浅田次郎のレビュー一覧
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表題作『帰郷』を始め計6編からなる短編小説集。
収録作品のタイトルを順にあげていくと、
1.『帰郷』
2.『鉄の沈黙』
3.『夜の遊園地』
4.『不寝番』
5.『金鵄のもとに』
6.『無言歌』
すべて、第二次世界大戦を題材にした、戦争がもたらす哀しみや普通の人々の思いを描いた、反戦・非戦小説。
『帰郷』『金鵄のもとに』は出征し、なんとか生きて復員した兵士が主人公。
『夜の遊園地』は戦死した父を持つ大学生が主人公。
『不寝番』は、浅田次郎さんお得意の幻想譚、現代に生きる自衛隊員と戦争中の兵士が主人公。
『鉄の沈黙』『無言歌』は戦場での兵士たちが主人公。
戦争の非情さ、理不尽さを描いてます。
その一方で、人間の情の深さを描き、悲惨なだけではない、それ故に一層、戦争が理不尽なものであり、決して繰り返されるべきではないこと、が心に染みてきます。
表題作の『帰郷』は、とても切ない話しなのですが、生きる希望を抱かせる結末で、作者の優しさが伺われます。
こうした戦争を題材にした小説は辛くて、あまり読みたくはありません。
しかし、戦争体験者もすくなくなくなり、平和の大切さを学んだはずの日本人が、また、性懲りもなく他国との対立を深める言動や行為ばかりになってしまった現在、あらためて読まれても良い作品、いやぜひ読んで欲しい作品です。 -
Posted by ブクログ
時代小説(と呼ぶべきものかはわからないけど)久しぶりに読んだので、最初はあの独特の昔っぽい言い回しになれなくて疲れた。
でも物語の中で起きていることは明らかに面白くて、移動時間を常に楽しみに。
少しずつ読み進めて、一路たちが少しずつ江戸に向かうさまを私も体感した。
それにしても、昔の人は美学の癖が強い。
ほぉ、そう解釈しますかと。
私は今の時代においても、正直先輩とか後輩とかどうでもいいと思ってしまうタイプなので、
この時代のお殿様だからなんとかとか、大名の方が上だからなんとか、みたいな論理は意味がわからない。
でもなんかそれが美しいとされるのだ、ここでは。 -
Posted by ブクログ
2019/06/23
母からかりていた本
デパートで働いていた椿山課長は突然死してしまうも
死後の世界(お役所のよう)での直談判で、期間限定で
現世に戻るチャンスを得る。自分の生前の罪を調べに行く
というのがストーリー
ほかにも、ヤクザの男性、事故で亡くなった少年が出てきて
この三者と現世がつながっていく、不思議な「縁」も見どころ。
誰にも秘密があるが
椿山氏の妻と元カノと息子と父親と
あらゆるところに秘密・・・もとい、嘘があり
そのいくつかは優しくもある。
なかでも、ボケたふりをする父親(おじいちゃん)とすべてを知っていながら知らないふりをつきとおした聡明な息子は男としての姿勢がとても美しく
元カノとの対談でまるっと使われている一章分は
こたえるものがありました。愛とは、幸せとは。
好きの行きつく果てはここなのだろうか
ほかにもエピソードは多くあるけども
しんみりかと思えば、どちらかというとエンタメ小説。
死後の役所的なところとか、現世の皮肉めいているところとか。クスリと笑えるところもあり。
でも「人生」を感じる、不思議な後味の残る本でした。
ドラマとか映画もあるらしいので、機会があれば見てみたい。 -
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1945 8/15日本人として忘れては行けない終戦日の玉音放送、ポツダム宣言受諾での無条件降伏、勝負けよりも戦争が終わる事に喜びを感じるまで苦労&矛盾を重ねた人々の気持。沖縄戦、硫黄島、南方戦線等戦い末期の話は戦後生まれの私達は映画、本で知っているが、北方果ての北千島列島での戦いは、シベリア抑留の話は耳にしていたが理不尽な戦争の果てに有る史実を知るに触れ哀しさ、悔しさ、凛々しさ色々な感情に心揺さぶられる。
終戦間際で徴兵上限の45歳で通訳の役目を担い戦後の交渉を目的に千島の北端の島に渡った片岡、その島で自給食料確保で缶詰め工場で働く女子高生600人、二度の戦争で自己の思いとは別で英雄と化した鬼熊軍曹、南方戦線で生き残った岸谷らは、玉音放送で戦争は終わった後に戦争を挑んでくるロシア軍に対し、女子高生をなけなしの船で逃しながら戦いに挑む。
やめろと言われてもやめられない戦いと違い、終わった後に手を上げている相手に戦いを仕掛けてくるロシア軍に鬼熊等の軍は戦い局部戦に勝利し美しき島を守る。しかし敗戦国の軍人らは、シベリアの強制労働(捕虜同様)の扱いを受ける。何処か幕末の戊辰戦争での会津藩が斗南への流された史実と同じ匂いを感じた。
片岡の子嬢が疎開先の長野から東京を目指す旅程の出来事(最後は、渡世人で人を殺めた務所から徴兵を受けた途端終戦を迎えた男に上野まで送られる)にも涙する。人を殺めた自分が刑務所で生き、人を殺めても正当化されながら多く死する堅気の軍人の差に矛盾を感じ、心を入れ替える渡世人も何故かカッコ良い。
終戦まじかな日本で個々の生活、感情を読むにつれ当時の不幸な時代に涙が出る。
幼少時代に戦争、終戦を生きて高度経済成長を支えた私の両親の時代、亡くなった寡黙な父からは直接戦後の苦労話など聞いた事が無く、噂程度で潜水艦の乗務中亡くなった叔父がいて、両親も居らず戦後を姉に育てられ幼少時代を生きた事を知る程度だが、戦争を知らない私としては、色々と考えさせられた。多分、これからの時代、間接的にも遠ざかる戦争を語り継ぐ良い本の様な気がする。 -
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全4巻
清が滅ぶ。
滅ぶまでに何をしていたのか。
春児は、西太后は、袁世凱は。
時代に流されながら、滅ぶ運命の清王朝を支え、そして結局は滅びの時を迎える。
それと同時に張作霖が動く。
龍玉を手に入れ、その運命に導かれるように徐々に満州に勢力を拡大し、時代に台頭してくる。
清が滅びた後は、日本に亡命していた者も帰国し、時代は次の時代へと変化する。袁世凱が権力を握るも、龍玉を持たないものは、時代に流されるのみ。
人と人は、時代という運命の中でいかにして生きていくのか。
本書当初は、あきそうになるも、徐々にこの本の奥深さと面白さが増し、最後まで読むと、蒼穹の昴に劣らず感銘を受ける。
いい本でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ正直登場人物が多くて、ついていくのに精いっぱい、という感じだったけれど
それぞれの見せ場が思い起こされる。
記者の姿勢も今作品で初めて知った。外国同士がこんなに密接だったとは。。。
春児が意外に登場少なかったけれど。
中国を何とかしようとする人たちに圧倒される。
袁世凱も歴史上に名を遺すくらいだから、悪い面もあればよい面もあるわけで。
近代、さらに中国ということで歴史に疎く、読み進めて初めて死ぬ運命だと知った登場人物達が多くて
まっさらな状態で読めたのはある意味よかったかもしれない。
まだ2作品くらい続くそうで
これからの中国がどうなるのか、是非読み進めたい。
溥儀に現れた西太后の
「何もしなかった人間が、何かをした人間を笑っちゃいけない。」
湯玉麟将軍の
「殴られりゃ痛えで終わるが、親がどうのと言われたんじゃ胸の傷になりまさぁ。」
なるほど。。