浅田次郎のレビュー一覧

  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    泣かせの浅田次郎だから、最近 避けていたけど。
    やはり、上手。
    若い頃は、毎日精一杯忙しくて、それを通り抜けると何をしていいかわからなくなる。
    すごく、よくわかる。時間はあっても、前ほど買い物や旅行や飲み会に興味がなくなってきているから。
    長いその後に寂しさが忍び寄る感じ。よくわかる。

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    2025年09月07日
  • 月島慕情

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    供物と雪鰻とシューシャインボーイが、心に残った。
    自分とは全く関係ない(わけでもない)台詞が、妙に突き刺さったり身につまされたりして、短い物語から読み解くものが多くておもしろい。

    供物は、クソみたいな男のせいでしなくていい思いを死んでまでさせる酒乱クソ亭主。置いていかれた息子目線の物語を想像するとこれまた居た堪れない。

    雪鰻の一文、赤紙一枚で引っ張られた、親も子も妻も恋人もいる、百姓やサラリーマンや、豆腐屋の店員や銀行員や、魚河岸の若い衆や市電の運転士や、大工や左官やカメラマンや学生だった。彼らはみな、それは悩み苦しみ、憎悪し懐疑もしただろうが、しまいにはささやかな納得をして、潔く死んでい

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    2025年09月06日
  • 蒼穹の昴(4)

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    この本に出会ってからかなりの年月が流れています
    辛い時に何度も読み返して、思い切り泣いてスッキリています。
    春児や文秀の激動の時代に相対する立場にありながら精一杯生き抜く姿に涙が止まりませんでした

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    2025年09月02日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    昨日からNHKで始まったドラマには間に合わなかったけど、とても楽しめた。先日65歳になった自分には、昨夜夢で見たことだったかなと自問したくなるような、あるいは自分の現実と小説の世界がどっかで交差してるんじゃないかと疑ってしまうような感触を味わった。録画したNHKドラマを観るのがとても楽しみになった。

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    2025年08月31日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    現代人の孤独な心のうちを穿つストーリー。短編集のようでいて絡み合う登場人物の心理。古き良き時代への懐古をバブル入社時代の中年世代の現代視点で描く巧みさ。AIの登場もリアル。私にとって大ヒット!

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    2025年08月30日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    うさぎ追いしかの山、小鮒釣りしかの川〜
    10代、20代にはもう無いのかもしれないが、50代以上には明確な故郷のイメージが存在すると思う。
    そんなふるさとを母親を、実生活では持てなかった定年を越えた3人が、あるサービスを使って実現させた話。たった数回の訪問で、こんなにも偽母親を慕うのは、今の都会にでて、がむしゃらに突き進んできた我々が、どれだけイメージのふるさとを心で渇望していたのか。遠野物語をバックグラウンドにした、母親からの語りに、残されたものの悲哀がある。
    「戦前は兵隊として戦場に、戦後は労働者として東京というブラックホールに連れ去られた」という一節が、心に刺さる。

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    2025年08月28日
  • 一刀斎夢録 下

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    幕末維新の時代から明治の世に生きながらえた新選組の斎藤一の視点からの回想。世の中、権利を握った方が勝ちであることを見せつけられた印象。それにしても浅田次郎の表現力は秀逸である。

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    2025年08月17日
  • 蒼穹の昴(3)

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    いよいよ清の歴史が大きく動き始めた。日本史で習った日清戦争はあくまで日本側の視点であったのだなと思わせられた。香港の割譲の話も、歴史的な事柄ではなくその背景にある互いの思いを知れば深く心に刻まれてより一層面白く感じる。
    楊喜禎から見た日本感の箇所が印象に残っている。
    中国の文化を血肉として近代国家にまでなり得た日本、そう考えるととてもすごいことなのでは、とも考えてしまう。
    ラストの春児の自己犠牲の献身の精神、そして周りはそれをきちんと評価しているというところ、思わず泣けてしまうほどであった。いよいよ完結まで後一冊。じっくり読み進めたい。

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    2025年08月17日
  • 真夜中の喝采(かっさい)~きんぴか3 完本~

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    ネタバレ

    2巻までとは打って変わって物語の展開が激しい。にしても、役人、自衛官、ヤクザの組み合わせって、不可能を可能にするのか?と思ってしまうくらい、それぞれの経歴やコネクション(大概脅して盗むような感じだが)をフル活用して復讐を果たしてしまう。
    びっくりだったのは、次期組長に推されたピスケンが、無事そこに収まるのかと思いきや、逃げ切ってしまう。今どきの小説にありがちな、みんな成功してハッピーエンドとはならず、ある意味それぞれが自分の道を探して動く途中で物語が終わる。続編がありそうに見えるし、期待したいが、たぶんこれがこの物語の正しい終わり方なんだと思う。とびっきり面白かったし、なんだか切ないけれど、そ

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    2025年08月10日
  • 血まみれのマリア~きんぴか2 完本~

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    1巻で復讐第一弾を完遂した3人は、さらにそれぞれが第二弾を、また前に進みながら人生を進めている。
    今3巻を読み終わってからこれを書いているが、激動の3巻とは雰囲気がだいぶ違うため、2巻はその激動に向けての伏線という位置付けかと。
    マリアという人物がいい。何よりも患者さんが生きるために必要なことを真っ先にやってくれる、命を預けたい人だ。彼女とピスケンの組み合わせがいいね。

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    2025年08月10日
  • 壬生義士伝(上)

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    私はこういう本を読みたかったんだよ…
    どんな感想を書いても文章力でやすくなりそうなくらいほんとにほんとに面白い!
    切ない→かっこいい→泣ける、が永遠と寄せては返す波のように訪れて次のページ次のページってぐんぐん読みたくなった。特に斬り合いのシーンの描写がホントに目の前で繰り広げられるくらい鮮やかでかっこいい…………
    上巻読み終わって「やった!下巻ある!まだこの物語読める!」ってなったの初めてかも。終わってほしくない〜〜〜〜〜
    新撰組そんなに詳しくなかったけど調べながら読み進める感じもすごい楽しかったなー(案の定ハマりそう

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    2025年08月08日
  • 三人の悪党~きんぴか1 完本~

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    50年前に書かれたものとは思えない!古くささがない!でもある意味では、勧善懲悪、逆襲、ストレート、わかりやすさ、という、今では敬遠されがちなテーマが満載で、素直に読める。
    報われない、悔しい、鬱憤を抱えた3人が、読んでるこちらの胸がすくような方法で復讐?仕返し?意趣返し?
    イケイケーと応援したくなる。2巻3巻も楽しみ!
    浅田次郎さんの本は、時代ものがきっかけで知ったが、現代ものも面白いと知れた。

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    2025年08月04日
  • 帰郷

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    「終わらざる夏」を読んで以来の、浅田さんによる戦争文学。6編の短編から成る。どの作品も、視点や趣向は異なるが、共通しているのは、戦争に人生を狂わされた人たちの悲しみや苦しみを描いていることだ。

     戦争さえなければ、幸せな暮らしを営めたはずなのだ。亡くなった人も生き残った人も本来なら背負わずとも良い十字架を背負わされた。その苦しみや悲しみに言葉も無い。

     戦争という事象や、戦争を引き起こした当時の政府や軍部に怒りが湧いた。犠牲になった人々に心からの哀悼の意を表する。このような悲劇は二度と繰り返されてはならないのだと、反戦への想いを新たにした。

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    2025年07月22日
  • 天切り松 闇がたり 第五巻 ライムライト

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    四巻でも少し感じたが、
    天切り松も、老いた感じ。時代が変わり、孤独を覚えた老人が、昔馴染みを訪ねて、古き良き時代を語るという印象があり、郷愁というか、時代の移り変わりに付きまとう寂しさの香りの印象が変わる。明治は遠くになりにけりではないが、大正、昭和も遠くなる。戦前にあった義理人情は、平成末期にどう伝わっていたのか。
    千代子の話は、今の闇バイトやら、新宿公園の立ちんぼやらの話とも通底している気もする。余りにも社会とお国が信じられれぬ時代に、今なってきているのやも。
    ごめんなと、誰かが国に変わっていってくれることで生きていけるという言葉の重み。

    変わらぬ誠、変えてはならない真実が描かれているの

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    2025年07月20日
  • 月のしずく

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    男女の恋愛を中心とした関係性の複雑さと葛藤を描いた短編集。
    理性と感情は、時に相入れないものかもしれないが、そこをないまぜにした割り切れない存在が「人」であり、それを他者との関係として顕著に現したものが「愛」なのかもしれない。
    それぞれの物語を自分の経験と照らし合わせて置き換えてみると、つい理性を優先してしまい、感情を置いてきぼりにしてしまうことが多かったと省みることができる。
    どちらが重いのではなく、どちらも内包して、苦悩し葛藤し、それでももがいて現実世界での答えを出そうとする営みが、人を人たらしめている行為の表れなのかもしれない。

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    2025年07月19日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

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    浅田次郎さんの作品が好きで、この本も読んでみました。
    人として大切にすべきことはなんだろうと深く考えさせてくれた作品です。

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    2025年07月17日
  • 壬生義士伝(下)

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    南部藩を脱藩し壬生狼=新選組に入隊した吉村貫一郎を中心に語られる、激動の時代における隊士の非業の生涯を描く時代小説の下巻です。
    斎藤一の証言の続きから物語が再開します。
    吉村貫一郎は本当に切腹させられたのか、どこかへ落ち延びたのではないか、と読者は様々な想像を巡らせていることでしょう。
    しかし元新選組隊士や五稜郭での戦闘参加者などへの聞き込みで、徐々に紐解かれていく彼のその後。
    多くの藩士たちから慕われていた吉村ですが、脱藩に加えて朝敵となり戻ってきたことは許されることではありませんでした。
    新撰組隊士として戊辰戦争にて討死すべきであり、生きているなら切腹をしなくては南部藩全体が朝敵の嫌疑でお

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    2025年07月15日
  • おもかげ

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    親に捨てられた過去を持つエリート会社員が定年を迎え、送別会の帰途に脳出血にて意識不明に。
    過去に旅立つ主人公と、そのエスコートをする隣のベッドの老人や美しい年上の女性たち。
    主人公の新生児期まで戻った最後、目頭が熱くなりました。

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    2025年07月02日
  • 壬生義士伝(上)

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    南部藩を脱藩し壬生狼=新選組に入隊した吉村貫一郎を中心に語られる、激動の時代における隊士の非業の生涯を描く時代小説です。
    満身創痍の吉村貫一郎が大阪の南部藩屋敷に現れるところから物語は始まります。
    血と泥で真黒となった新選組の浅葱羽織を着た吉村を迎えたのは蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門、そこで次郎右衛門は吉村に切腹を命じます。
    この脱藩浪士である吉村は如何なる人物なのか、元新選組隊士など関係者への聞き込みというインタビュー形式で読み解く構成になっています。
    聞き込みが進むに連れて人物像が明らかになっていきますが、語り部が話すものは本筋だけでなく脱線も多々あります。
    しかしこの脱線したお話には恐ろ

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    2025年06月28日
  • 新装版 五郎治殿御始末

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    ネタバレ

    腕時計が好きなので、暦やブレゲが出てきて嬉しかった。
    表題の五郎治殿御始末は泣きました。解説も良かったです。
    大きなことはできなくても、せめて子や孫に苦労がないようにしたい。

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    2025年06月04日