浅田次郎のレビュー一覧
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今をときめく浅田次郎が全盛突入前の43〜44歳時に書いたエッセイ集、2年間の自衛隊生活やヤクザな稼業を体験して自称 世にも稀な体育系作家と宣うけど、いやいやどうして喜怒哀楽をストレートに筆にしていて面白い! 学歴も職歴も無いと卑下されるけど子供の頃からの悲願だった小説家になったのは非凡な何よりの証だ♪ さて、上品じゃない箇所もあるがふんだんにまぶしたユーモラスな表現に大笑しながらも時に振るわれる真剣に刮目させられる。タイトルにすぐさま歌が口ずさめる世代も さっぱりピンと来ない世代もあまねく読める秀逸なエッセイ集、続編が続いた理由もよく分かります。
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Posted by ブクログ
1970年頃の自衛隊を舞台にした短編集。戦争の記憶を引きずる川原准尉の話(若鷲の歌)内務が悪い小村二士が半長靴を失くして戸惑う話(小村二等兵の憂鬱)和田士長と渡辺一士の諍いの話(バトル・ライン)青年援護会の借金に喘ぐ赤間一士の話(門前金融)これから自衛隊に入営する米山の話(入営)佐々木二士と今野二士の初外出の話(シンデレラ・リバティー)自衛隊の連帯に怯え、脱柵を計る高津二士とバディの佐藤二士の顛末を描いた(脱柵者)元旦の不審番となった赤間一士の話(越年歩哨)満期除隊をする二士と坂崎一曹の話(歩兵の本領)。全編に自衛隊の組織の中の人間として絆が強く描かれている。
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Posted by ブクログ
シリーズ名こそついているけれど、これは厳密には〈勇気凛凛ルリの色〉ではない。
週刊誌に連載していたシリーズとは違って、初出誌は様々、講演記録もある。
週刊誌連載の時に比べて、父母や祖父母の思い出が多いかもしれない。
それから、小説家になることへの情熱。
結構破天荒な人生を送ってきた著者が、こと小説を書くことについては実にストイックなのである。
中学生のころに小説家になると決めて以来ずっと。
大作家と呼ばれるようになった現在も、書くことへの情熱は衰えない。
うらやましいなあ。
書く才能に恵まれたこともうらやましいけれど、書き続けられる情熱もうらやましい。
そんな作家が書いた作品を喜んで読み -
Posted by ブクログ
破綻した山一証券の社長から社員まで、社会に対する責任よりも自分のことしか考えられない大人の無責任な姿や、選良の負うべき責任を自覚しないバカな野村證券社長や、新井将敬の自殺問題など、結構大きな社会問題に言及することが多かった今作。
実は、これでいったん休載したのだそうだ。
「無名作家のサクセス・ストーリー」
4巻通して読めば、そういうことになる。
4巻通して読めば、すべての読者にとっても凛凛たる勇気の源になるかもしれない。
そういうエッセイだったのだ。
そんなエッセイの中で一つだけ。
「オートメーションについて」
”思えば昭和三十年代には、ベルトコンベアーの上で生産工程が組まれ、製品がいっさ -
Posted by ブクログ
アメリカの若者が日本を探索するという共通点から清水義範さんの「スシとニンジャ」を思い出しながら読んでいた。両作品は20年以上の隔たりがあるものの,時代背景を除けば異文化に触れる面白さに変わりは無い。とても面白く,そして浅田さんらしく涙を誘う素敵な作品でした。
あらすじ(背表紙より)
日本びいきの恋人ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本への一人旅を命じられたアメリカ人青年ラリー。ニューヨーク育ちの彼は、退役海軍少将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受ける。京都では神秘の宿に感銘し、日