浅田次郎のレビュー一覧
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ネタバレ第三夜「王妃のワルツ」嵯峨浩と愛新覚羅溥傑の話が好きだった。
浩は栄治兄ィのファンで憧れていた。女子学習院の黄不動ファンクラブ秘密結社のリーダーだった。
しかし、愛新覚羅溥傑に嫁ぎ満州国へ行くことが決まっていた。
愛新覚羅溥傑は満州に妻がいたが、浩と結婚するためにその妻を捨てなくてはならなかった。浩もまだ人を愛したことがなかった。この二人は国に「理不尽」な結婚させられる。
嵯峨浩は嫁ぐ前に栄治と恋愛がしたいと松蔵へ頼んだ。舞踏会の時に栄治兄ィが現れ、舞踏会を楽しむ。栄治兄ィの腕を引っ張って逃げようとしているところを溥傑にみられる。
そのときの溥傑の誠実なことばを聞き、浩は逃げるのをやめ -
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ネタバレ全部よかったけど特に第三夜の宵待草がよかった。
おこん姐さんは竹久夢二に出会う。彼女はこの画家に憧れていた。すると絵のモデルになって欲しいと頼まれる。おこんは喜んで引き受ける。すると、つぎにクリスマス・イヴの予定をきかれてデートに誘われる。その誘われ方がすごく気障!
「だったら僕とランデブーをしていただけませんか。駿河台のニコライ堂が、とても美しいんです」
この一文を読むと、もう谷原章介しか思い浮かばなくて夢二さんは谷原章介で読んだ。おこん姐さんもメロメロになるな、と納得した。
夢二さんが過去を告白し昔の恋人の指輪をもらってくれという。すると、おこん姐さんは喝をいれて江戸弁丸出しになる -
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新生中華民国に颯爽と現れたカリスマ指導者・宋教仁。しかし、暗殺者の手によって時代は再び混乱し、戊戌の政変後日本に亡命中の梁文秀の帰国を望む声が高まる。極貧の中で生き別れた最後の宦官・春児と、馬賊の雄・春雷はついに再会を果たす。そして、龍玉を持つ真の覇者は、長城を超える・・・!
長らくシリーズを支える人物として描かれてきたトーマス・バートンの死や、最後の仕事をするためについに立ち上がった梁文秀など、喜怒哀楽それぞれの感情を強く揺さぶられる最終巻だった。
春児と春雷の再会のシーンでは、もどかしさもありつつ、別れ際には兄弟としての会話をすることができたことに、目頭が熱くなった。
張作霖らが長城を超 -
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大いなる母・西太后を喪い、清王朝の混迷は極まる。国内の革命勢力の蜂起と諸外国の圧力に対処するため、一度は追放された袁世凱が北京に呼び戻される。一方、満洲を支配する張作霖は有能なブレーン・王永江を得て、名実ともに「東北王」となる。幼き皇帝溥儀に襲いかかる革命の嵐の中、ついに清朝は滅亡する。
今回のシリーズでは袁世凱が大きなカギを握る人物だと描かれており、人々から憎まれ、役人たちからも目をつけられている。それでも本人は表向きは「人々のため」に政治を執り行うことに執着を持っているあたりが、人間の様々な面を見ているようで興味深い。
作中では、平和な町を張作霖らが滅ぼすという悲しいシーンが描かれている