浅田次郎のレビュー一覧
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「蒼穹の昴」「珍姫の井戸」から続く、中国シリーズ3作目。
袁世凱と張作霖、彼らにまつわる人々を基軸として激動の中国近代史が生き生きと描かれています。史実と演出が巧みに混ざり合った、スケールの大きな傑作です。
ただ、「蒼穹の昴」に比べると、焦点が定まらない印象も受けました。張作霖の末路は史実として知られいるわけで…。李兄弟(と妹さん)を巡る話は感動的で、むしろそちらを主軸に据えたほうが人間ドラマとしては面白かったのかもしれません。前作でのメインキャラクターが次々退場していくのも悲しかったですね…。
などと言いつつも、やっぱりページをめくる手が止まらない。続編も楽しみです。 -
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久しぶりの浅田次郎。4冊目……くらいかな。
【月島慕情】
表題作。切ない……切な過ぎる。
冒頭から、きっと分かりやすいハッピーエンドは無いだろうと分かりきった一編。
太夫の心が浮き立つ程に、時兄のいなせが際立つほどに、悲恋の予感が膨らみまくり……一度はもう、見ていられなくって本を閉じてしまったくらい。
半年ばかり寝かせて再び挑んだこの一編。
なんと切ない物語か!!
でも、切ないながらも美しい、そんな大正下町のセピア色が心に残るお話だったな。
【供物】
……切ないけれど、いい話。きっと、誰もが報われた一瞬が、やはりセピア色に描かれていた。
※時代設定は明らかに平成の世であるのに、なぜ -
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ネタバレ妻子持ちだった恋人とひどい別れ方をしたリエはたまたま居合わせた辰夫の家に厄介になることに。
「お腹の元恋人の子供がいるの、お願いちょっと|中絶《おろ》すの手伝ってよ」
しかし純粋な打算で近づいた男は何を勘違いしたのかその子を二人で育てようなどと言ってくる。はあ、とんでもないお馬鹿な奴もいたもんだ。こんないまだに汲み取り便所を採用しているようなアパートに住む男がこの私と釣り合うとでも思っているのかしら。学もなさそうだし、たぶん身の程知らずという言葉も知らないんじゃないかしら。でもいいわ、私は優しい女だからあなたが安物の時計をプレゼントしてくれたって窓に叩きつけて壊すぐらいで許してげる。
ま -
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ネタバレシャトー・ド・ラ・レーヌ(王妃の館)というのは世界に冠たる麗美なフランスのホテル。
みんなが憧れるそんなホテルに宿泊できるのが売りのパリ・ヴェルサイユを回るツアーに集まった人達の悲喜こもごも。
このツアー、旅行者の思惑から二重売りされ、かたやお金持ち相手の高額”ポジツアー”、かたや極安の”ネガツアー”。
もちろん、支払う金額によって内容は随分違う。
旅行者の荒稼ぎがバレないように細心の注意を払うツアーコンダクター、けれども起こるニアミス。
過去との決別のため旅行するOL、自殺志願の夫婦、詐欺師、バブル崩壊後成金、恋人さがしのオカマ、元警察官、小説家、編集者など、個性豊かな面々が思い思いに動 -
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「男てえのは、理屈じゃあねえ。おぎゃあと生まれてからくたばるまで、俺ァ男だ、俺ァ男だと、て、てめえに言いきかせて生きるもんだ。よしんばお題目にせえ、それができれァ、理屈は何にもいらねえ」
大正ロマンの時代を駆け抜けた目細の安吉一家の活躍譚第2段。
この2巻で安吉一家以上に光るのはやはり清水の小政。
一宿一飯の義理を立てて鮮やかに舞台を降りる様は本当に格好いい!
「春のかたみに」ではもちろん号泣したし、安吉親分も寅兄ィも栄治兄ィもおこん姐さんも相変わらず素敵だけれど、この中で一番好きな話はと言われたら「百面相の恋」を選んでしまう私は、結局騙りの常兄ィが一番のお気に入りだったりしま -
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ネタバレ一つ一つのエッセーが短く読みやすい。
通勤時間などのちょっとした隙間時間を、豊にできた。
中国文学にほとんど無知だったので、新しい知識となることも多くあった。
「かっぱぎ権左」は、本当に後味のいい短編小説だった。映画化されても面白いのに(笑)勝手に頭にイメージが焼き付いてしまった。このエッセイをきっかけに、歴史にも興味を持てそう。
あとは、著者の仕事観にも触れられてる点が心に残っている。やりたいこと(書き物)を仕事にできるまでやり抜こうとすると、それまでの過程は不安にならないのだ。目標が明確であるとは、前を向き続けていけるエッセンスなのかもしれない。 -
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ネタバレこの話は、第二次世界大戦末期の最北の島「占守島」の話。
いろいろな立場の人が出てきます。
東京でこの戦争の作戦をまとめている軍人、
東京で働いていて召集されるはずがない45歳の翻訳家、
そして焼け野原に唯一残った近代的なアパートに暮らす妻
父の召集を知り疎開先から脱走した息子と
道を共にした女の子。
二人の疎開先の先生。
二人と夢を介して出会ったロシア兵。
何度も召集されてその度に話を盛り立てられて金鵄勲章をもらった指のない軍人、
召集される人々のため病気を偽って申告し続けた医者、
体が小さくて戦車に乗れない少年兵とそれを教育する老兵、
大本営から終戦の際に立ち回るために占守島にやってきた参