浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浅田次郎、抱いていた印象とはまったく違った。まるで勤勉を絵に描いたような人ではないか。周囲の反対を押し切って自衛隊に入ったという経歴から、そして競馬もすることから、破天荒な人だと思っていた。(自衛隊は、規律と規則正しい生活を送るための修練の機会だったのか。)
執筆に8時間、読書に4時間、平日はこのルーティン。そして週末には競馬。さまざまな条件を入れ込んで、真剣にレースのストーリーを練る。酒類は嗜まず。まじめで勤勉、そして継続。
最初の単行本は39歳。やんちゃで問題児だった小学時代に恩師の言ってくれたことば、「小説家にでもなればいい」、それが叶うのに30年近く。継続こそ力なり。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ電車の中で涙を堪えながら読み終えた。これ以上読んだら泣いてしまう、そんな瞬間が何度もあった。それほどまでに魂を揺さぶられる物語だった。
吉村貫一郎は、家族を飢えさせぬために脱藩し、命を削って生きた男だった。
本来なら生きて家族の元に帰ることが、彼にとっての“誠”だったはず。
それでも最後は、武士としての“義”に殉じて命を絶つ。
「武士道って、なんなんだろうね」
佐助の問いが、今も胸に刺さる。
嘉一郎、中島三郎助、南部藩の武士たち
短くも筋を通して生きた彼らの姿に、心の声と真っ直ぐ向き合うことの尊さを教えられた。
今の時代、自分さえ良ければいいという風潮があるけれど、そんな自分勝手を無理に -
Posted by ブクログ
「没法子」
このシリーズ通じてのテーマ
それは時代の大きなうねりに対する人の小ささ、
それでも抗う人々の物語
登場人物による“語り”が、ドキュメント映画のよう。
この物語の主な登場人物は歴史上に実在したため、その趨勢は定められている。
そこに語りで色付けすることで、作家の意図する物語へと変わって行く。
「事実は小説より奇なり」というが、小説は歴史書より真実を考えさせてくれる。
しかし、この物語を思いっきり楽しむためには、「蒼穹の昴」から始まる全シリーズを読破しておくことにこしたことはない。
シリーズ終章だと思っていたが、まだ続きそう。
ここから先は描くのにいろいろと難しい時代だと思うけ