浅田次郎のレビュー一覧

  • 歩兵の本領

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    短編集、大戦後の左翼日本社会で防人となった自衛隊員の青春物語、泣ける、近代日本史好きおすすめ、読んで損なし

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    2018年10月08日
  • マンチュリアン・リポート

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    『中原の虹』のその後、張作霖爆殺事件の謎を描く。

    この事件、事件名くらいしか知らない己の情けなさ。
    でも、ここまで読むまでは、張作霖について、あえて調べずに読むことにした。

    昭和天皇の密命を帯びた陸軍中尉、志津が描いた報告書と、なんと、西太后の御料車(!)のモノローグで構成された物語。
    中原に出た張作霖が、国民革命軍との戦いに敗れ、奉天に帰る。
    その際、かつて西太后を乗せた英国製の御料車に乗って。

    例の岡圭之介や、吉永将も登場する。
    吉永は張作霖の乗った列車に同乗おり、途中で関東軍のたくらみに気づく。
    吉永は張と運命を共にすることを選び、大怪我を負いながらも命を取り留める。
    こうした経験

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    2018年09月29日
  • 中原の虹(4)

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    辛亥革命がおこり、中華民国が建国されるが、統率力のある人物に恵まれず、政局は大混乱。
    その中で宋教仁が現れ、救世主とも仰がれるが、暗殺されてしまう。
    (アメリカ人ジャーナリストのトム・バートンはこの時、宋を助けようとして命を落とす。)
    清朝の復活したかと思えば、袁世凱が皇帝になる。
    本当に目まぐるしい。

    この巻では、いよいよ「東北王」、張作霖が長城を越えることを決意して終わる。
    愛新覚羅の将軍たちが、反対派を殺すしてまで北京入城を果たした建国の物語と重ね合わせながら。

    「浅田史観」では、西太后が中国を中国人のものであらせるために、自ら憎まれ役となって、革命を起こさせ、新しい中国の王が現れる

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    2018年09月25日
  • 中原の虹(3)

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    時は宣統帝即位から、辛亥革命に至る、激動の時期。
    だから、この小説の主人公は、いったい誰なんだろう?と思うほど、たくさんの人物が入り乱れる。

    主人公は一人ではない小説なのだろうけれど、この巻の主人公は袁世凱なのではないか、と思うほど。
    革命軍と清朝遺臣の官僚たち、そして軍閥の三つどもえの状況で、駆け引き、謀略がうずまき、目まぐるしく変わっていく。
    ここに明末清初の戦乱、天命と、それを具現化した龍玉を巡る物語も重ねられていくから、読むほうも大変だ。
    もう一回、丁寧に読み直さないといけないかな。

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    2018年09月23日
  • 中原の虹(2)

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    いよいよ西太后が最期を迎える。
    そして光緒帝も。
    大変な山場。

    と同時に、日本に亡命した梁文秀と玲玲のこと、マダム・チャンやら、トム・バートンらも出てくる。
    もちろん、春児も。
    李家のきょうだいたちの再会もありそうな雰囲気。

    中国語を学んだことがある身としては、アル化の話が面白かった。
    北京語でよく聞かれる、語末にrがつく現象のことだが、春児が「チュンル」もそのひとつ。
    ただ、「チュンル」でなく、「チュナル」と発音されるのが上品だ、とあったのが、ほう、そういうもんか、と興味が惹かれた。
    私の中国語の先生は、大連出身だったが、魯迅の「故郷」を読んだとき、「宏児」を、日本語訳のように「ホンル」

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    2018年09月22日
  • 中原の虹(1)

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    『珍妃の井戸』まで読んで、もう続きは読まないのかな、と思っていたが、結局読むことにした。

    李春児・玲玲きょうだいの兄、春雷が、東北の覇者、張作霖の「五当家」になる。
    実力随一の「総攬把」である張作霖が、皇帝のしるし、龍玉を手に入れるところから物語が大きく動いていく。

    張作霖というと、満州事変で日本軍に爆殺されてしまった人、ということくらいしか知らない。
    張作霖と息子、学良が清朝滅亡後の中国を率いていくはずだった、というのが浅田さんの認識でいいのかな?
    あのあたりの歴史は本当にいろいろな勢力が錯綜してわかりにくい。

    それにしても、この巻は、また語りが多彩なこと。
    『蒼穹の昴』にも出てきた、

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    2018年09月18日
  • プリズンホテル 4 春

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    ついに終わってしまった。
    名残惜しい。
    まだまだこの物語を続けてほしい。
    ハチャメチャでドタバタだが、ホロっと涙を誘う。
    まさに、浅田次郎の真骨頂。
    まだまだ、描き続けてほしいシリーズだった。

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    2018年09月17日
  • 憑神

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    幕末の動乱の中、御徒士で、代々将軍の影武者約となる役を仰せつかる別所家の出戻り婿である主人公、彦四郎が3人の憑神に取り憑かれる話だが、根底は江戸の時代とともに滅ぶ武士の潔さがテーマで、最後は死神が死地に追いやるのだが、勝安房守海舟も無駄な死と評している主人公の酔狂に元妻の八重も含め、賛同しているところに納得がいかない。
    3人の憑神のキャラクターや榎本武揚など実在の人物との絡みなど見どころもあり飽きずに読めました。
    個人的には明治の世に乗り遅れたラストサムライよりは時代を読み行動できる主人公を求めたいところです。

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    2018年09月16日
  • 中原の虹(4)

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    蒼穹の昴シリーズ第3弾。前作から引き続きの登場人物が織りなす清王朝末期の話。このシリーズの魅力は西太后や袁世凱など一般的には歴史の悪役になりそうな人たちの心の動きにスポットを当てていること。小説だと分かっていながらも、本当の事実もこうだったのでは、なんて想像してしまう。個人的には小説が大好きなので春雲という1人の主人公を軸に描かれていた前作の方が入り込みやすかったので、時系列、国をまたぎさらに壮大になった今作に置いていかれないように必死に読みました。最近続編も執筆中らしいので、期待!

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    2018年09月15日
  • 勝負の極意

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    1番なるほど、と思ったのは競馬の話よりも二足のわらじで小説家として成功したところ。競馬はやったことないのであれなんですが、機会あればやってみます。

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    2018年09月05日
  • 椿山課長の七日間

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    おじいちゃんは勝手にミッキーカーチスと思い込んで読んでいたので、映画は桂小金治、ドラマは津川雅彦が祖父役というのを見て、小説だけで留めておこうと思いました。泣いてしまいました。

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    2018年08月31日
  • 姫椿

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    気楽に読めて面白かった。
    ちょっと不思議なのが良い。

    話してはならぬ、言葉は穢れている とはなるほどだ。
    沈黙は金。

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    2018年08月30日
  • 椿山課長の七日間

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    仕事、子育て、家のローン、介護、いろんな重荷を背負った働き盛りの主人公がある日突然仕事中に倒れてそのままこの世を去る。うーん、他人事ではないな。

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    2018年08月24日
  • プリズンホテル 3 冬

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    「壬生義士伝」の方からやってきた自分には、胸騒ぎするほどいい意味で刺激が強い。一つ一つユーモアに溢れていて、活き活きとした登場人物に心が躍らされる。しかし、孝之介の言動に辟易するが、何とかならんものだろうか。。

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    2018年08月07日
  • 姫椿

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    短編集。「シエ」「姫椿」「再会」「マダムの喉仏」「トラブル・メーカー」「オリンポスの聖女」「零下の災厄」「永遠の緑」
    個人的には「シエ」「再会」が好み。

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    2018年07月30日
  • 月島慕情

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    浅田次郎の短編集。個人的には、浅田次郎作品は長編より短編の方が好み。
    「月島慕情」「供物」「雪鰻」「インセクト」「冬の星座」「めぐりあい」「シューシャインボーイ」そして「自作解説」も収録。

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    2018年07月30日
  • 王妃の館 上

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    月末の手形決算を切り抜けたい旅行会社が、パリの高級ホテル「王妃の館」の一部屋を2組に利用させ、旅行代を二重取りという暴挙に出た話です。光(ポジ)ツアーの方は150万円で、影(ネガ)ツアーの方は20万円という料金でツアーを行います。そのからくりは、お見事といえます。こんなことを思いつくのが凄いです。ですが、両方のツアーに参加しているメンバーがまぁ、個性的で。果たしてこのツアーはうまくいくのでしょうか!?下巻に続きます。

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    2018年07月29日
  • プリズンホテル 2 秋

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    著者の想いは、全て1巻に書ききったのだと思い込んで読んだのが大間違いだった。今回も楽しく読ませて頂きました。

    古き良き日本がココにある、という感想が適切かはわからないが、読んでてそう感じました。

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    2018年07月24日
  • 終わらざる夏 中

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     疎開先の小学生たちや教師、島で働く女子学生たち、そして敵兵であるソ連兵たちなど、自国の兵士だけでなく、それぞれの立場の苦悩と葛藤、戸惑いを描くことで浮かび上がる、戦争の不条理と非情さ。

     こうした様々な立ち位置からの悲劇を描けるだけでも、すごいと思うのですが、さらに浅田さんは物語の舞台となる占守島すらも、不条理と非情から生まれたことを描きます。

     国家の思惑に踊らされ、故郷を追い出された先住民たちの悲劇。単に物語の舞台でしかなかったと思っていた島すらも、不条理と非情から生まれていたということが、明らかにされるのです。

     個人と土地、それぞれの物語をあますことなく描ききり、小説は最終刊に

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    2018年07月16日
  • 終わらざる夏 上

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     綺麗に書くなら戦争の悲劇が、汚く書くなら戦争のクソッぷりがよく分かる小説です。

     年齢や身体の状況などで、本来であれば招集されるはずのない人々に、赤紙が渡され否応なく戦争に巻き込まれていくのです。

     不意の招集に衝撃を受けるのは、兵士以上にその家族です。特にこれまで何度も招集に応じ、指を失っているにも関わらず、再び赤紙を渡された鬼熊とその年老いた母。二人のそれぞれを思う心情と、それに関わらず引き裂かれる場面は、戦争の理不尽さや不条理さを、改めて示していると思います。

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    2018年07月16日