浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりの浅田次郎。4冊目……くらいかな。
【月島慕情】
表題作。切ない……切な過ぎる。
冒頭から、きっと分かりやすいハッピーエンドは無いだろうと分かりきった一編。
太夫の心が浮き立つ程に、時兄のいなせが際立つほどに、悲恋の予感が膨らみまくり……一度はもう、見ていられなくって本を閉じてしまったくらい。
半年ばかり寝かせて再び挑んだこの一編。
なんと切ない物語か!!
でも、切ないながらも美しい、そんな大正下町のセピア色が心に残るお話だったな。
【供物】
……切ないけれど、いい話。きっと、誰もが報われた一瞬が、やはりセピア色に描かれていた。
※時代設定は明らかに平成の世であるのに、なぜか昭和を感じてしまうのは…?
【雪鰻】
……こういう話は、一人でも多くの日本人が知るべきだ。いや、それよりも多くの地球人が知るべきだ。
……いち作家が出した短編集の中のただの一編にしておくのは、勿体なさ過ぎる。
・・・たぶん誰もが、これにまさる戦況報告はあるまいと考えたのだろう・・・
【インセクト】
・・・時代の匂いは感じるが、「だから?」と問いたくなるようなお話だと思うのは……自分が未だコドモだから?
【冬の星座】
……泣かされた。ばあちゃんモノには、てんで弱いなと、改めて・・・。
若干頼りなかった医学生の、たった一夜の間に見せた大きな成長の兆しが、読後の心に清々しく沁み渡った。
【めぐりあい】
……切ない。どうしようもなく切ない話。途中から想像し始めていた(願っていた)幸福な結末にはならなかったけれど、決してハッピーエンドではないけれど、心温まるラストに涙。
・・・医者ならばときちゃんと心中なんぞせんと、ときちゃんの病気と心中せなならん思い直した・・・
【シューシャインボーイ】
……泣いた(笑)。
全般にハッピーエンドではない結末ばかりのこの短編集で唯一、(主人公にとっては)ハッピーエンドなお話かな。
……(原作は未読だが)映画「地下鉄に乗って」を思わせる“戦後のニッポン”を描くのが、筆者のライフワークの一つなのかも・・・と思えた。“ボス”の格好良さに、座布団一枚。
トータル
★4つ、9ポイント。
2016.08.09.古。 -
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ネタバレ妻子持ちだった恋人とひどい別れ方をしたリエはたまたま居合わせた辰夫の家に厄介になることに。
「お腹の元恋人の子供がいるの、お願いちょっと|中絶《おろ》すの手伝ってよ」
しかし純粋な打算で近づいた男は何を勘違いしたのかその子を二人で育てようなどと言ってくる。はあ、とんでもないお馬鹿な奴もいたもんだ。こんないまだに汲み取り便所を採用しているようなアパートに住む男がこの私と釣り合うとでも思っているのかしら。学もなさそうだし、たぶん身の程知らずという言葉も知らないんじゃないかしら。でもいいわ、私は優しい女だからあなたが安物の時計をプレゼントしてくれたって窓に叩きつけて壊すぐらいで許してげる。
まったく男ってのは女の人格なんてどうだっていいんだわ。下半身で物事を考えるっていうのは、あながち間違っていないのかもしれないわね。馬鹿みたい。行きずりの男に堕胎の手伝いを申し出るような女のどこが良いて言うの? 仕方ないから一発やらせてあげる、それでおしまいにしましょう。そしたらこの子を堕ろすのを手伝ってね。
次回『社会の底辺が安物の腕時計をプレゼントする前の「ただいま」が死ぬほど気に障った』――これがブスなら話にもならない -
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ネタバレシャトー・ド・ラ・レーヌ(王妃の館)というのは世界に冠たる麗美なフランスのホテル。
みんなが憧れるそんなホテルに宿泊できるのが売りのパリ・ヴェルサイユを回るツアーに集まった人達の悲喜こもごも。
このツアー、旅行者の思惑から二重売りされ、かたやお金持ち相手の高額”ポジツアー”、かたや極安の”ネガツアー”。
もちろん、支払う金額によって内容は随分違う。
旅行者の荒稼ぎがバレないように細心の注意を払うツアーコンダクター、けれども起こるニアミス。
過去との決別のため旅行するOL、自殺志願の夫婦、詐欺師、バブル崩壊後成金、恋人さがしのオカマ、元警察官、小説家、編集者など、個性豊かな面々が思い思いに動くので、ツアコンも休まる暇がない。
言わば、ドタバタ喜劇である。
あちこちに散りばめられた作者のジョークに比喩ではなく笑ってしまう。間違いなく楽しめる本。 -
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「男てえのは、理屈じゃあねえ。おぎゃあと生まれてからくたばるまで、俺ァ男だ、俺ァ男だと、て、てめえに言いきかせて生きるもんだ。よしんばお題目にせえ、それができれァ、理屈は何にもいらねえ」
大正ロマンの時代を駆け抜けた目細の安吉一家の活躍譚第2段。
この2巻で安吉一家以上に光るのはやはり清水の小政。
一宿一飯の義理を立てて鮮やかに舞台を降りる様は本当に格好いい!
「春のかたみに」ではもちろん号泣したし、安吉親分も寅兄ィも栄治兄ィもおこん姐さんも相変わらず素敵だけれど、この中で一番好きな話はと言われたら「百面相の恋」を選んでしまう私は、結局騙りの常兄ィが一番のお気に入りだったりします。 -
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ネタバレ一つ一つのエッセーが短く読みやすい。
通勤時間などのちょっとした隙間時間を、豊にできた。
中国文学にほとんど無知だったので、新しい知識となることも多くあった。
「かっぱぎ権左」は、本当に後味のいい短編小説だった。映画化されても面白いのに(笑)勝手に頭にイメージが焼き付いてしまった。このエッセイをきっかけに、歴史にも興味を持てそう。
あとは、著者の仕事観にも触れられてる点が心に残っている。やりたいこと(書き物)を仕事にできるまでやり抜こうとすると、それまでの過程は不安にならないのだ。目標が明確であるとは、前を向き続けていけるエッセンスなのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの話は、第二次世界大戦末期の最北の島「占守島」の話。
いろいろな立場の人が出てきます。
東京でこの戦争の作戦をまとめている軍人、
東京で働いていて召集されるはずがない45歳の翻訳家、
そして焼け野原に唯一残った近代的なアパートに暮らす妻
父の召集を知り疎開先から脱走した息子と
道を共にした女の子。
二人の疎開先の先生。
二人と夢を介して出会ったロシア兵。
何度も召集されてその度に話を盛り立てられて金鵄勲章をもらった指のない軍人、
召集される人々のため病気を偽って申告し続けた医者、
体が小さくて戦車に乗れない少年兵とそれを教育する老兵、
大本営から終戦の際に立ち回るために占守島にやってきた参謀
などなど
本当にたくさんの人が登場する。
そして最後にはそのほとんどが死んでしまいます。
その死はなんだかとてもあっけない。
終わらざる夏を読んで、
一番に思ったことは
信じていること、想ったことに関わらず
運命が定められた人生が
あの時代にはいくつもあった、ということ。
日本だけじゃない。ロシアだけでもない。
たぶん、戦下ではみんなそう。
戦う理由がわからない。
でも戦わなくては殺されてしまう。
そうお互いが思いあって
言葉を交わしてわかり合う暇もなく殺しあう。
銃を撃つそれぞれの個人は、
相手に家族があることも、ましてや命があることも
お互いにわかっているのに、
戦局のために戦う、殺しあう。
何でもあって安全で自由な現代を
あの戦争で死んだ人たちに見せてあげたい。
この時代に生まれついていれば、
きっとあなたも選ぶことができただろうね。
そして本来はあなたもそうあっていいはずだった。
言葉が通じていれば、わかりあって
殺しあう必要なんて何もなかったはずなんだ。
よく、お国のためにって戦って死んで行く日本兵の映画があるよね。
でも、それは洗脳されていたわけではなく、
心の中にある生きることへの気持ちを
お国のためって言葉で押し隠すために
誰かが言い始めて、広まったんじゃないかなと思った。
何かのためにという理由がないと戦えなくて死ねないから。
命を投げ打って戦えないから。
本の中で、このあとの世界では
人々は戦争なんて愚かな行為はしないだろう。
この戦争でそのことを知るんだと書いてあったの。
きっとあの戦争に関わった人は
一人の例外もなくそれを望んだんだろうな。
こんなことはもう世の中から消える、
そのために今自分は死ぬんだと思って
たくさんの日本人や敵国の人々が死んだんだと思う。
それなら無駄ではないって。
でも、まだしてるよね。
もうすぐ70年になろうとしてるのに
今も地球上には戦争がある。
くだらないね。
愚かだ。
国防軍の話。
自衛隊は盾だと思うのです。
自衛隊の任務は戦うことじゃなくて
「守ること」
災害から人を守る
隣国の脅威から人を守る
もしものときに、攻撃から国民を守る
戦いを仕掛けられないというのは
日本が第二次世界大戦から得た宝物だと思う。
おかげで日本には戦争がないし
たぶんこれからもない。
日本人は戦争が勝っても負けても失うものしかないことを知ってるから。
戦う術がないというのは、それだけで平和への一歩を進んでることになるよね。
今の日本なら、戦後日本がしてきた世界貢献のことを考えたら
戦わない日本に対して戦争を仕掛けた国は
世界から孤立するだろうなと思う。
あの頃の日本とは違うから。
戦後、日本は武力で権力を得るのではなく
優しさで心からの信頼を得る方法を選んだ。
外国の人は決まっていうよね。
日本人はみんな優しいって。
終戦のエンペラー見ようと思います。
今年は終わらざる夏をきっかけに
終戦について考える夏にしよう。
#ブログのコピー -
Posted by ブクログ
ネタバレ2016年、20冊目です。
浅田次郎の初期の長編小説です。
秀逸な作品だと思います。
太平洋戦争末期のポツダム宣言受諾の時期から始まる物語が、長い歳を経て、戦争経験の無い世代の人間と接点を持ちます。2つの時間軸で物語が展開していきます。
日本を再興させるための軍の財産を山の中に隠すために動員された女子学生たちの姿と彼女らとその後の日本の両方を憂う人間たちの苦悩が描かれています。
彼らの残したものを知ることになった2人の戦後生まれの男たちは、それぞれが抱える問題の中でやはり苦悩しています。2人自身の再興のとも交わりながら物語は進んでいきます。少し長い小説でしたが、ストーリーにも興味を失わず読み切ることができました。
追記
私は観たことはありませんが、この作品は、映画になっているようです。基本、小説の映像化されたものは見ません。作家の意図とは違う、映像製作者の意図がそこに加わってくるので、自分で原作を読んで、感じることでいいと考えています。
おわり