浅田次郎のレビュー一覧

  • 帰郷

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    表題作『帰郷』を始め計6編からなる短編小説集。
    収録作品のタイトルを順にあげていくと、

    1.『帰郷』
    2.『鉄の沈黙』
    3.『夜の遊園地』
    4.『不寝番』
    5.『金鵄のもとに』
    6.『無言歌』

    すべて、第二次世界大戦を題材にした、戦争がもたらす哀しみや普通の人々の思いを描いた、反戦・非戦小説。
    『帰郷』『金鵄のもとに』は出征し、なんとか生きて復員した兵士が主人公。
    『夜の遊園地』は戦死した父を持つ大学生が主人公。
    『不寝番』は、浅田次郎さんお得意の幻想譚、現代に生きる自衛隊員と戦争中の兵士が主人公。
    『鉄の沈黙』『無言歌』は戦場での兵士たちが主人公。

    戦争の非情さ、理不尽さを描いてます。
    その一方で、人間の情の深さを描き、悲惨なだけではない、それ故に一層、戦争が理不尽なものであり、決して繰り返されるべきではないこと、が心に染みてきます。

    表題作の『帰郷』は、とても切ない話しなのですが、生きる希望を抱かせる結末で、作者の優しさが伺われます。

    こうした戦争を題材にした小説は辛くて、あまり読みたくはありません。
    しかし、戦争体験者もすくなくなくなり、平和の大切さを学んだはずの日本人が、また、性懲りもなく他国との対立を深める言動や行為ばかりになってしまった現在、あらためて読まれても良い作品、いやぜひ読んで欲しい作品です。

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    2019年08月19日
  • 神坐す山の物語

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    ネタバレ

    浅田次郎が幼い頃に聞いた、御嶽山にまつわる不思議な話の短編集。

    日本古来の神道にまつわる話が多いため、難解な言葉が多いものの、終始不思議な感覚に包まれながら、読み耽った。

    後書きで、幼い頃に聞いた本当の話であるとわかり、再度読み直したくなった。特に当時では当たり前だった狐憑きの話は興味深く読めた。

    近代化で神々が遠い存在となった昨今、八百万の神々を感じながら読むことができた。

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    2019年08月14日
  • 一路 (上)

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    時代小説(と呼ぶべきものかはわからないけど)久しぶりに読んだので、最初はあの独特の昔っぽい言い回しになれなくて疲れた。
    でも物語の中で起きていることは明らかに面白くて、移動時間を常に楽しみに。
    少しずつ読み進めて、一路たちが少しずつ江戸に向かうさまを私も体感した。

    それにしても、昔の人は美学の癖が強い。
    ほぉ、そう解釈しますかと。
    私は今の時代においても、正直先輩とか後輩とかどうでもいいと思ってしまうタイプなので、
    この時代のお殿様だからなんとかとか、大名の方が上だからなんとか、みたいな論理は意味がわからない。

    でもなんかそれが美しいとされるのだ、ここでは。

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    2019年07月27日
  • 帰郷

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    浅田次郎の紡ぐ言葉は、相変わらず美しい。そして、心のひだに分け入ってくる。こういう作家は他にはいない。さすが大御所。

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    2019年07月15日
  • 椿山課長の七日間

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    2019/06/23


    母からかりていた本
    デパートで働いていた椿山課長は突然死してしまうも
    死後の世界(お役所のよう)での直談判で、期間限定で
    現世に戻るチャンスを得る。自分の生前の罪を調べに行く
    というのがストーリー
    ほかにも、ヤクザの男性、事故で亡くなった少年が出てきて
    この三者と現世がつながっていく、不思議な「縁」も見どころ。


    誰にも秘密があるが
    椿山氏の妻と元カノと息子と父親と
    あらゆるところに秘密・・・もとい、嘘があり
    そのいくつかは優しくもある。
    なかでも、ボケたふりをする父親(おじいちゃん)とすべてを知っていながら知らないふりをつきとおした聡明な息子は男としての姿勢がとても美しく
    元カノとの対談でまるっと使われている一章分は
    こたえるものがありました。愛とは、幸せとは。
    好きの行きつく果てはここなのだろうか


    ほかにもエピソードは多くあるけども
    しんみりかと思えば、どちらかというとエンタメ小説。
    死後の役所的なところとか、現世の皮肉めいているところとか。クスリと笑えるところもあり。
    でも「人生」を感じる、不思議な後味の残る本でした。
    ドラマとか映画もあるらしいので、機会があれば見てみたい。

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    2019年06月28日
  • 終わらざる夏 下

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    1945 8/15日本人として忘れては行けない終戦日の玉音放送、ポツダム宣言受諾での無条件降伏、勝負けよりも戦争が終わる事に喜びを感じるまで苦労&矛盾を重ねた人々の気持。沖縄戦、硫黄島、南方戦線等戦い末期の話は戦後生まれの私達は映画、本で知っているが、北方果ての北千島列島での戦いは、シベリア抑留の話は耳にしていたが理不尽な戦争の果てに有る史実を知るに触れ哀しさ、悔しさ、凛々しさ色々な感情に心揺さぶられる。
    終戦間際で徴兵上限の45歳で通訳の役目を担い戦後の交渉を目的に千島の北端の島に渡った片岡、その島で自給食料確保で缶詰め工場で働く女子高生600人、二度の戦争で自己の思いとは別で英雄と化した鬼熊軍曹、南方戦線で生き残った岸谷らは、玉音放送で戦争は終わった後に戦争を挑んでくるロシア軍に対し、女子高生をなけなしの船で逃しながら戦いに挑む。
    やめろと言われてもやめられない戦いと違い、終わった後に手を上げている相手に戦いを仕掛けてくるロシア軍に鬼熊等の軍は戦い局部戦に勝利し美しき島を守る。しかし敗戦国の軍人らは、シベリアの強制労働(捕虜同様)の扱いを受ける。何処か幕末の戊辰戦争での会津藩が斗南への流された史実と同じ匂いを感じた。
    片岡の子嬢が疎開先の長野から東京を目指す旅程の出来事(最後は、渡世人で人を殺めた務所から徴兵を受けた途端終戦を迎えた男に上野まで送られる)にも涙する。人を殺めた自分が刑務所で生き、人を殺めても正当化されながら多く死する堅気の軍人の差に矛盾を感じ、心を入れ替える渡世人も何故かカッコ良い。
    終戦まじかな日本で個々の生活、感情を読むにつれ当時の不幸な時代に涙が出る。
    幼少時代に戦争、終戦を生きて高度経済成長を支えた私の両親の時代、亡くなった寡黙な父からは直接戦後の苦労話など聞いた事が無く、噂程度で潜水艦の乗務中亡くなった叔父がいて、両親も居らず戦後を姉に育てられ幼少時代を生きた事を知る程度だが、戦争を知らない私としては、色々と考えさせられた。多分、これからの時代、間接的にも遠ざかる戦争を語り継ぐ良い本の様な気がする。

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    2019年06月15日
  • 中原の虹(1)

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    全4巻

    清が滅ぶ。
    滅ぶまでに何をしていたのか。

    春児は、西太后は、袁世凱は。
    時代に流されながら、滅ぶ運命の清王朝を支え、そして結局は滅びの時を迎える。

    それと同時に張作霖が動く。
    龍玉を手に入れ、その運命に導かれるように徐々に満州に勢力を拡大し、時代に台頭してくる。

    清が滅びた後は、日本に亡命していた者も帰国し、時代は次の時代へと変化する。袁世凱が権力を握るも、龍玉を持たないものは、時代に流されるのみ。

    人と人は、時代という運命の中でいかにして生きていくのか。

    本書当初は、あきそうになるも、徐々にこの本の奥深さと面白さが増し、最後まで読むと、蒼穹の昴に劣らず感銘を受ける。

    いい本でした。

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    2019年07月31日
  • 日輪の遺産

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    偉そうに言うならば、この人の本はけっこうハズレがないわよね。まぁ偉そうに言ってるけど。
    今回は戦争ネタなんだけど、あんまり辛気臭くないというか、いろいろあるんだけどオッサン共がうるさいおかげで紛らわされるような。やっぱオッサンはある意味偉大だわ。
    しかし丹羽さん45歳くらいって!どう考えてももっと年食ってね?こんな話し方する45歳いるんか。それも時代か。恐るべし戦時生まれ。

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    2019年05月25日
  • パリわずらい 江戸わずらい

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    仕事で飛行機に乗るなどと言うことがほとんどない身からすると、毎年何度も経費で海外旅行できる身分はうらやましすぎる。ぜひ機内でも旅先のホテルでも寝る間もないくらいに仕事をしていて欲しい。

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    2019年05月24日
  • わが心のジェニファー

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    えっ、すごい。そういう結末?!すごいじゃん!
    ユーモアたっぷりに描かれる日本各地でのラリーの戸惑いが、こういう結末に落ち着くなんて。めっちゃ良いじゃん!

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    2019年05月07日
  • 椿山課長の七日間

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    前に読んだ事がありますが、再読してみました。浅田次郎のコミカルで泣かせる手法にまんまと今回もはまってしまい泣きました。死んでみて分かる他人の本心。死ぬまで分かってもらえなかった自分の本心。あの世から送られた3人は驚きの展開に、でも最後は泣き顔も晴れる読後感の良い小説です。

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    2019年04月20日
  • 沙高樓綺譚

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    手順前後で『草原からの使者』を先に読んでしまったが、沙高樓はこっちが本家。おそらくシリーズ化を決定付けたであろう第一作「小鍛冶」は傑作。さすがにこの緊張感とクオリティを全作に求めるのは酷というもので、サイコ・ホラーあり、幽霊譚あり、ミステリーあり、義侠小説ありとバラエティに富むものの、いずれも(水準遙かに以上とは言え)今一。

    最近、浅田次郎ばっかり読んでいる気がするな。

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    2019年04月14日
  • プリズンホテル 4 春

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    ネタバレ

    木戸孝之介は、極道小説の売れっ子作家である。今回日本文学大賞にノミネートされたという。その候補作品は、極道小説の「仁義の黄昏」か、それとも恋愛小説の「哀愁のカルボナーラ」か。二つの出版社の編集担当が競う。また木戸孝之介の母代わりの冨江は何処ともなく消えた。同じころ、五十年以上の懲役を務めた小俣の弥一は府中刑務所から出所した。これらの出来事が錯綜して、またまた極道ホテルでは大騒動となるが、最後はいかように…。プリズンホテル・シリーズの結末はいかに。

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    2019年04月13日
  • 神坐す山の物語

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    浅田氏がこんな家系の人だったとは初めて知りました。験力や修験者と交流した経験談を直接聴くことができた最後の世代かもしれないと思うと、氏が作家である偶然に感謝したいです。
    御嶽山に是非行ってみよう。

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    2019年03月23日
  • プリズンホテル 3 冬

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    相変わらず面白い
    次の巻でシリーズ終わってしまうのかと思うと寂しい
    3巻目くらいになると主要登場人物がみんな愛おしくなってしまう。
    浅田次郎作品の登場人物ってみんな良いよなぁ

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    2019年03月23日
  • 勇気凛凛ルリの色

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    「勇気凛々ルリの色」は歌える。少年探偵団はもちろん知っている。次郎ちゃんの嫌いなカラオケで歌ってみようと思う
    。貴君と同い齢、兎年のオバンなママと一緒に。

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    2019年02月26日
  • わが心のジェニファー

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    作者の年齢を感じるところもあったが、浅田節は健在。

    そして、思わぬどんでんのラスト。ただし、連載ゆえの間に合わせ感も感じた。

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    2019年02月15日
  • 中原の虹(4)

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    ネタバレ

    正直登場人物が多くて、ついていくのに精いっぱい、という感じだったけれど
    それぞれの見せ場が思い起こされる。
    記者の姿勢も今作品で初めて知った。外国同士がこんなに密接だったとは。。。

    春児が意外に登場少なかったけれど。

    中国を何とかしようとする人たちに圧倒される。
    袁世凱も歴史上に名を遺すくらいだから、悪い面もあればよい面もあるわけで。

    近代、さらに中国ということで歴史に疎く、読み進めて初めて死ぬ運命だと知った登場人物達が多くて
    まっさらな状態で読めたのはある意味よかったかもしれない。

    まだ2作品くらい続くそうで
    これからの中国がどうなるのか、是非読み進めたい。

    溥儀に現れた西太后の
    「何もしなかった人間が、何かをした人間を笑っちゃいけない。」
    湯玉麟将軍の
    「殴られりゃ痛えで終わるが、親がどうのと言われたんじゃ胸の傷になりまさぁ。」
    なるほど。。

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    2019年01月31日
  • 赤猫異聞

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    文句なしに面白い時間を
    持ちたい方には ぜひお薦め

    読み終えてから
    表紙をしみじみ眺めて
    おぉ この三人が…
    と感慨に浸りたい方にも お薦め

    浅田次郎さん
    稀代の時代小説の名手です
    登場する人物が
    それぞれ愛おしい

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    2019年01月28日
  • 中原の虹(2)

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    ネタバレ

    読み始めは難しそう、となるのだが、読み始めると一気に進む。

    それぞれの思惑が交錯して、勧善懲悪ではなく皆自分なりの信念をもって選択しているのがまた…。

    西太后のイメージが本当に変わるが実際はどうだったのだろう。。
    物事を客観視、というのは最早不可能ではないだろうか。。

    春児が生きながらえさせられて今後どうなるのだろう、
    蘭珍の最期が悲しくも、本人の意思があって。。。

    どこまで物語でどこまで史実かわからないけれど
    ラストまで楽しみたい。

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    2019年01月08日