浅田次郎のレビュー一覧
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義母から借りたシリーズ3作品目。
江戸時代の話だから難しいと思ったら、面白くてさらさらと読めてしまった。
江戸時代の武士にはよく分からないしきたりや決まり事が多かったことが分かりました。武士はお金のことに関わっちゃいけないとか、殿様への挨拶の仕方とか色々決まってて大変そうでした。
それにしても小四郎がちょっと可哀想。どうにか立て直してほしいと応援したくなる。ご隠居にも考えがあるのかもしれないけど、やっぱり小四郎が不憫で肩を持ちたくなる。
そして小池越中守めっちゃ良い人!鮭に目がないのもなんか可愛い。笑
これからも越中守が小四郎のことを助けてくれるといいな。下巻も読んでみよう。 -
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ネタバレ片岡直哉(かたおか なおや)の息子で小学四年生の譲(じょう)は信州に学童疎開していた。
もう一年近くになる。
食べるものが乏しく、子供たちは来た頃よりも皆、一貫目(約3.75kg)ほども痩せた。
24時間、子供達を守らなくてはいけない先生たちの苦労も大変なもの。
自分では否と思うことを子供達に吹き込まなくてはいけない事が一番の苦しみだろうか。
「あなたたちの本分は勉強です」と、言外にさまざまな思いを込めて言い聞かせることしかできない。
ホームシックの限界に来ている子らを見守るのも辛い。
実家に出す手紙も、実家から来る手紙も検閲することになっている。
良心ある教師はそれもつらい。
片岡譲の担任の小山雄一、六年生の吉岡静代を担任する浅井マキ子は、二人の子供がしっかりしているからと信じて手紙を読ませるが・・・
片岡直哉たちが配置される、北の最果ての島、占守(シュムシュ)島には、なんと民間の缶詰工場があった。
民間といっても、軍の命令で動いている。
撤退したいのに許されず、函館の女学校を出た女子挺身隊も働いている。
工場の責任者である森本健一は、なんとしても彼女たちを守ろうと思っている。
そういえば、この本には「悪い人」が出てこない。
強いて言えば、小山や浅井の上司に当たる教師かな。まあ、体がデカいだけで、器は小さいけどな。
戦争が悪いのであって、人は悪くない、という事なのだろうけど、戦争は自然災害とは違う。
いつまでも戦争を終わらせたがらず、国民を苦しめている奴らが確かに存在しているはずなのだ。
片岡たちは皆、岩手の出身だから、地元が描かれる時は岩手弁の会話だし、鬼熊こと富永軍曹は常に岩手弁だ。
なんとなく宮沢賢治を思い出すなあと思っていたら、「星めぐりの歌」と「雨ニモマケズ」が出てきた。
満天の星と、東北の自然と、素朴な心の美しさが、非情な現実との対比になっている。
片岡二等兵、菊池軍医、富永軍曹の三人はいよいよ占守島に着任する。
片岡の役目は最初から書かれていたけれど、後の二人の役目は・・・う〜ん・・・そんなのありか。
スーパーで「マルハニチロ」の商品を見つけ(ゼリーだった)なんだか胸がせまる。 -
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ネタバレ歴史物は、よく知られた事件に関してはおおむねネタバレである。
現代に生きる我々は、昭和20年の8月15日に、玉音放送で全日本国民に敗戦を知らされるということを知っている。
だから、昭和20年7月などという日付を見れば、ああ、もう少しで終わるのに、と思う。
しかし、当時でももう少しで終わるだろうと予感していた人たちがいたとて、赤紙が来たならば逆らうことはできないのである。
今私たちがこれを読んでどうすることもできない。
しかし、知っておくことくらいは出来る。そして大切だろう。
時に、昭和20年7月。
すでに沖縄は陥落し、軍は本土決戦に向けて最後の「根こそぎ動員」にかかっていた。
プロローグでは、その「動員」の仕組みが描かれる。
今まで、よく知らなかった部分だ。
参謀本部は動員の人数割を決めて下命するだけ。
どこに何人。ここでは具体的な名前は上がらないし、個人の顔は見えない。
それが地元まで下ろされて初めて、人数に合わせて名前が与えられ赤紙が下るのである。
「地元」で、人員を選び出す苦悩。
人口の少ない地方の村ゆえ、名簿のほとんどは顔見知りである。
自分が兵隊に行くより辛い。
戦争が終わったら腹を切って死ぬつもりだ、と村役場の戸籍係兼兵事係。
この「根こそぎ動員」で岩手県から招集された、主要人物となる人たちが、最果ての占守(シュムシュ)島に集結するまでが上巻である。
本土決戦を想定した、人数的にも異常な動員に加え、「特業」動員では単なる頭数合わせではなく、確実に「使える」人物を選定しなければならず、村の兵事係は血眼になって名簿を繰る。
結果、【首を傾げるような招集】となったのは、彼らの持つ『特業』が理由だった。
・片岡直哉(かたおか なおや)は【兵役年限ギリギリの45歳もあとひと月残すのみ。極度の近眼】で、徴兵されたことはない。
東京の出版社で翻訳の仕事に就いていた。『英語に堪能』である。
・菊池忠彦(きくち ただひこ)は【東京帝大医学部に在籍中】だったが、実は岩手医専を出てすでに『医師免許』を持っている。
もう、岩手県は無医村だらけである。
・富永熊男(とみなが くまお)はタクシー運転手。この男だけは歴戦の軍曹で、金鵄勲章を授与されている。ただし、名誉の負傷で【右手の指が三本失われている】。
現在と違い、『運転免許証』を持つ人物は多くはなかった。
皆の来し方が語られ、すっかり感情移入してしまっている。
ここから、誰が生き残り、誰が命を終えるのか・・・
タイトルが示すように、彼らの戦いは、8月15日には終わらないのだろうな。 -
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浅田次郎さんの作品らしい7つの短編集。
ヤクザ、中国人、不器用な男や女が登場し、男と女の関係がまずある。
帯の題にもなっている「月のしずく」が一番だったかな。
美人で次々と男を替えるような女性リエが、金持ちで妻帯者の男性と関係を結び、赤ん坊が出来る。
当然の展開で、結局ケンカ別れになるが、たまたまその場面に出くわしたのが、中年の労務者辰夫。
女性を介抱し小汚ない自分の家に泊めてあげるが、それまで彼女と関係を持った男とは異なり、女性のことを考えて手を出さない。
彼女にとっては新鮮で、心が通うようにもなるが……。
不器用な男の辰夫は、実にいい味を出している。
彼女と関係を結ぶ男性とは真逆だ。
指名手配中のヤクザ岩井章次とその女菊枝、年下だが母親が菊枝のことを可愛がっていた関係で、幼い頃から面識のある和也との、不思議な生活を描く「銀色の雨」も良かった。 -
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明治元年、御一新直後の東京で大火が出た/ 小伝馬町の牢屋敷は囚人を解き放ち、消火後の帰参を待つ/ そこにおいそれと放てない事情を抱えた三人/ 親分に売られ身代わりに収監された深川一帯の大博徒、大政奉還後も官軍を斬って回った辻斬りの旗本次男、奉行所の悪事を知り尽くした夜鷹の元締め/ 珍妃の井戸よろしく浅田次郎らしいインタビュー形式/ 徐々に明らかになっていく火事のあと幾晩かの出来事/ めちゃくちゃ面白いし、東京に住むものとして東東京の当時の状況が非常に興味深い/ 合羽橋が新堀川の暗渠だなんて知らなかったし、浅草寺の東側が火除け地で飲食店は勝手に出されてあたりが繁華になったなんてのも知らなかった/ まったくもって個人的にだが、夜鷹の姉さんの証言を最後に持ってきた方が良いのではないか/ 最初にあるから以後語られる事件の犯人が分かってしまう/
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新選組隊士たちの姿を彼らに近い女性たちの視点を中心に語らせながら(特に壬生の八木家のおまさ、前川家のお勝が多い)芹沢鴨暗殺の騒動を描く。
上巻で隊士のルーツや背景などを永倉に語らせているのだが、新選組初心者がいちいち躓き調べながら読んだのでめちゃくちゃ時間がかかってしまい。しかも史実と比べたりしてしまったのでとてもドラマティックなのにのめり込むようには読めなかったのが残念。
八木家のおまさがけっこう好きなキャラクターだった。糸里をタイトルにしている割には出番が少ないような…芹沢はどうにかならんのか(良い方に)?ばかり考えながら読んでいた。
シラフ時は侍然としているが酒が入れば乱暴者の姿。人斬りに躊躇わずも子どもに好かれるようなところがあったり。ほんまはええ人なんちゃうん?と思いきや史実を辿るとまぁまぁな狼藉を働いていたり女遊びは当たり前だったり、なんだか捉えきれなくてモヤモヤ。一人の人間の中には整合性が取れない両極をはらんでいるものだなぁと。
武士の世の終わり、京都守護職と新選組の関係、尊皇攘夷…新選組とはなんだったのか、と考えずにいられなくなる。
幕末から維新はとっても複雑だ。