浅田次郎のレビュー一覧

  • 日輪の遺産

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    終戦前後と終戦後半世紀との二時代を行き来しながら繰り広げられる物語。その構成に則った物語進行は良かったけど、後者の物語がいまひとつ充実度に欠ける気がしてしまった。前者については、その結末も含めてインパクトが大きかっただけに、総合的に見ると、どうしても冗長性を感じてしまったのも確か。でも、あとがきとかにも書かれていたように、これが転機となって、蒼穹の昴とかに繋がっていくと考えると、外せない作品には間違いないんでしょう。

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    2014年12月04日
  • 君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい

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    全作を読んだわけではないが、好きな作家。今まで浅田次郎の背景を全く知らなかったが、このエッセイを読んで、私が浅田次郎の作品になぜ惹かれるかがわかったような気がする。共感同感があるということ。驚きは「プリズンホテル」を書きながら、「日輪の遺産」や「蒼穹
    の昴」の執筆であったこと。分相応の暮らしと歳相応の夢か。競馬は頭と体を使うということを知り、新撰組に興味わき「壬生義士伝」へと誘うエンディングだ。

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    2014年12月02日
  • 草原からの使者 沙高樓綺譚

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    「各界の名士が集う秘密サロン「沙高樓」で、
    私は彼らの数奇な運命に耳を傾けることになった..・・・」
    こんないきさつで始まる浅田さんの百物語です。

    ●宰相の器
    ●終身名誉会員
    ●草原からの使者
    ●星条旗よ永遠なれ

    名誉も財力もある彼らの運命が
    どのように切り開かれたのか、
    サロン参加者ばかりか、読者までも気になって
    お話の中へ引きずり込まれて行きました。

    私が一番印象深かったのは、「草原からの使者」です。
    有名な大馬主が競馬で人生最大の大ばくちをするお話ですが、
    そこでの人間の実力論にはナルホドと思いました。
    主人公の父が後継者たちに問いかけます。
    Q:「人間の実力のうちでもっとも物を言

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    2017年11月09日
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道

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    最初は、独特の語り口調に違和感を感じたのですが、途中から読み入ってしまいました。人情味あふれる物語。「衣紋坂から」がすごく泣けます。続きも読んでみようと思います。

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    2014年11月25日
  • つばさよつばさ

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    浅田次郎が旅について綴ったエッセイ集。ドイツ旅行の友として持っていった本。旅をしながら、現代社会を痛烈に批判している部分が多い。その批判には共感できる部分が大いにあった。それにしても浅田さんというのは本の虫だ、一日一冊読むらしい。4時間あれば一冊読めるのだとか。「教養を得る」なんて卑しい目的で本を読むのではなく、心から読みたい本を読むべき・・・とか何とか。あれ、読書論になってる、まあいいか。

    中国や台湾、フランス、スイスの素晴らしい描写も見逃せない!!

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    2014年11月23日
  • 降霊会の夜

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    主人公がふとしたことで「降霊会」に呼ばれ、その中で現れる、忘れたのか、あえて蓋をしたのか、過去に関わった人々と交流する、そんな話。前後半2部に分かれており、前半は少年期の事件、後半は学生の時の話。戦後の混乱期や、学生運動なども絡んで、一筋縄ではいかないこの時代に起こった悲しい話。どちらの話も、「ボタンの掛け違え」が招いた悲しい出来事だった気がする。前半はあまりに悲しく、後半は少し煮え切らない結末でした。そういえば浅田次郎の作品をあまり読んでいないので、多少読み漁ってみようかと思った次第。

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    2014年11月22日
  • 日輪の遺産

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    浅田次郎さんの作品は色々読んできたのですが、これは今まで読んだものとテイストが異なり、戦争が背景にあるということで深く考えさせられるものがあります。
    最後の章の少女達の決断に、ひどく胸を打たれ涙が止まりませんでした。
    戦争を知らない世代の私たちは「戦争はいけない」と一言で片づけてしまいがちですが、未来の日本の行く末を心から案じて亡くなった方々がいたことを、決して忘れてはならないと感じました。

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    2014年11月18日
  • 沙高樓綺譚

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    上流階級の謎めいた集まりで聞く話が、1章に1話ずつまとめられている。浅田さんの作品でこういったテイストのものは初めてだったが、面白い。やはり、浅田次郎さんはすごい作家だと思う。

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    2014年11月11日
  • 地下鉄(メトロ)に乗って(特別版)

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    面白い。読みだしたら止まらなくなって、一気に読んだ。
    主人公やその恋人が物語の中でタイムスリップするのだが、その中で彼らに関係する人間の人生が見え、物語が深まっていく。時代が行ったり来たりするが、混乱せず読み入っていける。
    こういった物語を作れるのは、本当にすごいと思う。

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    2014年11月11日
  • 月島慕情

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    とにかくホロリとさせられる。
    特別な人間じゃない。
    どこにでもいる人、
    まるで自分が主人公。
    浅田さんの本、まだまだ読みたくなった。

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    2014年11月10日
  • 黒書院の六兵衛 (下)

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    浅田節炸裂。以上。いや、ホントに面白いですよ。
    損得で動く現代人を批判するようにも読める。
    ミステリーとしては、四千両がどっから出たか、タネ明かしがあればスッキリしたけど。

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    2014年11月09日
  • シェエラザード(上)

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    話が壮大で、物語に一気に引き込まれる。下巻に比べると、上巻は読みやすく、読むたびに次の展開が気になる。(感想は下巻に続く...)

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    2014年11月07日
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道

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    ”天切り”とは家屋の屋根を切り破り忍び入る強盗の事。時は大正時代、警察の独居房にふらりと現れた一人の老人。そして誘われて自分の周囲にしか聞こえない野盗の声音”闇語り”にて自分の半生を語る。老人は伝説の泥棒”天切り松”。松が語るのは、関わりのあった忘れられぬ人の話。洒落と酔狂の極み安吉一家、幼き頃離れ離れになった優しい姉。古き良き時代の裏稼業の世相を愛と涙の人情絵巻でシットリと短編連作にて綴る。シリーズ本。ドラマにもなっているようだが、やはり浅田文学の美しきしらべを堪能しながら秋の夜長にしっぽり読むのがオススメかな~。

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    2014年11月03日
  • 黒書院の六兵衛 (下)

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    上巻はあまり動きがなく、御書院番やら旗本やら大名の種別やらの下知識をたたきこむように、と浅田先生よりお下知。物語が膠着していても、文章力で読ませる事ができるのはさすが。
    下巻に入ると、六兵衛を厄介者扱いしていた西の丸御殿の面々が、徐々にブレない六兵衛の行動にほだされていく。時代に呑まれずに変えてはいけないものを体現する六兵衛は、主上を待ちわびていたのだろう。主上と無言のうちに交わした会話は、六兵衛の納得のゆくものだったのだ。
    六兵衛の正体はとうとう最後までわからないが、
    太平の世を築いた先人達の魂が、確かにそこにあった。

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    2018年01月26日
  • 日輪の遺産

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    内容はある旧軍人の日記をベースに第二次世界大戦終戦直下の日本で、日本復興にかけた莫大な金額の遺産を隠し、それをマッカーサーが探しにくるというというものです。但し、単なる宝探しというだけでなく、終戦時の日本軍の状況や遺産隠しに携わった者の責任の重さや忠誠心、悲劇などを描くことで、戦争下での日本国民のおかれた精神状態や状況は凄まじかったのだと改めて重く感じました。
    やはり戦争というものは金や利権が絡んで引き起こされ、その結果、人の犠牲の上に成り立つもので、本当に愚かな争いであると痛切に感じましたが、この本では、その犠牲というものが無ではなく、このような惨劇が2度とあってはならないという平和への教訓

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    2014年10月23日
  • 月下の恋人

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    苦手な短編小説だけど、これは違った。
    どれもこれも、どうなる?どうなる?そして、どうなる?と
    結末が、ものすごく楽しみで知りたくて、集中力MAXになって終盤をむかえると。。。。

    ええええええええええ。
    で、いったい、彼女はナニモノ?
    ええええええええええ。
    で、いったい、そのお化け屋敷には何が?
    まままま、まさかの。
    で、そのオカネは?

    結末がすごいんです。
    この短編小説。
    さっすが浅田次郎センセーです!

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    2014年10月14日
  • 一刀斎夢録 上

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    新撰組三部作、完結編。

    三番隊隊長 斎藤一 が主人公。
    壬生義士伝では、無愛想で、
    人嫌いで、孤独と描かれていたが。
    そこは、変わらず。

    幕末から明治、大正にかけての、
    時代の流れに翻弄されていく、
    新撰組の行く末が、語られていく。

    時代が違うとは言っても、
    100人以上の人を切るという行為が、
    凄まじい。
    人間など、みな同じ糞袋でしかない。
    というのが、斎藤らしい。

    斎藤一が、鉄之助に、鬼神丸を与えて、
    居合の稽古をするところは、
    偏屈者の斎藤が見せた、
    彼なりの優しさだったのだと思う。

    吉村貫一郎の教えを守る鉄之助の、
    意地らしさも切ない。

    吉村

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    2014年10月14日
  • 終わらざる夏 中

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    終戦後の任務を担った片岡と菊池医師、鬼熊軍曹の運命、そして疎開先から抜け出した片岡の息子。刻々と近づく終戦の日とその後の終わらない夏。中篇はじりじりとして進まない時と進んでほしくない時が交錯しているようだ。

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    2014年09月22日
  • 黒書院の六兵衛 (下)

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    西郷、勝海舟の会談により無血開城される事になった江戸城。しかし今だ彰義隊、官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い一発触発の危機の最中、官軍側先遣隊長として派遣された尾張藩士が城内にてみたもの。それは無念無想で殿中に居座る御書院番士六兵衛。悠然と構えるこの旗本は一体何者!?300年近く続いた城内勤仕の慣習と幕府御家人株の売買について情感タップリかつユーモラスに描く。

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    2014年09月14日
  • 終わらざる夏 上

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    1945年の終戦間近になりながら、本土決戦に向けた準備をする。歴史として知っていることはわずかばかり、知らないことの中に多くの物語がある。上巻では急遽召集された編集者の片岡、医師の菊池、いったんは除隊した鬼熊軍曹がであって北の地へ向かうまで描く。切なく悲しい物語は淡々と力強さをもちながら進んでいく。

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    2014年09月07日