎作品だったので、買ってみた。

    元自衛官と、元財務官僚の二人が「新任」となった天下り先。
    そこにいた、年齢不詳の美しい女。
    ことのほか、息が合ってしまった二人の男は
    失うものは、もう何もないという共通点。

    3人が自ら「仕事」として働き出した内容。
    それこそが、プロローグで著書本人が、この二人の男からの訪問があったことを挙げているのが
    なんとも、浅田次郎っぽい。

    ところどころ、浮世離れした視点からの描写も
    これぞ浅田次郎!
    初めて読む人には、意味不明かも。

    で????

    答えは、自分だけが知っている。
    なんでしょうね。
    これま

    0
    2015年10月22日
  • 月のしずく

    Posted by ブクログ

    2015.10再読
    読んで処分しようと思ったものの、読んだら処分できなくなった短編集

    2023.07再読 旅先持参、処分。やっぱりいい。

    月のしずく ☆☆☆☆☆→☆☆☆☆
    聖夜の肖像 ☆☆☆☆
    銀色の雨  ☆☆☆→☆☆☆☆
    琉璃想   ☆☆
    花や今宵  ☆
    ふくちゃんのジャック・ナイフ ☆☆
    ピエタ   ☆☆☆

    0
    2015年10月13日
  • シェエラザード(下)

    Posted by ブクログ

    船が沈む運命なのが判っているため、読んでいて、つらい場面が何度もあった。「乗らないでっ」と思う。
    乗組員も陸で関わった人も、それぞれの使命を抱え、ひとりひとりに尊い命があったのに。。。

    現代と過去のストーリーが交互になっているのは、メリハリがついて良かったと思います。しかし、恋愛模様が男性の理想に片寄り過ぎでは?

    0
    2015年09月23日
  • シェエラザード(下)

    Posted by ブクログ

    この大袈裟で、偽善っぽくて、お涙頂戴を狙っている感じ。人生はこうも悲劇にも感動にも溢れていないよと疑ってしまうこともあるけど、好きです。

    0
    2015年09月15日
  • 一刀斎夢録 下

    Posted by ブクログ

    武田鉄矢は新選組が嫌いだということですが、それは龍馬を軸に見てのことだと思います。
    薩長の史観教育によれば、幕府側の新選組は悪ということになりますが、その理論で言えば、国に戦いを挑んだ西郷も悪となるところ、そうではないところに何かが潜んでいるということでしょう。

    本書を読み終え、西南戦争を教科書的に理解していた自分を恥ずかしく思いました。
    西南戦争となるまでの名称の変化や西郷復権の経緯を見ると、確かに、西郷と大久保企てだ一大計画であっとすれば腑に落ちます。

    西南戦争における各所の戦いばかりを追いかけ、西郷軍の愚策に疑問を抱かなかった現代人のボクでも、完全に西郷と大久保の術中にはまっていたと

    0
    2015年09月15日
  • 天切り松 闇がたり 第二巻 残侠

    Posted by ブクログ

    残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉 >> 気に入った台詞、先ず、おこん姉さん「好いた惚れたは人間を正直者にさせちまうのさ」
     『残侠』をようやく読み終えることができた。『闇の花道』に比べると、クラッシック?な文章と、描かれている世界観に慣れたのか『闇の花道』よりも読みやすく、よりダイナミックな展開に、物語に引きずり込まれ、いつの間にか、松蔵の気持になって他の登場人物に接している自分を発見しました。リアリティは後退するが、これまでの話の中で設定された舞台の上で、生き生きと描かれたキャラクターが動き出し、後半に向かって物語が盛り上がって行く。

     闇語りを仕切る天切り松も、絵に描いたよ

    0
    2015年09月13日
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道

    Posted by ブクログ

    この作品を読むと、人間にとって大切なのは、義理人情と信頼だって思う!
     小説の登場人物たちは、いずれも脛に傷を持つ連中で、男の生きざま、女の心意気とは、ほど遠い人生を歩んでいる。久しぶりに私利私欲よりも義理人情を重んじる世界を覗いた感じだった。

     博奕にはまった父は、妻を医者にも見せることすらできず、姉を吉原に売り、松蔵は義賊に売られた。老いた松蔵は、冬の留置場に現れ、拘留されている男たちと刑務官に、安吉親分の下で経験した話を語る。松蔵の話には、現代人が忘れてしまった。男の生きざまと女の心意気があった。

     舞台は、現代の留置場と大正時代を行き来し、男と女の生き様を描いているが、その実、私た

    0
    2015年09月13日
  • 輪違屋糸里(上)

    Posted by ブクログ

    桔梗屋 吉栄天神がなんともかわいい。

    浅田氏の作品は、楽しめないことがまずない。
    先が気になってドンドン読み進めるが読み終えると淋しい(笑)

    0
    2015年09月07日
  • 王妃の館 下

    Posted by ブクログ

    交差する過去と現代の話し。
    太陽王を巡る愛の話にうるっときた。
    現代はそれぞれのツアー参加者の人生が描かれて、最後は大円団。
    映画はどんな出来なんだろう。

    0
    2015年09月06日
  • 沙高樓綺譚

    Posted by ブクログ

    個人的に平日の閉館前に行くことの多い国立博物館から始まる、百物語的な短編集です。 

    誰もいない展示室って、贅沢な緊張感も魅力のひとつ。

    0
    2015年08月30日
  • 霞町物語

    Posted by ブクログ

    オリンピックの頃の東京の山手っ子の、夜遊びを含む高校生活。まだ、その頃にはいくばくか残っていた江戸っ子風味の家族(語り手の祖父母)のやりとりを、軽いタッチで描くことによって、時代の移り変わりと家族の情愛を浮かび上がらせる。うまいね。

    0
    2018年10月14日
  • シェエラザード(下)

    Posted by ブクログ

    終戦の日前日に下巻だけ読みました。
    下巻だけでしたが十分面白く読めましたし、とても引き込まれました。決して面白い訳ではないですが、内容的には。
    浅田次郎は、構成も人間性もとても素敵です。
    一人ひとりの人間ドラマが重ね合わさって今がある。過去があって今がある。
    タイムリーな本でした。

    0
    2015年08月16日
  • かわいい自分には旅をさせよ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    7章にテーマごと分かれている
    浅田次郎さんのエッセイは小説同様、
    読みやすく、きれいな文章で
    そして、おかしくて笑ってしまったり
    どこから読んでも大丈夫な感じ
    短い小説が、とてもよかったし

    0
    2015年08月15日