浅田次郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
負け戦とわかりながら、幕府のようには決して逃げず、最後まで薩長の敵対意識を受け止めた会津や新撰組の最期が、一刀斎の口から語られます。西南戦争での結末には、薄々悟りはしていても思わず涙を流してしまいます。なぜ死ぬべき人が死なず、生きるべき人が死ぬのか…世の無情に疑問しながら、生き長らえてしまった自身を一刀斎は罪深く思っていたことでしょう。
涙腺が緩むシーンがもう一つ。成田の辺りで捕まった元新撰組隊士らへの敵の対応がどうしても忘れられません。敵味方がお互い尊敬し合うも、時には許さざること、筋を通さねばならないことがある。武士には面目という厄介がある、という言葉が、物語を通して強く心に残りました。 -
Posted by ブクログ
貧乏を絵に描いた様な越後3万石の藩内で、新しく藩主になった小四郎。前藩主はあまりの借金に藩を計画倒産させることで、現状を打破しようとしますが、クソ真面目な小四郎は、倒産そのものを回避しようとする。
小四郎の人柄が、兄の祝儀を良い方向に運んだり、参勤交代の行列でも、兄の妻の実家が助けに入ったりと、危機を回避していく。
信念があり謙虚なひとの元には、人が寄ってくるのですね。
上杉鷹山の藩政改革を思い出しますが、改革は内部の人間では、上手くいかないのだなと改めて思いました。
下巻も気になりますが、貧乏神や仏様も登場したりと、どのように危機をくぐり抜けていくのか楽しみです。 -
購入済み
感慨深い
いやいや、歴史を学んでこない私にはこれが真実の出来事としか感じられないほど。感動というのか。
事実かどうか、真実は何か。
突き詰めることは大切なこと。
数年前にあった公文書破棄なんて認められない。そんなことまで感じた一冊。 おススメ。