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虎の間に座り続ける六兵衛は松の廊下の帝鑑之間に移り、誰が来ても何も言わず、立ち退こうとはしなかった。八番組組頭は当然、勝海舟、西郷隆盛が説いても返事をしない。端然と正座をしているだけである。この結末はどうなるのかとページが進んだ。浅田次郎はストーリーテラーだなあ。
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幕末
江戸城明け渡しの顛末
実在の人物と架空の人物を織り交ぜて綴られる
ものすごくおもしろかった
広すぎ!江戸城
≪ 江戸城の 最後の矜持 黒書院 ≫
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壬生義士伝と同じ時代だ。主人公の的矢六兵衛のことは最後まで謎だったが、壬生義士伝主人公の吉村貫一郎に通じるものを感じた。
登場人物の六兵衛に対する心が徐々に変わっていくのが面白かった。
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結局六兵衛は何者だったのか。もう少しヒントが欲しかったのが正直なところ。
でも面白かったです。
明け渡しの期日が迫る江戸城に無言で居座る御書院番士、的矢六兵衛。官軍の先手として来た加倉井隼人はあの手この手で押したり引いたりどうにか追い出そうとするが全く無反応な六兵衛。それどころか御殿の奥へ奥へと居場所を移っていく。
壬生義士伝みたいに色んな人の独白の章があって次第に六兵衛という人の輪郭が見えてくる。とにかく皆キャラクターがなかなかに強烈で、怒ったり笑ったり不思議に思ったり、隼人に感情移入してしまった。最後はよくわからないながらも六兵衛の迫力と格好良さだけは伝わって来て、行かないで!と一緒になって泣きました。
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浅田節炸裂。以上。いや、ホントに面白いですよ。
損得で動く現代人を批判するようにも読める。
ミステリーとしては、四千両がどっから出たか、タネ明かしがあればスッキリしたけど。
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上巻はあまり動きがなく、御書院番やら旗本やら大名の種別やらの下知識をたたきこむように、と浅田先生よりお下知。物語が膠着していても、文章力で読ませる事ができるのはさすが。
下巻に入ると、六兵衛を厄介者扱いしていた西の丸御殿の面々が、徐々にブレない六兵衛の行動にほだされていく。時代に呑まれずに変えてはいけないものを体現する六兵衛は、主上を待ちわびていたのだろう。主上と無言のうちに交わした会話は、六兵衛の納得のゆくものだったのだ。
六兵衛の正体はとうとう最後までわからないが、
太平の世を築いた先人達の魂が、確かにそこにあった。
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西郷、勝海舟の会談により無血開城される事になった江戸城。しかし今だ彰義隊、官軍、欧米列強の軍勢が睨み合い一発触発の危機の最中、官軍側先遣隊長として派遣された尾張藩士が城内にてみたもの。それは無念無想で殿中に居座る御書院番士六兵衛。悠然と構えるこの旗本は一体何者!?300年近く続いた城内勤仕の慣習と幕府御家人株の売買について情感タップリかつユーモラスに描く。
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黙する六兵衛に対する様々な推測が楽しく展開される。「あ、そうだったのか」と思わせるストーリー展開はさすが。
後半はいつもの「浅田節」の濃い味付け(つまらなくはないけど)。
私にとっては、クライマックスよりも、その過程に至る江戸文化の掘り下げや推理劇の方が楽しめた作品であった。
昔は著者の作品を読んで何度も涙したものであるが、今はそれほど涙腺に響かないのは、著者の作品を多く読んでパターン化しているからか、年齢を重ね感受性が摩耗してきているのか、レビューを書いて少しさみしく思った。
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隼人の想像が突拍子もなくて、ひぇーとなりました。ドキドキもした。六兵衛が結局何者かハッキリしなかったけれど、武士の心意気というものを感じた。
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上巻からの続き。(ネタバレあり)
六兵衛と呼ばれる侍は、実は六兵衛ではない?まさか?というところは、そうきたか、と。鳥肌。
緊迫の幕末の江戸城での、動と静の対比。に居てはいけない存在が、実は段々とその場の人間に欠かせない存在に変わっていく様子といい、秀逸。
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六兵衛の正体の謎解きが、エスカレートしていく。出てくる人物たちの豪華なこと。幕末をめぐる諸説の披露。これは三谷幸喜監督で映画化できそう。清州会議と似ていてダメか?
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ああああこうキタかー。西郷こそがラストサムライだとおもっている私としては、浅田さんにいつか、西南戦争をテーマに書いてほしくて、幕末モノはいろんな切り口で書いてらっしゃる方だからいつかあり得る、って祈ってたのに。こうきたかー。思いもしない角度だった。的矢六兵衛。この名忘るるまいぞ。上巻は、謎だらけだし場面展開も少ないし突拍子もなさすぎる設定なので、あまりのめり込めなかったけど、下巻で、ひょっとして慶喜公?というあたりからがぜんどきどきした。けど、謎は謎のまま明かされずに神秘のベールのまま幕引きとなったね。六兵衛とは何者だったのか、なんとのう答えは、見つかるんだけど。長きにわたった武士の時代の幕引きを担った真の士道の体現者みたいなさ。でもスッキリはしないなあ。どんでん返しというわけでもないし。こういう存在を紡ぎだされてしまえば、もう二度と西郷どんをメインに書くことはないのかもなあという失望が濃くなっていった。しかも、なんか、薩摩弁ってそんな、カタカナで(おそらくこういってんだろう)みたいな異形かなあ。あんなふうにカタカナだらけのセリフになるなら薩摩の話は期待できないかなー。まあ、浅田ワールド安定のクオリティではあるんだけどね。「その日の江戸は鼠色の糠雨にまみれていた。」この冒頭だけで1時間国語の授業できそうな、文章力みたいなのはほんと随所で惚れ惚れするんだけど。あー残念。すてきなお話ではあるし、男性のほうがこういうの好きかもなあ。でも女房たちが乗り込む場面もいいしね。でもなあ。西郷どんモノ、可能性薄になったなー。ざんねん。
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上巻では、山場がなく、どーなるんだ?と思っておりましたが、流石に浅田先生、六兵衛が誰か?をものすごく大きな視点からドンと持ってきて、度肝を抜かれました。慶喜か?と推測するシーンは鳥肌たちましたし、飛行機の中で「ええっ!!」と声が出てしまいました。
鰻を前にして、涙するシーンもかなり意外性があり感情移入しましたね。
結局、六兵衛が誰かということは関係なく、滅びゆく武家社会と侍/武士の権化であり、残り香なんだなと。
益次郎いいね。
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色々書評を見たあとで、一切の期待感を捨てて読んだ。
沢山ある幕末テーマの小説の中でも、地味だし起伏も少なめな感じ。小説への入り方で読後感も分かれるかも。
私は好き。ラストも、私は肩透かしとは思わなかった。終焉の一つとして、敬意を表したいですww
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結局、六兵衛が何者で何のために居座り続けたのかはわからなかった
そのもやもや感は残るけど、それは六兵衛の行動から読み手側が感じ取れば良いって事のようだね
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一言も話さない主人公、六兵衛の正体に迫る下巻のはず・・・なのだが。
話としては「あいつはこの御方ではないか」説が飛び交いまくるので、動きがあって面白い。
ラストもなかなかに見せるシーンではあったが、やはり・・・なのがなんとも。
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長かった…
途中リタイアしそうになった
的矢六兵衛が誰なのかという話でわなく 最後の武士として10カ月の勤番を終えたのですね
「おぬしには言いたいことが山ほどあるはずじゃ」
「物言えばきりがない。しからば、体に物を言わせるのみ」
なんだか最後かっこよかったです 伊豆栄のうなぎ食べたい‼
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引っ張るだけ引っ張って、最後のあっけない幕切れ。途中までは謎が謎を呼んで面白かった。10ヶ月の間ずっと座り続けることは阿闍梨の修行のようで、だんだん信者の増えていくのが愉快だった。
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ハズレの少ない浅田作品で、明け渡しの江戸城を興味深く描いているが・・このラストはどうかなぁ~深まった謎が謎で終わってしまった。作中で、それはそれでいいと書かれても・・それなら短編にしても良かったような(笑)
維新の重要人物が次次に顔を出す。迎えるは貧乏籤の尾張侍と、何も話さず動かぬ六兵衛。設定、背景が面白いだけに、六兵衛の正体にどんでん返しを期待してました。その分、読後感はすっきりせず。
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最後まで的矢六兵衛が御書院番士の職を金で買い、10ヶ月に亘り御書院番勤めをしたのか良くやからず。太平の江戸時代から明治時代にバトンを渡すに当たり武士道とは何たるかを世に示したかったのかと思われる。
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おすすめ度:75点
江戸城に10カ月の間、言葉も発することなく、ひたすら座り続けた六兵衛。その10か月の間に時代は大きく変遷し江戸から明治となった。六兵衛はひたすら座り続けるという行動で武士道の本髄を示した。
「物言えばきりがない。しからば、体に物を言わせるのみ」
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上下巻。
大政奉還が行われ、江戸城を天朝に明け渡す準備に明け暮れる中、一人の武士が物言わぬまま居座り続ける。
泰平の世が長く続いたせいで、廃れに廃り切った武士道を本来の姿へ取り戻すかのごとく、江戸城に居座り続ける六兵衛。六兵衛とはいったい何者か、いや、六兵衛にすり替わったこの男は何者か。彼の一挙一動に振り回されながら、正体を探ろうと様々に推理していく過程は面白かったが、なにせ長い。城内の仕来りか、人物の入れ替えがあっても皆が見て見ぬふりを決め込み、特に上巻は一向に話が進まないのに少々焦れてしまった。下巻で、実は徳川慶喜その人か、天朝の差し金か、みたいな大仰な話が出てきて、俄然調子が乗って来たものの、結局、、、。武士道とは本来かくあるべき、と皆に諭すために現れた幻影かと思えるようなオチで、正直なところ拍子抜けだった。もうちょっと出自を描いてくれた方がすっきりしたかも。
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まもなく天朝様が江戸城に玉体を運ばれる。御書院番士はそれでも無言で居座り続けた。常の勤番所から、松の御廊下の奥へ詰席を格上げしながら。品格ある挙措と堂々たる威風は、幕末という時代が多くの侍に忘れさせた武士道の権化に映る。名も勲も金もいらぬ。すべてをなげうって武士の良心を体現した成り上がり者の希みとは、いったい何なのか―。
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浅田次郎氏の大政奉還、江戸城受け渡しの頃のお話。
「武士は食わねど高楊枝」とはよく言われますが、本当にそうだったらしく格を誇るために借金してまで家来を抱え、代々家を残すことに尽力されていた。
そんな中幕府が倒れる。
今で言うと働いていた会社が倒産することにも近いのかも。
まあ、それと比べるレベルの話ではないのだが、そんな中江戸城に居座り続ける六兵衛。
無血開城を達成するために、力ずくで排除することはならぬと言う無理難題を抱え、加倉井隼人はあの手この手で出ていってもらえるよう説得を繰り返す。
なぜ居座り続けるのか?
その理由が徐々に解明されていくのだが…
奥が深く一度で理解するのは難しい作品でした。
また読み返してみようと思う。
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六兵衛の正体のついて色々な説が飛び交うのが面白かったが、本編がファンタジーだったとは予想がつかなかった。同じ作者の他の幕末ものと同様に最後の武士の美しい姿が描かれる。冒頭の克明な江戸城の描写は武士の美しさを表現するために必要だった。幕末の様々な人物の六兵衛に対する態度が、最後の武士の凛々しい姿を引き立てる。終わり近くの的矢家のご隠居の独白の途中で、もしかすると、幕末の武士の矜持をファンタジー風に描いたのかなと思ったら、やはりそれらしく美しく話は幕を閉じた。
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面白かった、面白かったけど種明かしは拍子抜けだったかなぁ。この結末のためにこんだけのページ数費やしたの?!みたいな。過程がすごく面白かった、逆に言えば過程しか面白くなかった、なぁ、うん。