浅田次郎のレビュー一覧
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1994年から1995年の間の週刊現代へのエッセイ
が おさめられている。
週刊現代の読者がどんな人なのかを熟知したエッセイとも言える。
中原の虹を読んで、この男すごい とおもった。
そして、このエッセイを読んで、浅田次郎のざらざらした部分に
触れた感じがあった。
自虐ネタで、作者自身が盛り上がっていたり、
きらりと鋭く 突っ込み力がある。
1995年1月17日 阪神大震災
1995年3月20日の 地下鉄サリン事件
二つの大きな事件が起こったときに、書かれているので、
そのときの 浅田次郎の 時代考察に 不思議な眼光を
発揮している。
1951年生まれというから 同世代であるが、
生きている軌跡はまるで違う。
大学受験を失敗し、自衛隊に二年間入隊。その後
危ない橋をわたり、マルチ商法で大もうけし、
小説家をめざし、競馬で儲けて生活し、
小説が 売れ始めた頃の エッセイであるので、
その苦労や悲哀が そこはかとなく ものがしく、おもしろい。
体育会系小説家 というのがいい。
表題が微妙な言葉を選び、その言葉を定着しようと試みる。
自衛隊という曖昧な存在への歯痒さ。『防御』
阪神大震災での自衛隊の救助の遅れはどこからきているのか?
日本にも『人を見たら泥棒と思え』という時代があった。
ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団
勇気凜凜ルリの色
望みに燃える呼び声は朝焼け空にこだまする。
ふむ。歌のメロディさえ思い出した。なるほど。
さしづめ、このエッセイは 中年探偵団なんですね。
愛煙家の権利を主張する。それにしても、大人げない。
ものがなしくも銭湯の進化と変遷。
自己破産がなかった時代があった。
折り言った相談は うけておくべきだ。
拳銃というものが起こす事件は、
体育会系小説家である浅田次郎は 太宰治が嫌いで 三島由紀夫に憧れている。
クジにはつよい浅田次郎。
サチコの死に悔し涙を流す。
ストリーキングをしたことがある。
金玉という言葉の含蓄の深さに、おもわずうなづく。
ハゲという現象を受け入れるための心理学とピアスとの文化比較論。
老いたという言葉を実際に受け入れるときはどんなときか?
日本人はなぜ太っていて、電車で漫画を読むのか。
日式金隠しトイレと西洋式トイレ。
近視になると不便なことは、
新聞広告と中吊り。
競馬がもうかるわけないのに、なぜするのか?
人には言えない決定的な忘れ物。
男に尽くす女の歌をうたいつづけた テレサテン。
なぜ子供のままで成長できないのか?その幼稚性。
本屋に行くとなぜクソがしたくなるのか?その生理的現象の解明。
耳にカビが生えるという奇病。
三島由紀夫の言葉の豊富さ、構文の豊かさ、的確な品詞、
タイトルの選び方のすごさ。
なぜか いいときに その醜態はやってくる。その不運ということに、星まわり。
ろくでなしではあるが、ひとでなしではない。
閉所恐怖症は 風呂とトイレにどう入るべきか?
カラオケによって、弾き語りは駆逐された。
理不尽 朝鮮のプリンスが広島の原爆でなくなった。
この物語は 秀逸かもしれない。
山口瞳というひとの つつがない縁。
おもしろいなぁ。このエッセイ。 -
購入済み
何度読んでも胸が熱くなる!
読み終わったあと、また読みたくなる数少ない作品だ。
日本古来の侠気を感じさせてくれる。
安吉親分のような厳しく優しく侠気溢れる人物に、自分もなりたい。
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Posted by ブクログ
「君、いい体してるね。自衛隊入らない?」
この言葉が流行ってたのはいつだろう。アイドルタレントじゃあるまいし、自衛官を街頭でスカウトするのかよって笑っていたけど、どうやらホントにこの言葉で自衛官を集めていた時代があったらしい。
バブル時代よりも前の高度成長期、日本は超売り手市場で就職内定なんていくらでも稼げる時代だった。そんな時代に低賃金で長時間拘束、その上、国民から信頼されない組織である自衛隊はいわゆるブラック企業だった。
そんな自衛隊の面々が繰り広げる理不尽な体育会系社会を描いたオムニバス短編小説集。それにしても、浅田次郎って元自衛官だったんだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレやばいやばいやばい。
引用したい表現が多すぎて付箋貼りながら読んでたら19ヶ所も付いてしまった。それくらい表現が大好き。ああでもいざ引用するとなんかすごく陳腐に見えるのはどうしてなんだ!!こんなに笑えるしうなずけるのに!!!
浅田さんはシリアスから喜劇まで幅があるけれど、同じ喜劇でも「王妃の館」よりもこっちのほうが好きだ。下ネタの方向性が。(王妃の館で脱肛という日本語を学んだ。)
王妃の館以上に、何度も大声出して笑った。
ひとりひとりがしっかり立っている群像劇としても、ドタバタでトンデモな喜劇としても、メタ目線の作者の語りとしても、本当に好きな本だった。読めてよかった!
あと、引用したいところをちまちま打ってて感じたこと。「男は」「女は」「日本人は」、っていう一般化した言い方って好きじゃないと思ってたけど、結局自分の感覚に合ってないから嫌っていたんじゃないかと。いくつもそういうところを引用したくなったというのは、やっぱり私の中にも大きすぎる括りでの印象づけや説明を求める心があるということなのだろう。
とにかく、私が気に入った表現だからここに書いた。それだけだ。
さて、以下、たくさんの潤的大好き表現。
ネタバレは避けたつもり。
この壮大で精密な非生産的還流経済をうまく発展させれば、全人類が一生働かずにすみそうな気がする。(103)
かつてアラビアの砂漠のテントの中で雪降る北国の物語を書き上げたときも、パリのプラザ・アテネで新選組を執筆していたときも、作品の出来映えに憾みこそなかったが、何となく異常な性行為をしているような背徳感に襲われた。(131)
「ドン・ビトー。いや、かわいそうなパパ。僕にできることがあったら言って下さい」
低いしわがれた声で、父は言った。
「ドン・マイケル。いや、かわいそうな息子よ。おまえができることをするのではい。すべておまえがやるのだ」(195)
「...――パパ、寝たフリはやめて」
ガックリと首を落としたまま、父は身じろぎひとつしない。
「死んだフリもやめてください」
しばらく死んでから、父は退屈して首をもたげた。(196)
「...アメリカは私を恐れている。だがそれは、私が石油の支配者だからではない。私がベドウィンの矜りを持っているからですよ」(358)
「おたがい家庭がないっていうのは、こういうときつらいわね。ねぐらに帰る理由がないもの」
「いや、むしろ好都合さ。モーリスだって帰りたくて帰ったわけじゃない。往復するだけ時間の無駄ってもんだ。何事もなかった顔をして家に帰り、女房と子供にキスをして、へたすりゃ庭の芝刈りまでしなきゃならない」(361)
「こうして年老いた夫婦を見ていると、アメリカ人と外国人は一目で見分けがつくんだ。ヨーロッパのゲストは女房が一歩先を歩く。チャイニーズやコリアンは亭主が前さ。日本人は、男と女が別々に歩く。そしてアメリカ人は――」
ピアニストはでっぷりと肥えた夫婦を見送って、おかしそうに笑った。
「手をつなぐ。まるで永遠の恋人同士みたいに。しかも、齢をとればとるほど双児のように似てくる」(368)
「...はっきり言っとくけど、長い人類の歴史であなたたちほど物を考えずに生きてきた人間はいない。横着に生きてきて、それでも何とかなってきた人間はいないの」
「あなたたち、とは?」
メアリーは細長いパイプの先を、大前の額に向けた。
「ジャーパニーズ。マッカーサーのかけた魔法を現実と信じて、イリュージョンの世界で生まれ育ったあなたたち日本人のことよ。しかも、もともと頭は悪くないし、お勉強もするから認識力はあるのに、既成事実をうち破るエネルギーを発揮しようとしない。わかっていても変えようとしないのは横着者。あなたに限らず、日本人はみな同じ」(396)
「...いい、ミスター・オーマイ。ギャンブルは人生よ。人間は誰でも、5・26パーセントぐらいのハンディキャップは背負わされている。流れに身を委ねていたならば、確実に負ける。それを実力ではね返して生きるのが人生。それ以上にはじき返して生きれば成功者」(410)
コノヤロー、とリサは心の中で呟いた。これくらい自己欺瞞とリップ・サービスとが、ハイレベルで調和する男は世界中探したって二人といやしないだろう。
しかし女というのはふしぎな生き物で、コノヤローと思ったって嬉しいのである。こうした生理により、女性はバカと聡明とにかかわらず、しばしば知れ切った毒を呑んで往生する。(422)
――再び自問する。われわれにとって幸福とは何であるのか。また、人間としての快楽を追求することが、はたして罪であるのか。
すべてとは言わぬまでも多くの日本人は、この問題をなおざりにして一度きりしかない人生を棒に振る。
受験勉強で得た知識を人間的教養と錯誤して成長した青年たちは、大学を卒業して就職したとたんに、見果てぬ幸福の虹を追って歩き始める。おしきせの学問と同様に、おしきせの仕事に身を摧くことが、いずれ自分の幸福を保障するのだと信じる。こうした労働に対する意識は、受験勉強のサバイバル・システムと実はどこもちがわない。ちがうところと言えば、会社には受験の合格発表のような截然たる結果が見出だせないという点であろう。すなわち幸福は見果てぬ虹である。(441)
女は考え深い。男の思索は状況が強要するが、女は自らすすんで考える。星も読まず、風も識らず、光すら届かぬ闇にぽつねんと座して、女は考え続ける。
だからこそ、亭主の浮気はバレやすく、女房の浮気はバレにくい。(446)
狭苦しい日本では、人はほとんどすれちがいざまに恋をする。(459)
「戦え、ミスター・オーマイ。幸運は天から降ってくるものじゃない。自ら手を伸ばして、掴み取るものよ」(464)
怒るよりも、大前は悲しくなった。人生の大切な時期を、こんな下らない奴らのために空費したのだと思った。(485)
494ページのすべて。なにもかもが全く説明になっていない。
「誰も血のつながりはねえんだぞ、モーリス。あのくそったれの女房も、おめえが目に入れても痛くねえほど可愛いがっている倅も、無論人殺しのこの俺も、おめえとはアカの他人だろうが」
「でも、愛している。僕は、みんなを愛している」(501)
文化が人類の幸福に寄与するものであるという強固な意志のある限り、ラスベガスはアメリカ人の魂、すなわち矜り高きチンポなのだ。(523)
邪悪なるものと戦い、勝利するかあるいはそれ以外の結果を見るかはわからないが、チャレンジすることこそが正しい人生の選択だと大前は思ったのだった。最高の人生――それはいまわのきわに「ジス・イズ・グッド・ジョブ」と自分自身に向かって言える人生のことだ。(535) -
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oyajisanさんお薦めの一冊。きました・・魂を揺さぶられる☆5つ!!なかなか思いがまとまらなかったのは、解説曰く『魂の宿った作品』だからでしょう。
まず真柴や小泉。終戦前後の混乱の中で、きちんと先を見据えて、のぞまれた役割をこうも鮮やかに全うするとは・・!
(3・11からもうすぐ2年。今朝も福島原発が水素爆発を起こした際の東京電力本店と現場のやり取りが放送されていたけど、毎度のことながら本店の対応のあまりのふがいなさに怒りを覚える。現代に、真柴や小泉のような人材はいないのだろうか!?)
それにしても知らない。私は、この時代のことをあまりにも知らない。日本史を専攻したけれど、それは受験のための勉強だった。個人的にまったく興味のない時代だったし、いや授業でもこの近代史にどれだけの時間をかけただろうか。アメリカ、中国や韓国との関係も、もっと近代史を知らばければ語れないと思った。(いや~人生は死ぬまで勉強だ!)
もちろん小説ではあるけれど、きっと私たちが今、享受している平和は、ここに登場するような歴史上名もなき人たちの上に成り立っている。
そこで「悼む人」の天童荒太さんの言葉が思い浮かんだ。
「なぜ、彼らなのか、私ではないのか」
もしかしたら、私もマツさんやスーちゃんのような女学生に生まれてきたかもしれない。天童さんは、自分が今、ここにこうしていられることに対し”うしろめたく思う感覚”こそが”人間の美質”だとおっしゃった。
なるほど、つながった。
ならば、そのうしろめたさを感じながら、日輪の遺産の存在を認識し、勇気をもって歩いていこう。 -
Posted by ブクログ
ーーーある日、目細の安吉一家に客分として現れた、時代がかった老侠客。その名も山本政五郎―すなわち幕末から生き延びた、清水の次郎長の子分・小政だというのだが…。表題作「残侠」など、天下の夜盗「天切り松」が六尺四方にしか聞こえぬ闇がたりの声音で物語る、義賊一家の縦横無尽の大活躍八編。粋でいなせな怪盗たちが大正モダンの大東京を駆け抜ける、感動の傑作シリーズ第二弾。
『プリズンホテル』を読んでこっちを読んでない俺の友達に言いたい
このシリーズも『プリズン』に負けず劣らずアツい
そして俺の目に狂いは無かった。”黄不動”が一番カッコいい
「さあな。俺も学校なんざ行っちゃいねえから、よくはわからねえ。わかりゃしねえが、体は知っている。こうと決めたらとことんやれ。星勘定も銭勘定もするな。盗ッ人にせえ大臣にせえ、それが男の心意気ってもんじゃあねえのかい」
兄貴…一生ついて行きやす -
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明から 李自成 そして 清 となる。
満族による 漢民族の支配・・・・
『わが 勲しは 民の平安』を となえ
野人の紳士たる 満族のリーダーたち。
父を殺し 兄を殺して 天命に従う。
その運命は いかばかりのことぞ。
清が滅亡し 共和制の時代がやってくるとき
袁世凱 張作霖。
始まりと終わりを描写する中で 中原の覇者とは・・・
を物語で 構成する力は 浅田次郎のすごさですね。
日本の明治維新に関して 司馬遼太郎の果たした役割は大きい。
中国において 辛亥革命は 重要な意味を持つが
それよりも 1949年の毛 沢東革命のほうが
クローズアップされすぎている。
すくなくとも 辛亥革命の果たした群像に もっとスポットライト
当ててもいい感じがする。
その中で 日本留学生の果たした役割は大きい。
中国の歴史は学生のころ少し勉強したが
こうやって 読んでいると まったく知らない 中国が
垣間見えて あぁ。
中国という国の ダイナミズムを痛感する。
清朝が 滅びてしまった 大きな要因は 西太后に
あるのかもしれない。
時代の大きな流れの中で 日本の明治維新を
十分に学びとれなかったのだろう。
徳川幕府と朝廷を併せ持ったような 清朝。
結局は 徳川幕府のような終末を迎える。
辛亥革命を調べると その広がりの大きさに驚くが・・・
孫文はなぜ 退き、袁世凱に託したのか
よくわからない。
袁世凱の機を見て 時代の流れに乗るうまさは格別だ。
洋を排斥する 動きとあわせて
満族も 排斥する 動きが 底流にある。
孫文は はじめは その立場であるが 変わっていく。
浅田次郎 おそるべし。
その巧みな エンターテイメント。
春雷 春児 柳川婦人。
この3人の物語が 凝縮しているし、
それが きちんと感情を抑えていることがすばらしい。