浅田次郎のレビュー一覧

  • 蒼穹の昴(3)

    Posted by ブクログ

    いよいよ清の歴史が大きく動き始めた。日本史で習った日清戦争はあくまで日本側の視点であったのだなと思わせられた。香港の割譲の話も、歴史的な事柄ではなくその背景にある互いの思いを知れば深く心に刻まれてより一層面白く感じる。
    楊喜禎から見た日本感の箇所が印象に残っている。
    中国の文化を血肉として近代国家にまでなり得た日本、そう考えるととてもすごいことなのでは、とも考えてしまう。
    ラストの春児の自己犠牲の献身の精神、そして周りはそれをきちんと評価しているというところ、思わず泣けてしまうほどであった。いよいよ完結まで後一冊。じっくり読み進めたい。

    0
    2025年08月17日
  • 真夜中の喝采(かっさい)~きんぴか3 完本~

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    2巻までとは打って変わって物語の展開が激しい。にしても、役人、自衛官、ヤクザの組み合わせって、不可能を可能にするのか?と思ってしまうくらい、それぞれの経歴やコネクション(大概脅して盗むような感じだが)をフル活用して復讐を果たしてしまう。
    びっくりだったのは、次期組長に推されたピスケンが、無事そこに収まるのかと思いきや、逃げ切ってしまう。今どきの小説にありがちな、みんな成功してハッピーエンドとはならず、ある意味それぞれが自分の道を探して動く途中で物語が終わる。続編がありそうに見えるし、期待したいが、たぶんこれがこの物語の正しい終わり方なんだと思う。とびっきり面白かったし、なんだか切ないけれど、それぞれの人生をまた覗き見したいなと思える小説だった。

    0
    2025年08月10日
  • 血まみれのマリア~きんぴか2 完本~

    Posted by ブクログ

    1巻で復讐第一弾を完遂した3人は、さらにそれぞれが第二弾を、また前に進みながら人生を進めている。
    今3巻を読み終わってからこれを書いているが、激動の3巻とは雰囲気がだいぶ違うため、2巻はその激動に向けての伏線という位置付けかと。
    マリアという人物がいい。何よりも患者さんが生きるために必要なことを真っ先にやってくれる、命を預けたい人だ。彼女とピスケンの組み合わせがいいね。

    0
    2025年08月10日
  • 壬生義士伝(上)

    Posted by ブクログ

    私はこういう本を読みたかったんだよ…
    どんな感想を書いても文章力でやすくなりそうなくらいほんとにほんとに面白い!
    切ない→かっこいい→泣ける、が永遠と寄せては返す波のように訪れて次のページ次のページってぐんぐん読みたくなった。特に斬り合いのシーンの描写がホントに目の前で繰り広げられるくらい鮮やかでかっこいい…………
    上巻読み終わって「やった!下巻ある!まだこの物語読める!」ってなったの初めてかも。終わってほしくない〜〜〜〜〜
    新撰組そんなに詳しくなかったけど調べながら読み進める感じもすごい楽しかったなー(案の定ハマりそう

    0
    2025年08月08日
  • 三人の悪党~きんぴか1 完本~

    Posted by ブクログ

    50年前に書かれたものとは思えない!古くささがない!でもある意味では、勧善懲悪、逆襲、ストレート、わかりやすさ、という、今では敬遠されがちなテーマが満載で、素直に読める。
    報われない、悔しい、鬱憤を抱えた3人が、読んでるこちらの胸がすくような方法で復讐?仕返し?意趣返し?
    イケイケーと応援したくなる。2巻3巻も楽しみ!
    浅田次郎さんの本は、時代ものがきっかけで知ったが、現代ものも面白いと知れた。

    0
    2025年08月04日
  • 帰郷

    Posted by ブクログ

    「終わらざる夏」を読んで以来の、浅田さんによる戦争文学。6編の短編から成る。どの作品も、視点や趣向は異なるが、共通しているのは、戦争に人生を狂わされた人たちの悲しみや苦しみを描いていることだ。

     戦争さえなければ、幸せな暮らしを営めたはずなのだ。亡くなった人も生き残った人も本来なら背負わずとも良い十字架を背負わされた。その苦しみや悲しみに言葉も無い。

     戦争という事象や、戦争を引き起こした当時の政府や軍部に怒りが湧いた。犠牲になった人々に心からの哀悼の意を表する。このような悲劇は二度と繰り返されてはならないのだと、反戦への想いを新たにした。

    0
    2025年07月22日
  • 天切り松 闇がたり 第五巻 ライムライト

    Posted by ブクログ

    四巻でも少し感じたが、
    天切り松も、老いた感じ。時代が変わり、孤独を覚えた老人が、昔馴染みを訪ねて、古き良き時代を語るという印象があり、郷愁というか、時代の移り変わりに付きまとう寂しさの香りの印象が変わる。明治は遠くになりにけりではないが、大正、昭和も遠くなる。戦前にあった義理人情は、平成末期にどう伝わっていたのか。
    千代子の話は、今の闇バイトやら、新宿公園の立ちんぼやらの話とも通底している気もする。余りにも社会とお国が信じられれぬ時代に、今なってきているのやも。
    ごめんなと、誰かが国に変わっていってくれることで生きていけるという言葉の重み。

    変わらぬ誠、変えてはならない真実が描かれているのがこの作品なのかもしれない。


    神も仏も信じないが、この人は信じることができる

    おぎゃあと生まれたからには、殺されて当たりめえの人間なんざいるわけねえんだよ

    やくざに生きるも堅気に暮らすも、俺に言わせりゃあ、大したちげえはねえ。一等馬鹿馬鹿しいのは、腹が括れずにいきているか死んでいるかもよくわからねえ人生だ

    人情で義理を欠くてえ、くだらねえ野郎

    檄文。
    しかし、これは世の中を正しく変えようととしている人の主張ではなく、ヒステリーだと松蔵は感じた。

    白井くん。手出しは無用だ。話せばわかる。

    死にてえっていうのと、いつ死んでもかまわねえってえのは、おおちげえなんだぜ。その
    ちげえがわかりゃあ、おまえも一丁前の男だ

    水谷豊の解説も良い。
    反社会的で本能的に生きているのだけれど、その本能的な生き様が、実は社会的な生き方なのではないかと気づく瞬間がある。
    本能的な生き方こそが、本来、社会的なのだ、と。

    →社会学的な見方なのかも。社会的制度の中で、社会制度の歪みて苦しむ本能的な人間。そんな人間を救うのが、反社会的な人間であり、任俠道なのかもしらぬ。








    0
    2025年07月20日
  • 月のしずく

    Posted by ブクログ

    男女の恋愛を中心とした関係性の複雑さと葛藤を描いた短編集。
    理性と感情は、時に相入れないものかもしれないが、そこをないまぜにした割り切れない存在が「人」であり、それを他者との関係として顕著に現したものが「愛」なのかもしれない。
    それぞれの物語を自分の経験と照らし合わせて置き換えてみると、つい理性を優先してしまい、感情を置いてきぼりにしてしまうことが多かったと省みることができる。
    どちらが重いのではなく、どちらも内包して、苦悩し葛藤し、それでももがいて現実世界での答えを出そうとする営みが、人を人たらしめている行為の表れなのかもしれない。

    0
    2025年07月19日
  • 壬生義士伝(下)

    Posted by ブクログ

    南部藩を脱藩し壬生狼=新選組に入隊した吉村貫一郎を中心に語られる、激動の時代における隊士の非業の生涯を描く時代小説の下巻です。
    斎藤一の証言の続きから物語が再開します。
    吉村貫一郎は本当に切腹させられたのか、どこかへ落ち延びたのではないか、と読者は様々な想像を巡らせていることでしょう。
    しかし元新選組隊士や五稜郭での戦闘参加者などへの聞き込みで、徐々に紐解かれていく彼のその後。
    多くの藩士たちから慕われていた吉村ですが、脱藩に加えて朝敵となり戻ってきたことは許されることではありませんでした。
    新撰組隊士として戊辰戦争にて討死すべきであり、生きているなら切腹をしなくては南部藩全体が朝敵の嫌疑でお取り潰しになる可能性もあるのです。
    吉村貫一郎は御一新の後に生きていてはいけない人間になっていたのでした。
    武士としての生き方に縛られる人間、御一新の後に訪れる明治時代の新しい風に乗る人間、その新風に乗れず心が江戸時代に生きている人間、それぞれの潔さと辛さを兼ねる生き様が描かれています。
    巻末には吉村の友人である大野次郎右衛門による全漢文の書状があり…感動しました。

    0
    2025年07月15日
  • おもかげ

    Posted by ブクログ

    親に捨てられた過去を持つエリート会社員が定年を迎え、送別会の帰途に脳出血にて意識不明に。
    過去に旅立つ主人公と、そのエスコートをする隣のベッドの老人や美しい年上の女性たち。
    主人公の新生児期まで戻った最後、目頭が熱くなりました。

    0
    2025年07月02日
  • 壬生義士伝(上)

    Posted by ブクログ

    南部藩を脱藩し壬生狼=新選組に入隊した吉村貫一郎を中心に語られる、激動の時代における隊士の非業の生涯を描く時代小説です。
    満身創痍の吉村貫一郎が大阪の南部藩屋敷に現れるところから物語は始まります。
    血と泥で真黒となった新選組の浅葱羽織を着た吉村を迎えたのは蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門、そこで次郎右衛門は吉村に切腹を命じます。
    この脱藩浪士である吉村は如何なる人物なのか、元新選組隊士など関係者への聞き込みというインタビュー形式で読み解く構成になっています。
    聞き込みが進むに連れて人物像が明らかになっていきますが、語り部が話すものは本筋だけでなく脱線も多々あります。
    しかしこの脱線したお話には恐ろしいほどの深みがあり、生々しいほどに現実味を強めるのです。
    斎藤一へのインタビューが大変印象に残るもので、特に感慨深いものを引用し下巻に期待したいと思います。

    “わしはおそらく、日本一の人殺しではなかろうか、とな。いや、日本一の剣客とは言わぬよ。人殺しじゃ。”

    0
    2025年06月28日
  • 新装版 五郎治殿御始末

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    腕時計が好きなので、暦やブレゲが出てきて嬉しかった。
    表題の五郎治殿御始末は泣きました。解説も良かったです。
    大きなことはできなくても、せめて子や孫に苦労がないようにしたい。

    0
    2025年06月04日
  • 天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道

    Posted by ブクログ

    時代背景のある作品を初めて読んだかもしれない。勝手に苦手意識があったが、面白すぎる。言葉遣いも魅力的すぎる。そして何より登場人物達の人情が素敵すぎる。今日日にもあれば良いのに。私の近くにも居てくれればいいのに。

    0
    2025年05月30日
  • おもかげ

    Posted by ブクログ

    主人公・竹脇正一は、65歳で定年を迎え、送別会の帰り道、地下鉄の車内で突然倒れてしまう。集中治療室で昏睡状態にある正一のもとには、旧友や幼なじみ、家族が次々に見舞いに訪れ、語りかける。しかしその間、正一の意識は肉体を離れ、奇妙で不思議な体験をする──。

    主人公の年齢や人生の節目が、自分自身と重なる部分もあり、自然と惹きつけられて手に取った一冊です。

    読み終えたあと、言葉にならない幸福感に包まれて、物語の余韻と著者への感謝で、思わず本を胸にぎゅっと抱きしめてしまいました。

    心に深く残る、大好きな一冊になりました。

    0
    2025年05月30日
  • 蒼穹の昴(1)

    Posted by ブクログ

    宝塚で作品を知って、原作にようやく手を出せた。
    清代の中国の話なので内容はちょっと難しいけれど、ここ最近読んだ本の中で一番面白かった。いろんな人におすすめしたい作品になった。
    自分が生きるのに必死な環境で、それでも他人のために尽くそうとする春児の自己犠牲精神が本当に泣けてくる
    文秀も、宝塚だと聖人君子って感じだったけど、原作では飲んだくれの適当なやつ(でもとんでもない天才)なのもまた人間味があって面白い。
    四巻まで読むのにはまだちょっと時間がかかるけどゆっくり読み進めていきたい。

    0
    2025年05月21日
  • 君は嘘つきだから、小説家にでもなればいい

    Posted by ブクログ

    浅田次郎、抱いていた印象とはまったく違った。まるで勤勉を絵に描いたような人ではないか。周囲の反対を押し切って自衛隊に入ったという経歴から、そして競馬もすることから、破天荒な人だと思っていた。(自衛隊は、規律と規則正しい生活を送るための修練の機会だったのか。)
    執筆に8時間、読書に4時間、平日はこのルーティン。そして週末には競馬。さまざまな条件を入れ込んで、真剣にレースのストーリーを練る。酒類は嗜まず。まじめで勤勉、そして継続。
    最初の単行本は39歳。やんちゃで問題児だった小学時代に恩師の言ってくれたことば、「小説家にでもなればいい」、それが叶うのに30年近く。継続こそ力なり。

    0
    2025年05月08日
  • おもかげ

    Posted by ブクログ

    浅田次郎作品の別作品のセット品で買ったため期待はしていなかったのですが、とても面白かった。危篤の時に周りにこんなに心配されるような人生を送りたいなと思いました。素敵な人生を観させていただきました!

    0
    2025年05月07日
  • 壬生義士伝(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時代小説を読んでみたいと思い、評判の良さそうなこの本を選択した。時代小説に慣れていないので、前半はなかなか集中できなかった。貫一郎のすっとぼけたところはおかしかった。
    近藤勇が鉄砲で撃たれたところも笑いを誘った。
    妻が自殺しようとするところは涙が出た。
    こんなにも感情を揺さぶる小説に出会えて良かった。

    0
    2025年04月29日
  • 母の待つ里(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    出身地を問われると[横浜]と答える。中華街生まれ中華街育ち。深夜まで人通りが絶えない街が故郷。
    登場人物たちは今の自分と同世代。父母はもういない。登場人物の男も女も思い出の中の母しかいない。下り立ったことのない土地で行き合ったことのない人々。思い出の中の母とは違うはずなのに。

    母の待つその場が、故郷ならば、今私がいるこの街が子等の故郷。

    この本を過疎化だ少子化だとのこの国の明日を憂う問題作と読むか、[おめはよぐやつた。誰がほめてくれなぐても、母は力いっぺえほめてやる。]と今一度母から聞きたいとするか。
    明日は子の好物でも作るうか。

    0
    2026年08月22日
  • 終わらざる夏 中

    Posted by ブクログ

    上巻よりも内容が理解できた
    昭和20年8月、広島と長崎に新型爆弾が投下された
    どうしても原爆の悲惨さに目を向けてしまうけど、そのとき北の前線ではどのような動きがあったか
    しぃちゃん、ジョー、頑張って

    0
    2025年04月27日