浅田次郎のレビュー一覧
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シリーズ名こそついているけれど、これは厳密には〈勇気凛凛ルリの色〉ではない。
週刊誌に連載していたシリーズとは違って、初出誌は様々、講演記録もある。
週刊誌連載の時に比べて、父母や祖父母の思い出が多いかもしれない。
それから、小説家になることへの情熱。
結構破天荒な人生を送ってきた著者が、こと小説を書くことについては実にストイックなのである。
中学生のころに小説家になると決めて以来ずっと。
大作家と呼ばれるようになった現在も、書くことへの情熱は衰えない。
うらやましいなあ。
書く才能に恵まれたこともうらやましいけれど、書き続けられる情熱もうらやましい。
そんな作家が書いた作品を喜んで読み -
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破綻した山一証券の社長から社員まで、社会に対する責任よりも自分のことしか考えられない大人の無責任な姿や、選良の負うべき責任を自覚しないバカな野村證券社長や、新井将敬の自殺問題など、結構大きな社会問題に言及することが多かった今作。
実は、これでいったん休載したのだそうだ。
「無名作家のサクセス・ストーリー」
4巻通して読めば、そういうことになる。
4巻通して読めば、すべての読者にとっても凛凛たる勇気の源になるかもしれない。
そういうエッセイだったのだ。
そんなエッセイの中で一つだけ。
「オートメーションについて」
”思えば昭和三十年代には、ベルトコンベアーの上で生産工程が組まれ、製品がいっさ -
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アメリカの若者が日本を探索するという共通点から清水義範さんの「スシとニンジャ」を思い出しながら読んでいた。両作品は20年以上の隔たりがあるものの,時代背景を除けば異文化に触れる面白さに変わりは無い。とても面白く,そして浅田さんらしく涙を誘う素敵な作品でした。
あらすじ(背表紙より)
日本びいきの恋人ジェニファーから、結婚を承諾する条件として日本への一人旅を命じられたアメリカ人青年ラリー。ニューヨーク育ちの彼は、退役海軍少将の祖父に厳しく育てられた。太平洋戦争を闘った祖父の口癖は「日本人は油断のならない奴ら」。日本に着いたとたん、成田空港で温水洗浄便座の洗礼を受ける。京都では神秘の宿に感銘し、日 -
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『中原の虹』のその後、張作霖爆殺事件の謎を描く。
この事件、事件名くらいしか知らない己の情けなさ。
でも、ここまで読むまでは、張作霖について、あえて調べずに読むことにした。
昭和天皇の密命を帯びた陸軍中尉、志津が描いた報告書と、なんと、西太后の御料車(!)のモノローグで構成された物語。
中原に出た張作霖が、国民革命軍との戦いに敗れ、奉天に帰る。
その際、かつて西太后を乗せた英国製の御料車に乗って。
例の岡圭之介や、吉永将も登場する。
吉永は張作霖の乗った列車に同乗おり、途中で関東軍のたくらみに気づく。
吉永は張と運命を共にすることを選び、大怪我を負いながらも命を取り留める。
こうした経験 -
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辛亥革命がおこり、中華民国が建国されるが、統率力のある人物に恵まれず、政局は大混乱。
その中で宋教仁が現れ、救世主とも仰がれるが、暗殺されてしまう。
(アメリカ人ジャーナリストのトム・バートンはこの時、宋を助けようとして命を落とす。)
清朝の復活したかと思えば、袁世凱が皇帝になる。
本当に目まぐるしい。
この巻では、いよいよ「東北王」、張作霖が長城を越えることを決意して終わる。
愛新覚羅の将軍たちが、反対派を殺すしてまで北京入城を果たした建国の物語と重ね合わせながら。
「浅田史観」では、西太后が中国を中国人のものであらせるために、自ら憎まれ役となって、革命を起こさせ、新しい中国の王が現れる -
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いよいよ西太后が最期を迎える。
そして光緒帝も。
大変な山場。
と同時に、日本に亡命した梁文秀と玲玲のこと、マダム・チャンやら、トム・バートンらも出てくる。
もちろん、春児も。
李家のきょうだいたちの再会もありそうな雰囲気。
中国語を学んだことがある身としては、アル化の話が面白かった。
北京語でよく聞かれる、語末にrがつく現象のことだが、春児が「チュンル」もそのひとつ。
ただ、「チュンル」でなく、「チュナル」と発音されるのが上品だ、とあったのが、ほう、そういうもんか、と興味が惹かれた。
私の中国語の先生は、大連出身だったが、魯迅の「故郷」を読んだとき、「宏児」を、日本語訳のように「ホンル」