山本一力のレビュー一覧

  • かんじき飛脚(新潮文庫)

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    最初は取っ付きにくかったけれど、親不知からハラハラが止まらなかった。飛脚たちが体験した寒さが伝わってくるようだった。

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    2024年02月18日
  • 花だいこん

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    『だいこん』、『つばき』に続くシリーズ三作目。

    棄捐令の発令により、かつてない不景気の江戸の町。
    ご多分に漏れず、仕事が減っていた大工の安治は、ある日薬種問屋〈蓬莱屋〉が看板の思案を募集している事を知り、“巨大提灯”というアイデアで応募しようと乗り出しますが・・・。

    前二作は、つばきと彼女が営む一膳飯屋〈だいこん〉の話でしたが、今回はつばきの父親・安治がメインの物語です。
    因みに、つばきは〈だいこん〉を知人のおてるに譲り、商いから身を引いて両親と同居している状況なので、今作では脇役という感じです。
    さて、薬種問屋の看板コンペに安治と共に挑むのは、旧知の渡世人・弐蔵親分と、講釈師で絵心のある三太郎。
    そして彼らをバックアップする大店の提灯屋〈ひさもと〉の協力を得て計画が進んでいきます。
    マムシの絵がインパクト大の巨大提灯の案を思いついた安治は、一作目の『だいこん』の中でも仕入れの食材を運ぶ“桃太郎車”の発案をしたりと、何気にアイデアマンなんですよね。
    そのマムシの元絵を担当する三太郎と、提灯屋〈ひさもと〉の職人頭・真之介の奇跡のような関係性のエピソードを絡めたりして話は進みます。
    そして、山本作品ではお馴染みの“江戸のを粋”へのこだわりが本書でも随所に描かれていて、勿論それは良いのですがちょっとでも無粋な振舞いをするとすぐにピりつくのは、さすがに何だか面倒だな・・と、正直思ってしまいました。
    とはいえ、安治たちが一丸となって挑む姿にはエールを送りたくなりましたし、コンペの競争相手の姑息な根回しにハラハラもしながら楽しく読ませて頂きました。
    それだけに、ラストの展開には思わず愕然となりましたね。
    話の中盤で、安治が弐蔵に“娘(つばき)の行く末を引き受けてくれ”と語った時に弐蔵に“言い遺しみてえなことを言うんじゃねえ”と返されている場面があったのですが、まさかこれがフラグとなるとは・・という感じです。

    今作で意外とファザコンだったことが判明したつばきですが、彼女の今後と弐蔵との関係が変化するのか・・もし続きがあるなら、その辺気になるので読んでみたいですね。

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    2024年02月17日
  • 梅咲きぬ

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    実家に転がっていました。
    時代物の登場人物って、生き方に選択肢がほとんどないし、油断するとすぐ死ぬから、もうほんと神には縋るし、毎日全力だし、明日をも知れなくても見栄張って生きるしかないし、普通に考えると辛すぎるから、これくらい主人公補正入ってないとな…と思うくらいに主人公がチート。
    でも、山本一力氏の女主人公はみんなそうだから…

    猪牙舟とか水瓶とか、江戸深川資料館の展示が小説そのままで面白いのでお近くの方はぜひ。

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    2024年01月05日
  • たすけ鍼 天神参り

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    シリーズ第3弾。

    今回こそはと思っていたのに、人参からみの話はなし。

    辰巳芸者をやめて父・染谷に弟子入りした娘・いまりを軸に、いまりの兄・勘四郎や、昭年の子供たちの縁談や跡継ぎなどが描かれているのだが、どれもスッキリ終わらず、また次巻まで持ち越しなのだろうか。

    染谷・昭年ともに名医と名高いのならば、いまり以前にも弟子入り希望者がいたのではないかと不思議に思ってしまう。

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    2023年12月11日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    「たすけ鍼」の続編。
    朝鮮人参が登場し、いよいよ前作で解決しなかった野田屋の件が明らかにされるのかと思いきや、肩透かし。
    染谷と昭年の神がかった医術に、読んでいて本当にこんなことまで出来るものなのかと不思議さを感じた。
    話の展開が大きくなりすぎて、町の人々との関わりが少ないのが残念。

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    2023年12月11日
  • たすけ鍼

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    鍼灸師を営む染谷が人助けや世直しをする話なのだが、結局「野田屋」はどうなったのか?
    すっきりしない1巻だった。

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    2023年11月18日
  • 牡丹酒 深川黄表紙掛取り帖(二)

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    山師の父が出会った銘酒を江戸で売り出そうと蔵秀たちが土佐へ向かい、仕掛けを進めていく話。土佐の佐川村の自然や村人たちの様子がリアルに伝わってきて、タイムスリップして行きたくなりました。作者の山本氏は土佐出身者。土佐愛を感じます
    あれもこれも上手く行き過ぎな気もしましたが、ひなに雅乃とのこと「一筋縄じゃあ、いかねえぜ」

    次は辰之助の話を書いて欲しいな

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    2023年11月15日
  • 落語小説集 子別れ

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    あんなに楽しい時間だったのに、同じ落語の物語で同じ感じで軽くなって読んでみたが、どうにもこうにも苦手。ゴツゴツした一力さんの好きだと思ったのに、単なる思い込みかな、読むのを中断する。以上

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    2023年10月30日
  • 深川黄表紙掛取り帖

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    主人公は定斎という薬を売り歩く若者、蔵秀。蔵秀と仲間3人が深川を舞台に厄介事を面白おかしくカッコよく解決していくお話
    定斎とは夏バテ防止の薬らしい。そんな薬が江戸時代で売られていたんですね
    一番カッコイイのは実は父親の雄之助

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    2023年10月27日
  • あかね空

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    中盤、家族関係が希薄になる部分で嫌な辛い気分になったが最後でまあ納得。解説の家族力という言葉に考えさせられた。

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    2023年10月17日
  • つばき

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    『だいこん』の続編。

    浅草から深川に移転し、新たに一膳飯屋〈だいこん〉(二代目)をオープンしたつばき。
    習慣や仕来たりもわからない新しい町で、旧知の渡世人・“閻魔堂の弐蔵”に何かと教えてもらいつつ、深川に馴染もうと奮闘する日々です。
    そんなつばきに、深川でも名の通った廻漕問屋から大口の注文が舞い込みますが・・・。

    相変わらず、料理やお弁当のメニューに関してのアイディアは冴えているつばきですが、まだ年齢が若いということもあってか、経営者としての未熟さが目立った印象です。
    気っ風が良くてストレートなのが、つばきの長所ではあるのですが、今回はそれが裏目に出て自身の思い込みで突っ走ってしまい、大切な事を見落としがちになる場面がありました。
    大口注文を受けた時、大店からの依頼ということで前金をもらわなかったつばきに、弐蔵親分が「そんだけの仕入れをするてえのに、前金ももらわねえのはよう。太っ腹というよりも、素人の振舞いだぜ」と注意したのに対して、つばきは「素人で結構です」と切り口上で言い返す始末・・・“ちょ、つばき、前金は基本でしょうが?”と心配になりながら読み進めると、案の定大変な事になってしまっていました。
    (で、結局騙りを仕掛けたのはどこのどいつだったのでしょうね・・?)
    後半の場面でも、弐蔵親分が「棄捐令」に繋がる公儀の動きをつかんで(今後の景気に影響がでるので)、つばきに忠告しているのに棟梁・与五郎への恋に浮かれてスルーしていましたしねぇ。
    で、この与五郎への想いも、急に恋に落ちて唐突に冷めるという変貌ぶりでしたが、今度は弐蔵親分を意識し始めた様子で、どうなることやら・・という感じです。
    とはいえ、持ち前の“引き立てられ運”で、困難をチャンスに変えていくところは流石で、その辺の展開は面白く読ませて頂きました。
    ラストは前述の「棄捐令」が発令されたことにより、今後の不景気突入を覚悟するところで終わっていましたが、これからのつばきの運命はどうなるのでしょうかね・・。

    三作目も出ているようなので、是非読んでみたいです~。

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    2023年09月12日
  • だいこん

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    久々の山本一力さん。

    飯炊きの技と抜きん出た商才を持ったつばきが、若くして一膳飯屋〈だいこん〉を切り盛りする、成長と家族の物語です。

    主人公・つばきは、三姉妹の長女。腕のいい大工の父・安治が博打で多額の借金を負ってしまい、一家は苦しい生活を強いられます。
    ある時、炊き出しの手伝いをしたのを機に、飯炊きの才能を見出されたつばきは、9歳にして火の見番小屋の賄い係を担当することになります。
    同じく賄いをしていた、つばきの母・みのぶは娘の飯炊きだけではない商才にも気づき、ゆくゆくはつばきに飯屋を開かせたいと思うようになりますが・・・。

    結構なヴォリュームで、読み応えガッツリの人情噺でした。
    序章では深川に新たに店を構えようとするつばきの様子が描かれていたので、ここから物語がスタートするかと思いきや、本書の内容はこの冒頭に至るまでの、所謂“回顧談”となっております。
    第一部は、安治の借金で一家がひたすら苦労する内容で、特に安治が番所に連れていかれる下りは、不憫すぎてしんどかったですね。
    それだけに、第二部でつばきが18歳で飯屋〈だいこん〉を浅草に開店し、持ち前の才覚で軌道に乗せていく展開は、読んでいてワクワクしました。
    ご飯を美味しく炊けるだけではなく、経済感覚もあり、常に商いのアンテナを張っているつばきの商才には感心するものがあります。
    そして、山本さんの小説ではお約束の“江戸っ子の心意気”がここでも描かれていて、その情緒を感じることができるのも良いですね。
    才覚があって頑張り屋のつばきですが、ちょっと負けん気が強すぎる傾向にあり、せっかく浅草でうまくいっていた〈だいこん〉を、とある大店の店主の挑発に乗ってしまう形で(所謂“売り言葉に買い言葉”的なノリ)、店を閉めてしまうというのが、博打好きの安治の血を引いているからなのか、“そこは冷静&堅実にいくべきなのでは・・?”とさすがに思ってしまう私でした。
    という流れで、浅草の店を閉めて新たに深川にオープンしますよ(そう、ここで冒頭に繋がる)。と、いうところで本書は終了します。
    つばきの深川での奮闘を描いた続編も手元にあるので、これから取り掛かりたいと思います~。

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    2023年09月09日
  • たすけ鍼 立夏の水菓子

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    昔も今も、いわゆる「反社会勢力」というものは、巧妙な手口で「渡世」している、ということだと思った。ただ、今回は、染谷さんの顔の広さがものを言ったのであって、今一つ、なんというか、”?”だった。

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    2023年09月04日
  • 亀甲獣骨 蒼天有眼 雲ぞ見ゆ

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    山本一力さんの作品を最後に読んだのはいつだったか?と思い出せない程、久しぶりに手にとりました。中国を舞台にした時代小説、史実も混ぜた謎解きかと思いきや…180ページ辺りから急展開。帯に書かれた「幻想」の意味がわかりました。急展開過ぎて頭が、心が追いつかないところもあったけど、全体を通して楽しめたし、読みやすい文体で、時代小説っていう印象が薄かったです(あくまでも文体、表現、ことばの話)。

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    2023年07月04日
  • たすけ鍼

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    染谷というスーパー鍼治療師の活躍話。身体だけでなく心にも鍼が入ります
    時代小説の王道、直球ストレート。大好きです
    宙ぶらりんになった話あり。一力先生思い出して~

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    2023年05月28日
  • 本からはじまる物語

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    18人の作家による本にまつわるアンソロジー。
    市川拓司さん「さよならのかわりに」が面白かった。梨木香歩さん「本棚にならぶ」は勝手なイメージでほんわかした話かと思ったらなかなかに怖かった。どの作家さんの話からも本好きな気持ちが溢れ出ているように感じた。

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    2023年05月08日
  • ずんずん!

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    纏ミルク浜町店の新年の仕事はじめは午前4時。配達員の田代は、湯川さん宅の保冷ボックスに小さな異変を発見し…。牛乳宅配店主と地域の仲間たちのおいしく温かな日々を描く。

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    2023年04月20日
  • 紅けむり

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    古伊万里の里と、江戸を結んで陰謀がひそかに進んでいく、それぞれ江戸の日本橋のお店と佐賀の有田、皿山の町とそれぞれで進んでいく事件?出来事が大きくつながっていく。
    ものすごく描写が細かい。江戸の町や、景色、人々の暮らしなどがとても細かく描写され、目の前に映像が浮かぶようです。
    一方で、そちらに割かれ過ぎて、物語に入りづらいところも感じていました。
    やがて隠密が入ってくるんですが、長く織り上げてきた物語が、意外に終わりがお粗末というか。。。え。。。って感じでした。
    用意周到に準備している感じの隠密だったのになんかお粗末な終わりだな。。という正直消化不良っぽい終わり方でしたね。。。

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    2023年04月02日
  • 花だいこん

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    一善飯屋「だいこん」を知人に譲ったつばきは、父と
    母と新たな三人暮らしを始めた。ある日、薬種問屋
    蓬萊屋が看板の思案を求めていることを知り、巨大
    提灯という壮大なスケールの思案を提案する。

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    2023年04月15日
  • 損料屋喜八郎始末控え 牛天神

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    結局、数日間のうちにシリーズの4冊を読み終えてしまった。

    頭の中は山本さんが描く江戸時代中期、寛政の改革の影響で経済が停滞していた深川を中心とした江戸の中にどっぷりと浸かってしまった。

    山本さんが描いておられる江戸の風景がとても鮮やかで美しい。

    文武両道、頭脳明晰な主人公を中心にストーリーは展開するが、他の登場人物たちの人間性もとても面白く表現されている。

    5冊目が出ているということなのだが、まだ文庫化していないようだ。

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    2023年02月26日