あらすじ
やはり今晩にしよう──男の悲壮な決意は──自殺。手広く不動産屋を営んできたが、あっけなく去ったバブルは彼に多額の負債を残した。策は尽き、家族を守るための最後にして最善の手段を胸にひめつつ、ふと思い立って訪れた町で一軒の古い銭湯を見つける……。ありふれているようで多様な個性に富んだ市井の人々の表情。輪郭をうしなった魂が、この著者ならではのあふれる愛情をふきこまれ、しだいにくっきりとした力をとり戻していく表題作など、八つの短篇を収録。
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短編集はあまりすきではないのだけれど、
これは、好き。
なんだか泣けてきてしまったり。
うちにあったのだけれど、誰が買ってきたのだろう…?
本は、出会い。
呼ばれるものです。
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生き物の死を通して生き方を考えさせられる短編集。好きすぎて何回も読み返しとる。
先週観た『灼熱の魂』の、"死は痕跡を残す。物語は終わらない"的なセリフが印象的で好きなんじゃけど、この短編集のコンセプトもまさにそれ。残された側は悲しいけど、その人の人生は続いていく。死と向き合って何を感じて、その後どう生きるか。
いい意味で、人は死んだら終わりじゃないんだって気づかされる。
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短編ストーリーごとの設定の多様性が素晴らしかった。
浅田次郎さんの人生の引き出しの多さと人情深さを思い知った。起承転結がしっかりしていて、オチの付いた作品ばかりでした。
感動の涙を流したのが、「シエ」「オリンポスの聖女」「永遠の緑」
よくわからなかったのが「再会」
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ジャンルレスな8作品が入っている短編集。少しだけ切り取られたそれぞれの日常が特別なものになっている気がした。フィルター次第で日常は面白くなっていくのかもしれない。情景を思い浮かべることができる浅田さんの文章の作り方が好きです。
山岸聖太さんあたりに映像化してもらいたいけど、こういう作品は小説として完成しすぎていて逆に映像化が難しいらしい。(解説より)
浅田さんが描く男性は不器用でスマートなかっこよさとは離れているんだけど、優しさと温かみがあって憧れる人物像。年をとっていくのも悪くないな~と思わせてくれる。この本を読んでいるとゆったりとした時間を過ごせます。大切にしたい1冊になりました。
「不幸の分だけ、ちゃんと幸せになれるよ。ほんとだよ。」(巻頭シエ より)
誰かに生かされていること、優しくされていること、きちんと胸に留めておきたい。そのことに気づいた鈴子は自分も相手も幸せにできるような人になるんだろうな。
全話好きだけど私は特に「シエ-xie-」「マダムの咽仏」が好きでした!
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しみじみと、しんしんと冷える冬の日のやかんののったストーブの火のように心にしみるお話が8編
冒頭の「シェ」がいちばん好き
ちょっとファンタジーな感じが浅田次郎
不思議で奇妙なところもあるのに、そういうお話にありがちな「すっきりしないもやもや感」は残らない。
読んでよかったな、って浅田次郎作品はいつもそう思う。
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短編集の読みにくさというものが全くない。どの話も最初の数行から1ページ読む頃には、主人公がどんな人物であるか、これがどういった場面なのか、すぐ把握できるようになっていて、読むほうにもストレスがない。設定もさまざまなのに分かりやすく、構えずに読んでいける短編集だった。
色んな人生があるなぁと思わされる深みもある。
最後の話でなんだか心が暖かくなった。夫が亡き妻を思う愛、娘が父を思う愛、こんな愛は素敵だなぁと素直に思った。父と娘、二人とも無理をしないでこれから幸せに暮らしていけるのだろうと思うと私まで朗らかな気持ちになった。
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初めての浅田次郎さんの作品。
全8話からなる短編小説。
この小説すごい…何が凄いって読んでる時の
心の振れ幅が。まるでジェットコースターのよう。
(↓ネタバレごめんなさい!)
感動いっぱい涙涙で読んでいたと思ったら、ある男性の不倫とパラレルワールドの告白、かと思ったら素敵なゲイの一生、かと思ったら奥さんを寝取られるお話。やっぱりジェットコースターだ♪
その中で特に大好きなのは、
1話『シエ』
中国の伝説の生き物『シエ』が出てくるお話。
なんて切なくて心温まるお話だろう。
読んでると自然に涙が流れてきて、
自分の幸せって何かなって考えさせられる。
2話『姫椿』
その日、自殺しようとする男性が
昔通った銭湯に偶然たどりつきお風呂に入る話。
読み終わった後の余韻が素晴らしかった!
8話『永遠の緑』
父、娘、その彼氏のお話。このお話大好き‼︎
あと…、不謹慎なのですが、
1話以外、ほぼ男性目線のお話なので
なんだか、男性の知られたくない心内を覗き見しているような気分になって、そんな自分に気付いて笑ってしまいました。
次はどんなお話だろう、次は?その次は?とワクワクしながら読み進めた。
楽しかったぁ(^^)
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さらっと読める八つの作品が納められた短編集。
そう、軽く読めてしまう作品ばかりだが、つい何度も読み返してしまう。
灰色の世界をさまよっている心。そこに鮮やかな赤や黄色、暖かなサクラ色が、ふわっと舞い降り、生きる力をもう一度信じよう。そう思える作品たち。
不幸を食べる不思議な動物の話「シエ」。
表題作「姫椿」。
マダムは完璧な女だった。から始まる「マダムの咽仏」。
などが好みの作品。
解説は脚本家の金子氏で、ドラマにするなら、という目線で面白かった。
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短編集。「シエ」「姫椿」「再会」「マダムの喉仏」「トラブル・メーカー」「オリンポスの聖女」「零下の災厄」「永遠の緑」
個人的には「シエ」「再会」が好み。
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8つの短編を集めた作品集。
ベタな浅田ワールド全開のケモノ偏に解って書く「しえ」ってお話が良かったです。
やっぱり我が家は動物好きだからさぁ~。
しかもノラ猫ちゃんや捨て犬ちゃんを育ててきたから、こういったお話に特に弱いんだよねぇ~。
「浅田さんのお話を読むと、やっぱり(ストレートな)男性は女性が好きだし、精神的なプラトニック・ラブを重宝しがちな女性作家さんと違って、愛し合うならカラダごとってところが素直だな~って思います。」by太郎
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ハートウォーミングな短編集です。
主人公は孤児として育てられ「淋しくない事が幸せ」と考えている女性だったり、生面保険を目一杯掛け自殺寸前の不動産社長だったり、陸軍幼年学校の生き残りでオカマの道を歩き続けた人だったりとバライエティに富みます。
そうした主人公が最期には何らかの形で救われるという話がほとんどなのですが、いかにも物語という感じで、いわば「おとぎ話」のようです。そういう意味では荒唐無稽の話なのですが、そこに違和感を感じさせないのが朝田さんの美味さのように思えます。
何かに疲れたとき、ちょっとふさいでいる時、ほっとしたい時に読むのに良い本です。
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浅田次郎のノンテーマ短編集。現代が舞台のものばかりなのも珍しいか。
派手ではないものが多いが、読みやすさがありながら読み応えもあるのはさすが。
ただ、他の作品集と比べるとやや「軽い」感触があり、ライトユーザー向けな気もする。
表題作と、「獬(xie)」がよかった。
4-
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読めば読むほど、浅田次郎の短編は黄昏流星群と印象が被ってくる。
若輩者のワタクシが、内容をしっかり読み解くにはまだ10年早いような気がして来た。
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設定は現実だけど展開がファンタジックだったり、ラストにカタルシスを感じるとともにぞっとしたり、簡単に言ってしまえば「世にも奇妙な物語に出て来そう」な物語たちの短編集。
これだけ全部違ったインパクトが残る短編集もあまりないかも、と思った。
精神的にぐっとくる要素がある本だと長めに語ってしまうのだけど(笑)、これはシンプルに物語がおもしろいし、全体を通してぐっとくる感じだから、どこかに焦点を当てて語るのが難しい。
「マダムの咽仏」のこんな一節が心に残った。
「嘘でもハッタリでも、腹をくくっちゃえばいいんでしょう。そしたらなれるわよ。役者でも、医者でも、オカマでも。もしかしたら総理大臣にだってなれるわ。でも、とりあえずそうなってから、そのさき本物になるっていうのはものすごく難しい。それが、芸ってやつじゃないのかな」
説明不要。本当にその通りだな、と思ったのでした。
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浅田次郎の短編集。
素敵な作品多し。
浅田次郎的なユーモアをひとまず置いたタッチの作品が私的にはより好みでした。
『姫椿』『再会』が好きかな。
収録作品
・獬 (xie)
・姫椿
・再会
・マダムの咽仏
・トラブル・メーカー
・オリンポスの聖女
・零下の災厄
・永遠の緑
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少しファンタジー、少しホラー、少し人情といった短編集。読みやすく、時にウルっと。
ただ、この人の作品にはもっとすごく良いのがあるので、これは「是非 読んで!」というほどではない。
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不幸の分だけ、ちゃんと幸せになれるよ。
ほんとだよ。
獬(シエxie)
現実もそうだったらいいのに、と思うけど、そんなわけにもいかないのかな、と思いました。
幸せかどうかは、自分で決める
大切なのは″今″なんだよ
という、ねずこの台詞を思い出しもしました。
Posted by ブクログ
これまでに読んで来た作風とは異る作品を収録した藤子不二雄か重松清かと思わせる短編集。
見方によってはホラーと解釈できる作品もある。
「姫椿」の風呂屋のシーンは良いねぇ。浸かりたくなる。
「永遠の緑」のようなストーリーは別の作品にもあったな。
「獬」★★★
「姫椿」★★★
「再会」★★
「マダムの喉仏」★★★
「トラブル・メーカー」★★★★
「オリンポスの聖女」★★
「零下の災厄」★★
「永遠の緑」★★★★
Posted by ブクログ
短編集です。
どのお話も登場人物に不器用な男の人が出てくるな〜といった印象。
割と女性に対する価値観が前時代的な男性も出て来るので、ちょっとモヤっとする人はするかもしれないです。ただあくまでも小説なので、そういう人が何をどう考えどう行動するのか、外から覗いてるような感覚で読み進めることができ面白かったです。
不器用さのベクトルが人それぞれでそれもまた面白く、他の作品も読んでみたいなと思いました。
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小説って、フィクションではあるけれど、誰かの人生を覗き見ているような気持ちになるが、これが正にそうだった。
どこかに、こういう日常を送っている人がいそうだな、とちょっとほっこりした気持ちになった。
トラブル・メーカーのオチには、思わず「まじか!」と言ってしまったし、シエではちょっとウルっときて…
確かにちょっと今の時代からズレているかも知れないけれど、逆にそれが良かった。
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6つほどの短編だが、一つ一つの作品設定やキャラクターが緻密で個性的なので読みごたえがある。個人的には、『シエ』という短編が一番面白かった。短いが一話一話に重みがある。
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浅田次郎。ずっと耳にしたことはある、聞いたことはある。というままでいたけれど、ついに読む機会がやってきた。目下台風が近づいているから、停電しても出来る読書をしようと、bookoffで手に取った。
短編なので、読みやすい。特別印象に残る部分があるわけでもないが、どことなく覚えのある感情を呼び起こされるような、感情に響く場面もあり。
ただただ何か読みたいときに、また手に取るかもしれない。
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浅田次郎の短編集も読んでみたいなあと思って読んでみた。
時代物長編を呼んだあとだと、同じ人が書いたのかな?と思うくらいなんか違う。
違うんだけれど、こういうのが描きたかったかな、と感じた。泣けるもの、ではなくって全く別のタイプの小説、つまりこちらがわが本来の浅田次郎そのものなのではないかと。
正直主人公たちの感性が古くて、現代じゃないなあ感プンプンで首をひねることもおおい作品群でしたが、高度成長期からバブル期を過ごしてきた年代にはドンピシャかと思う。
その分、おそらくそれ以後の人にはわかりづらい部分が多いんじゃないかな。
これは読む年代層を選ぶ短編小説集かもしれない。
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浅田次郎の短編集。個人的感想だがこの人の作品は時間のプレイバックが印象的。過去と現在で自分の置かれている状況が変わっても、人はどこかで過去を忘れられない。例えば昔の友人や恋人の話など。ふとしたことで自分の昔がよみがえる。
肯定的にいえば、過去は否定されるものではなく現在につながる時間の連続。「色々あるけれど、まぁ今を頑張りましょうよ」そんなことを伝える小説(のような気がする)。
Posted by ブクログ
幻想的だったり、ブラックだったり、ひんやりしたり、胸にじんわりきたり・・・テイストの違う短編が8つ。
中でも、「ーーマダムは完璧な女だった。」で始まる「マダムの喉仏」は秀逸。
Posted by ブクログ
借金を返さない人間に銀行は容赦しない。
かつては上場企業の社長であった高木は現在では自己破産を待つだけの日本のお荷物へと成り下がっていた。銀行は彼に莫大な金を貸しており、それを返済するよう正当な権利の主張を行ったが、立場もわからぬ愚か者はあろうことにもさらなる融資の提供を命じてきた。
馬鹿野郎が、お前のような屑は腐るほど見てきた。甘い見通しで借金をして自らの首を絞める無能に、会社という大きな『村』を率いる資格はない! さっさと首をくくって生命保険を充てにしろ! お前にできる唯一の手段は腹を切って金を生み出すことだけだ!
次回『生きねば』――本当にかわいそうなのは切られた社員です