浅田次郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
書店でこの本を見かけたとき、読んでみたい!って思ったものの、浅田氏のあまりの出版本の多さに、職業小説の大量生産本は内容がスカスカなのが多い、特に今では東野氏がそうであるようにこれもまた...などと食わず嫌いが発動してなかなか手にすることなく年月を経た。母が亡くなりその遺本を整理しているところに現れたのがこのタイトル、母も読んだのかと感慨深くなりようやく手にしてみると...
なんでこれもっと早く読まなかったんだ!って後悔しかない。これは時代小説のドラゴンクエストである。主人公が崖っぷちの窮地に追い込まれた状態から秘伝を元に、旅しながら仲間を集め難題をクリアしていく物語。まさに血沸き肉躍る活躍劇を読んでいる心地である。
文中のセリフを読んでいると、あれ?っと気づく。そう、絵巻のような表紙をよく見ると、文中に現れる人物とセリフがそのまま描かれているので思わずにやける。上巻下巻とあり、それぞれの宿場までの道のりが書かれているから物語を読み進めながら表紙をちらちらと確認し、ああ、行程がこの辺まで進んだのだなぁと二度楽しめる。職業小説と蔑んだ自分を反省する。今年最初の大金星だった。現代小説は根暗で鬱じみた主人公や気分の悪くなる内容ばかりなので、こうしてたまに時代小説を挟むことで勧善懲悪、鯉の吹き流しのようなさっぱりした話が多いからハマるのがわかる。
下巻が楽しみ! -
Posted by ブクログ
幕末に近いころの侍の物語、冒頭若くして父親が急逝し、参勤交代の行列をマネージするお供頭の仕事を急遽継ぐことになり、国元に戻ってみると人々は冷たく、味方は誰もいない。親からも何も教えられることなく、唯一手元に残った江戸初期の先祖の描き残した帳面を頼りに参勤交代を始めるのですが、徐々に色々なことが明らかになってきて、天候による悪路だったり、陰謀だったり、想定外のことがたくさん発生します。浅田次郎の人情というか、人間ドラマを描く手腕が光る作品でした。
主人公である一路はもちろんのこと、お殿様のキャラクターもすごいよかったです。
中仙道の各宿場町を描いていて、自分が住む近所にある宿場が舞台になっていてすごく街の昔の姿を見せてもらっているようで楽しかったです。 -
Posted by ブクログ
読み返すの何度目だろう。定期的に読み返したくなる本。電車で読んで泣いてしまいました。
『鉄道員(ぽっぽや)』は高倉健さんで脳内再生。
『ラブ・レター』『角筈にて』は20代の頃からのお気に入りで、今回は『伽羅』『うらぼんえ』も心に残りました。妻になり、母になって感じ方も変わったのかな?歳を取れば取るほど、色々な立場から物事を見れるし、知らなかった単語もいきなり実感できたりして楽しい。例えば「肌のくすみ」「ほてり」「物忘れ」とかもね。若い時はピンとこなかったなぁ。ベテランとしてステージがあがっていってます。
浅田次郎さんの本を読むと、頑張ってるおじさん達が愛しく思えてきます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公「僕」のDVの違和感。
「人を思いやること」は
体験のないものにとっては
理解することも、その大切さを想像することもできないのかもしれない。
私たちにとって当たり前の人との関わり方。
主人公「僕」のDVは
彼の環境から得た成長の果てだったと思った時
単なるめめしい被害者意識だと
自分も、主人公を、自分の価値観に落とし込んで
随分と見下していたことに気がついた。
他人を尊重することは、案外と難しいことなのかもしれない。
清子さんの純真さ、富江さんの温かさ。
おそろしく時間はかかったけれどなんとか届いて良かった。
はちゃめちゃな展開のあちらこちらに
グッとくる言葉がきらきらと散りばめられていて
昭和の匂いも満開にプリズンホテル、
楽しませていただきました。