浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表題作「見知らぬ妻へ」は、切ない。
体を売って日本で働こうとする中国人の女。
その不法入国を免れるため、形式的な結婚を請け負った男。
男は、それで報酬を得た。それだけの関係であったはず。
でも男は、女を愛しく感じ始める。
「なぜ?」
体を売りながらも、その男の前では”妻”であろうとする女の純情さに、家族との幸福を失った男の虚しさが引き寄せられたせいだろう。
女は、体を売って帰ってきたアパートで、形式的夫婦生活を繕うためだけでなく、”妻”として振る舞おうとする。
お互いの事情を詳しく知らないが、自らの力では、どうしようもない流れの中に生かされている者同士であると感じ合ったせいだろう。
やが -
Posted by ブクログ
友達がDVDを観たと言うのをキッカケに読んでみた。
「蒼穹の昴」、「中原の虹」でこの人の作品はまず活字で読まないとと思い、手にしました。
私が読んだことのある作品よりも前に書かれた作品という事ですが、人物の描写が変わらず素晴らしい。
また、歴史上の実在の人物たちについても、広く知られた人物像からもう一歩踏み込み表現されていて、自分自身が表面的なことしか見ていなかったと感じさせられる事がしばしばありました。
ストーリー全体としても、突拍子もない印象はありながらも、もしかしてと宝探しを盛り上げていきながら、人間の尊厳や深層心理をうまく描写されていてどんどん惹き込まれてしまった。
マッカーサ -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
結構意外な結末。
過去に戻って現在を変えられるなら、私はやっぱりお兄さんに死なないで欲しかったな…。
あとがきに書いてあるM子とは一体誰のことなのでしょう?
有名な人なんだよね、一応?
結局先生が一番不思議な存在だったな…。
そういえば主人公の母親は過去の世界に行ったのか行かなかったのか。
二人でメトロに乗ったことに意味はあったのかどうか。
結構前に書かれた話だから、そういえば昔は二子玉川じゃなくて二子玉川園だったなぁとか、田園都市線じゃなくて新玉川線だったなぁとか思い出しました。
懐かしい。私が小学校低学年の頃に変わったんだっけ。田園都市なんて、ずいぶんおしゃれな名前だなーって思った