浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ主人公「僕」のDVの違和感。
「人を思いやること」は
体験のないものにとっては
理解することも、その大切さを想像することもできないのかもしれない。
私たちにとって当たり前の人との関わり方。
主人公「僕」のDVは
彼の環境から得た成長の果てだったと思った時
単なるめめしい被害者意識だと
自分も、主人公を、自分の価値観に落とし込んで
随分と見下していたことに気がついた。
他人を尊重することは、案外と難しいことなのかもしれない。
清子さんの純真さ、富江さんの温かさ。
おそろしく時間はかかったけれどなんとか届いて良かった。
はちゃめちゃな展開のあちらこちらに
グッとくる言葉がきらきらと散 -
Posted by ブクログ
『週刊現代』1994年9月〜1995年9月まで連載されていた、浅田次郎さんのエッセイ集。
駒場東邦中→中大杉並高校→陸上自衛官→小説を書きながらゴニョゴニョと人生経験豊富な浅田先生なので、(しかも普通の人が経験してない事をたくさん経験されてるので)、めちゃくちゃ面白い。
『鉄道員(ぽっぽや)』『壬生義士伝』『帰郷』とかしか読んでない方はビックリすると思います。先生の作品を色々読んだ私は、「浅田次郎さんって8人くらいいるんじゃ?」って疑ってる。
爆笑の連続なので、このエッセイを読んでみて欲しいです。ちなみにこの連載中に『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞を受賞されてます -
Posted by ブクログ
孤独で寂しい人を救ってくれる物語。人は人を誤解しているだけで、あなたは人から守られている。そう心へ響かせてくれた。号泣してしまった。
主人公:安男は、母親の手術を引き受けてくれる病院まで、ワゴン車で百マイルの旅をする。それは、親子二人きりのかけがえのない時間であった。40年間の人生で初めて母親と向き合うことができた。
複雑な感情を抱えあった親子や肉親は沢山いるだろう。誰かと向き合うこういう機会が訪れ、これまでの気持ちをお互い確かめ合えたら。きっと平和な人間関係が築けるに違いない。
恋人のマリは切ない。「自分のことを愛してくれる人はいない。自分は人を愛することができる」
彼女の生き -
購入済み
周りの人達には愛されながらも拭えない喪失感が生死の境目で少しずつ埋められて行く過程が切ないけれど美しくてさすがとしか言いようがありません。浅田次郎作品はたくさん読みましたが、言葉選びの美しさはこの作者の真骨頂だと思います。
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寂しくて仕方がない方にお勧めしたい一冊。お腹を抱えて笑える場面。涙がでる程感動する場面。設定とキャラクターが分かりやすく、あっという間に読める。カラフル(森絵都)に共感された方は、こちらも感動できること間違いなし。
亡くなった人が、「現世でやり残したことがある。」と強い信念がある場合、審査を受けて、仮の姿で数日だけ現世へ戻れるシステムが存在する物語。
脇役的な存在の景山五郎に一番心が動いた。両親に先立たれ、生涯孤独の人生は過酷で辛いものだった。しかし、天国には愛するお父さんが迎えに来てくれた。例え亡くなった人であっても、自分のことを心から思ってくれている人が必ずいる。そう思えるように -
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千島列島(当時)の最北端の占守(シュムシュ)島、ソ連領のカムチャッカ半島は目と鼻の先。
しかし、そこから東に連なるアリューシャン列島はアメリカ軍が押さえていた。
戦争終結を視野に入れて、大本営はアリューシャン列島からアメリカ軍がやってくると睨み英語通訳を占守島に送り込む。
これが間違いだったとは言い切れないと思う。
お人好し・・・だったのかな。
アメリカ軍ではなく、ソ連軍が国際法を破って侵攻してきた。
上巻中巻にもたびたび出てきたが、原住民や、少数民族に対しての大国のやり口がひどい。
どうして、「土地はもともとそこに住んでいた人たちのもの」と考えることができないのか。
占守(シュムシュ)島