浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレラストにちょっと違和感はあって、何とも私的には評価しづらいのだけれど
結局木戸孝之介という偉大な小説家は、破天荒に見えたけれどとても繊細で、やはり才能あふれる人物だった
そして、彼の根本は「母親」に尽きるのか
産みの母親もそうだけれど、木戸孝之介氏のすべては富江だった…
愛着障害の極み
試し行動をとうとうおじさんになるまで続けてしまった(それは妻となったお清にも及ぶ)
富江を喪うという時まで、試し行動をし続けた
富江が受け入れ続けたことで、木戸孝之介は安心していられたのだということなんだと最後にわかった
最後孝之介は千恵子のことも受け入れ、穏やかに母親として扱っているが、それは富江が最期に「こうちゃんを預けてくれてありがとう」という言葉を千恵子に残したからなのかと思った
この話はそんな話ではないとは思うけれど、母親という存在の大きさ、そしてその親を出奔というかたちで失った子の心の傷の大きさ(極端だとは思うけれど)
こんなに大変なことなんだと再認識した
母親ってすごいね
それを思うと、千恵子と黒田の罪は大きい
とはいえ、その一連の試練があって木戸孝之介は偉大な小説家になり、お清と結婚したので(ミカという子も得た、心臓病の母親も)なるべくしてなったようにも思う
また、孝之介の父親も富江を愛して結婚し、最期を看取ってもらったことは幸せだっただろう
ただ富江…
慈しんだ(愛する男の子どもだから愛せたのか?あんな暴君を)孝之介からお母さんと呼ばれたのは死ぬ寸前
それまでは殴られたり蹴られたり、グズブスノロマと罵られ続けた
富江への思いを気づくのが遅い孝之介
いや、気づいてた?
認めるのが怖かった?
いつまた富江も千恵子のように居なくなるかもしれないから?
そして
どこの病院にいるのか分からない富江
孝之介だって、富江を看取りたいよね
1人で逝くというのは、富江の復讐なのかと穿った見方をしてしまう -
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ネタバレ前巻の「プリズンホテル秋」で、主人公は改心したかと思いきや、まだ暴力を振るっていることに序盤ならげんなりして辛くなった。お世話になっている女性を「パープー」呼ばわりするのも、男尊女卑甚だしい。嫌気がさした。読むのをやめようかと何度も思ったが、次巻の「春」まで読むと良いという口コミがあったので、葛藤しながらも頑張って読み切った。
血まみれのマリアは仕事の力量はすごいのだろうが、私生活でも何故にあんなに威張った物言いなのか。かつての職場でのパワハラ上司を思い出した。
人の悪意を感知せず、笑顔と「ありがとうございます」で自分の心を辛うじて守ってきたサチコ。辛くなった。
アルピニストがいい存在感を出していたので、星3つにした。 by みー -
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ネタバレ松永徹
知らない人のない大企業の社長。独身。四十年ぶりに里帰りをする。
ちよ
ホームタウン・サービスのペアレンツ。
吉野知子
ユナイテッドカード・プレミアムクラブのコンシェルジュ。
室田精一
製薬会社の営業部長から関西流通センター長に異動し定年退職する。熟年離婚する。
住職
慈恩院の和尚。
秋山光夫
松永徹の旧友。東京の下町に何棟ものビルを所有している。
松永孝子
徹の母。五十二歳で他界。
小林雅美
精一の妹。高校の教師。
怜子
精一の元妻。
古賀夏生
かつて大学病院の循環器内科准教授まで務め、今は専門病院に勤務しているたベテラン医師。認知症の母を亡くした。
佐々木サチコ
酒屋の女主人。
森山
医師。
小山内秀子
父の経営するクリニックの「若先生」に収まる。夏生のかつての教え子。
品川操
松永の有能な秘書。
雅美の夫
勤続三十八年の公務員。定年を迎える。
佐藤カンジ
慈恩院の檀家。
川崎繁
室田の中学、高校の同級生。
青柳
ガードマン。室田の元同僚。
背戸の嫁っこ
隣家の嫁。
背戸の爺様
田村健太郎
全国展開する居酒屋チェーンの経営者。 -
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偉そうな言い方になってしまうけれど、下手な作家がこういう話を書くとべたべたしていてとても読めたもんじゃなくなるだろうなあ、というのばかりです。それをこう、淡々とというか、甘さは行間からだけにじみ出るようにというか、やられると、やっぱり参ってしまう。素直に泪しながら読んでよし。すなわち、電車の中で頁をめくるのには向いていません。
「月のしずく」世界の違う男女がささいな偶然でふれあうという物語は古今東西掃いて捨てるほどある。そして偏見かもしれないが、たいてい、どちらかがどちらかの世界を捨てることで解決をはかっている。でも、この物語はそうではないと思う。まったく違った世界にも、何か通い合うところがあって然るべきだと言われているように感じる。
「聖夜の肖像」この作品集のなかでいちばん好きである。四十代はじめの登場人物たちに、まだこのような迷いがあるところがうれしい。うつくしい夫婦だと思った。
「花や今宵」現実の世界ではこのようなこと、起こり得ないのではないか?起こったとしてももっと生生しいものになってしまう。夢のように異界に身を投じてみてもよい。すべてを花のせいにして。 -
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学生運動の激化により東大受験をあきらめた主人公は、京大に入学する。ある日、偶然に出会った同じ京大生に映画の撮影所でのアルバイトを紹介される。エキストラをつとめた時に見かけたのは、ずっと昔に死んだはずの美しい女優であった。
まず、最初にことわっておきます。ごめんなさい。この作品に出てくる映画のほとんどがぼくにはわかりません。見たことあるのかもしれないけれど、題名から1カットでも思い出せるのはほんの数えるほどです。
でも、それにもかかわらず、食い入るように読んでしまうのですよね。読んでいるうちに、その時代の映画にこめられていたものが、自分にも乗り移ってくるような気がする。また、そのような映画であるからこそ、思いを残して死んだ女優というものにもしぜんと納得いくわけで……。こういう物語、好きですね。喪ってしまった時代やものが、ここには何重にもかさねてあります。こういう物語を読み了えたとき、自分自身のそれを振り返ってしまいませんか?甘さが勝っても苦さが勝ってもいけない、ほんとうに微妙な味わいがしなければ、時代をこえて自分の経験と重ねることはできませんよね。 -
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身に覚えのない罪によって、お家断絶となった、旗本・青山玄蕃。彼を江戸から東北の小名浜まで護送する役目を負ったのは、若く真面目な下級武士・石川乙次郎。 傲岸不遜に見えながらも、武士としての圧倒的な気品と慈悲を漂わせる玄蕃。その立ち振る舞いに触れるうち、乙次郎は玄蕃が背負った「罪」の真実と、「武士の覚悟」を学んでいくこと。。。。テーマは、「武士の矜持」と「真の救済」かな。法や制度による「処罰」ではなく、自らの魂に従って運命を受け入れることの気高さが描かれている。また、流人と、未来ある若者の交流を通して、「人はどう生き、どう死ぬべきか」という普遍的な人生の問いを投げかけているかと。浅田次郎ならではの、細やかな情景描写と「泣かせる」演出が光る、心揺さぶられるロードノベルですよ~