浅田次郎のレビュー一覧
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シベリア出兵で戦死した兵士の遺族を助ける説教寅の男気を描く表題作「初湯千両」など、華やかな大正ロマンの陰で、時代の大きなうねりに翻弄される庶民に味方する、粋でいなせな怪盗たちの物語。誇りと信義に命を賭けた目細の安吉一家の大活躍を描く。
このシリーズを通して読んで思ったのは、彼らは常に「弱き者のため」に動き、生きているということである。
彼らのように、誇りと信義に命を賭けて生きているような人の姿は、近年見かけることが本当に少なくなったように思う。
世のため人のために生きること、己の信義を貫くことの大切さ、素晴らしさを、このシリーズから教えてもらった。 -
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Posted by ブクログ
次巻もはまって読みました。
<本の紹介>
官吏となり政治の中枢へと進んだ文秀。一方の春児は、宦官として後宮へ仕官する機会を待ちながら、鍛錬の日々を過ごしていた。この時、大清国に君臨していた西太后は、観劇と飽食とに明けくれながらも、人知れず国の行く末を憂えていた。権力を巡る人々の思いは、やがて紫禁城内に守旧派と改革派の対立を呼ぶ。
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よくある話といえばそれまでなんですが、旧体制を牛耳る奴らが出てきて、その体制の中で"使える"人たちが活きなくなってくると体制の維持ができなくなる。「良禽は木を選ぶ」。頭のいい人達ほど、組織に本当に必要になる人達ほどその組織が腐る前に -
Posted by ブクログ
「…個人的な苦悩ばかりを訴えていた。
おのれの会社がいったい世間様にどれだけの迷惑をかけたのか分かっていれば、自分の悩みなど口が裂けても言えぬはずである。
はっきり申し上げれば、彼らはそれぞれに山一証券という企業で飯を食っていたのである。自分たちの会社が何をしたか、すなわち自分たちが会社に対して何をしたかということが、まるで頭にない。
年齢通りの大人であるのなら、まず自分の痛みより先に顧客の痛みを、会社の痛みを斟酌すべきである。」
(「大人について」より)
「アメリカは正義を信奉する国であるが、アメリカ人の正義が人類の正義ではない。むしろ正義というモラルは、個々の民族の文化の上に成立している -
Posted by ブクログ
40編すべてなかなか良い話であるが、中でも印象に残ったのは「ありがとう」に出てくる日本の青年である。ロサンジェルス空港で欠航便が出た時に、日本の青年が何もせず、ただ、廻りが(あるいは航空会社が)なんとかしてくれるのを待っている。日本ならこんな時、航空会社が親切に対応してくれるのかも知れない。しかし、ここはアメリカ、「自己責任」の国である。自分で次善の策を考え、チケットを取り変える方法を考えなければならない。結局、浅田氏の同行者が八方手を尽くしてチケットをとってやるのだが、そのあいだもその若者は人ごとのようにボーっとしている。極端な例ではあるが、これが甘ったれた現代日本人の姿だ。最近の日本の姿は