浅田次郎のレビュー一覧
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粋でいなせ。男という商売、職人としての意地という言葉。そして、道化の恋文に涙咽ぶ。
心意気というものをふんだんに感じるダンディズムの宝庫。されどそれは、生物学上の男性にあるものでは無く、おこん姐さんも体現している。それを考えると、任侠も簡単なジェンダーでは無く、ここでいうダンディズムも、ジェンダーに阻まれるものでもないのかと思う。
多様性時代だからこそ、逆にこうした男気という価値観もあって良いのではないか。そしてそれを残していくことも大事ではないか。
本当の男気は、ジェンダー差別を作るものでも何でもないのかも知れない。
ただ、その流儀を押し付けてしまったら、単純なパワハラになるのだろう。本当 -
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書店でこの本を見かけたとき、読んでみたい!って思ったものの、浅田氏のあまりの出版本の多さに、職業小説の大量生産本は内容がスカスカなのが多い、特に今では東野氏がそうであるようにこれもまた...などと食わず嫌いが発動してなかなか手にすることなく年月を経た。母が亡くなりその遺本を整理しているところに現れたのがこのタイトル、母も読んだのかと感慨深くなりようやく手にしてみると...
なんでこれもっと早く読まなかったんだ!って後悔しかない。これは時代小説のドラゴンクエストである。主人公が崖っぷちの窮地に追い込まれた状態から秘伝を元に、旅しながら仲間を集め難題をクリアしていく物語。まさに血沸き肉躍る活躍劇を -
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幕末に近いころの侍の物語、冒頭若くして父親が急逝し、参勤交代の行列をマネージするお供頭の仕事を急遽継ぐことになり、国元に戻ってみると人々は冷たく、味方は誰もいない。親からも何も教えられることなく、唯一手元に残った江戸初期の先祖の描き残した帳面を頼りに参勤交代を始めるのですが、徐々に色々なことが明らかになってきて、天候による悪路だったり、陰謀だったり、想定外のことがたくさん発生します。浅田次郎の人情というか、人間ドラマを描く手腕が光る作品でした。
主人公である一路はもちろんのこと、お殿様のキャラクターもすごいよかったです。
中仙道の各宿場町を描いていて、自分が住む近所にある宿場が舞台になっていて -
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時代を超えて胸を打つ不朽の名作『地下鉄(メトロ)に乗って』から25年。鉄道屋などが好きならぜひ読んでほしい。
孤独の中で育つたが温かな家庭を築き定年の日の帰りに地下鉄で倒れた男の物語。
幼少期の思い出や自分を捨てた見知らぬ母のおもかげを、不思議な経験で追憶していく最終的には泣かせる浅田次郎作品。
メトロでは父親だったが今度は母親で泣かせます。
エリート会社員として定年まで勤め上げた竹脇は、送別会の帰りに地下鉄で倒れ意識を失う。家族や友が次々に見舞いに訪れる中、竹脇の心は外へとさまよい出し、忘れていたさまざまな記憶が呼び起こされる。孤独な幼少期、幼くして亡くした息子、そして……。涙なくして読めな -
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読み返すの何度目だろう。定期的に読み返したくなる本。電車で読んで泣いてしまいました。
『鉄道員(ぽっぽや)』は高倉健さんで脳内再生。
『ラブ・レター』『角筈にて』は20代の頃からのお気に入りで、今回は『伽羅』『うらぼんえ』も心に残りました。妻になり、母になって感じ方も変わったのかな?歳を取れば取るほど、色々な立場から物事を見れるし、知らなかった単語もいきなり実感できたりして楽しい。例えば「肌のくすみ」「ほてり」「物忘れ」とかもね。若い時はピンとこなかったなぁ。ベテランとしてステージがあがっていってます。
浅田次郎さんの本を読むと、頑張ってるおじさん達が愛しく思えてきます。