浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浅田次郎さんの小説を読むのは「おもかげ」以来、6年ぶり。短篇六篇は、いずれも異なる味わいで、多才な作家さんだな、と改めて思う。
「夕映え天使」
表題作。正直読後感はあまり良くない。
鈴木純子(仮名)さんが住み込みの勤め先であるラーメン屋昭和軒を黙って出た理由は最後まで語られることはなく、死に様も何とも寂しい。もっとひとに甘えたらよいのに、と思ってしまう。男寡所帯に嫁候補となりうる女性が急遽住み込みで働くことになる、という降って湧いたような「幸運」の思い出にしがみつく、昭和軒の親子もカッコよくはない。けど、気持ちはとても分かる。
「切符」
少年が淡い思いを寄せる賃借人の若奥さんが引っ越す前後のお話。「三丁目の夕日」のような映像が頭に浮かぶ。
「特別な一日」
この作品が一番インパクトがあった。
定年退職の日の営業部長の一日。熟年離婚を言い渡させるのか?という、展開から一転して驚きのラスト。伊坂幸太郎の「週末のフール」を思い出すひとが多いのではないだろうか。(ネタバレに近い表現ですすみません。)
「琥珀」
定年退職間際の老刑事が、時効間近の指名手配犯を旅先で見つけて、大手柄となるはずが。。。
西田敏行さん追悼番組で観たひとが多いようなのであとで観てみよう。
「丘の上の白い家」
阿刀田高のブラックユーモア的作品。
結果的に嵌められた清田くんが何とも哀れ。
「樹海の人」
唯一、作者の経験談として語られる。小説というよりは長めのエッセイのような。
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Posted by ブクログ
読んだ本 兵諫 浅田次郎 2025129
「蒼穹の昴」シリーズも、「群青の夢」というので最後らしい。
この「兵諫」はその前作ということで、張学良が蒋介石を拉致する事件を題材にしている。
この張学良って人がよくわからない。
張作霖の英雄的な描き方に比べ、なんとも得体の知れない描かれ方で、大局観があるからこそ思い切った行動に出れないって感じかな。
歴史的にも大きな権力(軍閥)を率いながら、右往左往しているイメージで、冴えない感じなんだけど、物語の中では深謀遠慮があるように描かれている。
実際にそうだったのかもしれないけど、このシリーズでは西太后もいい人だからな。
何が真実かはわからないけど、シリーズの最期が読めるのは楽しみです。 -
Posted by ブクログ
浅田次郎の長篇小説『日輪の遺産 新装版』を読みました。
浅田次郎の作品は、一昨年の11月に読んだ『ハッピー・リタイアメント』以来ですね。
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帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価200兆円の財宝。
それは敗戦を悟った阿南陸軍大臣が、祖国復興のために託した軍資金だった。
戦争は、日本人に何を残したのか。
著者にしか書けない、魂を揺さぶる傑作歴史ミステリー!
新装版解説/内藤麻里子
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1993年(平成5年)に刊行された作品です。
1945年8月……マッカーサーの財宝200兆円を隠匿せよ!
終戦間近、帝国陸軍の真柴少佐は軍トップに呼集され、ある重大な密命を帯びる……祖国復興のための軍資金を護るため、真柴は小泉中尉、望月曹長とともに極秘任務を遂行、勤労動員として20人の少女を集めた、、、
それから47年、不動産事業で行き詰まった丹羽明人は、不思議な老人から財宝の在り処を記した手帳を託される……戦争には敗ける、しかし日本はこれでは終わらない。
戦争末期の極秘任務を軸に、国家と個人の狭間で揺れる人々を描いた長篇小説……浅田次郎作品らしい丁寧な人物描写が、派手さよりも静かな重みを残します、、、
女学校の生徒たちの純粋さと、彼女たちを導く軍人たちの葛藤……その対比が、戦争が奪ったものの大きさを自然と浮かび上がらせる展開でした。
戦争を題材にしながらも、過度に悲劇を強調しない……むしろ、歴史の隙間に埋もれた“名もなき人々の選択”に光を当てることで、読者に静かな問いを投げかけてくる印象でしたね、、、
読み終えたあと、何を感じるかは人それぞれだと思いますが、忘れられた歴史の片隅に、確かに息づいていた人間の尊厳を思い返すきっかけになる作品でした。
以下、主な登場人物です。
真柴少佐
近衛師団所属のエリート軍人。軍の最高幹部たちから、とある密命を受ける。
小泉主計中尉
東京帝大を首席で卒業した大蔵官僚。真柴とともに極秘の任務に就く。
曹長
中国戦線で長く戦った人物で、モーゼル社の自動拳銃を愛用する。
真柴の運転手として活躍。
金原
武蔵小玉市の大地主で元市議。悪徳不動産業者として知られる。
財宝についても何かを知っている気配を見せる。
丹羽明人
お人好しの地上げ屋。
バブル景気崩壊で建て売り住宅の不良在庫を抱えて金策に奔走中、一攫千金を狙って競馬場に行き謎の老人に出会う。
海老沢
武蔵小玉市で福祉関係のNPOを切り盛りする中年男。
妻の浮気に悩んでいる。
謎の老人の世話をしていた縁で丹羽と知り合い、財宝の秘密に迫ることになる。
イガラシ中尉
日系2世のアメリカ軍人。
ダグラス・マッカーサーの通訳を務めるうちに財宝を巡る陰謀に巻き込まれる。
野口孝吉
女学校の英語教員。財宝の秘匿作業に協力させられる。
久枝
女学校の生徒。工廠の近所の梨農家の娘。
財宝の秘匿作業に協力させられる女学生の級長。