浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ一つ一つのエッセーが短く読みやすい。
通勤時間などのちょっとした隙間時間を、豊にできた。
中国文学にほとんど無知だったので、新しい知識となることも多くあった。
「かっぱぎ権左」は、本当に後味のいい短編小説だった。映画化されても面白いのに(笑)勝手に頭にイメージが焼き付いてしまった。このエッセイをきっかけに、歴史にも興味を持てそう。
あとは、著者の仕事観にも触れられてる点が心に残っている。やりたいこと(書き物)を仕事にできるまでやり抜こうとすると、それまでの過程は不安にならないのだ。目標が明確であるとは、前を向き続けていけるエッセンスなのかもしれない。 -
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ネタバレこの話は、第二次世界大戦末期の最北の島「占守島」の話。
いろいろな立場の人が出てきます。
東京でこの戦争の作戦をまとめている軍人、
東京で働いていて召集されるはずがない45歳の翻訳家、
そして焼け野原に唯一残った近代的なアパートに暮らす妻
父の召集を知り疎開先から脱走した息子と
道を共にした女の子。
二人の疎開先の先生。
二人と夢を介して出会ったロシア兵。
何度も召集されてその度に話を盛り立てられて金鵄勲章をもらった指のない軍人、
召集される人々のため病気を偽って申告し続けた医者、
体が小さくて戦車に乗れない少年兵とそれを教育する老兵、
大本営から終戦の際に立ち回るために占守島にやってきた参 -
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ネタバレ2016年、20冊目です。
浅田次郎の初期の長編小説です。
秀逸な作品だと思います。
太平洋戦争末期のポツダム宣言受諾の時期から始まる物語が、長い歳を経て、戦争経験の無い世代の人間と接点を持ちます。2つの時間軸で物語が展開していきます。
日本を再興させるための軍の財産を山の中に隠すために動員された女子学生たちの姿と彼女らとその後の日本の両方を憂う人間たちの苦悩が描かれています。
彼らの残したものを知ることになった2人の戦後生まれの男たちは、それぞれが抱える問題の中でやはり苦悩しています。2人自身の再興のとも交わりながら物語は進んでいきます。少し長い小説でしたが、ストーリーにも興味を失わず読 -
購入済み
中国近代戦国史
清朝末期から中華民国建国までを描いた戦国史とも言える作品です。
史実と異なる点は色々ありますが、スケールの大きな時代小説と言えます。
作中ではどうも中国人というものを過大評価しているようですが、その辺はフィクションということで、日本人の好みに合う中国人像が描かれているのでしょう。
昔の日本人は中国に幻想を抱いてますからね。 -
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シリーズ4作目。
張作霖の爆殺事件の真相を語る物語。
その語り部は、天皇から調査を命じられた主人公の天皇への報告書(マンチュリアンレポート)と爆破された機関車(擬人化された機関車)が交互にストーリを語っていきます。
擬人化された機関車が語り部とはさすが浅田次郎と思いました。(でもかなり違和感あり)
さらには、最後に真相を語る吉永中佐。
そして、マンチュリアンレポートの第7信。
正直、技巧に走りすぎでは?って思います。
そうはいいながらも、今までの背景を知っていると、じんわりと悲しみが押し寄せます。さらには張作霖の覚悟と生き様に心揺さぶられます。
これは、本作だけを読んでもきっとつまらない -
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ネタバレ浅田次郎は長編が好きだなあ。
浅田次郎は短編とはいえ、その世界を描きだすのが上手いのだ。
だからすぐに情景が目に浮かんで、「で?」ってなってしまう。
もう一段の上を期待してしまう。
本来なら短い文章でその世界を描き切ること、できれば余韻をもたせることが短編小説に求められる部分なのかもしれないけれど、「蒼穹の昴」や「壬生義士伝」などの、圧倒的な描写の巧。
畳み掛けるように押し寄せる感情のうねり。
または「地下鉄に乗って」のように、視点によって見えているものが違い、事実が必ずしも真実ではないことを突き付ける一瞬。
そのようなものを、短編で期待してはいけないのだけど、期待してしまうのだ。
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