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面白い小説でした。
新撰組斎藤一!これはヤバイっす。まるで斎藤一を目の前にして話しを聞いているような良くできたストーリーでした。終盤もネタ切れ感なく最後まで楽しめました。
Posted by ブクログ
負け戦とわかりながら、幕府のようには決して逃げず、最後まで薩長の敵対意識を受け止めた会津や新撰組の最期が、一刀斎の口から語られます。西南戦争での結末には、薄々悟りはしていても思わず涙を流してしまいます。なぜ死ぬべき人が死なず、生きるべき人が死ぬのか…世の無情に疑問しながら、生き長らえてしまった自身を一刀斎は罪深く思っていたことでしょう。
涙腺が緩むシーンがもう一つ。成田の辺りで捕まった元新撰組隊士らへの敵の対応がどうしても忘れられません。敵味方がお互い尊敬し合うも、時には許さざること、筋を通さねばならないことがある。武士には面目という厄介がある、という言葉が、物語を通して強く心に残りました。
西南戦争の話の結末は、映画『ディア・ハンター』のラストを観ているようでした。しかし、その理不尽さには、ある理由があったことが、梶原中尉の試合に際して語られます。彼は、自らが生き残ることで、様々な辛さを一身に引き受けようとしたのかもしれません。
『壬生義士伝』もよかったですが、こちらも素晴らしい新撰組作品でした。
Posted by ブクログ
『一刀斎夢録』浅田次郎
一刀斎。
新撰組最強の剣客と呼ばれ、恐れられた、鬼の3番隊隊長、斎藤一。
幕末を生き延び、明治を経て大正を迎えた「一刀斎」は、近衛師団の中尉に向かって夜毎語る。
新撰組とは何だったのか。
斎藤一が生きた、その理由とは。
*
浅田次郎の新撰組三部作、最後の一作品。
こちらも期待を裏切らない、超大作でした。
ついに舞台は幕末の動乱期に。
今回は複数人視点の語りではなく、ひたすら斎藤一本人がその口で過去を語る。
年老いた斎藤一が毎夜訪れる若い中尉を相手に昔語りをしている姿を想像するだけでなぜだか泣けてくる。
吉村貫一郎先生や、芹沢鴨暗殺事件あたりの話も沢山出てきて、「壬生義士伝」「輪違屋糸里」を思い出して胸がぐっと詰まる。
本当に、浅田次郎先生の描く幕末の人々はみんなとても魅力的なんだよな。
何を信じて生きていけばいいのかわからなくなってしまった時代に、それぞれが、それぞれの信念を持って必死に生きる。
*
因縁の相手、市村鉄之助。
京都時代、吉村貫一郎と歩いているときに見つけた乞食小僧兄弟の、弟。
お人好しの吉村が彼らを屯所に連れ帰ってから、斎藤と鉄之助の奇妙な縁が始まる。
死に場所を求め求め、警視庁抜刀隊の一員として迎えた西南戦争。
鉄之助と再び巡り会ったのは、その戦いの地だった。
敵軍、薩摩兵の中に、斎藤一は「今ひとりのおのれ」と出くわす。
自らが剣を授けた、鉄之助の姿と。
もうこの鉄之助との最後のシーンは息を止めて読んだ。ページを捲る手がどんどん早くなる。
本当に引き込まれる状況描写と、感情描写だ。
読み終えた後はいつも抜け殻になる。
「生きよ、鉄之助」
臍曲がりな斎藤一が、初めて口にした真実の言葉。
皆が生かそうとした鉄之助が、斎藤一がその剣技を伝授した鉄之助が。
斎藤一が、生きていかなければならない理由。
生きてゆくほかは無くなったのだ。
*
(ちなみに「壬生義士伝」で“死ぬな、吉村”と叫んでなかったかしら…とか思うのは野暮かしら…)
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