浅田次郎のレビュー一覧
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いくら浅田次郎が賢い子どもだったとはいえ、小学生や高校生時代のことをこんなに詳細に覚えているはずもなく、やはりフィクションなのでしょう。そうは思ってもこれは彼自身の物語、そんな気がします。
本作は、町の写真館に生まれた「僕」の回顧録。短編8話で語られ、前半はおもに僕の高校生時代。両親と呆け気味の祖父と僕で暮らしています。由緒正しい写真館でしたが、時代が変われば住人も変わり、記念日だからと家族で写真館に来るような客は激減。いっそのこと店をたたんで引っ越すほうがいいのだけれど、昔気質の祖父が生きている間は許されないこと。ヤケクソ気味の両親は、祖父の財産を食いつぶす勢い。父はふらふらと写真を撮りに -
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蒼穹の昴
浅田次郎氏の小説は初めてでしたが、とても面白く、グイグイと引き込まれ、一気に終わりまで読みました。
敢えて、難点を挙げるとしたら、人の名前などの中国語読みが難しい。できれば、ページが変わるごとにフリガナを繰り返しつけて欲しい。 -
Posted by ブクログ
泣いた…
上巻で坂本竜馬や芹沢鴨はじめ新撰組の話をあらかた聞いてしまったので下巻は じじいの武勇伝かなって思っていたんだけど…ちがう 聞いていて(読んでいるんだけど 斎藤一のそばで 梶原さんと一緒にきいているかのようです)苦しくて、苦しくて…
その途中でほっとさせてくれるのが 奥様の存在です。「今日も来るかと賭けをしておったなど」奥様とのほほえましいいちめんも見せてくれます。
ある日、梶原さんがお風呂に行くふりをして 仲間をまいて、斎藤一の所へ行った時も 梶原さんがお風呂へ行く恰好のままなにもかかわらず いつものように「御腰のものをおあずかりいたします」と、すました顔で 手に持っている -
Posted by ブクログ
『「ドイツ軍は、パリの市内だけは爆撃をしなかった。フランス軍もパリが戦場になることを怖れて降伏した。ノルマンディ上陸作戦のあとで米軍も、パリに大砲は向けなかった。そしてドイツ軍はまた、パリが戦場になることを怖れて撤退した。彼らはみな、かけがえのないものを知っている。」
「日本は焼け野原になるまで戦いましたものね。」
「戦いのことばかりではないよ。パリの市内には近代的なビルが少い。街並は何百年も変わっていないんだ。大都市としてはよほど不自由だろうに、パリ市民はパリの美しさを損なうぐらいなら、暮らしの不自由さを選ぶのだね。そうした心がけには感心したし、同時に恥ずかしくもなった。われわれ日本人が -
Posted by ブクログ
ネタバレ浅田次郎の小説はコミカルなものしか読んだことがないので、これは驚いた。
けっこうコワい。
「赤い絆」
人間の情念みたいなものを書いた短編で、男女の心中事件を、昔語りに子どもに話してきかせる老婆の話がある。
勉学一筋、親の期待を一身に受けたおぼっちゃん大学生の恋愛事件(お相手は遊女)を扱って、大時代的な悲恋を語るのかなー、と思いきや。
そこは本当にあった話的な怪談に一気になだれ込む。
「遠別離」には感動した。
戦争中、フィリピンのレイテ島で命を絶たれた男と、東京で2浪の末に大学進学をあきらめガードマンをしている男性の人生が奇妙にシンクロするお話。
兵士の、この世に残った魂が愛妻に別れを告 -
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北方領土について
この長編を読み始めた時は、少々面白味に欠けるなと後悔しましたが、中盤からは早く先を読まないとおれない気分で続けて読んでしまい目が疲れました。子供達の親として、男として、日本人として、今家族と離れて海外にいる自分が何が出来るか少し考えてみようと思います。